Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900342(T2014−900342/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5712866号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年5月21日に登録出願、第3類「コラーゲンを配合したゲル状の化粧品,コラーゲンを配合したゲル状のせっけん類」を指定商品として、同年9月18日に登録査定、同年10月24日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標について、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下に示すとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録4559814号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成13年2月26日に登録出願、第3類「コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品」を指定商品として、同14年4月12日に設定登録され、その後、同23年11月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第5690452号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成26年3月7日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の歯磨き,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月1日に設定登録されたものである。
3 登録第5709694号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成26年5月15日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の歯磨き,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年10月10日に設定登録されたものである。
第3 登録異議申立ての理由
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1との類否
ア 本件商標と引用商標1とは、別掲1及び別掲2のとおり、いずれも商標を構成する要素が上下二段に分けて配置されている。
そして、本件商標は、上段に大文字及び小文字からなる「LoShi」の文字、下段に大文字からなる「PURE AQUA COLLAGEN GEL」の文字が配されているところ、その上下段の文字は、大きさが異なっている上、観念的な統一性もないことから、一般需要者は、これを全体観察するだけでなく、上段と下段とを分離して観察し、認識する。
他方、引用商標1は、上段に申立人であるドクターシーラボのハウスマークである「オリジナルな基本図形中にDr.Ci:Laboが記載された図形標章」(別掲5。以下「ドクターシーラボ標章」という。)、下段に「Aqua−Collagen−Gel」の文字が配されているところ、上段のドクターシーラボ標章は、申立人の周知なハウスマークであり、下段の文字は、申立人の周知な商品シリーズマークであるから、一般需要者は、これを常に全体観察するだけでなく、上段と下段とを分離して観察し、認識する。
イ 本件商標の下段の「PURE AQUA COLLAGEN GEL」の文字と引用商標1の下段の「Aqua−Collagen−Gel」の文字とは、いずれも自他商品識別力を有する要部であるところ、両者は、「PURE」の文字の有無という差異があるにすぎず、その「PURE」の文字も、「混ざりけのない、きれいな」といった意味を有する語であって、化粧品との関係においては、品質を表示するにすぎない。
そうすると、本件商標の下段部分からは「ピュアアクアコラーゲンゲル」及び「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じるのに対し、引用商標1からは「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じる。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼において類似する商標である。
(2)本件商標と引用商標2との類否
引用商標2は、別掲3のとおり、四角形、五角形及びリボン状の図形を組み合わせてなるものの構成中に「Aqua−Collagen−Gel」の文字を配してなるところ、当該文字は、上記(1)のとおり、自他商品識別力を有するものであるから、これより「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じることは明らかである。
してみれば、「ピュアアクアコラーゲンゲル」及び「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じる本件商標と引用商標2とは、称呼において類似する商標である。
(3)本件商標と引用商標3との類否
引用商標3は、別掲4のとおり、リボン状の図形中に「Aqua−Collagen−Gel」の文字を配してなるところ、当該文字は、上記(1)のとおり、自他商品識別力を有するものであるから、これより「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じることは明らかである。
してみれば、「ピュアアクアコラーゲンゲル」及び「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じる本件商標と引用商標3とは、称呼において類似する商標である。
(4)小括
本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、上記(1)ないし(3)のとおり、類似する商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標3の指定商品とは、同一又は類似するものである。
そして、引用商標1ないし引用商標3は、いずれも本件商標の登録出願日前に登録出願されたものである。
したがって、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用について
ア 皮膚科医である申立人の創業者は、1995年(平成7年)12月にスキンケア化粧品の開発に着手し、1998年(平成10年)には「万能保湿ゲル」の開発に成功した。
その後、上記「万能保湿ゲル」は、クリニックを訪れる患者を介して評判となり、多くの人がそれを求めるようになったことから、申立人は、1998年(平成10年)12月に、その商品(化粧品)のネーミングとして「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」を採択し(甲8)、その通販事業に乗り出した。それ以来、申立人は、「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」を多機能スキンケア化粧品についてのシリーズ化した商品名商標(プロダクトブランド)として使用している。
なお、「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の各商標は、いずれも特定の外国語などとしては存在しない造語であり、品質表示として普通に用いられていない標章からなるものである。
イ 申立人は、商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品について、その発売以来、改良を重ね、次に示すようにシリーズ化を進めてきた(甲8、甲10〜甲22)。
(ア)1998年(平成10年)12月
「アクアコラーゲンゲル」の発売開始(第1世代の商標使用)
(イ)1999年(平成11年)2月
会社を設立し、「アクアコラーゲンゲル」を始めとするスキンケア6商品の販売開始
(ウ)2001年(平成13年)11月
「薬用アクアコラーゲンゲル」発売開始(第2世代の商標使用)
(エ)2005年(平成17年)9月
「アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャー」発売開始(第3世代の商標使用)
(オ)2006年(平成18年)2月
「アクアコラーゲンゲル スーパーセンシティブ」新発売
(カ)2007年(平成19年)11月
「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフト」新発売
(キ)2008年(平成20年)9月
「薬用アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャー」新発売
(ク)2009年(平成21年)1月
「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフトEX」新発売
(ケ)2009年(平成21年)2月
「薬用アクアコラーゲンゲル スーパーセンシティブ」新発売
(コ)2010年(平成22年)8月
「薬用アクアコラーゲンゲル美白」新発売
(サ)2010年(平成22年)9月
「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフトボディ」新発売
(シ)2012年(平成24年)1月
「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフトEXスペシャル」通信販売先行発売
(ス)2012年(平成24年)6月
「アクアコラーゲンゲル BIHAKU スペシャル」対面型店舗先行発売
(セ)2012年(平成24年)10月
「アクアコラーゲンゲル クールメン」通信販売先行発売
(ソ)2013年(平成25年)1月
「アクアコラーゲンゲル アスタモイスト」生協限定発売
(タ)2013年(平成25年)1月
「アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャーEX」通信販売先行発売
(チ)2013年(平成25年)7月
「アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャーEX ダマスクローズ」新発売
(ツ)2013年(平成25年)11月
「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフトEX」リニューアル新発売
(2)商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品の販売個数について
商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品の累計販売個数は、2008年(平成20年)4月に1,000万個を超えた後、2010年(平成22年)4月に1,500万個、2011年(平成23年)6月に2,000万個、2013年(平成25年)1月に2,500万個、2014年(平成26年)6月に3,000万個に達しており、ロングヒット商品となっている(甲8、甲9、甲25)。
(3)申立人の売上高の推移及びその売上高に対する商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品の貢献度について
ア 申立人の売上高は、2000年(平成12年)1月には3.3億円であったが、その後漸増し、2005年(平成17年)1月ないし2013年(平成25年)7月の間の推移は、次に示すとおりである(甲23、甲24)。
(ア)2005年(平成17年)1月決算 15,187,760(千円)
(イ)2006年(平成18年)1月決算 16,978,759(千円)
(ウ)2007年(平成19年)1月決算 18,837,248(千円)
(エ)2007年(平成19年)7月決算 9,077,864(千円)
(オ)2008年(平成20年)7月決算 21,618,423(千円)
(カ)2009年(平成21年)7月決算 25,899,885(千円)
(キ)2010年(平成22年)7月決算 31,789,535(千円)
(ク)2011年(平成23年)7月決算 36,233,237(千円)
(ケ)2012年(平成24年)7月決算 39,082,421(千円)
(コ)2013年(平成25年)7月決算 33,990,388(千円)
イ 申立人の売上高において、商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品の売上げが占める構成比は、2009年(平成21年)7月決算期から2013年(平成25年)7月決算期までの間、約35%ないし39%で推移しており、当該化粧品は、主力商品として、申立人の事業発展に貢献している。
(4)申立人の事業発展と化粧品業界での地位について
ア 申立人は、1999年(平成11年)2月に商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品等の通信販売を開始して以来、順次、事業展開を進めている(甲23、甲24)。申立人の販路は、2013年(平成25年)7月現在、通信販売を主とするほか、対面型店舗販売(全国157店舗)、卸売販売(ドラッグストア等10,369店舗)であり、海外では韓国、中国、香港、台湾及びシンガポールに20店舗を設けている(甲25)。
また、申立人は、会報誌、雑誌、テレビ、ラジオ、新聞、インターネット、ダイレクトメール、メールマガジンなどといった多様な媒体を利用した広告宣伝を行っており、その費用は、2006年度から2012年度までの間の総額で32,746,998(千円)に達している。
イ 申立人は、スキンケアを得意とするドクターコスメのリーディングカンパニーとして、確固たる地位を築いており、商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」の使用に係る多機能スキンケア化粧品を基幹とするモイスチャー品目における2012年度のメーカーシェアは11.6%、ブランドシェアは11.3%を確保している(甲26)。
また、ドクターコスメの企業別シェアにおいて、申立人は、2012年度の市場シェアで45%を占めており、2013年度では、市場シェアが45.3%、ブランドシェアが42.6%で1位となっている(甲27)。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、商標「Aqua−Collagen−Gel」及び「アクアコラーゲンゲル」は、申立人の業務に係る商品であることを表すものとして、需要者の間で広く知られており、申立人のブランドとしても広く認識されているものであり、周知商標になっている。
したがって、本件商標は、他人の周知商標に類似する商標であって、同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同項第11号に該当するものであるから、その登録は、取り消されるべきである。
第4 本件商標に対する取消理由
審判長は、平成29年9月7日付け取消理由通知書をもって、本件商標権者に対し、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似する商標であり、かつ、引用商標1及び引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記第4の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)申立人の主張及び同人提出の甲各号証並びに当審における職権調査によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人及びドクターシーラボ標章について
(ア)申立人は、平成11年2月の会社設立以来、スキンケア化粧品の製造、販売を行っている会社(なお、2015年(平成27年)12月、「株式会社シーズ・ホールディングス」に商号変更し、持株会社へ移行している。)であり、特に、ドクターズコスメ(主として、皮膚科医や美容外科医が開発に携わっている、若しくはそれらの研究データを基に作られた化粧品・医薬部外品)の分野において、パイオニア的な存在として急成長を遂げた企業である(甲26、甲27、別掲6(1)ア及び(2))。
申立人は、通信販売を主たる販路として、自己の商品を販売しており、国内の通信販売に係る登録会員数は、平成26年7月時点において、約1,045万人に達している。また、申立人は、国内においては、直営店や百貨店等における店舗販売(平成26年7月時点において、164店舗)やドラッグストア等への卸売販売を行い、さらに、香港、台湾等のアジア地域での店舗販売、卸売販売(平成26年7月時点において、直営店舗20店舗)も行っている(別掲6(1)イ(ウ))。
そして、上記販売による申立人の売上高は、平成17年2月から同18年1月までの時点では年間約170億円だったものが、その後徐々に売上げを伸ばし、同25年8月から同26年7月までの時点では約360億円に達している(甲23、別掲6(1)ウ)。
また、申立人は、平成23年度のスキンケア市場のメーカーシェアにおいて、資生堂、花王、カネボウ化粧品等の大手メーカーの中で第9位(シェア2.7%。なお、第1位の資生堂のシェアは12.2%)に位置しており、さらに、ドクターズコスメの分野でみれば、平成24年度の企業別シェアで45%を占め、他を大きく引き離して第1位(第2位のロート製薬のシェアは7.5%)に位置している(甲26、甲27)。
(イ)申立人は、平成27年12月に自己の商号を変更するまでは、自己の製造、販売に係る商品の広告や自社のウェブサイトなどにおいて、ドクターシーラボ標章を表示してきており、また、その製造、販売に係る個々の商品の容器には、ドクターシーラボ標章の下に、当該個別の商品の商品名を表す文字を組み合わせた標章を表示している(甲8ないし甲22、甲25、別掲6(4)ないし(8))。
イ アクアコラーゲンゲル化粧品について
(ア)発売の経過等
申立人は、平成11年2月の会社設立当初から、ドクターズコスメに属する商品の1つとして、「アクアコラーゲンゲル」の名称を付した、コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品(アクアコラーゲンゲル化粧品)を製造、販売している。
その後、申立人は、アクアコラーゲンゲル化粧品について、それぞれ特定の効能を追求した複数の種類の商品を販売するようになった。具体的には、例えば、平成13年11月には、薬用化を図った「薬用アクアコラーゲンゲル」を、同17年9月には、保湿力を重視した「アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャー(Super Moisture)」を、同19年11月には、リフトケアに特化した「アクアコラーゲンゲル エンリッチリフト(Enrich−Lift)」を、同22年8月には、美白ケアを重視した「薬用アクアコラーゲンゲル 美白」をそれぞれ発売し、これらの商品をアクアコラーゲンゲル化粧品に属するシリーズ商品として販売するようになり、現在に至るまで継続して販売している(以下、「アクアコラーゲンゲル化粧品」という場合は、このような複数の種類の商品からなるシリーズ商品全体を意味する。)。
そして、上記したアクアコラーゲンゲル化粧品の容器には、いずれもドクターシーラボ標章の下に「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字が組み合わされた標章(色彩を異にするものも含め、いずれも引用商標1と実質的に同一といえるもの。)が表示され、さらに、その下に、各種の商品ごとに付加された名称(例えば、上記「Super Moisture」など)が欧文字や漢字で表示されている(甲8ないし甲22、別掲6(1)ア及び(3))。
(イ)販売実績
申立人におけるアクアコラーゲンゲル化粧品の累計販売個数は、平成14年11月に100万個を超え、その後、同20年4月に1,000万個、同23年6月に2,000万個を超えて、同26年7月には3,000万個に達している(甲8、甲25、別掲6(1)エ)。
また、アクアコラーゲンゲル化粧品の売上高及びその売上高が申立人の製造、販売する商品の売上高全体に占める割合は、例えば、平成23年8月から同24年7月までの時点では約143億円及び36.8%、同24年8月から同25年7月までの時点では約121億円及び35.8%となっており、その割合については、同20年8月から同23年7月までの間においても、常に35%を上回っているとされている(別掲6(1)イ(ア)及び(イ))。
(ウ)宣伝及び広告の状況
申立人は、アクアコラーゲンゲル化粧品について、そのシリーズ商品の1つが発売されるごとに「News Release」を発しているほか、新聞、雑誌(主に女性誌)、会報誌等の様々な媒体を通じて宣伝及び広告を行っており、2006年度から2012年度までの間に、総額で約327億円の費用をかけているとされている(甲10ないし甲22、別掲6(4)ないし(6))。
また、申立人は、サンリオ、日本航空等の企業と共同して、コラボレーション商品を販売するなどの企画も行っており、それらが専門紙で取り上げられるなどしている(別掲6(8))。
そして、上記宣伝及び広告の多くにおいては、「ドクターシーラボ」という企業名やドクターシーラボ標章が表記され、また、「アクアコラーゲンゲル○○」(「○○」の部分は、「スーパーモイスチャー」等、アクアコラーゲンゲル化粧品に属する各種の商品ごとに付加された名称。)の商品名が片仮名等で表記されるとともに、上記(ア)において述べた標章(ドクターシーラボ標章の下に「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字が組み合わされ、さらに、その下に、各種の商品ごとに付加された名称が表示されたもの。)が付されたアクアコラーゲンゲル化粧品の容器の画像が表示されている。
(エ)人気投票等における受賞歴等
申立人のアクアコラーゲンゲル化粧品は、平成16年から同26年までの間、通販サイトの人気投票等において、様々な賞を受賞している(別掲6(7))。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、本件商標の登録査定時(平成26年9月18日)において、申立人は、我が国のスキンケア市場における有力メーカーの一つであり、とりわけドクターズコスメの分野では、パイオニア的な存在であるとともに、圧倒的なシェアを誇るトップメーカーであって、スキンケア化粧品やドクターズコスメの取引者、需要者に広く知られる存在であったといえ、また、申立人が製造、販売する商品の中でも、アクアコラーゲンゲル化粧品は、申立人の設立当初から15年以上にわたって継続的に販売される主力商品であり、大規模かつ長年に及ぶ宣伝及び広告等により、近年においては、年間100億円を超える売上高を維持し、各種の人気投票等でも常に上位にランクされるなど、人気商品としての地位を確立し、スキンケア化粧品やドクターズコスメの取引者、需要者に広く知られていたといえる。
そして、アクアコラーゲンゲル化粧品に係る上記宣伝及び広告等の多くにおいては、「アクアコラーゲンゲル」という商品名の片仮名表記とともに、当該化粧品容器の画像が表記され、その中には、ドクターシーラボ標章の下に「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字が組み合わされた標章(引用商標1と実質的に同一の標章)が表示され、さらに、その下に、各種の商品ごとに付加された名称(「Super Moisture」等)が表示されていることが認められる。
そうすると、アクアコラーゲンゲル化粧品の商品名を片仮名で表記した「アクアコラーゲンゲル」の標章及び引用商標1は、本件商標の登録査定時(平成26年9月18日)において、申立人が製造、販売するアクアコラーゲンゲル化粧品を表示する商標として、全国のスキンケア化粧品やドクターズコスメの取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認めることができる。
ところで、商品の製造、販売を行う企業においては、その企業自体の営業標識となるロゴやマーク(いわゆるハウスマーク)を用いるほかに、商品のブランド名を表す商標を用いる場合があり、その中でも、シリーズ商品や一定のカテゴリーに属する複数の商品群に統一的な商標(いわゆるファミリーマーク)を使用した上で、その中の個々の商品について、ファミリーマークに付加して個別の商品を識別するための標章(いわゆるペットマーク)を使用することが一般的に行われており、また、これらのマークを組み合わせて使用することも一般的に行われている。
そこで、上記のような取引の実情を踏まえてみると、上述した宣伝及び広告等におけるアクアコラーゲンゲル化粧品の容器の画像中の標章に接した取引者、需要者においては、その構成中のドクターシーラボ標章については、企業名である「ドクターシーラボ」の欧文字表記に相当する「Dr.Ci:Labo」の文字を含む図形であり、申立人の広告等の中で単独でも用いられていることから、申立人のハウスマークに相当するものとして認識し、また、その下の「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字については、アクアコラーゲンゲル化粧品について共通して用いられる「アクアコラーゲンゲル」の商品名を欧文字表記したファミリーマークに相当するものとして認識し、さらに、その下の「Super Moisture」等の表示については、アクアコラーゲンゲル化粧品のシリーズにおける個別の商品を識別するためのペットマークに相当するものとして認識し、全体として、これらのマークが組み合わされた商標であると自然に理解するものと考えられる。
してみれば、引用商標1は、その全体が申立人が製造、販売するアクアコラーゲンゲル化粧品を表示するというのみならず、その構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分のみをとらえても、アクアコラーゲンゲル化粧品を示すファミリーマークに相当するものとして独立の商品識別機能を果たしているというべきであり、引用商標1及びその構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分は、全国のスキンケア化粧品やドクターズコスメの取引者、需要者の間において、そのようなものとして認識され、広く知られていたということができる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「LoShi」(2字目の「o」の文字の上部には、小さな「v」の文字様の記号が付されている。以下同じ。)の文字と「PURE AQUA COLLAGEN GEL」の文字とを上下二段に横書きしてなるところ、上段の文字と下段の文字とは、大きさが明らかに異なること、上段の文字が大文字と小文字の組合せからなるのに対し、下段の文字は全て大文字で表されていること、上段の文字数と下段の文字数との違いにより、両者の文字列全体の幅が大きく異なるといった相違があることからすれば、上段の文字と下段の文字とは、外観上、明瞭に区別して認識されるものといえる。
また、本件商標の構成中、上段の「LoShi」の文字からは、特定の観念を生じるとはいえないのに対し、下段の「PURE AQUA COLLAGEN GEL」の文字については、「PURE」は「純なさま」を、「AQUA」は「水」を、「COLLAGEN」は「コラーゲン(硬たんぱく質の一種)」を、「GEL」は「コロイド溶液がゼリー状に硬化したもの」を、それぞれ意味する外国語として一般的に知られていることから、これらを組み合わせた観念を生じることが考えられるが、当該「LoShi」の文字と結びついた観念を生じるものではないから、上段の文字と下段の文字とは、観念上、特段の結びつきがあるものではなく、明瞭に区別して認識されるものといえる。
さらに、上記(2)で述べたとおり、「アクアコラーゲンゲル」の標章及び引用商標1の構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分が、申立人の製造、販売するアクアコラーゲンゲル化粧品を示すものとして、スキンケア化粧品やドクターズコスメに係る全国の取引者、需要者に広く認識されている事実からすれば、本件商標がその指定商品である「コラーゲンを配合したゲル状の化粧品,コラーゲンを配合したゲル状のせっけん類」に使用された場合、これに接した取引者、需要者が、スキンケア化粧品等の分野において周知な「アクアコラーゲンゲル」の標章や「Aqua−Collagen−Gel」の文字と称呼や欧文字のつづりを共通にする下段の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分に特に注目することは、自然にあり得ることであるといえる。
そうすると、本件商標においては、その構成中の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の識別標識として、強く支配的な印象を与える部分として認識されることがあるというべきであるから、当該部分を本件商標の要部として把握することが可能であり、そこから、「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じるとともに、申立人の製造、販売する人気のシリーズ商品であるアクアコラーゲンゲル化粧品の観念を生じるものと認めることができる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、リボン状の図形の中に「Dr.Ci:Labo」の欧文字を白抜きで表記したもの(ドクターシーラボ標章)の下方に、「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字を配してなる結合商標であるところ、その構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分が、申立人の製造、販売するアクアコラーゲンゲル化粧品を示すファミリーマークに相当するものとして独立の商品識別機能を果たし、そのようなものとして全国のスキンケア化粧品やドクターズコスメの取引者、需要者の間において広く認識されていることは、上記(2)で述べたとおりである。
したがって、引用商標1においても、その構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分を要部として把握することが可能であり、そこから、「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じるとともに、申立人の製造、販売する人気のシリーズ商品であるアクアコラーゲンゲル化粧品の観念を生じるものと認められる。
(イ)引用商標2は、別掲3のとおり、リボン状の図形の中に「Aqua−Collagen−Gel」の欧文字を白抜きで表記してなる商標であるところ、これから、当該欧文字部分に対応する「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生じることは明らかである。
また、「アクアコラーゲンゲル」の標章及び引用商標1の構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分が、申立人の製造、販売するアクアコラーゲンゲル化粧品を示すものとして、スキンケア化粧品やドクターズコスメに係る全国の取引者、需要者に広く認識されている事実からすれば、引用商標2からは、申立人の製造、販売する人気のシリーズ商品であるアクアコラーゲンゲル化粧品の観念を生じるものと認められる。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成からなるものであるから、本件商標と引用商標1、本件商標と引用商標2のいずれの比較においても、商標全体の外観においては異なるものの、本件商標の構成中の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分と引用商標1及び引用商標2の構成中の「Aqua−Collagen−Gel」の文字部分とはつづりを共通にし、それぞれから生じる称呼及び観念においては、いずれも共通する商標であり、取引者、需要者にとって、互いに紛らわしく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといえるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、類似する商標というべきである。
また、本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、第3類「コラーゲンを配合したゲル状の化粧品,コラーゲンを配合したゲル状のせっけん類」であるから、引用商標1の指定商品と同一又は類似するものであり、引用商標2の指定商品中の第3類「コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品」と同一又は類似するものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似する商標であり、かつ、引用商標1及び引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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