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Trademark Appeal Case

周知商標の混同と不正登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2017−890021(T2017−890021/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5797431号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5797431号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年4月8日登録出願、第35類「インターネットによる商品の販売促進及び役務の提供促進に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した広告,インターネットによる企業広告の代理」を指定役務として、同27年8月4日登録査定、同年10月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件商標が商標法第8条第1項に該当するとして引用する登録第5866583号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2013年9月30日にフランス共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年12月16日に登録出願、第35類「広告,事業の管理,経営管理,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告,すべての通信手段による広告タイムの貸与,広告物の出版,広告場所の貸与,広告物の配布,広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,研修会(教育)・会議・講座・通信教育に関する役務の提供促進の企画」を含む第7類、第9類、第10類、第28類、第35類、第38類、第41類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年7月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求人について

請求人は、ソフトバンク株式会社のグループ会社(以下、ソフトバンクグループ全体を称して、「ソフトバンク」という。)であり、引用商標の権利者の親会社である。

2 商標法第8条第1項該当性について

本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であり、引用商標よりも先に設定登録されたものであるが、引用商標の後願に係るものである。

また、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当する。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標は、ソフトバンクの業務に係る感情認識ヒューマノイドロボットを表す周知著名な引用商標と同一の文字からなる部分を要部とする商標であり、その指定役務も、ソフトバンクの業務と関連性を有するものであって、需要者の範囲も一致すること等から、本件商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、ソフトバンクの業務に係る周知著名な「Pepper(ペッパー)」を想起、連想すると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれが高いものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標は、被請求人が、ソフトバンクの業務に係る引用商標の周知著名性に便乗し、ソフトバンクとの契約に反して引用商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願し登録されたものであり、また、本件商標は、「Pepper」の欧文字部分を要部とするものであるから、商標全体として引用商標に類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

5 商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標は、取引者、需要者にソフトバンクの業務に係る引用商標を連想、想起させるものであり、該商標に化体した高度な信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択、出願し登録を受けたものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

6 結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって、その登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の主張に対し何ら答弁していない。

第5 当審の判断

1 商標法第8条第1項該当性について

(1)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について

本件商標の指定役務は、第35類「インターネットによる商品の販売促進及び役務の提供促進に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した広告,インターネットによる企業広告の代理」であり、これは、引用商標の指定商品及び指定役務中、第35類「広告,事業の管理,経営管理,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告,すべての通信手段による広告タイムの貸与,広告物の出版,広告場所の貸与,広告物の配布,広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,研修会(教育)・会議・講座・通信教育に関する役務の提供促進の企画」と同一又は類似するものである。

(2)本件商標と引用商標との類否について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、1字ごとに異なる色彩に塗り分けた「Pepper」の欧文字を横書きし、その右下に小さく「の」の文字を配し、それらの下方に「しゃかい・けんがく」の文字をなだらかな山型に横書きするとともに、当該文字の背景に、図形を配した構成からなるものであるところ、文字部分と図形部分(背景)との間に観念上のつながりなどは認められないものであるから、本件商標は、文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を有するものといえる。

そして、その構成文字中、「Pepper」の文字は、他の文字に比して大きく顕著に表されており、本件商標に接する需要者に対し、強く支配的な印象を与える部分といえるものであるから、本件商標は、その構成中、「Pepper」の文字部分が、独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

そうすると、本件商標は、「Pepper」の文字に相応して、「ペッパー」の称呼を生じ、「胡椒」の観念を生じるものである。

イ 引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり、「PEPPER」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ペッパー」の称呼を生じ、「胡椒」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標の構成中、「Pepper」の文字と引用商標とは、そのつづりを同じくするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものであって、「ペッパー」の称呼及び「胡椒」の観念を同じくするものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

(3)本権商標と引用商標の商標登録出願日について

本件商標は、上記第1のとおり、平成27年4月8日に登録出願されたものであり、引用商標は、上記第2のとおり、2013年(平成25年)9月30日にフランス共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年12月16日に登録出願されたものであるから、本件商標よりも引用商標が先願と認められる。

(4)本件商標及び引用商標に係る商標登録出願人について

引用商標に係る商標登録出願人と本件商標に係る商標登録出願人(本件商標権者)とは同一人ではない。

(5)小括

以上のとおりであるから、同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができるところ、最先の商標登録出願人ではない者(本件商標権者)が商標登録を受けたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものである。

2 結語

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号該当性について論じるまでもなく、同法第8条第1項に違反してされたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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