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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第17890号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲した構成からなり、第19類「目地材」を指定商品として、平成9年6月20日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、『目地材』を指定商品とするものであるところ、当該商品が、例えば、ガラスなどの部材の目地部に生ずる隙間を防ぐものである関係上、その部材の形状や接合の仕方などによって種々の形状が存在し得ることも勘案するならば、本願商標は、その種の商品の形状のひとつ程度に認識されるに止まるものと認められるから、その指定商品に使用したときは、その商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1) 平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含まれるとしても、商品等の形状は、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有しているときは、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」とし、また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をより発揮させあるいは美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態が特定人の商品たること示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所 昭和50年(ワ)第3035号 同52年12月23日判決言渡 無体裁集9巻2号769頁)との判示がなされており、これと同旨の判決は多数存するところである。

さらに、意匠法等により保護されている形状について重ねて又はその権利消滅後商標登録することは、知的財産権制度全体に不合理な結果をもたらすことになる。

(2) これを本願についてみれば、本願商標は、その構成から明らかなように、ガラス、サッシ、金属パネルなど各種成型部材に使用される目地材の一形態を表すものとみるべきであって、これを指定商品「目地材」に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定商品自体、すなわち、目地材と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、その指定商品に使用したときは、指定商品の形状を表示するにすぎないものというべきである。

(3)(イ)請求人は、本願商標に係る目地材は、従来の方形状のものと断面形状において異なる旨主張する。

しかしながら、本願商標に係る目地材は、中空部及びリップ部を有する点において、従来のソリッドタイプ(中空部有り)目地材と基本的形状は変わりはないと認められる(株式会社産業調査会事典出版センター「建築材料実用マニュアル」94年2月発行、1123頁)。

そして、当該業界では、建築構成部材間に先付けあるいは後施工される成形目地材として、材種、形状として多種多様のものがあるとされている(前掲「建築材料実用マニュアル」1121頁)。

そうとすれば、本願商標は、請求人主張のような斬新な形状を表示したものであっても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

請求人は、本願商標に係る目地材については、意匠登録を受けていることを理由として、自他商品の識別力を有する旨及び「普通に用いられる方法」で表示する標章のみからなるものでない旨主張するが、意匠法に定める保護対象及びそれに係る登録要件等と商標法第3条第1項第3号に定める登録要件は同じではないから、前者での保護を理由に、後者の登録要件が満たされることにならないことは明らかである。そして、意匠法上、意匠権消滅後は何人もの実施を予定しているものである。

また、請求人は、商標法第29条を挙げて縷々主張するが、本願商標が指定商品「目地材」の一般的形状から大きくかけ離れて、当該形状を「普通に用いられる方法」とはいえない程の斬新性を有しないことは前示認定のとおりである。

したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。

(ロ)なお、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。

4 結論

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、正当であって取り消す限りでない。

よって結論のとおり審決する。

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