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Trademark Appeal Case

著名商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900041(T2017−900041/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5896249号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5896249号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成28年5月10日に登録出願、第3類「化粧品,パック(化粧品),パック用化粧料,顔の美容用マスク,クレンジングクリーム,クレンジング用の化粧品,ボディケア用化粧品,顔及び身体の手入れ用化粧品,マッサージ用ジェル(医療用のものを除く。),浴用化粧品,香料,薫料及び香水類,化粧用アイクリーム,リップバーム(医療用のものを除く。),メイクアップ用化粧品,ファンデーション,ファンデーションクリーム,口紅,ヘアーシャンプー,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤,擦り磨き剤,研磨剤,エッセンシャルオイル,身体用せっけん,化粧せっけん,せっけん類,歯磨き,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年10月4日に登録査定、同年11月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第117号証を提出した。

1 引用商標

申立人が、本件登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第1252222号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2014年9月26日にItalyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2015年(平成27)年3月16日に国際商標登録出願、第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年5月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 申立人商標について

(1)申立人について

申立人の「ブルガリ エス.ピー.エー.(BULGARI S.P.A.)」は、今から133年前の1884年に、イタリアのローマで創業された、高級宝飾品ブランドであり、主な商品は、宝石類を始め、腕時計、香水、装身具であり、近年では、ホテル事業にも進出している。

申立人は、1970年代に米国ニューヨークに海外1号店を出店したのを皮切りに、1991年には、我が国にも進出し、現在では、世界中におよそ150の直営店を有し、我が国にも40を超える店舗を構えている。2011年には、世界最大のファッション業界コングロマリット(複合企業)である「LVMH」傘下に入った。

申立人ブランドの主要ラインナップの1つである香水に関しては、申立人は、1993年に最初の香水「オ・パフメ(Eau Parfumee)」シリーズを発表して以来、男性用・女性用ともに、様々な商品を展開してきた。申立人の香水は、世界中に多くの愛好家を有しており、日本においても、香水の人気ランキング等では、申立人の商品が必ず何種類も上位にランクインするほど、人気を博している(甲3〜甲5)。

(2)申立人による商標「GOLDEA」の使用

ア 申立人による香水「GOLDEA」シリーズの展開

2015年、申立人は我が国に先駆けて、欧州など世界各国で、香水「GOLDEA」の販売を開始した。一方、我が国では、2016年にまず、香水「ROSE GOLDEA」が販売開始となり、続いて、香水「GOLDEA」が販売開始となった。具体的には、2016年8月24日に、新宿伊勢丹及び銀座三越の限定2店舗において、香水「ROSE GOLDEA」の先行販売が開始され、2016年8月31日に全国展開が始まった。さらに、2016年11月30日、香水「GOLDEA」の販売が全国で開始されている。

申立人は、香水「GOLDEA」シリーズを世界各国で発売するにあたり、2015年から、多種多様な媒体を駆使した販促活動を事前に大規模展開しており、また、販売開始後も、相当大規模な広告宣伝活動を行っている。申立人の製造販売する香水「GOLDEA」シリーズは、販売開始から比較的短期間の間に、一般消費者・取引者の注目を大いに惹くこととなり、「GOLDEA」という名称は、世界的にも、我が国においても、申立人の商標として周知・著名となっている。

イ 香水「GOLDEA」シリーズの販売経路

香水「GOLDEA」シリーズの、我が国における販売経路は、全国168店舗に及ぶ。

ウ 香水「GOLDEA」シリーズの売上高及び広告宣伝費

香水「GOLDEA」シリーズの、全世界及び我が国における売上高及び広告宣伝費は、営業秘密に属するものであることから、開示は差し控えるものの、申立人は、必要に応じて、審判合議体に対して、具体的な数値が記載された資料を開示する準備がある。

エ 香水「ROSE GOLDEA」の発売開始に伴う報道機関向けの公式イベント

申立人は、香水「ROSE GOLDEA」の発売開始に先立つ、2016年7月20日に、「ブルガリ 銀座タワー」の8Fにおいて、報道機関向けの公式イベントを開催した。当日、131名のメディア関係者を含め、総勢186名の参加者があった(甲6)。

オ デパート及び百貨店における商品展示

申立人は、全国の有名デパート及び百貨店のショーウィンドウ、店内、化粧品売り場等において、大々的な商品PR活動を行った。申立人は、各店舗の売り場において、「ROSE GOLDEA」専用の商品ディスプレイを、相当の売り場面積を割いて設置し、申立人商標を付した巨大ポスターの掲示を全国の店舗で展開した。これにより、各店舗を訪れた一般需要者の目を視覚的に強く惹きつけることとなり、申立人商標に係る香水の存在を強くアピールすることとなった(甲7〜甲19)。

カ 店頭用パンフレット

申立人は、全国各デパート及び百貨店における大々的な大規模商品展示に加え、香水「ROSE GOLDEA」及び香水「GOLDEA」の店頭用パンフレットを作成し、各店舗、売り場を訪れた客に配布した(甲20、甲21)。

キ ダイレクトメール及び電子ダイレクトメール

申立人は、商品の店頭販売開始とタイミングを合わせる形で、申立人のクライアントに、ダイレクトメールや電子ダイレクトメールを送付した(甲22〜甲24)。

ク デパート及び百貨店発行の広報誌への掲載

申立人商標に係る商品は、全国の有名デパート及び百貨店が発行する広報誌にも、多数掲載されている(甲25〜甲40)。

ケ SNSの活用

申立人は、現代では必要不可欠のコミュニケーションツールとなりつつある、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も駆使して、申立人の製造、販売する香水の販促活動を積極的かつ大規模に行っている(甲41、甲42)。

コ 雑誌における特集及び広告

申立人は、雑誌に広告を掲載、あるいは、申立人商標に係る商品である香水が、掲載された(甲43〜甲75)。

サ オンラインマガジン及びポータルサイトにおける広告

近年、インターネットの普及により、紙媒体の雑誌のみでなく、消費者は、オンラインマガジンも積極的に活用して、ファッション等における最新情報を得ている。また、「MSN」等のポータルサイトは、インターネットサーフィンの入りロとして、非常に多くのユーザーが利用していることは、周知の事実である。上記に鑑みて、申立人は、オンラインマガジンやポータルサイトとタイアップし、オンラインマガジンやポータルサイトをチェックする消費者の間での、申立人商標及び申立人商標に係る商品の認知度向上に努めた(甲76〜甲80)。

シ オンラインマガジンにおける特集

申立人商標に係る商品は、オンラインマガジンにおいて紹介されている(甲81〜甲100)。

ス 屋外広告

申立人は、いわゆる「OOH(Out Of Home media)」と呼ばれる、屋外広告も積極的に活用している。申立人は、地下鉄の駅構内において、大々的に申立人商標に係る商品の販促活動を行っている。いずれも国内で有数の乗客数を誇る駅であり、申立人の業務にかかる分野に関心の高い消費者が多く利用する駅でもあることから、非常に多くの一般需要者及びファッション愛好家が申立人商標に接したことがうかがえる(甲101〜甲110)。

セ 受賞歴

申立人商標に係る商品である「香水」は、その品質、消費者の間での人気により、数々の賞を受賞している(甲111〜甲113)。

また、海外においても、米国を代表する女性ファッション雑誌である「Allure Magazine」誌において、2016年度の「Best of Beauty Scent」に選出されている(甲114)。

ソ 以上のとおり、申立人は、申立人商標を付した香水について、日本に先駆けて世界各国で、そして、日本においても、その市場投入の前から、全国規模で、上記様々な媒体を駆使して、一般需要者から取引者まで幅広い層を対象として、宣伝広告活動を行ってきた。「GOLDEA」の語は、申立人の製造・販売する香水を示すものとして、需要者、取引者の間で、世界的にも、我が国においても周知著名である。

3 商標の類似性について

(1)本件商標について

本件商標は、欧文字「Gold Dia」を横一列に配してなり、書体には若干特殊なフォントが使用され、構成文字「i」上部の点が星型形状に図案化してなるものの、構成文字は、同書、同大、同間隔であり、全体として、構成文字「Gold Dia」を十分に識別できる態様である。

構成文字中、「Gold」の語は、「金、金の」という意味のよく知られた英単語であり、その発音をカタカナ表記した「ゴールド」も、我が国においてはよく知られるところである。そして、構成文字「Gold」の語から生じる自然な称呼は、「ゴールド」である。構成文字中、後半の「Dia」の語は、辞書に掲載されるような単語ではなく、むしろ造語と考えられ、したがって、「Dia」の語に接した需要者、取引者は、自らの経験の範疇において、「Dia」の語の称呼を推察し、発音すると考えられる。この場合、我が国においては、国語教育の一環として義務教育課程でローマ字表記が教えられており、該ローマ字表記の読みに倣うと、「Dia」の語に接した需要者、取引者は、「ディア」と称呼するのが自然と考えられる。以上より、本件商標全体から生じる自然な称呼は、「ゴールドディア」であると考えられる。

また、本件商標は、欧文字7文字構成でなる、比較的構成文字の少ない構成であり、よって、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、「Gold」と「Dia」の間のスペースが捨象され、一連一体の文字列「Golddia」として認識される可能性もある。そうすると、該「Golddia」の構成文字に相応して、「ゴルディア」との称呼も生じ得る。

なお、本件商標は、全体として、特定の意味を想起せしめない造語であると解される。

(2)申立人商標について

申立人商標は、同書、同大、同間隔にて欧文字「GOLDEA」を横一列に配してなる。「GOLDEA」は、辞書等に掲載されている英単語ではなく、「GOLDEA」の語に接した我が国の需要者、取引者は、特定の意味を生じない造語と認識する。あるいは、上述のとおり、申立人商標は特定の意味を生じせしめない造語であるものの、申立人の業務に係る商品である「香水」との関係においては、その周知著名性から、申立人を想起せしめるものである。

申立人商標の称呼については、語頭を構成する「GOLD」の文字が我が国でもよく知られた、「金、金の」という意味の英単語であることから、「GOLDEA」の語に接した需要者・取引者は、「GOLD」の文字に接尾語「EA」が付加されたものとして認識するのが自然と考えられる。そうすると、需要者、取引者は、申立人商標を称呼する際、前半の「ゴールド」をそのまま伸ばすように一連一体に称呼し、「ゴールディア」又は「ゴールディー」との自然な称呼が生じ得ると考えられる。

また、申立人商標に接した需要者、取引者が、上述のように、語頭を構成する「GOLD」の語に格別の注意を払うことはせず、単に、一連一体の文字列「GOLDEA」として認識する可能性もある。この場合には、該構成文字に相応して、「ゴルディア」又は「ゴルデア」との自然な称呼が生じ得ると考えられる。

(3)商標の対比

ア 外観について

本件商標及び申立人商標は、それぞれ、欧文字7文字、6文字からなる構成であり、構成文字において、大文字、小文字の相違はあるものの、そのうち、5文字において共通する。具体的には、それぞれの商標の語頭から4文字目までの「GOLD」が共通しており、さらに、語尾の欧文字「A」が共通する。商標の外観識別上、最も大きな影響を及ぼすと思料される語頭部、つまり、最初の4文字が共通している上、語尾も共通しており、両商標の構成文字における相違点は、外観上看過されやすい中間部の文字のみである。しかも、その差異点は、本件商標においてわずか2文字(「D」、「i」)、申立人商標においてわずか1文字(「E」)である。さらに、申立人商標が周知、著名であることを鑑みると、本件商標と申立人商標の双方に接した需要者、取引者は、両商標の中間にある、わずか1、2文字の差異点に注意を払うよりもむしろ、語頭及び語尾の共通点をもって両商標を判断し、同一の出所からなる商品であると判断するおそれがある。つまり、時と場所を異にする離隔観察では、該中間部の差異は、捨象されやすく、本件商標及び申立人商標は、それらに接する需要者、取引者に非常に近似した印象を与える。さらに、本件商標にかかる「香水」等の取引の分野において、取引者、需要者が格別高度の注意をもって商品に接すると考える特別の事情もない。

したがって、本件商標及び申立人商標は、外観において、非常に近似した印象を与えるものである。

イ 称呼について

上述のとおり、本件商標からは「ゴールドディア」又は「ゴルディア」との称呼が生じ、一方、申立人商標からは、「ゴールディア」若しくは「ゴールディー」、又は、「ゴルディア」若しくは「ゴルデア」との称呼が生じ得る。

(ア)本件商標の称呼「ゴールドディア」と申立人商標の称呼「ゴールディア」との対比

本件商標から生じる「ゴールドディア」と、申立人商標から生じ得る「ゴールディア」を対比すると、差異点は、中間音の「ド」の音のみであり、該中間音「ド」は、「金、金の」という意味を持つ、まとまった一つの意味の塊である「ゴールド」の最終音に該当し、称呼上、聴別されにくい。さらに、差異音「ド」の直後に来る「ディ」の音が、「デ」と「イ」とを一体に発音する特殊な発音であり、声帯を振動させて強く発せられる濁音であることから、その直前の差異音「ド」は、そもそも称呼上、聴き逃しやすい中間音であることとも相俟って、相対的に称呼全体に与える影響力が小さく、「ゴールドディア」との称呼全体において、非常に聴別されにくい音である。したがって、本件商標から生ずる称呼「ゴールドディア」と、申立人商標から生ずる称呼「ゴールディア」に接した需要者、取引者は、それらを聴き誤るおそれが十分にある。

(イ)本件商標の称呼「ゴールドディア」と申立人商標の称呼「ゴールディー」との対比

本件商標から生じる「ゴールドディア」と、申立人商標から生じ得る「ゴールディー」を対比すると、差異点は、本件商標における中間音「ド」及び語尾音「ア」である。上述のとおり、中間音である差異音「ド」は、相対的に称呼全体に与える影響力が小さく、称呼全体において、非常に聴別されにくい音である。さらに、語尾音「ア」も、称呼聴別上、比較的影響の小さい語尾に位置する音であるから、全体として、両商標より生ずる称呼は、それを聴取する聴者に対して、非常に近似した印象を与える。つまり、本件商標から生ずる称呼「ゴールドディア」と、申立人商標から生ずる称呼「ゴールディー」に接した需要者、取引者は、それらを聴き誤るおそれが十分にある。

(ウ)本件商標の称呼「ゴルディア」と申立人商標の称呼「ゴルディア」又は「ゴルデア」との対比

本件商標より生じ得る称呼「ゴルディア」と、申立人商標より生じ得る「ゴルディア」は、いうまでもなく同一の称呼である。また、本件商標より生じ得る称呼「ゴルディア」と、申立人商標より生じ得る「ゴルデア」を対比すると、両称呼は、3音目の「ディ」と「デ」において相違する。該差異音「ディ」と「デ」は、共に有声破裂子音「d」を共通にし、母音において、「i」と「e」の差異があるものの、これらの母音は調音方法が近似する。 したがって、両商標の称呼を一連に称呼した場合、その語感、語調が極めて近似し、両称呼に接した需要者、取引者は、それらを聴き誤るおそれが十分にある。

上述のとおり、上記いずれの称呼にしても、両商標は、称呼についても極めて近似している。

ウ 観念について

申立人商標は、「香水」との関係においては、その周知、著名性から、申立人を想起せしめる可能性があることから、申立人商標と本件商標との外観、称呼上の近似により、本件商標に接した取引者、需要者をして申立人を想起せしめるおそれがあり、観念上、出所の混同を生じるおそれがある。

また、上記アのとおり、両商標は、我が国でよく知られた英単語「GOLD」を語頭に共通に有しており、該英単語が外観上特に目を惹く語頭に位置しているため、両商標に接した需要者、取引者をして、英単語「GOLD」の持つイメージから、「豪華な、高級な、ゴージャスな」程の共通の観念を想起せしめる可能性がある。

申立人商標が特定の観念を想起させない造語と考えた場合、申立人商標は、本件商標とは観念上、相比べるべくもないが、上述のとおり、両商標の外観及び称呼上の近似を鑑みると、両商標の外観、称呼における近似は、観念の相違を大きく凌駕するものであり、いずれにしても、本件商標は、申立人商標と相紛れるおそれがある、類似商標である。

4 商標法第4条第1項第11号について

引用商標は、申立人商標と実質同一の文字構成、文字配列であり、「香水」を含む指定商品に関するものである。そして、引用商標は、本件商標の出願日(平成28年5月10日)より前に、我が国を指定国として出願された国際登録商標であり、本件商標に係る指定商品は、上記の登録商標に係る指定商品と同一又はこれに類似する商品について使用をするものである。

したがって、上述のとおり、本件商標と申立人商標が、相互に類似する商標であることを考慮すれば、本件商標は、引用商標と類似すると判断することが相当であり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

5 商標法第4条第1項第10号について

上述のとおり、申立人商標は、該商標に係る申立人の製造・販売する香水が、2015年には世界的に展開されていたことにより、「香水」との関係において、申立人の業務に係るものを示すものとして、主たる取引者、需要者の間に広く認識されている実情が認められる。そして、本件商標は、申立人商標との関係において、外観、称呼、観念において、相紛らわしいものである。すなわち、本件商標は、申立人商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものである。

上記の点から、本件商標が「香水」について使用され、日本市場において取引に資される場合には、取引者・需要者に出所の混同を生じせしめるおそれが極めて高いと思料される。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

6 商標法第4条第1項第15号について

(1)本件商標と申立人商標の類似性について

上述のとおり、本件商標と、申立人商標は互いに類似するものである。

(2)申立人商標の周知著名性及び独創性について

申立人商標は造語商標であり、独創性の高いものである。さらに、上述のとおり、申立人の業務に係る商標「GOLDEA」を使用した香水は、2015年には、該商標を付した申立人商品が、世界的に大規模展開されており、その後も、我が国において、大規模かつ広範な販促活動か行われ、その販売数も堅調に推移している。また、申立人商品に係る業界、すなわち、ファッション業界において、申立人の製造、販売する、申立人商標を付した商品が高い評価を得ていることも上述のとおりである。よって、申立人商標は、現在までに、申立人商品、すなわち、香水の取引者・需要者の間において広く知られるところとなり、そして、本件商標の出願、査定前までに、申立人商標が、申立人の業務に係る商品の名称として、広く親しまれていたことは明らかである。

(3)商品間の性質、用途又は目的における関連性について

本件商標は、「化粧品,パック(化粧品),パック用化粧料,顔の美容用マスク,クレンジングクリーム,クレンジング用の化粧品,ボディケア用化粧品,顔及び身体の手入れ用化粧品,マッサージ用ジェル(医療用のものを除く。),浴用化粧品,香料,薫料及び香水類,化粧用アイクリーム,リップバーム(医療用のものを除く。),メイクアップ用化粧品,ファンデーション,ファンデーションクリーム,口紅,ヘアーシャンプー,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),エッセンシャルオイル,身体用せっけん,化粧せっけん,せっけん類」等について使用するものであり、上記商品は、申立人商標に係る商品である「香水」と性質、用途、目的において関連があることは明らかである。

(4)取引者、需要者の共通性について

上記(3)のとおり、本件商標に係る指定商品と、申立人商標に係る商品「香水」は、性質、用途、目的において関連しており、当然、それらに係る取引者、需要者も共通するものである。

つまり、(a)本件商標と申立人商標は類似しており、(b)申立人商標は、独創性の高いものであり、さらに、周知著名であり、(c)申立人商標に係る商品と本件商標に係る指定商品との間に、性質、用途又は目的における関連性があることは明白で、(d)取引者、需要者も共通している。また、本件に係る指定商品は、大量消費財であり、取引者、需要者の注意力も格別高いと認められる事情も見受けられない。

したがって、申立人商標の独創性、著名性、及び、取引者、需要者の商品に対する注意力の程度とがあいまつことにより、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標に係る商品について、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。すなわち、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

7 商標法第4条第1項第19号について

上述のとおり、「香水」業界において、申立人及び申立人の商品は、世界中で広く知られており、本件商標権者は、本件商標の出願前より、申立人の周知著名商標「GOLDEA」を知悉していたことは明らかである。

このように、本件商標権者が、申立人の周知著名商標「GOLDEA」の顧客吸引力を利用し、申立人が継続して使用する商標と酷似する商標を、自己の「香水」について使用する行為は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランド商品を市場に蔓延させることとなり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた当該周知著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させる。

すなわち、本件商標権者は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことは明らかであって、不正の目的をもって使用をするものである。

以上のとおり、申立人の周知著名商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されており、また、本件商標は、申立人の周知著名商標と類似しており、そして、不正の目的をもって使用をするものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

8 商標法第4条第1項第7号について

上述のとおり、申立人の業務に係る商品の出所表示である商標「GOLDEA」は、「香水」に関する主たる取引者・需要者の間で広く知られている。そして、本件商標「Gold Dia」は、申立人商標と近似するものである。このような本件商標を、申立人とは何ら関係を有しない他人である本件商標権者が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、申立人の周知著名商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがある。よって、本件商標を不正の目的をもって使用し、申立人商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図があると推認することは至極妥当である。このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するので、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第3 当審の判断

1 申立人の使用商標について

申立人は、上記第2の2(2)のとおり、申立人商標は、「GOLDEA」の英文字を構成要素に含む「GOLDEA」シリーズであるとし、その使用態様を特定していないが、申立人の主張及び証拠から、申立人の使用商標は、別掲3のとおり「GOLDEA」の欧文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)、別掲4のとおり「ROSE GOLDEA」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「使用商標2」という。)及び別掲5のとおり「ROSE」及び「GOLDEA」の欧文字を二段に書してなる商標(以下「使用商標3」という。)として、以下取り扱うこととする。

また、これらをまとめて「使用商標」という。

2 使用商標の周知性について

(1)申立人の提出した証拠、主張によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 申立人は、我が国において、2016年(平成28年)11月30日に使用商標1を使用して香水の販売を開始した(甲24)。

イ 2016年(平成28年)8月24日には、銀座三越において、使用商標2を付した香水の先行販売を開始し(甲25)、その後、同月31日から使用商標2を付した香水について全国展開を始めた(甲23、甲25〜甲29、甲31)。

ウ 申立人は、デパート・百貨店のショーウィンドウ、店内、化粧品売り場等において商品ディスプレイを設置し、使用商標3を表示した巨大ポスターの掲示を行った(甲7〜甲19)。

エ 甲第20号証は、申立人が作成したパンフレットであり、使用商標3の表示とともに、「オードパルファム」の記載がある。また、甲第21号証は、申立人が作成したパンフレットであり、使用商標1の表示とともに、「オードパルファム」及び「11月30日(水)発売」の記載がある。

オ 甲第22号証は、申立人が作成したダイレクトメールであり、使用商標3の表示とともに、「オードパルファム」及び「8月31日(水)全国発売」の記載がある。また、甲第23号証は、申立人が作成した電子ダイレクトメールであり、使用商標3の表示とともに、使用商標2を付した瓶、「オードパルファム」及び「8月31日(水)新発売」の記載がある。甲第24号証は、申立人が作成したダイレクトメールであり、使用商標1の表示、「オードパルファム」及び「11月30日(水)より発売」の記載がある。

カ 甲第25号証ないし甲第40号証は、全国のデパート、百貨店が2016年秋又は冬に発行した広報誌であり、甲第34号証及び甲第36号証には、使用商標1を付した香水が掲載され、甲第25号証ないし甲第35号証及び甲第37号証ないし甲第40号証には、使用商標2を付した香水が掲載されている。

キ 甲第43号証ないし甲第75号証は、2016年8月から2017年1月に発売されたファッション、美容関連の複数の雑誌の写しであり、甲第54号証、甲第69号証、甲第71号証、甲第72号証及び甲第75号証には、使用商標1を付した香水が掲載され、甲第43号証ないし甲第45号証、甲第48号証ないし甲第50号証、甲第53号証、甲第54号証、甲第60号証ないし甲第68号証及び甲第74号証には、使用商標2を付した香水が掲載され、甲第46号証ないし甲第53号証、甲第55号証ないし甲第59号証には、使用商標3が表示されている。

ク 2016年12月27日発売の雑誌「25ans」において、使用商標2を付した香水が、雑誌「25ans」の「2016年 第12回 ビューティ・メダリスト大賞【ロマンティック・フレグランス部門】金賞」を受賞したことが掲載された(甲111)。

(2)上記(1)によれば、我が国において、申立人は、使用商標2を付した香水を2016年(平成28年)8月24日に銀座三越において先行販売し、同月31日に全国発売を開始したこと、また、使用商標1を付した香水は、同年11月30日に販売が開始されたことが確認できる。なお、申立人は、同年7月20日に申立人による報道機関向けの公式イベントを行ったと主張し、使用商標3を付した巨大ポスターが掲示された画像(甲6)を証拠として提出しているが、その証拠には日付や場所を特定する記載はない。

さらに、全国のデパート、百貨店が2016年秋又は冬に発行した広報誌には、使用商標1又は使用商標2を付した香水が掲載され、2016年8月から2017年1月に発売されたファッション、美容関連の複数の雑誌において、使用商標1を付した香水、使用商標2を付した香水、使用商標3が掲載されたことが確認できる。

しかしながら、これらは、いずれも本件商標の登録出願日(平成28年(2016年)5月10日)よりも後のことであり、また、本件商標の登録査定日(平成28年(2016年)10月4日)との関係をみると、使用商標2を付した香水の販売開始は、該査定日のわずか1月半前にすぎず、使用商標1を付した香水の販売開始は、該査定日の後である。

そうすると、申立人が提出した証拠からは、使用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

また、申立人は、「2015年、申立人は我が国に先駆けて、欧州など世界各国で、香水『GOLDEA』の販売を開始した」と述べるのみで、諸外国における使用商標が使用された商品の売上高、シェアなど販売実績を示す主張、証左はないから、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「Gold Dia」の欧文字を多少図案化した態様で表してなるところ、その構成中、欧文字「i」の上部の点に相当する部分が星状図形で表されているが、この程度の図案化においては欧文字の「i」を表したと理解されるというのが相当である。

そして、その構成中の「Gold」の文字部分と「Dia」の文字部分との間に、少し間隔があるとしても、これらの文字は、同一の書体をもって、まとまりよく一体的に表されているものである。

また、本件商標の構成中前半部の「Gold」の文字は、「金、黄金」の意味を有する英語と認められるが、後半部の「Dia」の文字は、一般的な辞書には掲載されていない語であるから、特定の意味を有しない造語というのが相当であり、全体としては、特定の観念を生じないものである。

さらに、本件商標は、前半部の「Gold」が英語であって「ゴールド」と称呼されることからすれば、後半部の「Dia」も英語読み風に「ダイア」と称呼されるとみるのが自然であり、構成文字全体から生じる「ゴールドダイア」の称呼も、格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうすると、本件商標は、「Gold Dia」の文字全体をもって、自他商品の識別標識として認識し、理解されるものというのが相当であり、これよりは、「ゴールドダイア」の一連の称呼のみが生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり「GOLDEA」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般的な辞書に掲載されていない語であるから、特定の意味を有しない造語というのが相当である。

そうすると、引用商標は、我が国で親しまれた英語読み風に「ゴルディア」又は「ゴルデア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とは、それぞれ、別掲1及び2のとおりの構成からなるから、外観上明らかに区別できるものである。

また、本件商標から生じる「ゴールドダイア」の称呼と引用商標から生じる「ゴルディア」又は「ゴルデア」の称呼とを比較すると、両者は、構成音、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、これらをそれぞれ称呼しても、語調、語感が相違し、相紛れるおそれはない。

さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第10号該当性について

上記3(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、引用商標と同じく「GOLDEA」の文字からなる使用商標1もまた、本件商標とは、非類似の商標ということができる。

さらに、「ROSE GOLDEA」の文字を横書きしてなる使用商標2及び「ROSE」及び「GOLDEA」の文字を二段に書してなる使用商標3は、引用商標の構成文字に加えて「ROSE」の文字の有無という明らかな差異を有するから、使用商標2及び3もまた、本件商標とは、非類似の商標ということができる。

そして、上記2(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記2(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできないものであり、さらに、上記4のとおり、本件商標は、使用商標とは非類似の商標である。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者において、申立人や使用商標を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

6 商標法第4条第1項第19号該当性について

上記2(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできないものであり、さらに、上記4のとおり、本件商標は、使用商標とは非類似の商標である。

そして、申立人の提出に係る証拠をみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

7 商標法第4条第1項第7号該当性について

上記2(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできないものであり、さらに、上記4のとおり、本件商標は、使用商標とは非類似の商標である。

そして、申立人提出の証拠からは、申立人が主張する、本件商標を不正の目的をもって使用し、使用商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする等の事実や本件商標をその指定商品について使用することが、公正な取引秩序を乱し国際信義に反するものとすべき事情も見当たらない。

さらに、本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなるものであって、それ自体何らきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとすべき事由はなく、かつ、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

8 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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