Trademark Appeal Case
優先権主張の有効性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900336(T2016−900336/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5877169号商標(以下「本件商標」という。)は、「APPLE WATCH」の文字を標準文字で表してなり、2014年9月9日に域内市場における調和のための官庁においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年3月9日に登録出願、第35類ないし第38類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同28年7月21日に登録査定され、同年8月26日に設定登録されたものである。
2 引用出願
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、「APPLE WATCH」の文字を標準文字で表してなり、願書に記載した第42類に属する役務を指定役務とするものであって、平成26年9月10日に登録出願された商願2014―76292を最初の出願とし、その後4回の商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(以下「分割出願」という。)を経て、同28年10月11日に商願2016−66031に係る分割出願として登録出願されたもの(商願2016−110500。以下「引用出願」という。)である。
そして、職権調査によれば、引用出願は、平成29年3月14日付けで出願却下されている。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標はその指定役務中、第42類「全指定役務」について、商標法第8条第1項に違反し、同法第43条の2第1号に該当するので、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べている。
(1)本件商標の登録の有効性判断基準日について
本件商標については、平成26年9月9日に同盟第一国出願がされ、同27年3月9日に日本国特許庁に同盟第二国出願がされ、同年5月22日に優先権証明書提出書が提出され、同28年8月26日に設定登録されている。
しかし、審査段階において提出された優先権証明書提出書に添付された書類は適式な優先権証明書ではなく、パリ条約に基づく優先権主張は認められず、本件商標の有効性判断基準日は、同盟第二国出願である日本国特許庁における出願日になると判断される。具体的には、次に示すとおりである。
ア 平成27年5月22日に提出された優先権証明書提出書について
平成27年5月22日に提出された優先権証明書提出書に添付された書類(以下「添付書類」という。)は、データベースの抄録であり、優先権証明書ではない。即ち、添付書類は、データベースの内容が出願書類と相違のないことが明確に示されておらず、欧州共同体商標意匠庁が出願日付を証明する書面や出願書類と同様の事項を証明した書面とは認められず、パリ条約第4条D(3)を受けて規定された商標法第13条第1項で準用する特許法第43条第2項において規定する優先権証明書に該当するものではない。したがって、添付書類は適式な優先権証明書ではなく、パリ条約に基づく優先権主張は認められず、本件商標の有効性判断基準日は、同盟第二国出願である日本国特許庁における出願日である平成27年3月9日になると判断される。
イ 上記優先権主張無効の効果
したがって、最終的に、上記優先権主張無効の効果として本件商標の有効性判断基準日は、同盟第二国出願である日本国特許庁における出願日である平成27年3月9日になると判断される。
(2)引用出願の有効性判断基準日について
引用出願は、平成26年9月10日に原出願がされ、同27年3月20日に出願分割がされ、同年9月22日に出願分割がされ、同28年3月14日に出願分割がされ、同年6月16日に出願分割がされ、同年10月11日に出願分割がされたもので、引用出願の有効性判断基準日は、原出願日たる同26年9月10日である。
(3)登録異議理由
上記した先後願関係を前提として、本件商標は、先願に係る引用出願(当該引用出願から派生する出願分割に係る新たな商標登録出願を含む。)の商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても同一又は類似するとともに、本件商標の指定役務は、引用出願の指定役務と同一又は類似するので、商標法第8条第1項に違反し、商標法第43条の2第1号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第8条第1項の規定の適用について
ア 商標法第8条第1項は、「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」と規定し、また、同条第3項は「商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかったものとみなす。」と規定している。
そして、引用出願は、上記2のとおり平成29年3月14日付けで出願却下されているものであるから、商標法第8条第3項の規定により、同条第1項及び同条第2項の規定の適用については、初めからなかったものとみなされる。
そうすると、引用出願は、商標法第8条第1項の規定は適用されないこととなるから、本件商標は、引用出願との関係において同項の規定が適用されることはない。
イ 申立人は、引用出願にはそれから派生する出願分割に係る新たな商標登録出願を含む旨主張しているところ、職権調査によれば、引用出願の分割出願として平成29年3月5日に商願2017−27580が、さらにその分割出願として同年9月10日に商願2017−119466及び同年10月3日に商願2017−131744がそれぞれ出願されていることが確認できる。
しかしながら、(a)商願2017−27580は、引用出願の指定役務の全てを、(b)商願2017−119466は、商願2017−27580の指定役務の全てを、(c)商願2017−131744は、商願2017−27580の指定役務の範囲を超える商品及び役務をそれぞれ指定商品、指定役務としており、いずれも「・・・二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定する商標法第10条第1項の要件を満たしていない。
そうすると、これらの出願は、いずれも商標法第10条第1項の出願とは認められず、同条2項の規定は適用されないため、これらの出願の出願日はそれぞれが出願された日ということになるから、これらの出願は、上記アの判断に影響しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その登録異議の申立てに係る指定役務について、商標法第8条第1項に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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