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Trademark Appeal Case

商標の類否と指定商品

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−15639(T2016−15639/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年9月11日に登録出願されたものである。

その後、本願の指定商品については、当審における平成29年2月27日受付の手続補正書により、第29類「穀物及び果実をベースにしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4405382号商標(以下「引用商標」という。)は、「一粒万倍」の文字を横書きしてなり、平成11年8月9日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、同12年8月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、審判長は、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成29年1月4日付け証拠調べ通知書によってその事実を開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

上記3の証拠調べ通知に対する請求人の意見は、要旨以下のとおりである。

(1)商品の類否について

引用商標に係る指定商品中の「アイスクリームのもと」と本願の指定商品中の「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの乳製品」とが、生産部門、原材料等を共通にする類似の商品というのが相当という指摘については、手続補正書により、本願の指定商品から「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの乳製品」を削除したことにより、その指摘の理由は解消した。

また、引用商標に係る指定商品中の「アーモンドペースト」と本願の指定商品中の「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実、乾燥ナッツ、加工済みのナッツ類、加工済みのチアの種子、乾燥果実」とが、生産部門、原材料等を共通にする類似の商品というのが相当という指摘については、手続補正書により、本願の指定商品から「乾燥ナッツ、加工済みのチアの種子、加工済みのナッツ類、乾燥果実」を削除したことにより、その指摘の理由は解消した。

なお、「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」と「アーモンドペースト」とは、非類似の商品である。

(2)本願商標と引用商標との類否について

本願の指定商品は、上記(1)のとおりの補正をした結果、引用商標に係る指定商品と類似の商品がなくなったため、本願商標は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものではなくなった。

また、商標の類否は、商品に使用された際に、その外観、観念、称呼によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察され、具体的な取引状況によって判断されるべきものである。上記補正後の本願の指定商品である「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」と引用商標に係る指定商品中の「アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト」とは、取引者が類似の商品と認識するのは難しく、本願商標は、その外観においても引用商標に比較して識別力があり、引用商標とは非類似の商標であるため、商標登録されるべきものである。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 商標の類否について

商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、同43年2月27日第三小法廷判決)。

そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号、同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号、同20年9月8日第二小法廷判決)。

以上を踏まえて、本願商標と引用商標との類否について判断する。

(ア)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、何らかの穀物の穂を三本束ねたとおぼしき図形を挟んで、その左側に「一粒」の漢字、右側に「万倍」の漢字(以下「文字部分」という。)を配してなるものである。

そして、上記図形は、直ちに特定の穀物の穂を表したものと認識されるとはいい難く、これからは特定の称呼及び観念を生じるとはいえない。

一方、本願商標の構成中の文字部分は、図形の左右に分かれて配されているものの、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく表されているものといえ、かつ、「一粒万倍」の文字は、「少しのものもふえて多くの数になるたとえ。少しだからといって粗末にはできない。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を表す四字熟語として親しまれている語であるから、一体不可分のものとして把握されるとみるのが自然である。

そうすると、本願商標を構成する図形と文字部分とに観念上のつながりはなく、また、該図形は、特定の称呼及び観念を生じないものである一方、該文字部分は、上記のとおり、親しまれた語であって、「イチリュウマンバイ」の称呼を生じ、「少しのものもふえて多くの数になる」との観念を生じる看者の記憶に残りやすいものであるため、該文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。

してみれば、本願商標の構成中の図形と文字部分とは、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、本願商標から「一粒万倍」の文字を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。

したがって、本願商標は、その構成中の「一粒万倍」の文字に相応して、「イチリュウマンバイ」の称呼を生じ、「少しのものもふえて多くの数になる」との観念を生じるものである。

(イ)引用商標について

引用商標は、上記2のとおり、「一粒万倍」の文字を横書きしてなるから、これより「イチリュウマンバイ」の称呼を生じ、「少しのものもふえて多くの数になる」との観念を生じるものである。

(ウ)本願商標と引用商標との類否について

本願商標の構成中の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、「一粒万倍」の文字構成を同一にし、「イチリュウマンバイ」の称呼及び「少しのものもふえて多くの数になる」との観念において同一である。

そうすると、本願商標と引用商標とは、図形の有無という差異はあるものの、それぞれの外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛らわしい類似の商標というべきである。

イ 商品の類否について

指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかだけにより判定すべきものではなく、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号、同36年6月27日第三小法廷判決)。

以上を踏まえて、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品とをみると、本願の指定商品である「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」は、「加工野菜及び加工果実」の一種であり、そのうちの「加工果実」には、アーモンドを加工したものが含まれるところ、引用商標に係る指定商品中の「アーモンドペースト」は、アーモンドを加工したものであるから、「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」と「アーモンドペースト」とは、原材料を共通にする場合があるものといえる。

また、「加工果実」を製造、販売する事業者は、「アーモンドペースト」も製造、販売している実情がある(別掲2の「3」参照)。

さらに、「加工果実」や「アーモンドペースト」といった商品は、店舗や小売店等において同じ売り場で販売されている商品であるから、その需要者の範囲も共通にする。

そうすると、本願の指定商品である「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」と引用商標に係る指定商品中の「アーモンドペースト」とは、原材料を共通にし、通常、同一の営業主によって製造、販売され、需要者の範囲も共通にするものであるから、両商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる。

してみれば、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、類似する商品というべきである。

ウ 小括

上記ア及びイのとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 商標の類否について

請求人は、本願商標は、暦用語で一般的に用いられている語である「一粒万倍」の文字を「一粒」の漢字と「万倍」の漢字に分けて、それらの間に、本願の指定商品の原材料である麦が一粒の種子から成長した様子をイメージした麦の穂をあしらった図形を配した構成からなるものであり、「一粒」及び「万倍」の文字と図形とが一体不可分のものとして認識及び把握されるものであるのに対し、引用商標は、「一粒万倍」の文字のみからなるものであるから、本願商標と引用商標とは、図形の有無など、外観上明らかな差異を有するものであり、非類似の商標である旨主張する。

しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中の図形と「一粒万倍」の文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められず、該文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり、該文字部分と引用商標とは、「一粒万倍」という文字を共通にし、「イチリュウマンバイ」の称呼及び「少しのものもふえて多くの数になる」との観念を同一にするため、相紛らわしい類似の商標である。

したがって、請求人の主張は、採用できない。

イ 商品の類否について

請求人は、引用商標が使用されている商品は、おかき、あられという穀物の加工品であり、本願商標が使用されているシリアルの一種であるグラノーラとは全く異なる商品であり、また、本願の指定商品である「穀物及び果実をベースとしたグラノーラ入りの加工野菜及び加工果実」は、引用商標に係る指定商品中の「アーモンドペースト」とは、非類似の商品である旨主張する。

しかしながら、本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性を判断するに際し、商品の類否は、あくまで本願の指定商品及び引用商標に係る指定商品について判断されるものであり、本願商標及び引用商標が実際に使用されている商品について判断されるものではない。

そして、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、上記(1)のとおり、類似する商品である。

したがって、請求人の主張は、採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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