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Trademark Appeal Case

EBD略称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第4928号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「EBD」の文字を書してなり、第12類に属する商品を指定商品として、平成9年9月17日に登録出願、その後、指定商品については、平成10年12月18日付の手続補正書により、「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、ブレーキの利きを向上させる新開発技術である、電子制御制動力配分システム(ELECTRONIC BRAKE FORCE DISTRIBUTION)の略称として新聞報道もされている、『EBD』の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものであるから、これを本願指定商品中、『制動装置』に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標を構成する「EBD」の文字について自動車業界の実情をみるに、原査定において示した新聞記事(本田技研工業の開発に係るブレーキの新技術「電子制御制動力配分システム(EBD)」を報道する平成9年9月22日付日経産業新聞 外1件)の外にも以下の事実が認められるところである。

(1)「日産自動車、ルネッサ一部改良、走行性能など向上(ニューモデル)」との見出しのもと、「日産自動車はRV(レクリエーショナル・ビークル)『ルネッサ』を一部改良して発売した。二輪駆動車に無段変速機を搭載したり、全車にEBD(電子制御制動力配分システム)を採用するなど、燃費や走行性能の向上を目指した。」(2000年1月18日付 日経産業新聞)

(2)「カペラを一部改良マツダが来月発売」との見出しのもと、「【広島】マツダは小型ステーションワゴン『カペラワゴン』と小型セダン『カペラ』をマイナーチェンジ(一部改良)し、マツダ、マツダアンフィニ両系列ディーラーを通じ11月1日に発売する。全車にEBD(電子制御制動力配分システム)を標準装備したほか、マニュアル感覚を高めたAT(自動変速機)搭載車も設定した。」(1999年10月18日付 日経産業新聞)

(3)「1997/09/19 本田技研工業(株)は、ブレーキの利きを向上させる新技術として、電子制御制動力配分システム「EBD(Electronic Brake force Distribution)」を実用化、国産車で初めて今秋発売の新型車に適用する。 .........このEBDは、電子制御により、軽積載から重積載までの全ての積載状態において、前後の制動力配分を制御するシステムで、ブレーキの利きを安定させ、特に重積載時の制動性能を向上させる効果がある。」(インターネットアドレス http://www.honda.co.jp/tech/auto/1997/970919b1.html)

(4)「エンジンからブレーキまで総合制御するコントロール性能 4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、ABS、ABSの効果を高めるブレーキアシスト、さらに乗員数に応じて前・後輪の制動力を電子制御により適切に配分するEBD(電子制御制動力配分システム)を採用。」(インターネットアドレス http://www.nissan.co.jp/CEDRIC/Y34/9906/SAFTY/safty_1.html)

(5)「クラウンは、.........また、EBD(電子制動力配分制御)付ABSやブレーキアシストなど、高い基本性能と最新の運転支援技術が、大いなる安心感をもたらします。」(インターネットアドレス http://www.kokusai.com/toyota/car/to_athlete_eng.html)

(6)「先進の安全性と環境への配慮.........ボディはマツダの高剛性.........アクティブセーフティ:前述の先進的なサスペンション機構に加えてブレーキシステムにABSとEBD(*3)を組み合せ、高い走行安定性と危険回避性能を獲得している。.........(*3)EBD: Electronic Brake force Distribution(電子制御制動力配分システム)」(インターネットアドレス http://www.mazda.co.jp/Publicity/Public/9910/991020/.html)

(7)「アウディ全車のフロントブレーキにはベンチレーテッドディスクを採用。アウディS4は.........さらに、EBD(エレクトリックブレーキ圧配分)付ABS(アンチロック ブレーキ システム)、.........の装備により、安全性の向上をはかっています。」(インターネットアドレス http://www.audi.co.jp/models/data/disk.html)

これらの事実よりすれば、「EBD」の文字は、「電子制御制動力配分システム(ELECTRONIC BRAKE FORCE DISTRIBUTION)」というブレーキシステムを指称する略語として複数の自動車会社により取引上普通に使用されていると認め得るものであり、かつ、前記一般紙、業界紙その他の報道状況よりして、需要者一般においても相当程度認識せられたものとみて差支えないものと認められる。

加えて、請求人会社は、1999年10月1日、ロバート・ボッシュゲーエムベーハー社、自動車機器株式会社、株式会社ナブコ、日本エービーエス株式会社及び株式会社ゼクセルの各社(5社)を母体とする乗用車ブレーキ事業の専門会社として設立された会社であることはすでに周知の事実であって、請求人は、当業界において前記のブレーキ技術が「EBD」と称され、取引上実際に使用されている状況を知悉していたことを推認するに難くないものである。

したがって、本願商標をその指定商品中「制動装置」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は前記事情よりして、それが上記のブレーキであること、また、「自動車」に使用するときには、それが上記のブレーキを使用した自動車であること、すなわち、商品の品質・構造を表示したものと理解するに止まり、それをもって、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。また、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

請求人は、この点に関し、「ある商標が特定の概念を意味する語として取引者、需要者に受け取られるものかどうかの判断の認定は、より多数の技術文献や用語辞典の類の刊行物を勘酌して行うべきである。」と主張している。

しかしながら、ある商標が商品の品質表示等であるか否かの判断を行うに当たって、当該商品が実際の流通過程に置かれていて、その商標が一般的に使用されているとか、あるいは将来必ず一般的に使用がされるものと推認できるときには、当該商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべく、その出所識別の機能を十分発揮するとみるのは困難といわざるを得ない。

してみれば、本願商標の採択の意図(理由)に関する事情に言及することなく、多数の技術文献や用語辞典等の刊行物における記載がないことのみの理由を一方的に述べる請求人の主張は適切でなく、採用することができない。

さらに、請求人は、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断時期を、拒絶理由通知の通知時期を基準にすべき旨、また、当該認定の根拠資料の発行・掲載等の期日等について種々述べているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該出願の査定時または審決時を基準とすべきものと解されるから、その主張は適切でなく、採用することができない。

したがって、前記認定と同旨の理由をもって本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するとした原査定の認定・判断は妥当なものであって、これを取り消す限りではない。

よって、結論のとおり審決する。

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