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結論

敗訴(請求棄却)

第4条第1項第11号「不明瞭文字と称呼類似」の商標審決・判断理由(審判番号:異議2017−900063(T2017−900063/J7)|登録維持)

審判番号
異議2017−900063(T2017−900063/J7)
審判種別
異議

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
不明瞭文字と称呼類似
適用条文
第4条第1項第11号
指定商品・役務の区分
第14類・第18類・第25類・第35類
最終結論
登録維持(敗訴(請求棄却))

この審決(審判異議2017−900063(T2017−900063/J7)・異議)は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号への該当性が争われた事例です。主な争点は「不明瞭文字と称呼類似」です。指定商品・役務は第14類・第18類・第25類・第35類に属します。特許庁は「登録第5902589号商標の商標登録を維持する」と判断しました(登録維持)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

登録第5902589号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5902589号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,平成28年7月8日に登録出願,第14類「身飾品」,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同年11月16日に登録査定され,同年12月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第788852号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおり,2012年(平成24年)8月13日に国際商標登録出願(事後指定),第25類「Clothing, footwear, headgear.」を指定商品として,平成25年8月30日に設定登録され,現にその商標権は有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するのであるから,同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品について

申立人の引用商標に係る指定商品は,本件商標の第25類の指定商品「被服」および「履物」と抵触(類似)関係にあり,また,第35類の指定役務「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」および「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と抵触(類似)関係にある。

2 本件商標と引用商標について

本件商標は縦長の楕円形の図形商標の中に楕円形の図形の外周部の上部と下部に文字を配してなるものである。図形商標においてアルファベット文字は比較的大きな態様で表現されていることから,これらの文字も商標の類否において重要な意味を有するものと考える。本件商標の構成要素をなす楕円形上部外周部のアルファベットと下部アルファベットは離れていてそれぞれの表現態様から,これらを一連に称呼しなければならない必然性は全くなく独立して判断されるべきものである。上部に表現された文字において左上部から右上部においてアーチ状に表された最初の4文字はアルファベット文字の「J」,「O」,「H」及び「A」を一般の取引者,需要者が認識することは容易である。しかしながら左上部から右上部にかけて表された最後の文字は極めて細く短い線が太い真ん丸の一部に表された態様においてよく目を凝らさなければそのような線は認識することが極めて難しいと考え,したがって,これをどう称呼するかかなりの迷いが一般取引者,需要者の間に生ずると見るのが自然である。

これをアルファベットの「Q」の字を意識したものと一般取引者,需要者に直ちに認識されると把えることにはかなりの無理があると考え,アルファベットの「オー」と読めといわれればそのように読めるし,「キュー」と読めといわれればそのように読めるといった程度でしかない態様の表現である。

5番目の表現が文字か図形かはっきりしない態様において,一般取引者,需要者は左から5番目の表現を無視して「JOHA」のみを称呼することも迅速性が要求される商取引の実際において十分に考えられる。そして「JOHA」は英語の発音の知識に基づいて一般的には「ジョハ」という称呼をもって商取引に資されるものである。

このように本件商標からは,「ジョハオ」,「ジョハキュウー」の他に「ジョハ」の称呼をもって商取引に資される場合も十分にある。申立人の引用商標「JOHA」は,一般的には「ジョハ」という称呼をもって商取引されるものである。本件商標が「ジョハ」と称呼される場合も十分に考えられる以上,申立人の引用商標「JOHA」とは,称呼を同一にする類似商標にあたる。

第4 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は,別掲1のとおりの構成からなり,その図形部分は,縦長の2重の楕円形の内側に,帯で横に巻かれたような横の曲線又は直線を配してなり,また,その外側楕円形と内側楕円形の間には,上部に「JOHAQ」(「O」の文字の上に長音記号「−」を有する。以下同じ。)の欧文字,下部に「JAPAN」の欧文字を円輪郭に沿うように配してなるものである。

そして,「JOHAQ」の文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。

また,「JAPAN」の文字は,「日本」を意味する語としてよく知られている語であることに加え,商品の販売や役務の提供において,単に「日本」の意味を有するだけではなく,その商品が日本製であることや役務の提供場所等を表示するために普通に使用されているものである。

してみれば,本件商標の構成中,「JAPAN」の文字は,商品の生産地又は役務の提供地を表示しているものと理解されるにすぎず,自他商品又は役務の識別標識としての機能を有するものとはいえない。

そうすると,本件商標に接する取引者,需要者は,「JOHAQ」の文字部分に着目して,当該部分を自他商品又は役務の識別標識としてとらえ,当該文字部分をもって取引に当たるというのが相当である。

そして,欧文字からなる造語の場合は,我が国で一般的に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるところ,「O」の文字の上にある長音記号は,ローマ字の表記において長音を表す記号であるから,「O」の文字は,「オー」と長音を伴って発音するとみるのが相当である。

したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応するローマ字の読みに倣って「ジョーハキュージャパン」の称呼を生ずるほかに,「JOHAQ」の文字部分に相応して「ジョーハキュー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

なお,申立人は,「5番目の表現が文字か図形かはっきりしない態様において,一般の取引者,需要者は,左から5番目の表現を無視して,『JOHA』のみを称呼することも迅速性が要求される商取引の実際において十分に考えられる。そして『JOHA』は英語の発音の知識に基づいて一般的には『ジョハ』という称呼をもって商取引に資されるものと考える。」旨を主張している。

しかしながら,本件商標の要部である,「JOHAQ」の文字部分において,その語尾の「Q」の文字が,ややレタリングされているとしても,十分に欧文字の「Q」と読めるものであり,前の4文字が欧文字であることからすれば,該「Q」の部分も当然,欧文字とみるのが自然であり,そして,「Q」の文字は,「広辞苑(第六版)株式会社岩波書店」によれば「キュー」と発音すると記載されており,さらに,「O」の文字の上に長音記号があることを合わせて鑑みると,本件商標の要部である,「JOHAQ」の文字部分からは,ローマ字の読みに倣って「ジョーハキュー」の称呼を生じるというのが相当である。

2 引用商標について

引用商標は,別掲2のとおり,「JOHA」(「J」の文字がやや図案化されている。)の欧文字を横書きしてなるところ,該文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語というべきである。

してみれば,引用商標は,その構成文字に相応して「ジョハ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

3 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標は,それぞれ上記のとおりの構成からなるところ,本件商標は,縦長の楕円図形を有しているのに対し,引用商標は,文字商標であって,その構成文字も相違するものであるから,外観上,明らかに区別できるものである。

また,本件商標から生じる「ジョーハキュー」の称呼と引用商標から生じる「ジョハ」の称呼とを比較すると,5音又は2音という比較的短い音構成において,長音の有無や「キュー」の音の有無において明らかに相違するものであるから,両者は,それぞれを一連に称呼しても,互いに聴き誤るおそれはなく,称呼上,明確に聴別することができるものである。

さらに,観念においては,本件商標と引用商標からは特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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