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Trademark Appeal Case

周知商標と図形の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成7年審判第1811号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成3年11年27日に商標登録出願されたものである。

2 当審における拒絶の理由の要旨

本願商標は、「us」及び「pa」の欧文字の中央に馬上にまたがってポロ競技をするごとき黒塗りの図形を配してなるものである。

ところで、馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字は、証拠により、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンが、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本願商標に係る出願前から需要者の間に広く知られている商標と認められる。

本願商標は、その構成中に馬上にまたがってマレットでボールを打つごとき黒塗りの図形を含むものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の黒塗りの図形に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る商標を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、出所の混同を生ずるおそれがあり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 請求人(出願人)の意見

(1)本願商標は、「us」「pa」のローマ字と、その文字の中間に図形を配したものであり、その図形は、黒いシルエット図形で、右向きの馬の上にポロの競技者が下を見ながら真下にあるポロの玉を、下向きに降ろしたスティックで正に打たんとしている図であり、馬の足とスティックが混在し、全体として動きを感じさせる図形である。

(2)引用されたポロ/口ーレン社の標章である「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形」は、やや左向きの馬の図形で、左足を上げた状態の馬の上にポロ競技のプレーヤーが体を伸ばしてスティックを右手の上方に高々と振り上げている図形であり、振り上げられたスティックは競技者の左肩からはるか上方まで持ち上げられている。このスティック部分が上方に突出している事が他のポロプレーヤーを図案化した商標と比較して特徴的な部分と考えられる。

(3)そして、本願商標と同一の図形と、引用商標と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されてきたものである。

しかし、本願の審査においては、ポロ/ローレン社の商標の著名性だけが評価されており、「ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーンョン(United States Polo Association、全米ポロ協会)」の商標の著名性について何ら考慮が払われていないものである。

(4)さらに、本願商標を使用した商品はすでに市場に大量に販売されており、他のポロ関連商品と併存して販売されているものである。また、ポロ図形の商標は出願人以外にも多数の者によって使用されている。これらの商標は、商標登録を受けているものを多数含んでおり、いずれも類似しないものであり、互いに商品が出所混同を生ずる事態は現実に生じていない。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。

アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、スーツ、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」(「by Ralph Lauren」)の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている(別掲引用商標A及び引用商標B参照)。

そして、株式会社洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。

また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑'79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑'80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑'81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑'80年版」、「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」、「世界の一流品大図鑑'81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。

以上によれば、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する商標として遅くとも昭和55年頃までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。

(2)商品の出所の混同のおそれについて

本願商標は、別掲のとおり「us」及び「pa」の欧文字の中央に、該欧文字に比し一際大きく馬上にまたがってポロ競技をするごとき黒塗りの図形を配してなるものである。

一方、前認定の周知商標の一つである別掲引用商標も、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有するものである。

また、本願指定商品は引用商標に係る前記商品と同一か、ないしはともにファッションに関係する商品である。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る「Polo」及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形商標を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

(3)請求人(出願人)は、本願商標と同一の図形と、引用商標と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されてきたものであること、「ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーンョン(United States Polo Association、USPA全米ポロ協会)」の商標の著名性について何ら考慮が払われていないこと、他の「POLO」に関係する商標登録を受けている商標と引用商標とは類似しないものであり、互いに商品が出所混同を生ずる事態は現実に生じていない旨述べている。

しかし、「USPA全米ポロ協会」が我が国において著名であることや、他の「POLO」に関係する商標と引用商標とが現実に混同を生じていないと認めるに足りる証拠はない。また、本願商標と同一の図形と、引用商標と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されきたものであると述べているが、そのような例があるとしても、本願商標は前記認定判断のとおり、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。

(4)以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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