Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900006(T2017−900006/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5887282号商標(以下「本件商標」という。)は,「ExcelMonitor」の欧文字を標準文字で表してなり,平成28年4月5日に登録出願,第9類「コンピュータプログラム(ダウンロード可能なものを含む),電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」を指定商品として,同年9月8日に登録査定,同年10月7日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4872301号商標(以下「引用商標1」という。)は,「MICROSOFT EXCEL」の欧文字を標準文字で表してなり,平成16年10月7日に登録出願,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として平成17年6月17日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1107046号商標(以下「引用商標2」という。)は,「EXCEL」の欧文字を書してなり,2011年(平成23年)11月8日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年11月30日に国際商標登録出願,第42類「Computer services, namely, cloud computing services featuring software for use in electronic spreadsheets and accessing remotely stored data for such applications; providing temporary use of on-line non-downloadable software and applications for electronic spreadsheets; providing technical information in the field of computer software and cloud computing.」を指定役務として,平成24年9月28日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人及び使用商標について
申立人は,1975年にアメリカ合衆国において設立された,コンピュータソフトウェア及びハードウェアを開発,販売する国際企業である。申立人が世界のコンピュータ業界で屈指の規模を誇る企業であり,その提供する商品が世界の市場で圧倒的なシェアを持つものであることは,我が国においても周知の事実であるといえる。また,「MICROSOFT(マイクロソフト)」の表示も,申立人の社名の略称として広く知られている(甲4〜甲9)。
申立人は,「Multiplan」のコードネームで展開していた表計算ソフトウェアをもとに開発した新しいソフトウェアに「Excel」の名を付け,1985年9月30日にMackintosh用に発売,追ってWindowsバージョンを1987年に発売した。「Excel」ソフトウェア(以下「申立人商品」という。)は,これまでの表計算ソフトウェアにはなかった高い操作性が好評を得て,1988年には他社のソフトウェアからシェアトップの座を奪うまでの売り上げを誇るに至った。我が国においても1988年に日本語版がリリースされて以降,2年から3年おきにバージョンアップがなされ,継続して高い人気を博している。
現在,申立人商品は,同じく申立人の提供にかかる「Word」等のソフトウェアとパッケージングされ,ソフトウェアスイート「Microsoft Office」として提供されており,かかるソフトウェアスイートの中核をなすソフトウェアとなっている。職場や学校においてコンピュータを使用しない日はないといえる昨今,学生,社会人を通じて必ず求められるスキルとして申立人商品の操作が挙げられるまでに,必要性の高いソフトウェアであると考えられるに至っている(甲10〜甲24)。
また,「Excel」の語は,申立人がコンピュータソフトウェアに使用する商標であるとして数々の辞書に記載されている(甲25〜甲29)。したがって,「Excel」の語に接した取引者,需要者は,一義的にそこから申立人の提供するソフトウェアを連想するといっても過言ではない。すなわち,「Excel」(以下「申立人使用商標」という。)は申立人が自身の提供するコンピュータソフトウェアに使用して我が国においても広く知られるに至った著名な商標である。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は,「ExcelMonitor」の欧文字からなるところ,その構成において「E」及び「M」の文字のみが大文字で表されているところから,これが「Excel」及び「Monitor」の2語からなるものであることは容易に認識できるものである。また,本件商標が全体として特定の意味合いを表すこともないため,これが一体不可分のものとしてのみ認識,把握されると考えるべき特段の事情も見受けられない。したがって,本件商標に接した取引者・需要者は,これを「Excel」及び「Monitor」の2語を結合してなるものと理解,認識すると考えるのが自然である。
そして,本件商標を構成する上述の2語のうち,後半部の「Monitor」は,コンピュータの画面出力を表示するディスプレイ装置やデータ等を監視・表示するためのソフトウェアや装置を表すものとして,わが国においてもその意味が浸透している語である。したがって,本件商標中の「Monitor」の部分は,本件商標の指定商品を取り扱う分野において,商標としての識別力が極めて弱く,他の部分から独立して商品の出所識別機能を果たすものではないといえるから,「Excel」の文字部分が,本件商標において強く支配的な印象を与える要部をなすものというべきである。よって,本件商標からは,全体としての「エクセルモニター」の称呼に加え,「Excel」の文字に相応する「エクセル」の称呼をも生じるといえる。そして,「Excel」の文字は,「勝る,秀でる」といった意味合いを表す既存の英単語ではあるものの,その意味するところは我が国の平均的取引者,需要者においてさほど浸透しているとはいえないと考えられる一方,前記1のとおり,申立人商品が広く知られた商品であることから,申立人の提供する「Excelソフトウェア」の観念も生ずるといえる。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は,「MICROSOFT EXCEL」の欧文字からなるところ,「MICROSOFT」の文字部分は,前記1のとおり,申立人の著名な略称である。したがって,引用商標1がその指定商品に使用された場合,これに接する取引者,需要者は,「MICROSOFT」の文字部分をいわゆるハウスマークと捉えた上で,「EXCEL」の文字部分を,個別の商品に付された商標,いわゆるペットネームと認識する可能性が高いと考えられる。実際コンピュータソフトウェアを取り扱う業界においては,ソフトウェアを提供する主体(開発,販売する企業)の名をソフトウェア自体の名称に結合させて表示することは日常的に行われており(甲29),引用商標1に接した取引者,需要者はこれを「『MICROSOFT』の提供する『EXCEL』という名称の商品」であると容易に認識するものであるといえる。
そうとすると,簡易・迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,かかる「EXCEL」部分のみが独立して取引に資される場合も少なくないというべきである。したがって,引用商標1からは「マイクロソフトエクセル」の称呼のほか,「EXCEL」の文字部分から生ずる「エクセル」の称呼,並びに「勝る,秀でる」といった意味合い,又は「(マイクロソフトの提供する)Excelソフトウェア」の観念が生ずる。
イ 引用商標2は,「EXCEL」の欧文字を通常用いられる書体で表してなり,同構成から「エクセル」の称呼,並びに「勝る,秀でる」といった意味合い,又は申立人の提供する「Excelソフトウェア」の観念を生じる。そして,引用商標2の指定役務は,本件商標の指定商品中,第9類「コンピュータプログラム(ダウンロード可能なものを含む)」と類似する。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標と引用商標1及び2とは,「エクセル」の称呼,観念を共通にする類似の商標であり,また,その指定商品・役務も同一又は類似のものであるから,本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標の構成中,後半部の「Monitor」の文字は,コンピュータの画面出力を表示するディスプレイ装置やデータ等を監視・表示するためのソフトウェアや装置などを指し,「モニター」として日本語でも通用するまでに一般的に使用されている語である。これに対し,前半部の「Excel」の文字は,申立人商品を表示するものとして著名な商標と同一の文字から構成されていることから,本件商標に接する取引者,需要者が,その構成中の「Excel」の文字部分に着目し,該文字から申立人及び申立人の提供する商品・役務を連想,想起する可能性が極めて高いものといえる。
つまり,本件商標の構成中,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは「Excel」の部分であり,当該文字部分は,申立人使用商標と同一の構成文字によるものであるから,本件商標は,申立人使用商標と類似性が高いものである。
したがって,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用した場合,取引者,需要者をして申立人の使用に係る商標を連想又は想起させ,その商品が申立人等あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について誤認混同を生ぜしめるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第19号について
前記1のとおり,申立人使用商標は,申立人の提供にかかるコンピュータソフトウェアの名称としてわが国を含む全世界で広く知られているものであり,かつ本件商標と類似する商標である。また,申立人は,提供する個々のソフトウェアについて,それぞれのソフトウェアの名称中の一文字をテーマとなる色と組み合わせてなるアイコンを使用しており,「Excel」に関しては,ソフトウェア自体のバージョンアップとともに変遷はあるものの,歴代,「X」をモチーフとした緑色のアイコンを継続して採択している。
これに対し,商標権者は,本件商標を別掲の態様で使用している(甲37)。
このデザインは,「x」の部分をロゴ化し,さらに全体に緑色を用いており,申立人の使用に係る「Excel」商標の態様を意図的に模倣している。そうすれば,商標権者は申立人の提供にかかる著名なソフトウェアのイメージにただ乗りし,不正の利益を得る目的で本件商標を登録出願し登録を受けたものといわざるを得ない。したがって,本件商標は,その登録出願の時ないし査定時において請求人の業務に係る商品を表示するものとして世界各国における需要者の間に広く認識されている申立人使用商標と類似の商標を,不正の目的をもって使用をするものというべきである。
上記のとおり,本件商標は,申立人使用商標のもつ識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化し,不正の目的をもって使用するものであることが明らかであるから,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,第15号及び第19号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号に基づき取り消されるべきものである。
第4 当審における取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年5月19日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は,前記第4の取消理由に対して意見を要旨以下のように述べ証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標を構成する「ExcelMonitor」の文字は,全て欧文字であり,同一の大きさ,同じ書体,等しい間隔で一連に横書きしてなり,全体としてまとまりよく一体不可分に表されているものである。
また,本件商標の構成全体から生じる「エクセルモニター」の称呼は,長音を含み8音であり,よどみなく一気に称呼されるものである。
そして,本件商標を構成する「Excel」及び「Monitor」の語は,いずれも一般的な辞書に掲載されている平易な英単語であり,前者は,「優れている,勝る」等を意味する動詞であり,後者は「監視する」等を意味する動詞又は「機器などの動作の記録・調整・制御などを行う監視装置,スタジオ内の映像や音声を受信する機器,制御プログラム,ディスプレー」等を意味する名詞であって,多義的であり,近似又は派生した様々な意味を有することから,単独で明確に特定のものや事を限定して表すものではない。
そうであれば,本件商標は,「優れた機器なその動作の記録・調整・制御などを行う監視装置」,「優れたスタジオ内の映像や音声を受信する機器」,「優れた制御プログラム」,「優れたディスプレー」等の意味合いがいくつも看取される一連一体の造語である。
また,「Excel」及び「Monitor」の語はいずれも一般的な辞書に掲載されている平易な英単語であるから,本件商標の指定商品の分野における各語の自他商品識別力の軽重の差は小さい。
申立人使用商標が申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時においてコンピューターの分野における需要者に広く認識されていたとしても,申立人は,「Excel」の語を単独で用いることにより,申立人商品を表示しているのであり,需要者においても「Excel」の語のみで申立人商品を表示するものとして知られており,他の語と共に使用する例があったとしても,「Word・Excel」といったように特定の語に限られる。そうであれば上記のとおり一連一体である「ExcelMonitor」の語は,「Excel」の語と「Monitor」の語とに分離し,「Excel」の語のみが抽出され看取されるおそれはない。
よって,本件商標は,その構成文字全体が一体不可分のものであり「エクセルモニター」の称呼のみを生ずるというべきである。
2 申立人使用商標
申立人使用商標は,「Excel」の語からなり,「エクセル」の称呼及び「優れている,勝る」の観念を生じる。
3 本件商標と申立人使用商標との類似性について
ア 外観について
「ExcelMonitor」の文字からなる本件商標と,「Excel」の綴りを有する申立人使用商標とは,外観上明らかに相違し,需要者等は容易に区別し得るものであるため,両者は外観上非類似である。
イ 称呼について
本件商標から生じる「エクセルモニター」の称呼と,申立人使用商標から生じる「エクセル」の称呼とは,「モニター」の有無において相違し,構成音数が大きく異なることから,需要者等は容易に聴別し得るため,両者は称呼上非類似である。
ウ 観念について
本件商標から看取される「優れた機器などの動作の記録・調整・制御などを行う監視装置」,「優れたスタジオ内の映像や音声を受信する機器」,「優れた制御プログラム」,「優れたディスプレー」等の観念と,申立人標章から看取される「優れている,勝る」の観念とは全く別異のものであり,需要者等は容易に区別し得るため,両者は観念上非類似である。
エ 本件商標と申立人使用商標との類似性の程度について
上述のアないしウより,本件商標と申立人使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からも互いに非類似の商標である。
4 申立人標章の独創性の程度について
申立人標章を構成する「Excel」の語は,上述のとおり「優れている,勝る」等を意味する平易な英単語であって独創性がない。
したがって,各商標間で「Excel」という独創性のない文字部分がたまたま共通することは多々あることであって,当該文字部分が共通するからといって当然に商品の出所について混同を生じるものではない。
5 申立人使用商標の使用態様について
申立人使用商標は,申立人商品を表示するものとして使用されていることから,申立人使用商標は,いわゆるペットネームであって,ハウスマークやファミリーネームではない。特に,申立人使用商標は,上述のとおり,「Excel」の語が単独で用いられる又はあったとしても「Word」等の一部の限られた語や一部の品質表示語と合わせて用いられるにすぎないものであって,当該使用態様がとてもシンプルであることが申立人の出所表示として大きく機能していることから,その他の語と結合して「Excel」の語が用いられたとしても全体として一連・一体であれば商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
すなわち,本件商標の構成中,語頭に「Excel」の文字があるとしても,その構成が一連・一体である本件商標をその指定商品に使用した場合は,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標の構成中「Excel」の文字部分に強く印象づけられるということは全くなく,該商品が申立人又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
6 審決例及び第三者登録例
審決例(乙1,乙2)及び第三者登録例(乙3〜乙7)からしても,本件商標と申立人使用商標の間で商品の出所の混同が生じないことは妥当である。
7 まとめ
以上のとおり,本件商標をその指定商品に使用したとしても,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標の構成中「Excel」の文字部分に強く印象づけられるということは全くなく,該商品が申立人又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
第6 当審の判断
1 申立人使用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出した証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 「IT用語辞典 e−Words」のウェブサイトには,「Microsoft【マイクロソフト】MS」の項に「パソコン・スマートフォン・タブレット端末向けOSの『Windows』シリーズや,サーバ向けOS『Windows Server』シリーズ,オフィスソフト『Office』シリーズ(および,その構成要素の『Word』『Excel』『PowerPoint』など),・・・などのソフトウェア製品の開発・販売(一部は無償提供)が主力事業。」(甲5)の記載がある。
イ 「weblio辞書」のウェブサイトには,「IT用語辞典バイナリ」として,「Microsoft」の項に「Microsoftとは,1975年にビル・ゲイツ(Bill Gates)とポール・アレン(Paul Allen)によって設立されたソフトウェアメーカーの名称である。・・・Windowsと並んでWebブラウザの『Internet Explorer』(IE)や,オフィススイートの『Microsoft Office』も普及している。Microsoft Officeにおける,ワープロソフトの『Word』,表計算ソフトの『Excel』,プレゼンテーションソフトの『PowerPoint』といったアプリケーションソフトは,それぞれ同種の製品の代表的な存在となっている。」(甲6)の記載がある。
ウ 「日刊SPA!」のウェブサイトには,「【PCスキル】社会人として知らないとヤバいレベルは?」(2013年5月16日)の見出しの下,「◆最低限のパソコンスキル」の項があり,「【パソコン使えない度Check】」として「猿人級」に「Word,Excelのファイルの印刷ができない」及び「原人級」に「Word,Excel(マクロを除く)のファイルが作成できない」(甲12)との項目が掲載されている。
エ 「U−NOTE」のウェブサイトには,「事務の仕事をする上で必須となる3つのPCスキル」(2014年1月25日)の見出しの下,「1.入力と出力の作業ができること」の項の中に「Excelで四則演算,SUMやAVERAGEなどの簡単な関数,表やグラフが作成できること」(甲15)の記載がある。
オ 「Smaclub.jp」のウェブサイトには,「【MOS検定】Word・Excelは,仕事で必要となる必須スキル!!」(2015年8月1日)の見出しの下,「今となっては,業種・職種問わず,業務をする上で必須となるビジネスツールが『Word・Excel』ですね。」(甲23)の記載がある。
カ 「goo辞書」のウェブサイトには,「エクセル【Excel】の意味」として,「マイクロソフトオフィスエクセル」(甲24)の記載,「コトバンク」のウェブサイトには,「Excel エクセル」について,「ASCII.jpデジタル用語辞典の解説」として,「マイクロソフト社のOfficeに含まれる表計算ソフト。」及び「パソコンで困ったときに開く本の解説」として,「マイクロソフト製の表計算ソフトの名前です。現在,世界で最も広く普及している表計算ソフトです。」(甲25)の記載,「IT用語辞典 BINARY」のウェブサイトには,「Excel用語辞典」として,「【Excelとは】」の項に「読み方:エクセル/Excelとは,マイクロソフトが販売する表計算ソフトの名称である。特にWindows用のExcelは,従来の表計算や関数,グラフ作成の機能に加えて,企業での利用が増えているXMLへの対応を強化している・・・Excel 2003では,ファイルをXMLデータとして保存できるほか,XMLデータの定義を表示したり,その定義とExcelのシート内のデータとを簡単に対応付けられる。」(甲26)の記載がある。
キ 「英辞郎 on the WEB」のウェブサイトの「excel」の項には,「【自動】[資質・能力などの点で他の人・物よりも]優れている,勝る」及び「【他動】〜より秀でる,〜に勝る,〜をしのぐ[卓越する]」の記載及び「Excel」の項には,「【商標】[マイクロソフト社の]エクセル,Excel」(甲28)の記載がある。
(2)上記の事実からすれば,申立人は,ソフトウェア製品の開発・販売が主力事業とする1975年設立のアメリカの大手ソフトウェア企業であって,申立人が主力商品として開発,販売しているアプリケーションソフトの一つである申立人商品に,申立人使用商標を付しており,申立人商品は,我が国において遅くとも2003年頃から表計算ソフトとして使用され,業務上必要なパソコンスキル及び検定試験の科目に係るアプリケーションソフトにもなっており,業種・職種を問わず広く一般に使用されているといえる。
そうとすると,申立人使用商標は,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されていたというべきである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は,前記第1のとおり,「ExcelMonitor」の欧文字を標準文字で表してなるところ,語頭の「E」及び6文字目の「M」の文字が大文字で表されており,外観上「Excel」の欧文字と「Monitor」の欧文字の2語から構成されていることが明らかである。
そして,本件商標の構成中,前半の「Excel」の文字は,前記1のとおり,アプリケーションソフトの一つである申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時はもとより,登録査定時においても,既に,我が国のコンピュータを使用する取引者,需要者の間に広く認識されている申立人使用商標と,その綴りを同じくするものである。
他方,本件商標の構成中,後半の「Monitor」の文字部分は,例えば,「英和コンピュータ用語大辞典第3版」(日外アソシエーツ株式会社2001年1月26日発行)には,「監視する」や「監視プログラム」の意味,また,該語の解説として,「システムの監視をするためのハードウェアやソフトウェア.また,ディスプレイ装置を指すこともある.」との記載から,ディスプレイ装置のみならず,監視プログラムの意味をも認識するものとして知られているといい得るものであって,本件商標の指定商品は,ディスプレイ装置,ディスプレイ装置を使用する商品及びソフトウェアを含むものであるから,その指定商品との関係において,自他商品の識別標識としての機能は,さほど強いものとはいえない。
そうすると,本件商標をその指定商品に使用した場合,本件商標の構成中,注意を惹きやすい語頭に,著名な申立人使用商標と綴りを同じくした「Excel」の文字を有していることから,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標の構成中「Excel」の文字部分に強く印象づけられ,該商品が申立人又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認める。
3 本権商標権者の意見について
本件商標権者は,審決例,第三者登録例を挙げ,本件商標も出所の混同を生じない旨主張しているが,本件登録権者が挙げる審決例は,本件商標と商標の構成及び指定商品が異なるものであり,第三者登録例は「Excel」,「EXCEL」又は「エクセル」の文字を含むものであるとしても,その構成,態様は本件商標とは異なるものである。そうすると,本件商標と審決例,登録例は事案を異にするものであるから,これに基づく主張は採用することはできない。
4 結び
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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