Trademark Appeal Case
欧文字商標の類似判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900367(T2016−900367/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5877193号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成27年12月2日に登録出願され、第8類「かみそり(電動式のものを含む。),かみそり用容器,ひげそり用の刃,ひげそり用具入れ,電動式又は非電動式ひげそり,電動式又は非電動式かみそり,頭髪カール器,ヘアアイロン,かみそり,カールごて,つめ磨き,電気式つめ磨き,つめ切り,マニキュアセット,ピアス用耳穴あけ器,電気式マニキュアセット,入れ墨用器具」及び第10類「外科用の装置及び器具,身体用マッサージ機器,医療用噴霧器,マッサージ機器,医療用機械器具,振動マッサージ器,医療用身体訓練用器具,医療用分析装置,医療用温熱療法用装置,医療用リハビリテーション機械器具,電気治療装置,医療用紫外線ランプ,医療用レーザー発生装置,医療用紫外線フィルター,物理療法用機械器具,灸治療用の医療装置,医療用超音波装置,医療用紫外線殺菌ランプ,植毛用人工毛髪」を指定商品として、同28年8月10日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるとして、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という場合がある。)は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5557447号商標(甲2:以下「引用商標1」という。)は、「OLAY」の文字を標準文字で表してなり、平成24年8月14日に登録出願され、第8類「かみそり及びかみそりの刃並びにこれらの部品及び附属品,ディスペンサーに入ったかみそり刃及びこれらの部品及び附属品,ホルダーに入ったかみそり刃及びこれらの部品及び附属品,カセットに入ったかみそり刃及びこれらの部品及び附属品,カートリッジに入ったかみそり刃及びこれらの部品及び附属品,手動利器」を指定商品として、同25年2月15日に設定登録されたものである。
(2)登録第5404922号商標(甲3:以下「引用商標2」という。)は、「VENUS & OLAY」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月29日に登録出願され、第8類「かみそり及びかみそりの刃並びにこれらの部品及び附属品,ディスペンサーに入ったかみそりの刃,カセット入りのかみそりの刃,ホルダーに入ったかみそりの刃,カートリッジに入ったかみそりの刃,かみそり及びかみそりの替刃の専用収納ケース」を指定商品として、同23年4月8日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標と引用商標との類否
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。この説示に基づいて、以下に本件商標と引用商標の類否について検討する。
ア 外観における対比
本件商標は、「mLAy」の欧文字を同字同大で横書きにしてなるものであり、これに対して、引用商標1は「OLAY」の欧文字を、また、引用商標2は「VENUS & OLAY」の欧文字を、いずれも標準文字をもって表してなるものである。ここで、引用商標2については、既成語である「VENUS」と造語である「OLAY」の文字を記号の「&」でつないで構成されている商標であり、各々独立して認識される態様のものである。
本件商標の構成文字「mLAy」と引用商標の「OLAY」の文字とを比較すると、いずれも欧文字4文字で構成されており、そのうち後半部分の「LAY」の3文字が共通している。本件商標の文字態様は、ゴシック調のシンプルなものであるため、対比する商標において、外観上最も看者に強い印象を与えるのは、構成文字の共通性であると考えられる。
したがって、本件商標と引用商標とは、商標の構成上有する外観的形象において相紛らわしいものである。
イ 称呼における対比
本件商標は、その構成文字に照応して、「ムレイ」又は「エムレイ」の称呼が生じ得るものである。一方、引用商標からは、「OLAY」の文字に照応して「オレイ」の称呼が生ずる。
両者の称呼を比較すると、本件商標と引用商標は、語頭の音は相違するものの、語尾の「レイ」において称呼を同じくするものであり、全体として近似した語感を有するものといえる。また、本件商標から「ムレイ」の称呼が生じるとした場合には、差異音である「ム」と「オ」は共に後舌奥母音であることから、両者は調音が近似する音にあたる。
したがって、本件商標と引用商標は、全体として語感や調音が近似するものであり、称呼上、相紛らわしいものである。
(2)指定商品の類否
ア 商標審査において類似と推定される指定商品について
本件商標に係る指定商品中の「かみそり(電動式のものを含む。),ひげそり用の刃,電動式又は非電動式ひげそり,電動式又は非電動式かみそり,かみそり,つめ磨き,つめ切り,入れ墨用器具」は、引用商標1に係る全指定商品及び引用商標2に係る全指定商品と商標の審査において類似と推定されるものである(類似群コード:13A01)。
イ 上記以外の商品について
商品の類否については、(i)生産部門、(ii)販売部門、(iii)原材料及び品質、(iv)用途、(v)需要者の範囲が一致するかどうか、又は(vi)完成品と部品との関係にあるかどうかを総合的に考慮して判断されることに鑑みれば、本件商標に係る第8類の指定商品中の「かみそり容器,ひげそり用具入れ」は、引用商標に係る指定商品「かみそり」等を収納するための商品であり、通常、かみそりとセットで販売されたり、小売店内の同じ売り場で販売されたりすることが多い商品である。したがって、両者の指定商品は、それに同一又は類似の商標を使用すれば、同一営業主の販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある可能性が高く、需要者層も一致することから、互いに類似する商品というのが相当である。
また、本件商標に係る第8類の指定商品中の「頭髪カール器,ヘアアイロン,カールごて,電動式つめ磨き,マニキュアセット,ピアス用耳穴あけ器,電動式マニキュアセット」は、いずれも外見上の身だしなみを整えるのに用いられる商品であるという点で、引用商標の指定商品と共通している。したがって、両者の指定商品は用途が一致しており、一定の需要者の範囲が一致すると考えられることから、互いに類似する商品というのが相当である。
さらに、本件商標に係る第10類の全指定商品は、いずれも医療目的で人の顔や身体に用いられる器具・装置であり、人の顔や身体に適用されるという点及びかみそりを用いた他人の剃毛は医療行為に当たるという点で、引用商標の指定商品と共通している。したがって、両者の指定商品は用途が一致すると考えられ、互いに類似する商品というのが相当である。
(3)結論
以上のとおり、本件商標と引用商標は、その外観及び称呼において互いに相紛らわしく、特に欧文字4字のうち3字が共通する点において類似する商標である。また、本件商標と引用商標の指定商品は、互いに類似する商品である、又は、取引の実情に鑑みれば類似するものの範囲に含まれる商品であると考えられる。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、構成各文字は、欧文字の小文字と大文字とが混在しているものの、「m」「L」「A」「y」の4文字とも上下の位置をそろえるように縦の長さを等しくした大きさ、また、横線に対し縦線が極太にした特徴のある書体をもって表され、視覚的に統一感のある印象を与えるものである。
そして、「mLAy」の文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、本件商標は、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものであり、その構成文字に相応して、英語読み風に「ムレイ」の称呼を生じるというのが相当である。また、本件商標からは、特定の観念を生ずることはないというべきである。
(2)引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「OLAY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、本件商標は、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものであり、その構成文字に相応して、英語読み風に「オレイ」の称呼を生じるというのが相当である。また、引用商標1からは、特定の観念を生ずることはないというべきである。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「VENUS & OLAY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、2か所のスペースを介して、「VENUS」、「&」及び「OLAY」の文字及び記号からなるものであると直ちに看取されるものの、これらは、同じ書体及び同じ大きさをもってまとまりよく横一連に表されているものである。そして、「VENUS」の文字が「ビーナス(《ローマ神話》愛と美の女神)」の意味を有する一般に慣れ親しまれた英語等である一方、「OLAY」の文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであるものの、引用商標2に係る指定商品との関係から、前者が自他商品を識別する機能がないとはいえないこと、また、後者が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるような事情も存しないことから、引用商標2は、その構成全体を不可分一体のものとして認識、把握されるとみるのが相当であって、その構成文字に相応して「ビーナスアンドオレイ」の一連の称呼が生ずるというべきである。また、引用商標2からは、特定の観念が生ずるものとはいえないものの、「ビーナスとオレイ」ほどの一体の意味合いが理解、認識されるものといえる。
(3)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1は、上記のとおり、それぞれ「mLAy」と「OLAY」の文字からなるものであって、第1文字における「m」と「O」の違い、及び小文字と大文字とが混在した特徴ある書体で表されたものと普通に表されたものとの違いにおいて、明らかな差異を有するものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「ムレイ」の称呼と引用商標1から生ずる「オレイ」の称呼とを比較すると、両称呼は、「レ」及び「イ」の音を同じくする一方、称呼上重要な位置を占める語頭において「ム」の音と「オ」の音の差異を有するものであるところ、「ム」の音が両唇を閉じて発する有声の通鼻音「m」と舌の奥が上がった口の開きの小さな狭母音「u」とを結合した音節であって比較的弱く発音されるのに対して、「オ」の音は、後舌面を軟口蓋に向かって高め、声帯の振動によって発する開放音であって、比較的明瞭に発音されるものであるから、3音という短い音構成である両称呼において、この差異が称呼全体の音調、音感に与える影響は大きいものといわざるを得ず、両称呼は、それぞれを一連に称呼しても十分聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標1とは、共に特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、たとえ、両商標の指定商品が互いに類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(4)本件商標と引用商標2との類否
本件商標と引用商標2は、上記のとおり、それぞれ「mLAy」と「VENUS & OLAY」の文字からなるものであって、その構成において明らかな差異を有するものであるから、外観上、判然と区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる「ムレイ」の称呼と引用商標2から生ずる「ビーナスアンドオレイ」の称呼とを比較すると、両称呼は、その構成音数及び音構成において、明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼した場合には、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標2とは、本件商標から特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、たとえ、両商標の指定商品が互いに類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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