結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第31362号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2701979号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成2年4月3日登録出願、指定商品を第9類「木材・鋼管などの運搬機能を備えたパワーショベル、その他の土木機械器具、農業用機械器具(かいばおけを除く)」として、平成6年12月22日設定登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めて、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
(1) 請求人の調査によれば、本件商標は、商標権者である被請求人、専用使用権者または通常使用権者のいずれかによって、その登録に係る指定商品中「農業用機械器具(かいばおけを除く)」について、少なくとも継続して過去3年以上にわたり使用されている事実を発見することができなかった。
また、甲第2号証として添付した登録原簿(登録第2701979号)によれば、使用権の設定登録はされていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当し、その登録に係る指定商品中の上述の商品について登録を取り消されるべきである。
(2) 被請求人は、平成11年5月25日付提出の答弁書において、本件商標の実施状況を示すものとして、乙第1号証の型録なるものを提出した。
しかし、乙第1号証の型録は発行日が不明である。被請求人と乙第1号証に記載の有限会社キングとの関係が明らかでない。乙第1号証に記載の商品は本件審判の登録取消対象商品「農業用機械器具(かいばおけを除く)」とは非類似の別異の商品である。
したがって、乙第1号証によっては、本件商標がその指定商品「農業用機械器具(かいばおけを除く)」について過去3年間に使用された事実が証明されたとはいえない。
被請求人は、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当するものではないと答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。
(1) 被請求人は、本件商標を登録以来、継続して使用してきており、その事実を証明するために、乙第1号証の型録を提出する。
被請求人は本件商標を使用してきた過程で、本件商標の実施状況を示した型録を作成し、その型録を使用してきた。本件商標の指定商品は「木材・鋼管などの運搬機能を備えたパワーショベル、その他の土木機械器具、農業用機械器具(かいばおけを除く)」であって、これらに係る商品を販売するにあたり、本件商標の指定商品に係る商品の販売のための営業用としてこの型録を使用してきたのである。
(2) 本件商標の権利者棚田克紀は、若くして建設業を始め、種々の作業を経験、その過程で建設業にも農業機械又は産業機械のように機械の導入の必要性を痛感してきた。特に、建設業においては、その建設業に必要な機械であるパワーショベルに使用されるバケットが旋回出来ないバケットを有していたため、パワーショベルのアームの先端に前後の旋回能を有したバケットの開発とともに旋回軸を中心にした旋回能を有したバケットであることを共有させ、二つの機能を有したものにすることに専念した。
さらにまた、セメントミルクを掬うためのバケットの開発にも力を得て、水中作業に耐え得る構造の研究を重ね、水路を必要とし水中作業の多い農業に耐え得る機械の開発に努力し、水を掬うためのバケットの開発に成功したのである。そこで、土木機械器具としての商標権を取得する必要性とともに農業用機械器具としての商標権を取得する必要性が生じ、指定商品として「第9類 木材・鋼管などの運搬機能を備えたパワーショベル、その他の土木機械器具、農業用機械器具(かいばおけを除く)」に係る権利を取得したものである。
(3) 言うまでもなく、林業機械として木材などの把持運搬に必要な二つのバケットを有するパワーショベルは、本来のアームの先端の二つのバケットによる把持力が働くために林業機械としても大変有用である。他方、土木技術と農業土木技術は、元来、土木技術として共通した技術である。唯、その対象が農業を対象としたり、林業を対象としたり、又は建設土木を対象にしたりして技術が進んできている。
そうであるから、大学、高専、高校などの教育機関でも土木技術と農業土木技術とを別々の教育講座を設けて、工学部と農学部に分れて、それぞれの土木技術と農業土木技術とが作られている。また、農林省では、建設省で行なわれている技術分野が重なり合いながら許認可が別々に行なわれていることからも理解できるように、パワーショベル自体に農業土木用のパワーショベルと土木用のパワーショベルとが存在するのでなく、そのパワーショベルの特性に応じて種々のパワーショベルが供給されるのが実情である。
このような環境下で、被請求人は、建設業者専用の型録と林業業者専用の型録などを製作して使用してきたが、その後、建設業者にも林業業者にも農業業者にも適した共通の型録を製作して使用してきた。
その共通の型録が答弁書において添付した乙第1号証である。
乙第1号証には、農業用と造園用と林業用と土木用に分けて、その特性に応じて、形状寸法が相違することが記載されている。
(4) 被請求人棚田克紀は、有限会社キングの代表者であり、有限会社キングは、本件商標を使用しているのであって、自ら製造し、自ら販売しているのである。
被請求人は、特許権、意匠権も多数所有しており、本件商標を登録商標として建設業者や林業業者や農業土木施工者や農地造成業者や農業水路施工者などを問わず、あらゆる顧客を相手にして機械の製造販売事業を推進し、日本各地に被請求人の製造に係るパワーショベルの使用によるショベルのアームの先端の位置に二つのバケットによる把持力を確保し得る製品を製造し、それを商品にしている。その商品を示した型録を本答弁書に添付した。その型録には、各種バケットの使用状態を示した写真と図面が記載され、その作業状態を示している。作業対象が相違していても、同じ機械でそれぞれ適応した作業を展開させることができる。
本件商標の登録出願にあたり、土木機械のみならず農業土木機械としても使用し得ることを認識していたのでそのいずれとしても使用し得ることを前提として、商標取得をしたのである。そうであるから、指定商品は「第9類 木材、鋼管などの運搬機能を備えたパワーショベル、その他の土木機械器具、農業用機械器具(かいばおけを除く)」とし、本審判で問題の、農業用機械器具(かいばおけを除く)も含めたのである。
産業道路は通産省に所属し、農業道路は農林省に所属するのであり、同じ道路であっても、その所属先が通産省であったり、農林省であったりする。
そのように、木材、鋼管などの運搬機能を備えたパワーショベルは土木用にも農業用にも適用可能な機械器具であり、その意味で、土木機械器具、農業用機械器具(かいばおけを除く)のいずれにも適用されるのである。
乙第1号証の型録に記載されたものは、各種バケットの使用状態を示しており、農業用にも土木用にも使用し得るものである。
(5) 請求人は、被請求人が提出した乙第1号証の型録についてその発行時期が不明であるとするが、該型録の発行時期は、平成8年5月15日であることをその請求書(乙第2号証)と納品書(乙第3号証)により証明する。また、被請求人が有限会社キングの代表者であることを証明するため、会社登記簿謄本の写し(乙第4号証)を提出する。
以上のとおり、本件商標は、平成6年4月20日公告以来、継続して、土木機械器具の分野においても、農業用機械器具の分野においても、使用してきたものであり、商標法50条第1項の規定の取消に該当するものではない。
被請求人が本件商標の使用をしている事実を証明するものとして提出した乙第1号証の商品カタログについて検討するに、該カタログに掲載されている商品は、パワーショベルの先端作業部に装着して使用するバケット装置と認められ、パワーショベルの部品と解されるものであるところ、「パワーショベル及びその部品」は、商品の区分旧第9類の「土木機械器具」中の「掘さく機械」の範疇に属するものと判断するのが相当であるから、本件取消請求に係る「農業用機械器具(かいばおけを除く)」には属しないものというべきである。
被請求人は、当該パワーショベルは農業用にも使用し得る旨主張し、乙第1号証の商品カタログには「農業用にはMT型 10.15」のように記載されている事実も認められるが、当該パワーショベルが例えば農業用排水路の構築・農地の整備等に使用される場合があるとしても、それらの工事もやはり土木工事の一つとみられるものであって、農業用機械器具の本来的な機能である、耕うん・栽培・収穫等の機能とは本質的に異なるものである。
したがって、上記商品カタログ(乙第1号証)をもって、本件商標を商品「農業用機械器具(かいばおけを除く)」に使用しているとは到底言い得ないところである。そして、他に本件商標を請求に係る商品について使用していると認めるに足る証拠はない。
してみれば、被請求人は、本件商標を継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「農業用機械器具(かいばおけを除く)」について使用していなかったものと言わざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「農業用機械器具(かいばおけを除く)」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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