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Trademark Appeal Case

立体商標の形状識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第17881号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲した構成からなり、第6類「建設現場で使用する仮設用単管などを整理・収納する為に用いる金属製枠状台」を指定商品とし、平成9年4月30日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、本願商標は、指定商品の形状の一つ程度に容易に認識し得るものであるところ、指定商品に使用したときは、その商品の形状を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含まれるとしても、商品等の形状は、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、意匠法等により保護されている形状について重ねて又はその権利消滅後商標登録することは、知的財産権制度全体に不合理な結果をもたらすことになる。

(2)これを本願についてみれば、本願商標は、その構成から明らかなように、全体が方形の枠型を構成し、下部の一辺に地面に据えることができるよう一対の台板を設け、さらに上部の一辺を開口部として着脱自在にした金属製の器具を表示したものであると容易に理解されるものである。

そして、これを指定商品「建設現場で使用する仮設用単管などを整理・収納する為に用いる金属製枠状台」との関係において観察すれば、いずれもその商品の機能を果たすため、すなわち、前記仮設用単管などを整理・収納するためにのみ採択された形状と認められる。

してみれば、本願商標を指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定商品自体、すなわち、「建設現場で使用する仮設用単管などを整理・収納する為に用いる金属製枠状台」と認識するに止まり、したがって、本願商標は、その指定商品に使用したときは、指定商品の形状を表示するにすぎないものというべきである。

(3)(イ)請求人は、本願商標に係る前示の形状自体が特徴的で識別性を有する旨主張するが、その特徴がいずれも当該商品の機能を果たすためのものであり、全体としても、指定商品の形状と認識されることは前示認定のとおりである。

請求人は、本願商標に係る前記金属製枠台について、意匠登録を受けていることを理由として、自他商品の識別力を有する旨主張するが、意匠法に定める保護対象及びそれに係る登録要件等と商標法第3条第1項第3号に定める登録要件は同じではないから、前者での保護を理由に、後者の登録要件が満たされることにならないことは明らかである。そして、意匠法上、意匠権消滅後は何人も実施を予定しているものであるから、請求人の主張は採用することができない。

また、請求人は、本願商標が「金属製枠状台の一種の形状を表示したものと容易に理解し得るものである。」ことを認めながら、識別力を欠くということとは別問題である旨主張するが、商標は、取引上において同種の商品から識別するために使用されるものであって、その機能を果たさないものは商標法第3条第1項第3号等に定める登録要件を満たさないものであることは、立体商標についても同じであることを忘れた主張といわなければならない。

なお、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。

(ロ)請求人は、本願商標は使用により識別力を取得した旨主張し、甲第1号証の1乃至同号証の6を提出している。

しかしながら、提出に係る証明書は、請求人が予め用意した画一的な書面を用い、新潟県内の6業者が前記金属製枠台について、同県において取引者、需要者の間に広く認知されている旨を証明したものであるところ、各証明者が証明に係る内容を正確に理解した上で証明したのか疑問であり、また、この証明書のみをもって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を満たすものと認定することは困難というべきである。

4 結論

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、正当であって取り消す限りでない。

よって結論のとおり審決する。

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