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Trademark Appeal Case

商標の混同と不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900168(T2017−900168/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5923379号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5923379号商標(以下「本件商標」という。)は、「オキサイド」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月29日に登録出願、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,建築用ガラス,建具(金属製のものを除く。)」を指定商品として、同29年1月19日に登録査定、同年2月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第43条の2の規定に該当し、その登録は同法第43条の3の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第15号該当性

申立人は、外装・内装用の大判タイルを専門に扱うイタリアの会社であり、日本をはじめ世界各国に販売している。申立人は、2011年に、日本における申立人の商品の輸入・販売の代理店であるローマタイル・ジャパン株式会社(以下「ローマタイル・ジャパン」という。)との間で取引を開始し、2012年11月には、日本において申立人の商品のカタログ(甲1のA)を発行し、その後、ほぼ年に一冊のペースでカタログを発行した。これらのカタログに掲載されている「OXIDE/オキサイド」の文字よりなる商標(以下「引用標章」という。)を使用したシリーズ商品(以下「申立人商品」という。)は申立人の主力商品である(なお、カタログの初版から第3版までは、「OXIDE」の英語表記のみであったが、第4版以降は、該英語表記に「オキサイド」の片仮名を併記した。)。そして、カタログの第2版以降に掲載された申立人商品を使用した具体的な施工事例は、関西圏・首都圏を中心に非常に多くの建物に及び、これらの施工事例のうち、日本有数の設計事務所や施工業者が行った事例も存在するから、引用標章は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、建築・設計業界の需要者・取引者の間に広く認識されていた。

このような状況下で、本件商標がその指定商品に含まれる建築用専用材料に使用された場合、該商品に接した需要者・取引者は、該商品が申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性

商標権者は、本件商標の出願前に、自社グループのウェブサイトにおいて、申立人商品を使用した施工事例を紹介した(甲8の1、2)。さらに、商標権者は、「タイル建材/大形・薄型セラミックス」との標題のあるカタログ(甲8の3)を作成し、その中で申立人商品名と同一の「OXIDE/オキサイド」なる商品を紹介している。

以上の事実を鑑みると、商標権者が、同様の商品を指定商品として、本件商標を出願したことは、すでに需要者・取引者の間で引用標章が申立人商品を表示するものとして広く認識されていることを承知の上で、引用標章が未だ登録されていないことを幸いにこれに便乗し不当に利益を得ようとするものであり、不正の目的があると考える。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用標章の著名性について

(ア)申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる(なお、甲号証において、枝番を有するもので、枝番のすべてを引用する場合は、以下、枝番の記載を省略する。)。

a.申立人は、外装・内装用の大判タイルを専門に扱うイタリアの会社であり、日本においては、申立人の総代理店であるローマタイル・ジャパンを介して申立人商品の販売を行っている。

b.ローマタイル・ジャパンは、日本において、「LAMINAM」との標題のあるカタログを発行した。当該カタログは、2012年(平成24年)11月頃に発行された初版から2016年(平成28年)6月に発行された第7版までのもので、これらには、引用標章が付された申立人商品が掲載され(初版から第3版までは、「OXIDE」と表示され、第4版以降は、「OXIDE」の表示に「オキサイド」の片仮名が併記されている。)、また、2013年(平成25年)4月頃に発行された第2版及びそれ以降のカタログには、申立人商品を用いた施工事例が掲載されている。申立人商品を用いた施工事例は、第2版から第7版までを合計すると、約100件弱であった(同一建築物で1箇所以上を施工した場合及び異なる版にそれぞれ同一の施工事例が掲載された場合は、いずれも1件とした。)。そして、これらの施工事例は、関西圏や首都圏を中心とした比較的大きな建築物におけるものであった(以上、甲1〜甲7)。なお、ローマタイル・ジャパンは、本件商標の登録査定日(平成29年1月19日)後である2017年(平成29年)6月にも申立人商品が掲載されたカタログを発行した(甲10)。

c.申立人商品の本件商標の登録査定日とほぼ同時期までの日本における売上実績は、以下のとおりである((a)は販売数量、(b)は売上金額である。甲17)。

2011年(平成23年)度は、(a)18枚、(b)72万円

2012年(平成24年)度は、(a)179枚、(b)716万円

2013年(平成25年)度は、(a)1,919枚、(b)7,676万円

2014年(平成26年)度は、(a)1,620枚、(b)7,290万円

2015年(平成27年)度は、(a)2,647枚、(b)1億1,911.5万円

2016年(平成28年)度は、(a)3,206枚、(b)1億4,427万円

(イ)前記(ア)で認定した事実によれば、申立人は、日本における申立人の総代理店であるローマタイル・ジャパンを介して、2011年(平成23年)頃から、日本において、引用標章を付した建築(外装・内装)用大判タイルを販売していたこと、ローマタイル・ジャパンは、申立人商品が掲載されたカタログを2012年(平成24年)11月頃から本件商標の登録査定日に至るまで継続して発行したこと、これらのカタログに掲載された申立人商品の施工事例(申立人商品の日本における販売開始から2016年(平成28年)6月ころ(甲7の発行日)まで)は、約100件弱であったことなどを認めることができる。しかし、タイル、特に大判タイルの施工事例が約5年間に、約100件弱という数字が、タイルの施工事例として多いのか少ないのか、他に比較するデータの提出がなく周知・著名性を認定する証拠としては不十分であるといわざるを得ないし、また、申立人商品の年間の販売枚数にしても同様であって、そもそも申立人商品の建築用タイル業界におけるシェアがどの程度であるのか明らかではない。さらに、申立人商品の掲載されたカタログは、その発行部数や頒布地域等も明らかではなく、申立人ないしローマタイル・ジャパンが、申立人商品の販売開始前後から本件商標の登録査定日に至るまでの間に、カタログの発行以外に、申立人商品の取引者・需要者に対し広く宣伝広告をした事実を認めるに足りる証拠はない。

なお、申立人は、引用標章が申立人商品を表示するものとして著名であることを立証するものとして、証明書(甲16)を提出するが、これらの証明書は、いずれも画一的な証明内容を、申立人と取引関係にあると推認することができる証明者が記名捺印したものと認められるにすぎないものであって、証明者が、証明内容について何を根拠に証明したのかは明らかではないし、また、そもそも証明内容を正確に理解した上で証明したものであるか疑問が残るといわざるを得ない。したがって、これらの証明書をもって引用標章が著名であることの根拠とすることはできない。

そうとすれば、引用標章は、申立人の業務に係る大判タイル(申立人商品)を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成28年7月29日)及び登録査定日の時点において、建築・設計業界においては言うに及ばず、建築専用材料を取り扱う分野といった比較的限定された範囲においても、その取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

イ 出所の混同のおそれについて

前記ア認定のとおり、引用標章は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、周知・著名性を獲得していたものと認めることはできない。

そうすると、たとえ、本件商標が引用商標と類似するとしても、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当である。

ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第19号について

ア 引用標章の周知性

前記(1)認定のとおり、引用標章は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、その種商品分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。また、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、引用標章が外国の取引者・需要者の間に広く認識されていたことを明らかにする証拠も見いだせない。

イ 不正の目的

申立人は、商標権者が本件商標を出願したことは、すでに需要者・取引者の間で引用標章が申立人商品を表示するものとして広く認識されていることを承知の上で、引用標章が未だ登録されていないことを幸いにこれに便乗し不当に利益を得ようとするものであり、不正の目的がある旨主張し、甲第8号証を提出する。そこで、甲第8号証について検討する。

(ア)甲第8号証には、以下の記載が認められる。

a.株式会社LIXIL(商標権者)を含む「LIXILグループ」のウェブサイト(掲載日は不明)には、「メルクマール京王笹塚/商業・レジデンスゾーン」及び「大手門タワー・JXビル/オフィスゾーン」に関する広告が掲載されているところ、これらの「DATA」欄には、前者の竣工が2015年(平成27年)3月、後者の竣工が2015年11月との記載があり、また、これらの「商品情報」欄には、前者のレジデンス部分のエントランス扉には「LAMINAM OXIDE OX−6」が、後者の内装壁陶板には「ラミナム OXIDE NERO OX−7」が、それぞれ使用されていることの記載がある(甲8の1、2)。

b.株式会社LIXIL(商標権者)の発行に係る「大形・薄型セラミックス/タイル建材 グラディオス」との標題のあるカタログの表紙には、「2017年4月発売予定/GRADIOS/大形・薄型セラミックス グラディオス」、「2017.1」などと記載されているところ、その「GRADIOS LINE UP」の項目(3枚目)には、他の商標が表示された商品とともに、「OXIDE(オキサイド)」と表示された商品が掲載されている(甲8の3)。

(イ)前記(ア)によれば、以下のとおり判断するのが相当である。

a.商標権者を含むLIXILグループは、「メルクマール京王笹塚」及び「大手門タワー・JXビル」に関し、業務上何らかの関与があり、これらの広告をしたものと考えられるところ、これらの広告に掲載された建築物の竣工は本件商標の登録出願前であることは認められるものの、当該広告がいつの時点で掲載されたのかは不明であり、そうである以上、商標権者が本件商標の登録出願日前より、引用標章の存在を知っていたということはできない。

b.株式会社LIXILの発行に係るカタログは、本件商標の登録査定日とほぼ同時期の2017年1月に作成されたものと認められるところからすると、商標権者は、本件商標が登録査定されたことを受けて、本件商標を使用した商品を含む商標権者の取扱いに係る商品のカタログを作成し、2017年4月に発売する予定であったとも考えることができるのであって、引用標章が申立人商品を表示するものとして日本国内又は外国の取引者・需要者の間に広く認識されていた商標とはいえないこと、「OXIDE/オキサイド」の語は、「酸化物」を意味する成語であって、造語に比べて、第三者が商標として採択する可能性は高いといえること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを併せ考慮すれば、当該カタログ(甲8の3)において、申立人商品と同一の「OXIDE/オキサイド」なる商品を紹介している事実があるとしても、これをもって、商標権者が不正の目的をもって本件商標を取得し使用をするものと直ちに認めることはできない。

(ウ)以上によれば、甲第8号証をもって、商標権者が不正の目的をもって本件商標を登録出願し、登録を得たとまでいうことは困難であるといわざるを得ない。その他、本件商標が商標法第4条第1項第19号にいう「不正の目的をもって使用する商標」に該当すると認めるに足りる証拠はない。

ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものと認めることはできない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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