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Trademark Appeal Case

欧文字一字違いの類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900294(T2016−900294/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5857744号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5857744号商標(以下「本件商標」という。)は、「LEHNO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年1月6日に登録出願、第25類「セーター,ショール,下着,ブラジャー,ストッキング,シャツ,新生児用被服,履物及び運動用特殊靴,コート,帽子,シングレット,裁判官・教授用職服,ジャケット(被服),ポンチョ,水上スキー用ウェットスーツ,防水加工を施した被服,ドレス,ズボン」を指定商品として、同年5月18日に登録査定、同年6月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下5件(以下、引用商標1ないし引用商標5をまとめて「引用商標」という場合がある。)のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第975355号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 HERNO

指定商品 第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 昭和45年5月13日

設定登録日 昭和47年8月12日

2 登録第3184537号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲1のとおり

指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 平成4年5月6日

設定登録日 平成8年8月30日

3 登録第1406890号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 別掲2のとおり

指定商品 第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 昭和46年5月4日

設定登録日 昭和55年2月29日

4 国際登録第1287361号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の態様 別掲3のとおり

指定商品及び指定役務 第3類、第9類、第14類、第18類、第25類及び第35類に属する国際商標登録原簿に記載の商品及び役務

国際登録日 2015年7月10日

登録査定日 平成29年5月25日

5 国際登録第1297688号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の態様 別掲4のとおり

指定商品 第25類に属する国際商標登録原簿に記載の商品

国際登録日 2015年12月3日

設定登録日 平成29年6月9日

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標

本件商標は、上記第1のとおり、「LEHNO」の文字列からなる商標である。

(2)引用商標

引用商標は、「HERNO」の文字列からなる商標、特別なアレンジがなされた「HERNO」なる文字列からなる商標及び特別なアレンジがなされた「HERNO」なる文字列と図形あるいは他の文字列を含む商標である。(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標は「LEHNO」なる文字列からなる商標であり、引用商標の「HERNO」とは、どちらも5つの文字列を要部として含み、その要部の5文字中4文字が同一の欧文字である。そして、唯一異なる文字である「L」と「R」も、非類似というわけではなく、とりわけ日本人にとって区別の難しい「音」を有する文字同士であることを考慮すると、本件商標の「LEHNO」と引用商標の「HERNO」とは、外観だけでなく、称呼に関しても類似の商標であるといえる。

よって、本件商標と引用商標は、外観、称呼、構成のいずれの観点からも類似している。

(4)本件商標と引用商標の指定商品の対比

本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一あるいは類似している。

(5)結論

以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標の周知・著名性

引用商標の権利者である申立人「ヘルノ・エッセ・ピ・ア(HERNO S.P.A.)」は、第3類、第9類、第14類、第18類、第24類、第25類、第35類等の区分に関する商標を広く取得しており、当該商品区分の属するマーケットにおける世界的に有名なイタリアの企業である。

申立人の著名性を表す根拠として、申立人が様々な時と国(日本を含む。)にまたがった多くの商標の権利者となっていることが挙げられる。申立人は、「HERNO」なる文字列を主として含む非常に有名な商標を世界中で取得し、長年にわたり保持・使用している権利者である(甲2〜甲6)。

これにより、申立人がイタリアや日本だけでなく、世界各国においても「HERNO」商標の優先権を有していることが分かる。

申立人は1948年にイタリアでレインコートメーカーとして創業を開始し、その後、ジャケットやスーツなどの衣料品全般も扱うようになり、ヨーロッパ全土さらには海外へも早くから輸出を行ってきた。その高機能で洗練されたデザインにより、およそ70年間もの間、世界的な市場で信用を獲得してきた。1971年には、大阪で国内初のブティックをオープンさせている。

甲第7号証は申立人の事業の歴史を示したウェブページ、甲第8号証は各国の主な販売店を紹介するウェブページ、甲第9号証は日本の主たる販売店であるヘルノ青山店の紹介ページ、甲第10号証は日本において「HERNO」のレディース衣料品を取り扱うショップの紹介ページのプリントアウトである。これにより、申立人が国際的にも著名な衣料品メーカーであることが分かる。

また、申立人は「HERNO」という商号を長年用いており、他企業との識別性も長く維持されてきた。

甲第11号証はノヴァーラ商工会議所(イタリア)によって作成された申立人の評価調査書である。これは、1975年11月15日には、申立人のビジネスが行われていたことを示す文書である。

甲第11号証は、申立人の商業上の権利を裏付けるものであり、工業所有権の保護に関するパリ条約の第8条によって保護されるものである。同条は「商号の保護」に関するものであり、「商号は、商標の一部であるか否かを問わず、すべての同盟国において保護されるものとし、そのためには、登記の申請又は登記が行われていることを必要としない。」と記載されており、また、その考え方はパリ条約全体によっても支持されるものである。

以上より、申立人は非常に初期の頃から、成功した企業であり、引用商標を含む「HERNO」商標及びその商号は、一国内に留まらずヨーロッパや日本においても確実に知られたものであるといえる。

(2)本件商標と引用商標の類似性

本件商標と引用商標が類似していることは上記1のとおり明らかである。

(3)出所の混同のおそれ

引用商標は申立人の業務に係る商品・役務を表すものとして周知・著名であり、本件商標と引用商標が有するコンセプトは一般的な消費者の通常の注意力では、何らかの関連があるとの印象を与えるものである。

また、本件商標の指定商品はすべて引用商標の指定商品と同一あるいは類似している。もし、本件商標が指定商品に用いられた場合、本件商標の商標権者が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者であると需要者に誤認を生じさせ、本件商標の付随する商品と申立人の商品との混同をもたらす可能性が高い。

それゆえ、本件商標が申立人の業務に係る商品又は役務に用いられた場合、引用商標の影響力を受け、その信用を利用することになる。

以上より、本件商標がその指定商品・役務に使用された場合、当該商品の需要者が商品の出所について混同するおそれは極めて大きく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知著名性について

申立人の提出する証拠及び主張によれば、申立人は1948年にイタリアでレインコートメーカーとして創業を開始し、その後ジャケットやスーツ等の衣料品を扱っており、1971年には大阪で日本国内初のブティックをオープンさせた(甲7)。

申立人はミラノ、ソウル、ローマのほか、東京の青山に「ヘルノ青山店」を主な販売店として有する(甲8,甲9)。我が国において申立人の商品である衣料品を取り扱う店舗は、先の「ヘルノ青山」を含め、札幌、神奈川、名古屋、京都、大阪等の都市に14店舗存在する(甲10)ことが認められる。

以上、申立人が提出した証拠よりは、申立人の歴史、店舗の存在等は確認できるものの、本件商標の出願日及び査定時における引用商標を使用した申立人商品の我が国の売上げ、業界における市場占有率、広告宣伝の回数や広告宣伝費の額等、引用商標の周知性を客観的に示す証拠の提出はない。

これより、引用商標が、本件商標の出願時に我が国において申立人の業務に係る商品「衣料品」を表すものとして、需要者に周知となっていたとは認められない。

なお、申立人は引用商標の構成文字「HERNO」なる文字列を含む登録商標を、我が国を含む世界各国において所有していること、「HERNO」という商号を長年用いてことから、引用商標を含む「HERNO」商標及びその商号は、本国、ヨーロッパや日本においても周知・著名となっている旨主張するが、登録商標を所有していること、商号として長年使用していることが直ちに使用商標の周知性を証明するものではなく、上記のとおり、引用商標については、その周知性を客観的に示す証拠の提出はないのであるから、この主張は採用できない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「LEHNO」の欧文字を標準文字により表してなるところ、その構成文字に相応して「レーノ」及び「リーノ」の称呼が生じるものといえる。

また、本件商標の構成文字は、辞書等に掲載が認められないことから、本件商標からは特定の観念を生じないというべきである。

(2)引用商標について

引用商標1は、上記第2、1のとおり、「HERNO」の文字からなる商標である。

引用商標3及び4は、別掲2及び別掲3のとおり、デザイン化された「HERNO」の文字からなる商標である。

引用商標2は、別掲1のとおり、デザイン化された「HERNO」の文字を大きく書し、その上段に欧紋章らしき図形(図形中には「H」と「IN FLUMINE EST VIT」の文字が確認できる。)を配した構成よりなる商標である。

引用商標5は、別掲4のとおり、デザイン化された「HERNO」の文字を大きく書し、その下段に、上段の「HERNO」の文字に比して2分の1程の大きさで筆記体文字風に「Laminar」の文字が配された商標である。

そして、引用商標2及び引用商標5の構成中に書された、デザイン化された「HERNO」の文字は、大きく顕著に書されていること、構成中の他の図形部分や文字部分とはその態様が異なること、それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないことから、「HERNO」の文字部分が要部として独立して取引に資されることがあるといえる。

そうすると、引用商標からは、その構成文字あるいはその要部である「HERNO」の文字部分に相応して「ヘルノ」の称呼が生じるものといえ、該文字は、辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念を生じないというべきである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標の構成は、それぞれ、上記第1及び第2のとおりであるところ、本件商標の構成文字と引用商標の構成文字あるいは要部である「HERNO」の文字部分とを比較するに、両商標は共に構成文字が5文字と比較的短い構成において、第1文字及び第3文字において相違することから、本件商標と引用商標とは外観において明確に区別し得るものである。

次に、称呼については、末尾の「ノ」の音以外の音を全て異にすることから、本件商標と引用商標とは称呼において明らかに聴別し得るものである。

さらに、観念については、本件商標と引用商標とは、共に特定の観念が生じないものであるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。

(4)まとめ

したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標である。

そして、引用商標は、上記1のとおり、我が国においては本件商標の登録出願時に申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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