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Trademark Appeal Case

称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900130(T2017−900130/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5916769号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5916769号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成27年4月20日に登録出願され、第7類「電気式じゅうたん洗浄機,セントラル式真空掃除機,スチーム式洗浄機,清浄用電気機械装置,清掃用塵埃排出装置,高圧洗浄機,寄せ木細工の床用電気式ワックス磨き機,すすぎ用機械,道路清掃用機械(自走式のもの),電気掃除機用集塵袋,電気掃除機,電気掃除機用ホース,香水及び殺菌剤散布用の電気掃除機の付属品,洗浄装置,電気式ワックス磨き機」を指定商品として、同29年1月5日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標

本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるとして、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という場合がある。)は、国際登録第1178013号商標(甲2:以下「引用商標1」という。)及び国際登録第1055661号商標(甲3:以下「引用商標2」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

なお、引用商標1及び2について、その構成及び概要は、別掲(B)及び(C)のとおりである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし項第15号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)申立人の事業活動及び引用商標の使用について

ア 歴史

引用商標の商標権者(申立人)であるフォアベルク・インターナショナル・アクチェンゲゼルシャフトは、1883年にカール・フォアベルグとアドルフ・フォアベルグの兄弟によってカーペットメーカーとして設立された(甲4)。

その後、カーペットを製造する機械も手がけるようになり、その技術を応用して小型モーターを組み込んだ掃除機を開発、1930年からそのブランド名として「KOBOLD」の商標を使用している(甲4,甲5)。なお、「KOBOLD」は、ドイツのおとぎ話に登場する家事を助ける妖精の名前に由来するものである(甲7)。

現在、申立人は、世界70ヶ国以上で事業展開しており(甲4)、欧州では主要な家電メーカーの一つとして高い名声を得ている。

イ 日本における事業活動

申立人は、日本において30年以上にわたって事業活動を行っており(甲6)、申立人の商品は、代理店であるコーボルトジャパン株式会社を通じて販売されている(甲8〜甲10)。

また、東京と福岡にショールームを開設し(甲8)、商品の展示・説明などを行って積極的に宣伝・広告に努めていることから、日本における需要者は「KOBOLD」及びこれを片仮名表記した「コーボルト」の商標に接し、これが申立人の商品を表す出所識別標記であると認識している。

ウ 引用商標の日本における使用状況

申立人の商品は日本において多くの新聞・雑誌において紹介された(甲13の1〜78)ほか、有名企業とのキャンペーン(甲14)、プレスリリースを通じたマスコミに対する積極的な広報活動(甲15の1〜5)によって、「KOBOLD」及びこれを片仮名表記した「コーボルト」の商標は我が国の需要者に知られることとなった。

紹介されている雑誌・新聞のジャンルも多岐に亘り、「女性自身」(甲13の6・7)、「女性セブン」(甲13の28)といった女性向けの雑誌のみならず、物にこだわりのある男性向けの雑誌(甲13の4・29・30)、住宅関係の雑誌(甲13の5)や日経産業新聞(甲13の19)、日経TRENDY(甲13の32)、日本航空の機内誌(甲13の34)、朝日新聞(甲13の44)といった全国紙においても紹介されている。

また、ソーシャル・ネットワーキング・メディアであるFacebookにおいて優れた家電製品を紹介する「スマート家電グランプリ」においても申立人の商品が紹介される(甲13の15)など、その機能性が高い注目を集めている。

さらに、2015年にはドイツの有名自動車メーカーBMWとタイアップして、同社の自動車購入者に申立人の商品をプレゼントするキャンペーンも行っている(甲14)。

その他、キャンペーンの実施や記者説明会の開催、ドイツにおいて最優秀ロボット掃除機に選定された旨のプレスリリースなど、マスコミに向けた広報活動も活発に行っている(甲15の1〜5)。

(2)本件商標と引用商標が類似すること

ア 本件商標の構成

本件商標は、「KOBOT」の欧文字を「O」の角が丸みを帯びたやや直線的な字体で横書きに表してなる(甲1)。

イ 引用商標1の構成

引用商標1は、「KOBOLD」の欧文字を横書きに書してなる(甲2)。

ウ 引用商標2の構成

引用商標2は、人間が両手足を広げた様子を表したと思しき図形の下に「Kobold」の欧文字を横書きに書してなる(甲3)。

このように、引用商標2は、図形商標と欧文字「Kobold」からなる商標であるが、視覚的に両者を明確に区別でき、図形部分が文字部分の背景となったり、文字部分が意匠化されて図形部分と組み合わされていたりするものではないから、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。

したがって、引用商標2から「Kobold」の文字部分のみを分離して本件商標と対比することも許されるというべきである(知財高裁平成21年(行ケ)10396号同22年7月21日判決,知財高裁平成23年(行ケ)10087号同年7月21日判決参照)。

エ 本件商標と引用商標の外観が類似であること

(ア)本件商標と引用商標1の商標の外観が類似であること

本件商標及び引用商標の構成は、上記のとおりである。

そこで、本件商標と引用商標1の外観を対比すると、両者は共に欧文字を横書きに書してなり、商標を構成する最初の4文字「KOBO」を共通にする。

本件商標は、全5文字からなる中、前方の4文字「KOBO」までが引用商標1と一致し、本件商標の5文字目「T」及び引用商標の5文字目・6文字目の「LD」において相違するにすぎない。

そうすると、本件商標は語尾の一文字を除き、他の全てが引用商標1と共通する文字で構成されているものであるから、本件商標と引用商標1とは視覚上酷似した印象を与えるものである。

つまり、本件商標は、引用商標1と時と処を異にして離隔的に観察した場合、引用商標1と共通する欧文字の数が多いために引用商標1と同じ綴りの文字列であると錯覚して、両者を混同して認識するおそれがあることを勘案すると、本件商標と引用商標1は、外観上、相紛らわしい類似する商標というべきである。

(イ)本件商標と引用商標2の文字部分の外観が類似であること

本件商標「KOBOT」と引用商標2の文字部分「Kobold」の外観を対比すると、両者は共に欧文字を横書きに書してなり、商標を構成する最初の4文字のつづりを共通にする。

本件商標と引用商標2の文字部分は、本件商標が全て大文字で表されているのに対し、引用商標2の文字部分は語頭以外の文字が小文字で表されている点で相違する。

しかし、文字商標を使用する際に大文字・小文字を変更して用いることはよく行われるし、大文字と小文字の相違があったとしても、本件商標は、全5文字からなる中、前方の4文字が引用商標2の文字部分と一致していると容易に認識されるから、本件商標を一見したとき、引用商標2の文字部分と共通する欧文字の数が多いために引用商標2の文字部分と同じつづりの文字列であると錯覚して、両者を混同して認識するおそれがある。

つまり、本件商標と引用商標2の文字部分とは、看者の印象に残りやすく目立つ部分である商標の最初の部分「KOBO」又は「Kobo」のつづりが共通しており、文字部分において視覚的に酷似しているので、外観上、相紛らわしい類似の商標であるといえる。

オ 本件商標と引用商標の称呼が類似であること

本件商標からは、その欧文字に相応して「コーボット」の称呼が生ずる。

引用商標1は、「KOBOLD」の欧文字を書してなるが、その欧文字に相応した「コーボルト」の称呼を生ずる。なお、「D」は「ド」と称呼され得るが、上記のように引用商標1はドイツのおとぎ話の妖精に由来するものであり、ドイツ語においては語尾の「D」は濁音を伴わずに発音されるものであり、また日本における実際の使用態様を見ても「KOBOLD」に相応する片仮名として「コーボルト」の標記が使用されていることから(甲4〜甲7)、「コーボルト」が引用商標1から生じる自然の称呼である。

また、引用商標2の文字部分「Kobold」からは、引用商標1から生じる称呼と同様に、その欧文字に相応した「コーボルト」の称呼を生ずる。

本件商標から生じる称呼「コーボット」と引用商標1及び2から生じる称呼「コーボルト」を対比すると、両者は、語の中間に位置する促音「ッ」と「ル」の相違はあるものの、最も看者の印象に残りやすい語頭に位置し長音を伴って強く発音される「コーボ」が共通し、更に語尾の「ト」も共通する。

したがって、本件商標と引用商標1及び2とは、全5音のうち、語の中間に位置する「ッ」と「ル」を除いた4音が一致するので、全体として語調・語感が極めて近似する称呼類似の商標といわざるを得ない。

カ 本件商標と引用商標1及び引用商標2の文字部分から生じる観念

本件商標「KOBOT」は、特段の意味を持たない造語として認識され、また、引用商標1及び引用商標2の文字部分「Kobold」は、ドイツのおとぎ話の妖精に由来するものの日本の需要者がその意味を理解するとは言えないため、やはり造語として理解されるものである。

そうすると、本件商標と引用商標1及び2とは、観念において対比することができないものである。

キ 指定商品の類似

本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品(及び指定役務)中の第7類「全指定商品」は、全て掃除機及び洗浄用・清掃用の機械器具に関するものであり、類似する商品である。

ク 上述のように、本件商標は、引用商標と外観及び称呼において類似するものであり、観念においては比較できないものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は明らかに類似するものである。

さらに、上記のとおり、「KOBOLD」及びこれを片仮名表記した「コーボルト」の商標は、我が国の新聞・雑誌・インターネットメディアに数多く紹介され、申立人自身も積極的に宣伝活動を行った結果、我が国の需要者によく知られているといえる。

したがって、需要者・取引者が本件商標に接した場合、引用商標に接した印象・記憶から本件商標を付した商品の出所を引用商標の商標権者である申立人であると誤認混同するおそれがあり、本件商標と引用商標は、彼此相紛らわしい類似の商標と判断されるべきである。

(3)台湾知的財産局及び欧州連合知的財産庁における判断

ア 台湾知的財産局における判断

台湾知的財産局は、台湾登録商標第01712019号「KOBOT」に対する異議申立において、「KOBOT」と「KOBOLD」が混同を生じるほど類似していることを認め、台湾登録商標第01712019号「KOBOT」の登録を取り消す旨を決定した(甲11)。

イ 欧州連合知的財産庁における判断

欧州連合知的財産庁は、欧州連合商標第13954409号「KOBOT」に対する異議申立において、「KOBOT」と「KOBOLD」が混同を生じるほど類似していることを認め、欧州連合商標第13954409号「KOBOT」の登録を取り消す決定をした(甲12)。

ウ このように、諸外国においても「KOBOT」と「KOBOLD」の類似性が認められていることを勘案すると、両商標が混同を生じるほど酷似していることは明らかである。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)本件商標

本件商標は、別掲(A)のとおり、「KOBOT」の欧文字からなるところ、該文字は、特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものであり、我が国において外国語としてなじみの深い英語の読みに倣って、例えば「robot」が「ロボット」と発音するように、その構成文字に相応して「コボット」と称呼されるとみるのが相当であり、また、該文字から特定の観念が生じるものではない。

(2)引用商標

引用商標1は、別掲(B)のとおり、「KOBOLD」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標2は、別掲(C)のとおり、人間が両手足を広げた様子を表したと思しき図形の下に「Kobold」の欧文字を横書きしてなるものである。

そして、引用商標2は、図形商標と「Kobold」の欧文字からなる商標であるところ、上部の図形部分と下部の文字部分とが上下に明確に分かれており、両者が組み合わされていたりするものではないから、両者が不可分一体とはいえず、その図形部分からは特定の観念及び称呼が生じないのに対し、図形部分の下部に比較的大きく明確に表された「Kobold」の欧文字部分は、該文字が「(ドイツ民間伝承で)(いたずら好きの)小鬼,小妖精」の意味を有するものであるとしても、我が国においてさほどなじみのあるものともいえないため需要者には特定の意味を有することのない造語として認識されるものであることから、該文字部分が需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるといえる。

そうすると、引用商標1及び引用商標2の文字部分からは、本件商標と同様に英語の読みに倣って「コボルド」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。また、我が国においては引用商標に係る商品が「コーボルトジャパン株式会社」によって「コーボルト」の読みをもって販売されていること(甲6,甲8〜10,甲13の1等)を考慮すれば、引用商標から「コーボルト」の称呼も生じるものといえる。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標1は、上記のとおり、それぞれ「KOBOT」と「KOBOLD」の文字からなるものであり、5文字又は6文字の少ない構成文字にあって、「T」と「LD」との相違により、外観上、明確に区別し得るものといえる。

また、本件商標と引用商標2とは、その構成が上記のとおりであるところ、図形の有無等により、外観上、明確に区別し得るものである。そして、本件商標と引用商標2の「Kobold」の文字部分との比較においては、「KOBO」と「Kobo」の部分においてつづりが同一であるとしても、本件商標と引用商標1との比較と同様に、5文字又は6文字の少ない構成文字にあって、「T」と「ld」との相違により、外観上、明確に区別し得るものといえる。

次に、本件商標から生じる「コボット」の称呼と引用商標1及び2から生じる「コボルド」及び「コーボルト」の称呼についてみるに、前者から生じる「コボット」の称呼と後者から生じる「コボルド」の称呼とは、第1音の「コ」は共通するものの、第2音の「ボ」において促音を伴うか否かの差異があり、次の音において「ト」と「ルド」の差異があって、両称呼が3音と4音の構成という極めて短いことも相まって、これらの差異が称呼全体の音調、音感に与える影響は大きいものといわざるを得ず、それぞれを一連に称呼しても十分聴別し得るものである。また、前者から生じる「コボット」の称呼と後者から生じる「コーボルト」の称呼とにおいても、その音数、音構成を異にするものであるから、称呼上、明確に聴別し得るものである。

そして、本件商標と引用商標1及び2とは、両商標から特定の観念を生じるものではないから、観念において、相紛れることはないものである。

その他、本件商標と引用商標とが類似するとの取引の実情は見いだせない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても何ら相紛れるおそれはなく、これらを同一又は類似の商品に使用したとしても、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとは認められない非類似の商標であるといわなければならない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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