Trademark Appeal Case
氏名商標の普通表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−5215(T2016−5215/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「フルーツゼリー菓子,ケーキ,チーズケーキ,クッキー,ペストリー(菓子),プリン,アイスクリーム,洋菓子,もち菓子,あずきを使用した菓子,和菓子,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,もち,穀物の加工品,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,茶飲料,茶,チョコレート飲料,コーヒー飲料,コーヒー,ココア飲料,ココア,コーヒー豆,氷,砂糖,はちみつ,その他の調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,パスタソース,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として、平成27年5月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
(1)商標法第3条第1項第4号
本願商標は、「mori」、「moto」の文字を表してなるところ、その構成文字をみると、「mori」と「moto」の文字を単に上下二段に太字で表して該文字を強調したにすぎず、この程度の文字の図案化は、未だ特殊な態様とはいい難く、普通に用いられている域を脱しているものとは到底認められない。そして、「mori」、「moto」は、「森本」に通じ、日常の商取引において氏を表す場合、欧文字でもって表示する場合も決して少なくないのが実情であるから、ありふれた氏といえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号
本願商標は、次の登録商標と類似し、その指定商品と同一又は類似の商品に使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
登録第5598436号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、同25年2月19日登録出願、第29類ないし第33類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年7月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「mori」の文字と「moto」の文字とを上下二段に横書きしてなるものである。
そして、その書体は、いずれも文字の角を丸めたやや太めの書体であって、格別特異なところのないものといえる。
また、本願商標は二段書きの上段の「r」の文字の下部と下段の「t」の文字の上部とが接しているものの、その表示方法は、取引において一般的に用いられる範囲を超えるほど特殊なものとはいえない。
ところで、二段書きされた欧文字を称呼するにあたっては、上段の左の文字から読み、次に下段の左の文字から読むのが一般的である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「モリモト」と称呼されるといえるところ、当該称呼は、ありふれた氏の「森本」の読みを容易に連想、想起させるものである。なお、当該「森本」がありふれた氏であることは、原審で挙げた六藝書房発行の「日本人の姓」に掲載され、多数存在する姓であることから裏付けられる。
そして、氏を表記する際に、その読みをローマ字で表すことが一般に広く行われている。
さらに、商標を、商品の包装や広告等の表示スペースの都合などにより、複数の段にして表示することも一般に広く行われているといえる。
以上からすると、本願商標は、ありふれた氏である「森本」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人(出願人)が菓子、パン等に使用するブランド名として取引者、需要者間に認識されており、十分に自他商品の識別標識としての機能を果たしているとして、原審において甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)及び当審において甲第29号証ないし甲第76号証を提出した。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項に該当する旨を主張しているものとして、以下検討する。
ア 本願商標と請求人の使用する商標との同一性について
本願商標は、別掲1のとおり、文字の角を丸めたやや太めの書体で「mori」の文字と「moto」の文字とを上下二段に横書きしてなるものである。
他方、請求人の使用する商標(甲5〜甲12、甲30〜甲34、甲36〜甲58、甲60、甲63、甲64)は、「mori」の文字と「moto」の文字とを本願商標と同一の書体及び表示方法で表してなるものであり、上段の「or」の文字部分の上に小さい「PATISSIER」の文字を表示しているものもあるが、該文字は「洋菓子店」を指す文字であるから、本願商標との商標としての同一性を損なうものではない。
したがって、本願商標と請求人の使用する商標とは外観において同一性を有するといえる。
ただし、請求人は、本願商標のほか、本願商標を横一連書きしたもの及び「もりもと」と平仮名で表したものも、ウェブサイト、商品の広告、包装、店舗看板等に使用していることが認められる(甲1〜甲3、甲5、甲8、甲9の4、甲10の2、甲12、甲30、甲34、甲36、甲38〜甲40、甲42、甲48〜甲50、甲60、甲66等)。
イ 商標の使用状況に関する事実について
(ア)請求人は、北海道に本社を置く和洋菓子、パンの製造小売業者であり、道内の直営店舗及び工場の外観(甲3、甲8)、商品の包装(甲6)及び紙袋(甲7)に本願商標を使用していることがうかがえる。
(イ)請求人は、2002年10月2日ないし2016年1月29日の期間に、本願商標を掲載した広告を、北海道新聞、読売新聞、苫小牧民報、朝日新聞、千歳民報及び農業新聞に掲載したことがうかがえる(甲5、甲9、甲30、甲32、甲34、甲36、甲38〜甲40、甲42、甲44、甲46、甲48、甲50、甲52〜甲58)。
しかしながら、広告を掲載した新聞の販売エリアが北海道に限られるものである。
なお、当該広告に掲載されている請求人の商品は、本願の指定商品中「フルーツゼリー菓子,ケーキ,チーズケーキ,クッキー,ペストリー(菓子),プリン,アイスクリーム,洋菓子,もち菓子,あずきを使用した菓子,和菓子,菓子,パン」に含まれる商品といえる。
(ウ)本願商標を掲載したポスターが作成されたことがうかがえるが、当該ポスターの掲示期間、掲示数及び掲示エリア等が明らかではない(甲33、甲37、甲41、甲43、甲45、甲47、甲49、甲51)。
(エ)本願商標を掲載した札幌の地下鉄用の広告(甲10)が作成されたことがうかがえるが、掲示期間及び掲示枚数等が明らかではない。
(オ)本願商標を使用したテレビCM(甲11)が作成されたことがうかがえるが、当該CMの放送時期、放送期間、放送回数及び放送地域等が明らかではない。
また、2012年ないし2016年分の「制作広告物一覧/電通北海道」(甲54〜甲58)の「媒体」の項に「テレビスポット」の記載があるが、本願商標の使用がされたことの確認ができず、たとえ使用されていたとしても、放送回数及び放送地域等が明らかではない。
(カ)航空会社AIR DOの機内誌の機内販売のページ(甲59)に、機内販売品として請求人の商品が掲載されているが、同ページ内に本願商標の使用が認められない。また、同機内誌に掲載するための請求人の商品の広告(甲60)についても、当該広告が掲載された機内誌の発行時期、発行部数及び搭載便の詳細等が明らかではない。
(キ)伊勢丹浦和店及び松戸店の「大北海道展」及び大丸神戸店の「北海道展」のチラシに、請求人の商品の画像が本願商標とともに掲載されたことがうかがえるが、当該チラシの配布時期、配布部数及び配布地域等が明らかではない(甲63,甲64、甲66)。
ウ 本願商標を使用した商品の地域別販売数量、売上高及び市場占有率等について
請求人は、上記イのとおり、商品の宣伝広告を多数行っていることを主張するにとどまり、本願商標を使用した商品の地域別販売数量、売上高及び市場占有率等について量的に他の事業者と比較できる証拠を提出していない。
エ 判断
上記アないしウからすると、請求人が2002年10月頃には本願商標の使用を開始したこと、本願の指定商品中「フルーツゼリー菓子,ケーキ,チーズケーキ,クッキー,ペストリー(菓子),プリン,アイスクリーム,洋菓子,もち菓子,あずきを使用した菓子,和菓子,菓子,パン」について、宣伝広告活動を継続して行っていることが認められる。
しかしながら、たとえ上記宣伝広告活動によって、請求人の名称が北海道内で相当程度広く知られるものとなっているとしても、請求人の本願商標を使用した商品の地域別販売数量、売上高及び市場占有率等について、具体的な証拠が提出されておらず、本願商標が、請求人がその指定商品に使用する商標として、需要者の間で認識されているとまでは認めることができない。
そうすると、請求人の提出する証拠によっては、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当し、かつ、同法第3条第2項に該当するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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