Trademark Appeal Case
称呼類似と外観の相違
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−14002(T2017−14002/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「サネイ」の片仮名を標準文字で表してなり,第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品とし,平成27年6月5日に登録出願された商願2015−53317に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同年10月30日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同29年4月7日付け手続補正書により,第6類「金属製水栓柱,建築用排水口金具,金属製雨水ます,金属製手すり,水道管,金属製排水管,建築用又は構築用の金属製専用材料」とされたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第795536号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,昭和42年1月25日に登録出願され,第7類「建築又は構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として,同43年10月16日に設定登録され,その後,4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,また,平成21年2月25日に指定商品を第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」,第11類「便所ユニット,浴室ユニット」及び第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス」とする指定商品の書換登録がされたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は,前記1のとおり,「サネイ」の片仮名を標準文字で表してなるところ,これからは「サネイ」の称呼が生じる。そして,該「サネイ」の片仮名は,辞書類に掲載がないことから,特定の観念を生じないというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は,別掲のとおり,「Sanei」の欧文字を筆記体風の書体で表してなるところ,該「Sanei」の文字は,英語辞書等に載録された成語ではなく,引用商標の指定商品の分野において特定の意味合いを表す語として使用されている実情も見受けられないものであるところ,そのような欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるものである。
そうすると,本願商標は,その構成文字に相応して,これを英語風又はローマ字風に発音した「サネイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。加えて,本願商標は,その構成を「Sa」「n」「e」「i」と区切ってローマ字風に読むことも可能であることから「サンエイ」の称呼をも生じ,これを読みとする日本語「山影」は,「山の姿。また、物にうつった山のかげ。」を表す語として株式会社岩波書店発行広辞苑第六版に掲載されてはいるものの,かかる意味合いにおいて,漢字ではなく欧文字で表すことが我が国で一般的に慣れ親しまれている語とはいい難いことから,特定の語義を想起しない一種の造語として認識され,これより,特定の観念は生じないと判断するのが相当である。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標とは,上記(1)及び(2)のとおり,外観においては,片仮名及び欧文字という文字種を異にするところがあるものの,称呼においては,本願商標と引用商標は,「サネイ」の称呼を共通にするものであり,また,観念においては,両者はいずれも特定の観念を生じないから,比較することができないものである。
そして,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で平仮名,片仮名及びローマ字等相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般に行われている取引の実情があることに加え,特定の観念を有しない文字商標においては,観念において商標を記憶できず,称呼において記憶し,これを頼りに取引に当たることがすくなくないというのが相当である。
以上によれば,本願商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,上記取引の実情を考慮すると,両者の外観が相違するとしても,観念において比較できず,取引上必要な役割を果たす称呼を共通にするものであるから,商標の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(4)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は,引用商標より,「サンエイ」「サニイ」「サニー」「エスエーエヌイーアイ」「エスアネイ」「エスアニイ」などとともに「サネイ」なる発音法も不可能ではないとしても、これが唯一の自然な称呼ではない旨主張する。
しかしながら,請求人が主張するように,引用商標から複数の称呼を生ずることを否定するものではないが,引用商標に接した取引者,需要者が一種の造語である「Sanei」の文字を「サネイ」と称呼することが不自然であるというような,格別の事情があるものとも言い難い。また,上記(2)で述べたとおり,一つの商標から二つ以上の称呼が生じることはあり得るのであり,その場合,一つの称呼が他人の商標の称呼と同一又は類似であるといえないとしても,他の称呼が他人の商標のそれと類似するときは,両商標は称呼上,類似するものと解するのが相当である。
イ 請求人は,審判請求書に係る証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出し,引用商標権者の店舗の看板において,引用商標「Sanei」の右側に「株式会社三栄商会」と表されていることから,「株式会社三栄商会」の「三栄」を「サネイ」と発音することはありえない旨主張する。
しかしながら,請求人が提出した証拠において,引用商標権者の店舗の看板に引用商標「Sanei」及び「株式会社三栄商会」の文字が表されていることは認められるものの,商標の類否判断にあっては、実際に使用されている商標を比較対象とするのではなく,商標登録出願の書面に記載された本願商標と引用商標を比較するべきであるから,請求人の主張を採用することはできない。
ウ 請求人は,市場における取引に際し,電話や口頭で取引されるとしても,現在の市場においては,ファクシミリやネット通信など文字を介した商品の取引,購入が基本であるから,構成文字が相違する本願商標「サネイ」を付した商品と,引用商標「Sanei」が付された商品について,誤って発注,発送し,消費者が誤って購入するなど,市場における取引の実際において,混同を生じることは想定できない旨主張する。
しかしながら,商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的,恒常的なそれを指すものであって,単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的なそれを指すものではないと解される(最高裁昭和47年(行ツ)第33号・昭和49年4月25日第一小法廷判決参照)ところ,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,その流通経路は,ファクシミリやインターネット販売に限定されるという証左もないことからすれば,かかる点については,指定商品全般についての一般的,恒常的な取引の実情と認めることはできない
エ 請求人は商標の類否判断について,称呼が同一でも非類似とされた過去の判例(甲第11号証ないし甲第13号証及び甲第19号証)及び審決例(甲第14号証ないし甲第18号証)があることからすれば,本願商標についても同様に判断すべき旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは,査定時又は審決時における事情に基づき個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた例があるからといって,本願商標も登録すべきであるということにはならない。
オ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(6)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する
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