Trademark Appeal Case
結合語の記述性と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第8473号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、標準文字による「Quickreview」の文字を表してなり、第35類「経営の診断及び指導」を指定役務として、平成9年7月7日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要点
本願商標は、指定役務との関係から「短期間の調査」の如き意味合いで用いられている「クイックレビュー」の英語と認められる「Quickreview」の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないから、これを本願指定役務について使用した場合は単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張の要点
(1) そもそも、「Quickreview」なる語は、「短期間の調査」を意味する語として特定の内容の役務を表すために一般に使用されているようなものではない。したがって、本願の指定役務との関係において、役務の具体的な質を示すものと認識されるようなことにはならない。
(2) 原審においては、特に具体的資料を示しているものではなく、中小企業庁、監査法人等が「クイックレビュー」なる語を使用しているというだけの理由で、本願商標が役務の質(内容)を表示することになると結論されているものである。しかし、商標として採択した語が何らかのかたちで表示されている場合には、すべて、商標としての識別性を持たないかのような解釈、取扱いは納得できない。
(3) 「Quickreview」は、請求人が、いわゆるデータウェアハウス事業の一環として提供する特定の役務あるいはシステムの商標として採択し、平成9年7月に発表した後、継続して使用しているものであり、仮に、この語が他に表示されているとすれば、この請求人の役務なりシステムの名称である「Quickreview」を指すものとして使用されているものと思われる。「Quickreview」なる語は、請求人が商標として前記ソフト等に使用しているものであることは、広く知られているのであるから、中小企業庁等が内容表示的な一般用語として使用されることがあるものとは考えられない。請求人は、原審における甲第7号証の刊行物でも「Quickreview」に「TM」表示をしていることからも分かるように、現に、請求人が商標として使用しているものであり、内容表示的に使用していることはない。
したがって、請求人の商標として立派に通用しており、本願商標の指定役務の取引者又は需要者が、「Quickreview」を内容表示としてみるということはない。
(4) 中小企業庁等の使用が本願拒絶の理由であるとすれば、その使用の態様等が何ら示されていないので、原審においては、拒絶理由を通知しないで拒絶されたに等しいし、また、仮に、何らかの使用があったとしても、特定の者が自社特有の商標として使用しているものを、その出願日以後にたまたま他社が何らかの用語として表示していることを挙げて、その商標が指定役務について識別性がなくなっているかのようにいわれていることになり、原審の判断は、とても納得できるものではない。
(5) 請求人は、本願商標の出願と同日に、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」などの役務を指定して、「Quickreview」を出願しているが、すでに登録第4237777号として登録を認められている(甲第2号証)。「Quickreview」が本願の指定役務との関係において、これと別異の解釈となるほどの語とは思われない。
(6) したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
4 当審の判断
本願商標は上記のとおりの構成からなるところ、その構成中の「Qick」の文字は「早い、短時間の、すばやい」等の、「review」の文字は「再調査、評論、検査」等のそれぞれ意味を有する英語であり、いずれも比較的親しまれた語であるから、本願商標は、この両語を結合したものと容易に理解し認識され、全体として「短時間の調査」の如き意味合いを認識せしめるものというのが相当である。
ところで、本願の指定役務との関係において「Quickreview」ないしは「クイックレビュー」の語が使用されているかどうかに関し、当審において職権により証拠調べを行ったところ、本願の指定役務に係る業務を行う次の者のインターネット、ホームページには、経営診断、財務評価等の項目において「クイックレビュー」の語が用いられていることを発見したので、これを請求人に通知し、期間を指定して意見を提出する機会を与えたが請求人からは何ら応答がない。
・太田昭和監査法人
http://www.otashowa.or.jp/japanese/gyoumu/koukai 2.htm
・中央監査法人京都事務所
http://www.chuo.or.jp/kyoto/index.html
・ジャストネットコミニュケーションズ株式会社
http://www.jusnet.com/consultant/top.htm
・さくら綜合事務所
http://www.venture-web.or.jp/sakura/tax.html
・中小企業庁指導部指導課
http://www.sme.ne.jp/sesaku/advice/adv09.html
・モーリング&カンパニー公認会計士事務所
http://www2.dango.ne.jp/okataxac/taxnews.html
しかして、上記者のホームページには、例えば、「太田昭和監査法人」では、「企業診断(クイックレビュー、予備調査)」の項目において、「会社のニーズ・規模に応じ、最低2〜3日程度の簡単な調査から、40日〜50日程度の詳細なものまで多種多様に対応します。」と、「中央監査法人京都事務所」では、「クイックレビュー」の項目において、「現在経営は、ある意味では時間との戦いです。投資や株式公開について短期間のうちに調査を行い、戦略的に活用したいという企業のために”クイックレビューサービス”を行っています。」と、「ジャストネットコミニュケーションズ株式会社」では、「経営診断(クイックレビュー)」の項目において、「事業における現状の経営資源を評価するとともに、今後の事業成長のための戦略行動提案を行う短期調査。」と、「さくら綜合事務所」では、「合併比率や株式の評価、株式公開を念頭に置いたクイックレビュー、資本計画」等の表題の下に、「原則としてプロジェクトチームを組織して、法律・会計・税務・評価の各視点から総合的かつ具体的なアドバイスを行い、結果的にクライアントに最も有利な提案を致します。」と、「中小企業庁指導部指導課」では、「ベンチャー企業出資受入支援事業」の項目で、「ベンチャー企業が、投資育成会社やベンチャーキャピタル等から....公認会計士等による当該企業の財務諸表整備及び財務評価(ショートレビュー、クイックレビュー)を行う場合に、....」と、それぞれ記述されていることが認められる。
また、請求人の提出に係る甲第1号証の1ないし3及び原審において提出された甲第7ないし第11号証によれば、請求人は、社内外のデータベースから必要な情報を抽出し、利用目的に合わせて再編成するデータウェアハウス(データ倉庫)事業を展開し、その手法の一つに「Quickreview」を用意していることが認められる。
以上の事実によれば、請求人がデータウェアハウス事業において「Quickreview」の商標を使用していることが認められるとしても、本願の指定役務の分野においては、経営診断、財務評価等の役務の提供の手段の一つとして短期間の調査が行われており、それを端的に表すものとして「クイックレビュー」の語が普通に使用されているといわざるを得ない。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は単に該役務の質、内容を表示したものと認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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