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Trademark Appeal Case

著名商標と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第9730号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙に表示したように、「MISS ONICLUB」の欧文字を上段に横書きし、「ミス オニクラブ」の片仮名文字を下段に横書きしてなり、平成8年9月24日に登録出願され、第25類「洋服,コート,ワイシャツ類,下着,和服,靴下,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,ナイトキャップ,帽子,ガーター,ベルト,靴類,運動用特殊衣類,運動用特殊靴」を指定商品とするものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、その構成中に『ミッソーニ エス ピー エー(イタリア国在)』が、商品『被服』等に使用している著名な商標である『MISSONI』の文字を有してなるから、これを出願人が指定商品に使用するときは、恰もミッソーニ社若しくは同人と関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断される。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

請求人は、審判請求書において、概要、以下の主張をしている。

本願商標構成中の片仮名表記の標章には「ミス」と「オニクラブ」との間にスペースはあるが、その称呼は「ミスオニクラブ」しかなく、ましてや「MISSONI」を想起させる「ミッソーニ」なる称呼の生じる余地は全くない。

欧文字表記の標章については、「MISS」と「ONICLUB」との間にスペースがあって、「MISS」と「ONICLUB」とが完全に分離されており、「MISSONI」と一体に連結されたワンワードでは決してなく、しかも「MISS」は未婚女性の姓の前に付して「・・嬢、・・さん」と呼ぶ敬称、愛称を表す語である。したがって、「MISS」からは「ミス」の称呼が、「ONICLUB」からは「オニクラブ」の称呼が生じ、欧文字表記の標章の称呼は「ミスオニクラブ」であって、それ以外の称呼の生じる余地は全くなく、ましてや「MISSONI」を想起させる「ミッソーニ」なる称呼が生じることはあり得ない。

なお、本願商標からは「オニクラブさん」とか「オニクラブ嬢」の観念が生じ得るが、このような観念は「MISSONI」からは生じ得ない。

以上、本願商標は「MISSONI」なる商標と全く非類似であり、本願商標をその指定商品に使用しても、イタリア国のミッソーニ社もしくは同社と関係を有する者の取扱に係る商品であるかの如く、その出所の混同、誤認が生じるおそれはない。

4 当審の判断

(1)「MISSONI」の文字よりなる商標の著名性について

「MISSONI」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という)について、当審において、職権をもって調査したところ、引用商標は、例えば、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(サンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行)、「世界のブランド大全集’95」(株式会社東京企画1995年1月10日発行)、株式会社講談社1998年5月30日発行「世界の一流品大図鑑’98」に掲載されている、「MISSONI」、「ミッソーニ」の項に照らせば、これが、イタリアのファッションデザイナー「オッタビオ・ミッソーニ」のデザインに係る商品に付すブランドであって、商品「スーツ、ドレス、コート、セーター、水着、バッグ、ベルト」等に使用されている事実が認められ、かつ、引用商標は、我が国において、本願出願前から著名性を得ていると判断し得るものであり、これが、イタリア国 スミラゴ在の「ミッソーニ エス ピー エー」(以下、「ミッソーニ社」という)の取り扱いに係る商品に使用するものであることが認められる。

なお、請求人の主張の全趣旨に照らせば、請求人は、本件審判請求において、引用商標の我が国における著名性を否定する趣旨で原査定の取り消しを求めているものとは認め得ない。

したがって、引用商標の著名性に関する原審の認定および判断に誤りはない。

(2)出所の混同について

請求人は、本願商標は引用商標と全く非類似であり、また、本願商標の構成からは、引用商標を想起しないから、本願商標をその指定商品に使用しても、イタリア国のミッソーニ社もしくは同社と関係を有する者の取扱に係る商品であるかの如く、その出所の混同、誤認が生じるおそれはない旨の主張をしている。

しかして、商標法第4条第1項第15号の趣旨は、ある者が自己の業務に係る商品又は役務について特定の商標を使用した結果、当該商標を通して、その使用者の業務上の信用が大きく蓄積されている状態になっている場合(以下、このような状態になっている商標を「当該著名商標」という)、他人による他の商標(以下「他者商標」という)の使用が、結果として、当該著名商標に化体されている、当該著名商標の使用者の業務上の信用あるいは利益を損なうおそれがあると認められるときには、その業務上の信用あるいは利益を保護する観点から、他者商標を、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するものとして、その商標登録を拒絶するものと定めていると解するのが相当である。

その際、当該著名商標に化体される、その使用者の業務上の信用の蓄積の程度は、当該著名商標の使用結果として生ずる著名性の度合いによって異なるというべきであるから、これが、一定の範囲に固定されることなく消長を伴うものである。

したがって、当該著名商標と、他者商標が互いに類似しないと判断される場合であっても、そのことをもって出所混同のおそれが生じないとすることは、出所混同の範囲を商標の類似の範囲に固定化することとなり、当該著名商標に化体される使用者の業務上の信用度が増大している場合には、その信用が保護されない結果となって、前記の商標法第4条第1項第15号の制定の趣旨に悖ることにもなりかねない。

それゆえ、ある商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かは、商標の類否判断のみを基準とすべきではなく、当該著名商標の著名性の程度を考察して総合的に判断されねばならないというべきである。

しかして、本願商標は、前記したように「MISS ONICLUB」の欧文字と、「ミス オニクラブ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「MISS」の文字は、女性の姓あるいは名に冠して使用される語であり、本願商標から「ミスオニクラブ」の称呼が生じ、「オニクラブ嬢」との意味合いが看取されること自体は否定し得ないものである。

しかしながら、「MISS」、「ミス」の語は、通常、女性個人の姓あるいは名に冠して使用されるものであって、団体や集団を指称する場合に使用されることは極めて少ないものというべきである。すると、団体名であることを認識させる「CLUB」「クラブ」の文字を含む本願商標における「MISS」と「ONICLUB」、「ミス」と「オニクラブ」の語の結合は、極めて不自然なものというべきであり、また、「MISS ONICLUB」あるいは「ミス オニクラブ」と称される著名な個人や団体が具体的に存在するとの証左も認められない。

したがって、本願商標が、一体不可分のものとしてのみ把握されるとはいい得ないものである。

一方、本願商標構成中の「CLUB」の語は、「同好会、サークル」などを意味する親しまれた語であることから、これに接する取引者・需要者は、「CLUB」の文字に着目する一方で、これと対比するかたちで「MISS」と「ONI」の文字部分にも着目することは決して少なくないものというべきである。その場合、前記認定のように、引用商標が著名なものとなっていることから、取引者・需要者は、これと文字の配列を同じくする「MISS」と「ONI」の両文字部分から、引用商標を想起することは決して少なくないものというのが相当である。

そして、本願の指定商品は、引用商標が使用されている商品と同一または類似の商品を含む、互いに関連の深い商品であることから、本願商標をその指定商品に使用するときには、これに接する取引者・需要者をして、引用商標と何らかの関係のある商標、すなわち、イタリア国のミッソーニ社の取り扱いに係る商品、または、同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の取り扱い係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、本願の件外に係る出願ではあるが、本願と同時に出願され、願書に一連の記号として(1)ないし(3)が付された出願(本願の願書一連記号は(4)であり、後に記号はない。また、この4件の出願のうち一連記号(3)と(4)が請求人による出願に係るものである。)に係る商標を調査するに、願書一連記号(1)に係る商標には「RENOMA」の標章と、同(2)には「ENRICO COVERI」の標章と、同(3)には「VALENTINO」 「バレンチノ」の標章と、それぞれ文字の配列を同じくする文字が含まれていることが認められる。これら三つの標章は、引用商標とともに、我が国で、いわゆるデザイナーズブランドとして一定の著名性を得ているといえるものであり、請求人が本願商標を採択するに際して、引用商標の著名性を認識していたと推認するに難くないものである。

5 結語

以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、この理由をもって本願を拒絶した原査定の内容は妥当なものであって取り消すことはできない。

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