sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標の類否と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2016−890047(T2016−890047/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5430912号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5430912号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成23年3月2日登録出願,第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として,同年7月12日に登録査定,同年8月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が,本件商標の登録の無効の理由について,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するとして引用する商標は,以下の登録商標(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であって,引用商標1ないし23は,いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第2671514号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成6年6月29日

指定商品 :

第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」

第25類「履物」

2 登録第2693722号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成6年8月31日

指定商品 :

第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,レコード」

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

3 登録第2609079号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:昭和49年12月26日

設定登録日:平成5年12月24日

指定商品 :

第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」

第25類「履物」

4 登録第1587778号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:昭和49年12月26日

設定登録日:昭和58年5月26日

指定商品 :

第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,レコード」

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

5 登録第1423465号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:昭和49年12月26日

設定登録日:昭和55年6月27日

指定商品 :第25類「被服」

6 登録第2704525号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の構成:別掲4のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成7年2月28日

指定商品 :

第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」

第25類「履物」

第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」

7 登録第2693723号商標(以下「引用商標7」という。)

商標の構成:別掲4のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成6年8月31日

指定商品 :

第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,レコード」

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

8 登録第2693724号商標(以下「引用商標8」という。)

商標の構成:別掲5のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成6年8月31日

指定商品 :

第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,レコード」

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

9 登録第2671515号商標(以下「引用商標9」という。)

商標の構成:別掲5のとおり

登録出願日:昭和61年2月7日

設定登録日:平成6年6月29日

指定商品 :

第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」

第25類「履物」

10 登録第2708505号商標(以下「引用商標10」という。)

商標の構成:別掲6のとおり

登録出願日:平成2年11月8日

設定登録日:平成7年7月31日

指定商品 :

第9類「ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,レコード」

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

11 登録第2593080号商標(以下「引用商標11」という。)

商標の構成:別掲6のとおり

登録出願日:平成2年11月8日

設定登録日:平成5年10月29日

指定商品 :

第25類「履物」

第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」

12 登録第4025668号商標(以下「引用商標12」という。)

商標の構成:別掲6のとおり

登録出願日:平成2年11月8日

設定登録日:平成9年7月11日

指定商品 :

第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」

第25類「被服」

13 登録第4180654号商標(以下「引用商標13」という。)

商標の構成:別掲6のとおり

登録出願日:平成2年11月8日

設定登録日:平成10年8月21日

指定商品 :

第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」

第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」

第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」

14 登録第4376378号商標(以下「引用商標14」という。)

商標の構成:別掲7のとおり

登録出願日:平成10年6月26日

設定登録日:平成12年4月14日

指定商品 :第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」

15 登録第4378318号商標(以下「引用商標15」という。)

商標の構成:別掲7のとおり

登録出願日:平成10年6月26日

設定登録日:平成12年4月21日

指定商品 :第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」

16 登録第4376377号商標(以下「引用商標16」という。)

商標の構成:別掲7のとおり

登録出願日:平成10年6月26日

設定登録日:平成12年4月14日

指定商品 :第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」

17 登録第5645150号商標(以下「引用商標17」という。)

商標の構成:別掲8のとおり

登録出願日:平成24年8月10日

設定登録日:平成26年1月24日

指定商品 :

第25類「履物,野球帽子,帽子,被服,野球靴,運動用特殊靴,野球用ユニフォーム,運動用特殊衣服」

第28類「野球用グローブ及びその他の野球用具,運動用具」

18 登録第2528490号商標(以下「引用商標18」という。)

商標の構成:別掲9のとおり

登録出願日:平成2年12月14日

設定登録日:平成5年4月28日

指定商品 :

第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布」

第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」

19 登録第2160863号商標(以下「引用商標19」という。)

商標の構成:THE BRAND WITH THE 3 STRIPES

登録出願日:昭和62年5月29日

設定登録日:平成元年8月31日

指定商品 :

第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,仮装用衣服」

第28類「運動用具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」

20 登録第2190105号商標(以下「引用商標20」という。)

商標の構成:THE BRAND WITH THE 3 STRIPES

登録出願日:昭和62年5月29日

設定登録日:平成元年11月28日

指定商品 :第25類「履物」

21 登録第2147023号商標(以下「引用商標21」という。)

商標の構成:THE BRAND WITH THE 3 STRIPES

登録出願日:昭和62年5月29日

設定登録日:平成元年6月23日

指定商品 :第25類「被服」

22 登録第2199877号商標(以下「引用商標22」という。)

商標の構成:THE BRAND WITH THE 3 STRIPES

登録出願日:昭和62年5月29日

設定登録日:平成元年12月25日

指定商品 :第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」

23 登録第4522864号商標(以下「引用商標23」という。)

商標の構成:別掲10のとおり (立体商標)

登録出願日:平成12年4月6日

設定登録日:平成13年11月16日

指定商品 :第25類「運動靴,ウォーキングシューズ,サッカー靴,バスケットボール靴,野球靴,テニス靴,陸上競技用靴,ランニングシューズ,ゴルフ靴,ラグビー靴,体操用靴,バレーボール靴,ハンドボール靴,登山靴,トレッキングシューズ,トレーニングシューズ」

24 請求人の現実の使用に係る3本線商標(以下,これらを総称して「引用商標24」という。)

商標の構成:甲27〜52,54〜64,83,84,96〜112,115〜121,134〜139に掲載の各種スポーツシューズに使用されているとおりの構成からなる商標

使用商品:スポーツシューズ

第3 請求人の主張

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第139号証(枝番を含む。)を提出した。

1 利害関係

請求人は,世界的に有名なスポーツ用品メーカーであり,請求人が登録を所有する3本の台形様図形等を並べた構成からなる商標(以下「3本線商標」ということがある。)を自己の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として60年以上にわたり現在まで継続使用している。本件商標は,請求人が3本線商標を長年使用し著名性を獲得しているスポーツシューズ等と同一又は類似の商品に使用されるものであり,当該商品に本件商標が付された場合,「3本線」を基調とする商標として看取され,請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがあり,また,請求人の商品出所識別標識として広く認識されている3本線商標を容易に想起連想させる本件商標の使用は,その顧客吸引力にフリーライドし,3本線商標の出所表示力を稀釈化するものといわざるを得ない。

よって,請求人は,本件商標の登録無効審判の請求について,利害関係を有する。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標(3本線商標)の著名性

ア 請求人の沿革及び3本線商標の歴史

請求人は,ドイツ国を本拠とする著名なスポーツ用品メーカーであって,請求人の歴史は,その創業者のアディ・ダスラーが1920年にスポーツシューズを開発したことに始まり,同社の製造販売に係るスポーツシューズは,1928年,1932年,1936年にそれぞれ開催されたオリンピック競技会で活躍したメダリスト達がアディダス製シューズを着用していたことで知名度を上げた。引用商標の構成に共通する「3本線」(スリーストライプス)をアディダス製品の商標として使用を開始したのは,1949年であり,請求人は,3本線をスポーツシューズの甲の側面にサイドラインとして付したデザインを採用し,これ以降,3本線商標は,今日まで60年を超える長期にわたり継続して請求人の業務に係る商品及び役務の識別標識として世界各国で使用され,需要者の間で広く認識されるに至っている。

イ 「3本線」に関する広告活動

請求人は,3本線から構成される商標が請求人の業務に係る商品の出所識別標識であるという認識を需要者に広く深く浸透させるための広告宣伝活動にも力を注いだ。例えば,引用商標19〜22として示すとおり,「3本線付きのブランド」の意味に相応する「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の英文字についても,請求人の取扱いに係る各種のスポーツ及びファッション関連の商品を指定商品として,商標登録を取得している。

また,請求人は,需要者の間で広く認知されている「3本線=アディダス」というイメージの保持と徹底を図るべく,「3本線」又は「スリーストライプス(Three Stripes)」とのフレーズを自己の業務に係る商品と常に結びつけた形で商品カタログや広告等に使用した。すなわち,少なくとも1989年から1996年までの7年間,アディダスの商品カタログの裏表紙や雑誌掲載広告には,引用商標1,2,11〜13等に示す3本線の図形とともに,「3本線はアディダスの登録商標です」なる表示が継続的に記載された。

雑誌掲載広告(甲57)では,「ハイテクを秘めた3本線」及び「勝利を呼ぶ3本線」とのフレーズを,商品カタログ(甲62)では「勝利をめざす三本線/スリーストライプス」とのフレーズを用いて,アディダス製品の広告宣伝を行った。

ウ 日本における営業活動及び3本線商標の使用実績

我が国におけるアディダス製品の営業活動は,遅くとも1971年頃,当時アディダスの商標の日本における使用権者であった株式会社デサントを通じて開始された。これ以降1998年までは株式会社デサント(途中,兼松スポーツ用品株式会社を含む。)を通じて,アディダス製のポロシャツ,ティーシャツ,スウェットスーツ,帽子等の被服,運動靴,サンダル等の履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,ベルト,かばん類,布製身回品等が日本で販売され,これらの商品及びその広告に3本線商標が使用された。

1999年1月から現在に至るまでは,請求人の子会社として設立された日本法人のアディダスジャパン株式会社によって,アディダス製品の販売が継続され,ハウスマーク及び各種取扱い製品に3本線商標が使用されている。

エ 靴における3本線商標の使用態様

請求人の製造販売に係るスポーツシューズにおける3本線商標の使用態様は,1949年に請求人が初めて3本線をスポーツシューズの商標として使用したときから,60年以上経過した今日でも本質的に変わっていない。1949年から間もない時期に製造された請求人の複数のスポーツシューズ,1971年に日本で販売が開始された当時の請求人のスポーツシューズにも,3本線商標が甲の側面に付されている。これ以後,様々な時期に発売された様々な種類の請求人のスポーツシューズの大多数には,3本線から構成される商標が,靴の甲の側面の,靴底とアイレットステイ(靴紐を通す穴が設置される部分)を結ぶ位置にサイドラインとして表示されている。

オ 3本線を甲の側面に付した靴の立体商標の登録

上記のとおりの長期間にわたる大規模な使用によって,サイドラインとして靴の甲の側面に付された3本線は,請求人の製造販売に係る商品の出所を表示するものとして需要者の間で広く認識されるに至っている。すなわち,請求人は,引用商標23に示すとおり,3本線を甲の側面に付した靴の立体形状からなる立体商標を商標登録している。

また,請求人は,諸外国でも引用商標23に対応する立体商標について商標登録を取得し,世界各国における商標登録の事実に照らしても,請求人が使用する3本線商標が請求人の商品出所表示として日本を含む世界の多くの国々で使用され,広く知られていることが明らかである。

カ 審決等による請求人の使用に係る3本線商標の著名性の認定

判決(平成23年(行ケ)第10326号。甲95)では,「我が国において運動靴の取引者,需要者に3本線商標ないしスリーストライプス商標といえばアディダス商品を想起するに至る程度にアディダスの運動靴を表示するものとして著名であったものと認められる」と認定したように,その著名性の程度は極めて高いというべきである。

さらに,審決等(甲85〜87,94,95)において,スポーツシューズ等の靴を取り扱う業界では,商品の地色によって商標部分に色彩を施したり,色彩を変更したりすること,商標を靴の側面に付すことが多く行われていること,また,そのような態様で付された商標は,商標の上下両端部の構成が視認しにくくなり,当該商品の需要者は一般の消費者であってその注意力の程度は必ずしも高いとはいえないなどの取引の実情,通常の需要者の注意力の程度などを総合参酌すると,件外4本線商標が「履物,運動用特殊靴」等に使用された場合は,これに接した取引者,需要者は,請求人の使用に係る3本線商標を想起,連想し,当該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品と誤認し,その出所について混同を生ずるおそれがあり,商標法第4条第1項第15号に該当すると判断している。

キ 以上の事実に照らせば,請求人の登録及び使用に係る3本線商標(引用商標)は,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,本件商標の指定商品を取り扱う取引者,需要者の間で請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。

(2)本件商標の構成

本件商標は,仮想垂直線に対して左方向にやや傾け,ほぼ同幅で長さが異なる黒塗りの細長の長方形5つを,そのうち長さが最も長いものを中央に配置し,その両側にそれぞれ各2つを,当該長方形の幅とほぼ同幅の間隔をもって配置し,当該左端及び右端の各2つの長方形はそれぞれの向かい合う二辺のうち長さの長い二辺が同一線上,短い二辺が互いに平行に向き合うよう間に僅かなスペースを置いて配置したものである。

(3)引用商標(3本線商標)の構成

引用商標1〜23は,請求人の登録に係る3本線商標であり,引用商標24は請求人の現実の使用に係る3本線商標であり,それぞれ,以下に詳述するとおりの構成を有するものである。これらの引用商標はその細部のデザインは異なるものであるが,いずれも3本のストライプを基本的構成とするものである。

ア 引用商標1〜23

引用商標1及び2の構成中の図形部分は,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾けた黒塗りの細長の台形様図形を,当該台形様図形の幅よりもやや狭い間隔をもって3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くした図形よりなるものである。

引用商標3〜6の構成中の図形部分及び引用商標7〜10は,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾けた黒塗り細長の台形様図形を,当該台形様図形の幅の3分の1程度の間隔をもって3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くした図形よりなるものである。

引用商標11〜13は,仮想垂直線に対し,左方向にわずかに傾け,左右の縦線を波形あるいはくさび形の輪郭線で描いた細長の台形様図形を,当該台形様図形の幅とほぼ同じ間隔をもって3本並べ,わずかな差異ではあるが,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くした図形よりなるものである。

引用商標14及び15並びに引用商標16及び17の構成中の図形部分は,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾け,左右の縦線が波形あるいはくさび形の黒塗りの細長の長さが均等な長方形を,当該長方形の幅の3分の1程度の間隔をもって3本並べた図形よりなるものである。

引用商標18は,仮想垂直線に対し,右方向に傾けた輪郭線で描いた細長の台形様図形を互いに平行に狭い間隔をもって3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も長くし,右方向に向かって順次短くしていき,右端に位置するものを最も短くした図形よりなるものである。

引用商標19〜22は,「3本線付きのブランド」を意味する英文字「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」からなる文字商標である。

引用商標23(靴の形状の立体商標)の構成中の靴の側面に描かれた図形部分は,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾けた黒塗りの細長の台形様図形を,当該台形様図形の幅よりやや狭い間隔をもって3本並べ,そのうちの左端に位置するものを最も短くし,右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを最も長くした図形よりなるものである。

イ 引用商標24

引用商標24は,請求人がスポーツシューズ等に実際に使用している3本線商標であり,その構成は,請求人の商品カタログ及びアディダスオンラインショップに掲載の各種スポーツシューズ等に示すとおり(甲27〜52,54〜64,83,84,96〜112,115〜121,134〜139)であり,その具体的構成には,時代変遷や業界の流行に応じて細部のデザインを変更しながら,多種多様な構成が今日まで継続使用されている。

請求人の使用に係る3本線商標は,請求人の登録に係る3本線商標の構成態様に限定されるものではなく,3本線を構成する長方形または台形様図形(以下「ストライプ」ということがある。)について,長短の差の大小,ストライプとその間隔の幅の広狭,傾斜角度の大小,輪郭線の形状(鋸の歯状,直線),配置方法(平行,非平行),ストライプに施された模様(ステッチの模様,パンチングの模様等),ストライプの着色方法,ストライプの構成などの点で異なる数多くのバリエーションが存在する。

引用商標24として示す請求人の現実の使用に係る3本線商標の構成には多種多様なデザインが採択されており,請求人の登録に係る3本線商標の構成と異なるものも数多く存在する。また,請求人のシューズにおいて3本線商標と靴の地色及び周辺パーツ等がどのように配色されて表示されているかについては,請求人の使用に係る3本線商標の構成のバリエーションを考察しなければ把握することはできない。

したがって,本件商標がその指定商品に使用された場合に請求人の業務に係る商品と出所混同を生じるおそれがあるか否かの判断においては,請求人の登録に係る3本線商標のみならず,請求人の現実の使用に係る3本線商標の各構成が十分に参酌されなければならないことが明らかである。

(4)本件商標は3本線を基調とする商標の一類型として看取される

本件商標は,請求人が引用商標(3本線商標)を長年使用しているスポーツシューズ等と同一又は類似の商品(靴類)に使用されるものであること,当該商品分野における引用商標(3本線商標)の著名性の程度が極めて高いものであることに加えて,請求人の使用に係る3本線商標の使用態様及びその具体的構成の多様性,本件商標が使用される指定商品の取引の実情,さらには当該商品の通常の需要者の注意力の程度を総合的に考察すれば,本件商標が使用された場合は,仮想垂直線に対して傾斜させた略等しい長さのストライプ3本を等間隔で互いに平行に並べた四角形様の外形の図形の印象が際立ち,請求人の使用に係る3本線を基調とする商標の一類型として看取されるというべきである。以下,この点について詳述する。

ア 請求人による3本線商標の使用態様

請求人は,過去60年以上の長期にわたり,3本線商標を靴の甲の側面にサイドラインとして付す態様で使用している。また,請求人の靴の甲の側面に付された3本線商標(引用商標24)の具体的構成には,使用時期や製品によって,ストライプの長短の差,幅,間隔の広狭,傾斜角度,輪郭線の形状,配置方法,ステッチの模様の有無,ハンチングの模様の有無,ストライプの着色方法,ストライプの構成に関して細部のデザインが異なる様々なバリエーションが存在する。

イ 本件商標の指定商品及びその取引の実情

本件商標の指定商品は,請求人が3本線商標を長年継続して使用しているスポーツシューズ等の靴類と同一又は類似のものであることが明らかである。

本件商標の指定商品を取り扱う業界では,靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用され,また,商品の地色等と商標部分を様々な異なる色の組合せで配色することも一般的に行われている。この点について,特許庁の審決は,商品(靴)の地色により,色彩を施したり,色彩を変更することが一般に行われており,色彩によっては,商標の構成の細部が明確に看取されない場合もあると認定している(甲94)。このような取引の実情に照らして,本件商標を考察すれば,以下の事柄が明らかである。

本件商標の構成中の5つの長短の長方形は,すべてが略同幅であり,仮想垂直線に対して傾けて等間隔で互いに平行に配置され,全体で四角形様の外形を形成している。

さらに,左端及び右端の各2つの短い長方形は若干の間隔(余白部分)を置いて同一線上に配置されている。この余白部分の長さは各長方形の長さに比べて極めて短く,わずかな面積を占めているにすぎない。すなわち,左端の上下2つの長方形とその間の余白部分の長さを比較すると,上の長方形が約4.6倍,下の長方形が4.2倍も余白部分より長い。右端の上下2つの長方形とその間の余白部分の長さを比較すると,上の長方形が約2.4倍,下の長方形が約5倍も余白部分より長い。

上記のとおりの構成の本件商標が靴の甲の側面に表示された場合,左端及び右端に配置された各2つの短い長方形及びその間の余白部分は,ストライプに施されたデザインの一類型として認識されるにとどまり,本件商標は,(ア)3本の略等しい長さのストライプのうち,左端及び右端のストライプが2つの長方形パーツを並べて形成されているデザイン,あるいは(イ)3本の略等しい長さのストライプのうち,左端及び右端のストライプが中央付近に細い切れ目(スリット)を有するデザインとして看取されるというべきである。

したがって,請求人の登録に係る3本線商標が長方形又は台形様図形を3つ並べて構成されているのに対して,本件商標が長方形を5つ並べて構成されている点は,本件商標の指定商品の取引の実情を参酌し,本件商標が靴の甲の側面に表示された場合を想定すれば,当該商品の出所について誤認混同を生じるおそれを払拭できる程度に大きな相違点といえないことが明らかである。また,本件商標が5つの長方形から構成されていることは,請求人の使用に係る3本線商標との相違点には当たらないことにも留意すべきである。

このように,本件商標の指定商品の取引の実情に加えて,請求人の使用に係る3本線商標の構成に多様なバリエーションが存在すること,また,当該バリエーションの中には本件商標の構成と酷似するデザインが実際に採択されていることを参酌すれば,本件商標が5つの細長い長方形を並べて構成されている点は,出所識別標識として格別に強く需要者を印象づけるものではなく,請求人の使用に係る3本線商標と異なる出所を表す標識として機能し得ないことが明らかであるから,本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いというべきである。

本件商標の指定商品の最終的な需要者は,老若男女を含む一般家庭の消費者である。また,本件商標の指定商品は,その用途,価格,使用環境や洗浄等による消耗・劣化等の可能性が高いことから,長期間にわたり最初に購入したものを使用継続するものというよりは,比較的短期間で買い替えるものといえるから,本件商標の指定商品の通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。

したがって,本件商標は,請求人の使用に係る3本線商標のデザインの多様なバリエーションの一つとして認識理解される可能性が極めて高い。

以上の事柄を総合的に勘案すれば,本件商標がその指定商品に使用された場合,これに接した取引者,需要者は,スポーツシューズ等に長年使用されて広く認識されている請求人の3本線商標を直観し,本件商標を請求人の使用に係る3本線を基調とする商標の一類型として認識し,当該商品が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的関連を有する者の業務に係る商品であると誤信し,出所の混同を生じるおそれがあることが明らかである。

また,商標法第4条第1項第15号は,他人の業務に係る商品と誤信され出所混同を生ずることの防止にとどまらず,他人の著名商標に化体した信用,顧客吸引力へのフリーライド,その出所表示機能の希釈化(ダイリューション)を防止する趣旨も含むものと解される(東京高裁平成16年10月20日判決,平成16年(行ケ)第85号)。本件商標がその指定商品に使用された場合は,「3本のストライプ」「3本線」を基調とする商標として看取され,請求人の商品出所識別標識として極めて著名な3本線商標と請求人会社を見る者に直観させることが明らかである。しかも,本件商標は,請求人が3本線商標を長年使用して世界的な名声を獲得しているスポーツシューズ等の靴類と同一又は類似の商品に使用されるものである。

したがって,被請求人による本件商標の使用は,請求人の商品出所識別標識として広く認識されている3本線商標の信用力,名声及び顧客吸引力にフリーライドせんとするものといわざるを得ない。また,被請求人による本件商標の登録及び使用により,請求人の3本線商標の出所表示機能が希釈されることは明らかである。

(5)小括

以上のとおり,本件商標が指定商品に使用された場合は,請求人又はこれと経済的若しくは組織的関係を有する者の業務に係る商品と誤信され,その出所について混同を生ずるおそれがあることが明らかである。

また,本件商標を指定商品に使用する行為は,請求人の商品出所識別標識として広く認識されている引用商標の顧客吸引力にフリーライドするものと言わざるを得ず,そのような使用によって,引用商標の出所表示機能が希釈化することは明白である。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 商標法第4条第1項第7号について

先に詳述したとおり,指定商品に使用された本件商標に接した者は,請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されている3本線商標を直観し,本件商標を請求人の使用に係る3本線を基調とする商標の一類型として認識する。本件商標が使用される指定商品は,請求人が3本線商標を長年使用しているスポーツシューズ等と同一又は類似のものであるから,本件商標は,請求人の商品出所表示として世界的に著名な3本線商標の信用力,顧客吸引力にフリーライドする不正な目的で採択使用されたものと推認せざるを得ない。

また,本件商標が指定商品に使用された場合,請求人の長年の企業努力及び宣伝活動によって,その業務に係る商品を表示するものとして周知著名に至っている3本線商標の出所表示機能が稀釈化され,請求人に経済的および精神的損害を与えることは疑いない。

したがって,本件商標は,公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の目的,社会一般道徳及び国際信義に反するものと言わざるを得ず,公の秩序を害するおそれがあるというべきである。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 結語

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は,請求人の主張に対して何ら答弁していない。

第5 当審の判断

1 利害関係の有無について

上記第3の請求人の主張によれば,請求人は,本件審判を請求するにつき,利害関係を有する者であると認められる(上記第4のとおり,被請求人も争っていない。)。よって,以下,本案に入って審理する。

2 引用商標(3本線を基調とする商標)の著名性について

証拠(甲26〜121)及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)請求人は,ドイツ連邦共和国ヘルツオーゲンアウラッハを本拠とするスポーツ用品メーカーである。

請求人は,昭和24年(1949年),別掲5のような3本線を基調とする商標(以下,細部のデザインの相違を捨象した3本線を基調とする商標を「スリーストライプス商標」という。)を採用し,これを甲の両側面にサイドラインとして付したデザインの運動靴の製造,販売を開始した。

以降,請求人は,スリーストライプス商標を,甲の側面に付したデザインの運動靴の製造,販売を継続し,スリーストライプス商標を付した請求人の運動靴は,昭和27年(1952年)の第15回オリンピック大会(ヘルシンキ大会)では西ドイツ代表選手により使用され,その後も,多くのオリンピック大会,サッカーのワールドカップ大会,テニスの国際大会等において,各国の代表選手らによって使用され,このことは,スリーストライプス商標を付した運動靴の写真とともに,請求人のカタログ,雑誌広告,スポーツ紙等において紹介された。

請求人は,平成元年から平成8年頃まで,請求人の商品カタログの裏表紙や雑誌掲載広告において,スリーストライプス商標とともに,「3本線はアディダスの登録商標です」(甲35),「ハイテクを秘めた3本線」(甲57),「勝利を呼ぶ3本線」(甲57),「勝利をめざす三本線・・・スリーストライプス」(甲62)との宣伝文句を用いた広告を行った。

我が国における請求人の営業活動は,遅くとも昭和46年(1971年)頃に使用権者であった株式会社デサントによって開始され,平成11年(1999年)から現在に至るまでは,請求人の日本法人であるアディダスジャパン株式会社によってアディダス製運動靴の販売が継続され,スリーストライプス商標が使用されている。

請求人の製造,販売に係る運動靴におけるスリーストライプス商標の使用態様は,昭和24年(1949年)から現在まで,いずれも靴の甲の両側面の靴底とアイレットステイ(靴紐を通す穴が設置される部分)を結ぶ位置にサイドラインとして付されている。そして,請求人が運動靴の甲の両側面に付したスリーストライプス商標の具体的な構成には,使用時期や製品によって,ストライプの長短,幅,間隔,傾斜角度,輪郭線の形状等,細部のデザインが異なる様々なものが存在する。

(2)取引の実情

証拠(甲26〜64,83,84,88,96〜112,115,116,120,121)によれば,(a)請求人の運動靴においては,靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用されていること(文字のロゴが近接して表示されていないものがほとんどである。),(b)スリーストライプス商標のバリエーションとして,3本線の一部が切り抜かれているものやストライプの一部分に別色を付したものがあること,が認められる。

(3)以上によれば,運動靴の甲の両側面にサイドラインとして付されたスリーストライプス商標は,本件商標の登録出願前から使用されており,我が国においてもその登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る運動靴を表示するものとして,取引者,需要者の間で広く認識されるものとなっていたものと認められる。スリーストライプス商標の具体的な構成には,使用時期や製品によって,ストライプの長短,幅,間隔,傾斜角度,輪郭線の形状等,細部のデザインが異なる様々なものが存在するが,これら細部の相違は,スリーストライプ商標の基本的な構成である3本のストライプが与える印象と比較して,看者に異なった印象を与えるほどのものではないというべきである。

3 本件商標とスリーストライプ商標の比較

本件商標は,仮想垂直線に対しやや左に傾けた黒塗りの3本の線を基調とするもので,3本のうちの左端及び右端の線は途中にわずかな切れ目があるものの,当該左端及び右端の線は,それぞれ2つの黒塗りの線を縦一列に配置した構成よりなるものである。

本件商標とスリーストライプ商標を比較すると,左右の線の切れ目の有無など細部において差異はあるものの,基本的な構成である3本の線が与える印象において,看者に外観上共通した印象を与えるといえる。

4 商標法第4条第1項第15号について

スリーストライプス商標は,上記2のとおり,請求人の業務に係る運動靴を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間で広く認識されていたものである。

また,本件商標は,上記3のとおり,スリーストライプ商標とは,外観上共通した印象を与えるもので,その指定商品「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」には,運動靴が含まれていることから,本願商標の指定商品と請求人の運動靴とは,商品間の関連性が高く,需要者及び取引の実情が一致する。

さらに,請求人の運動靴においては,上記2(2)で認定したとおり,靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用され,また,3本線の一部が切り抜かれているものやストライプの一部分に別色を付される場合が見受けられることから,構成上の子細な差異があるとしても,種々あるバリエーションの一態様と認識されるような取引の実情もある。

以上からすると,本件商標とスリーストライプ商標は,その構成態様より受ける印象及び両商標が使用される指定商品の取引の実情等を総合勘案すると,本件商標をその指定商品に使用したときは,その取引者,需要者において,当該商品が請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものと認められる。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 むすび

以上のとおり,その余の請求理由について判断するまでもなく,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたというべきであるから,同法第46条第1項の規定により,無効とすべきである。

よって,結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。