Trademark Appeal Case
「ホールディングス」の識別力と要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900204(T2017−900204/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5935586号商標(以下「本件商標」という。)は、「日本アイコムホールディングス」の文字を標準文字で表してなり、平成28年10月6日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同29年2月16日に登録査定され、同年3月24日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する商標は、次の(1)から(3)のとおりであり、審査係属中の(1)を除く(2)及び(3)については、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)商標登録出願2016−142807(以下「引用商標1」という。)は、「日本アイコム」の文字を標準文字で表してなり、平成28年6月22日に登録出願された商願2016−067786に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、同28年12月21日に登録出願されたものである。
(2)登録第5914487号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ICOM」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月30日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む第36類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同29年1月20日に設定登録されたものである。
(3)登録第5914488号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アイコム」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月30日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む第36類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同29年1月20日に設定登録されたものである。
以下、(1)から(3)をまとめて「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、引用商標2及び3との関係において商標法第4条第1項第11号に該当し、出願審査係属中である引用商標1が登録された場合、引用商標1との関係において同号に該当することになるものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第4号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「日本アイコムホールディングス」の文字を標準文字で表してなるところ、「ホールディングス」の語は、いわゆる持ち株会社を表す語として慣用されているものであることから、これを除外した称呼、観念も生じるものである。
よって、本件商標より、「ニホンアイコム」又は「ニッポンアイコム」の称呼も生じる。
また、本件商標から「ホールディングス」を除外した「日本アイコム」の部分は、前半部分が漢字、後半部分が片仮名により構成されていることから、「日本」の漢字部分と、「アイコム」の片仮名部分とが視覚上分離して看取されるものであり、さらに、全体として特定の意味合いを有する成語、熟語ではないことから、観念上においても、「日本」と「アイコム」は、別個独立して把握されるものである。
そして、「日本」の語は、我が国の国名であり、本件商標に係る指定役務の提供場所又は指定役務提供者の所在地を表示するものであることから、本件商標において識別力を有しない部分である。これに対し、「アイコム」の語は、造語であって、特定の観念を有しないものであり、さらには東証一部上場企業である申立人の周知、著名な商号の略称又は商標でもあることから、本件商標において最も強い識別力を有する部分である。
よって、本件商標より、「アイコム」の称呼も生じる。
(2)引用商標について
引用商標1は、「日本アイコム」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)のとおり、「ニホンアイコム」、「ニッポンアイコム」及び「アイコム」の称呼を生じる。
また、引用商標2及び3は、それぞれ「アイコム」、「ICOM」の文字を標準文字で表してなるものであるから、いずれも「アイコム」の称呼を生じる。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 称呼について
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標から「ニホンアイコム」、「ニッポンアイコム」及び「アイコム」の称呼が生じ、引用商標1から「ニホンアイコム」、「ニッポンアイコム」及び「アイコム」の称呼が生じ、引用商標2及び3から「アイコム」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼を共通にする類似の商標である。
イ 外観について
本件商標と引用商標1とを比較すると、本件商標は、その構成中に引用商標1「日本アイコム」を含むことから、両商標は、外観において類似する。
また、本件商標と引用商標2とを比較すると、本件商標は、その構成中に引用商標2「アイコム」を含むことから、両商標は、外観において類似する。
ウ 観念について
本件商標と引用商標とは、いずれも辞書等に記載のない造語であって特定の観念を生じないものであり、観念については、比較すべきところがない。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類似性
本件商標の指定役務中、「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」は、引用商標の指定役務中、「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」に抵触する。
(5)まとめ
以上から、本件商標は、引用商標と類似し、その指定役務も同一のものであるから、引用商標2及び3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当し、引用商標1が登録された場合、引用商標1との関係においても、同項同号に該当する。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「日本アイコムホールディングス」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ、同一の間隔でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「ニホンアイコムホールディングス」、「ニッポンアイコムホールディングス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標のかかる構成及び称呼においては、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「日本」の文字が我が国の国名を表し、「ホールディングス」の文字が会社の形態の一つを表し、中間に位置する「アイコム」の文字が一般の辞書類に掲載のない一種の造語であると理解するとしても、その外観上及び称呼上の一体性から、特定の文字部分のみに着目することなく、「日本アイコムホールディングス」の構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握するとみるのが自然である。
また、他に本件商標の構成中、「日本アイコム」又は「アイコム」の文字部分のみが殊更に分離、抽出され、独立して取引に資されるというべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ニホンアイコムホールディングス」、「ニッポンアイコムホールディングス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといえる。
なお、申立人は、「アイコム」の語は、東証一部上場企業である申立人の周知、著名な商号の略称又は商標でもあることから、本件商標において最も強い識別力を有する部分である旨主張しているが、本件登録異議の申立てに係る指定役務の分野において周知、著名であるとの主張や証拠の提出はなされておらず、そのような事情は認められない。
(2)引用商標について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「日本アイコム」の文字を標準文字で表してなるから、上記(1)と同様に、構成文字に相応して、「ニホンアイコム」、「ニッポンアイコム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「ICOM」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、既成の語として一般の辞書類に掲載のない造語と認められ、特定の意味を有する語として知られているものでもないから、これを称呼する場合には、我が国において親しまれた英語又はローマ字表記における発音に倣って称呼するというのが自然である。そうすると、引用商標2は、「アイコム」又は「イコム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
さらに、引用商標3は、前記2(3)のとおり、「アイコム」の文字を標準文字で表してなるから、その構成文字に相応して、「アイコム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1は、それぞれ、前記1及び前記2(1)のとおりの構成からなり、外観において「ホールディングス」の文字の有無、称呼において「ホールディングス」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、両商標は、外観上及び称呼上、相紛れるおそれはない。
また、観念においては、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
イ 本件商標と引用商標2との類否
本件商標と引用商標2は、それぞれ、前記1及び前記2(2)のとおりの構成からなり、構成文字が明らかに相違するから、外観上、相紛れるおそれはない。
つぎに、称呼においては、「ニホン」又は「ニッポン」及び「ホールディングス」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
ウ 本件商標と引用商標3との類否
本件商標と引用商標3は、それぞれ、前記1及び前記2(3)のとおりの構成からなり、外観において「日本」及び「ホールディングス」の文字の有無、称呼において「ニホン」又は「ニッポン」及び「ホールディングス」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、両商標は、外観上及び称呼上、相紛れるおそれはない。
また、観念においては、本件商標と引用商標3は、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
上記(3)イ及びウのとおり、本件商標と引用商標2及び3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(5)商標法第8条第1項該当性について
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、前記2(1)に記載の引用商標1を引用しているが、引用商標1は、本件商標の登録査定時はもとより、現在においても未登録であり、その申立ての根拠とする条項は、同法第8条第1項の誤りと認められるから、以下、同条項の該当性について判断する。
本件商標と引用商標1とは、上記(3)アのとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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