Trademark Appeal Case
H型図形商標の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−9885(T2017−9885/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第9類「スマートフォン用のケース」を指定商品として,平成28年6月30日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5713399号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成26年4月7日登録出願,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲3)を指定商品として,同年10月24日に設定登録され,現に有効に存続している。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,上端部と下端部が外側に突起した二本の灰色の縦長太線の間に,内側に二本の白抜き線を表した灰色の横長太線を,これら縦長太線の中央に食い込む又は重なるようにH状に配した構成からなる図形商標であり,当該図形からは,特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,上端部と下端部が外側に突起した二本の黒色の縦長太線の間に,黒色の横長太線を,これら縦長太線の中央に食い込む又は重なるようにH状に配した構成からなる図形商標であり,当該図形からは,特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標とを対比すると,外観においては,両商標は,上端部と下端部が外側に突起した二本の縦長太線の間に,横長太線が,これら縦長太線の中央に食い込む又は重なるようにH状に配されている点,これら全体の構成が欧文字「H」を横長にした印象を与える点において構成上の特徴が一致しており,図形の外輪郭において酷似するものである。また,両商標の相違点は,太線の色(灰色と黒色)及び横長太線中の二本の白抜き線の有無である。そして,相違点についてみるに,灰色と黒色は共に無彩色であって顕著な差異はないこと,さらに,当該二本の白抜き線が横長太線の内側に平行して表されているという単純な構成であることを併せ考慮すると,取引者,需要者に対し,これら相違点が,外観上の差違として強い印象を与えるとはいえない。してみると,本願商標と引用商標とを離隔的に観察した場合,両商標は,外観上,相紛れるおそれがあるというのが相当である。
そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(4)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標に設けられた二本の溝は,商標の構成中で最も注目されやすい中央部分においてその上下両脇の着色部(平行に伸びる横線)と同程度の太さではっきりと表されており,視覚的に強い印象を与えるものであり,引用商標との構成の違いは極めて顕著であるから,両商標は相紛らわしいほど外観が類似するとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記(3)で述べたとおり,本願商標と引用商標は,上端部と下端部が外側に突起した二本の縦長太線の間に,横長太線が,これら縦長太線の中央に食い込む又は重なるようにH状に配されている点,これら全体の構成が欧文字「H」を横長にした印象を与える点において構成上の特徴が一致し,図形の外輪郭において酷似する一方,請求人の主張する本願商標の構成中の二本の白抜き線は,横長太線の内側に平行して表されているという単純な構成であることからすれば,当該白抜き線が外観上の差違として強い印象を与えるとはいえず,両商標は,外観上,相紛れるおそれがあるというべきである。
イ 請求人は,引用商標は欧文字「H」を当然に連想させる形状であるのに対し,本願商標の中央部分は漢字の「日」のようにも見え,単なる横線と認識されるものではないから,本願商標は欧文字「H」を当然に連想させる形状とまではいえず,引用商標から生じる「エイチ(エッチ)」の称呼及び「欧文字『H』」の観念は,本願商標から当然に生じ得るとはいい難い旨主張する。
しかしながら,引用商標は,上記(2)で述べたとおりの構成よりなるところ,全体の構成が欧文字「H」を横長にした印象を与えることがあるとしても,両商標の横長太線部分は縦長太線の中央に食い込む又は重なるように分離した構成要素として描かれていること及び文字と認識するには横長すぎる形状であることから,これに接した需要者が必ずしも引用商標を欧文字「H」と認識するとはいえず,一種の幾何図形と認識するというのが相当であり,これより,引用商標からは称呼及び観念は生じないというべきである。
そして,本願商標については,上記(1)で述べたとおりの構成よりなり,上記(3)で述べたとおり,引用商標と構成上の特徴が一致し,図形の外輪郭において酷似する点に加え,横長太線部分の内側に平行した二本の白抜き線があることから,これに接した需要者は一種の幾何図形と認識するというのが相当であり,これより,本願商標からは称呼及び観念は生じないというべきである。
したがって,本願商標と引用商標とは,称呼及び観念によって区別することはできないというのが相当である。
ウ 請求人は,本願商標の指定商品の主な需要者層は,スマートフォンの使用率の高い学生,社会人,主婦といった識別能力の比較的高い層であり,この点からも,出所混同は考え難い旨主張する。
しかしながら,請求人の主張を裏付ける証拠の提出はなく,独自の見解といわざるを得ない。
エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(6)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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