結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2017−300130(T2017−300130/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5650517号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成24年11月9日に登録出願,第3類「せっけん類,化粧品」,第8類「ピンセット」及び第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類,第7類,第8類,第9類,第11類,第35類,第37類及び第42類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同26年2月21日設定登録され,現に有効に存続するものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年3月8日にされたものである。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出している。
本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第3類「せっけん類,化粧品」,第8類「ピンセット」及び第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は,本件商標を化粧品に使用していた事実があると主張し,乙第1号証ないし同第7号証を証拠として提出している。
しかしながら,被請求人が使用している商標の使用態様は,本件商標の使用とはいえず,本件商標は取り消されるべきである。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証には,2013/08/23入荷というシールが貼られた,「DELON+」という文字列を含む「BODY BUTTER」なる商品が示されている。そして,乙第2号証において「ボディバター」が第3類に属する化粧品であることが示されている。
しかし,これらの証拠には,本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標は示されていない。
(2)乙第3号証について
乙第3号証に示されているのは,2012年6月12日に,DELON LABORATORIES CO.LTD(以下「デロン社」という。)とPlenty Co.LTD(被請求人)との間で締結された契約書の写しである。上記契約の有効期間は平成29年5月31日まであるが,具体的な商品についての記載はなく,「Delon Product line」とのみ記載されている。
すなわち,乙第3号証には,被請求人が化粧品を製造販売していることについての具体的な記載はない。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は,カナダ在の化粧品メーカーであるデロン社に対する被請求人による発注書の写しであり,右肩に本件商標と同一の態様の商標が表示されており,化粧品であるボディバターを2015年1月25日に発注したと記載されている。
しかしながら,被請求人は,乙第4号証が「展示」又は「頒布」されたことは,立証していない。
すなわち,「展示」及び「頒布」とは,登録商標が付された書類が,不特定多数の需要者の目に触れることを前提とするものといえるから,取引書類を交わす相手は,複数であることが前提とされているところ,被請求人は,デロン社に対する発注書のみを証拠として提出しており,デロン社以外との間で「取引」を行ったことは立証していない。そうすると,乙第4号証は,商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」には該当しない。
(4)乙第5号証及び乙第6号証について
乙第5号証は,2015年1月26日付けのインボイスの写しである。このインボイスによれば,ボディバターは,信用情報入手後,4〜5週間で出荷予定であると記載されている。
乙第6号証は,CAED輸出宣言書の写しであり,14,400ドル相当の荷物が輸出されたことが記載されているが,それが具体的にどのような商品であるのかについては記載されていない。
そして,乙第5号証及び乙第6号証には,本件商標又は本件商標と社会通念上同一とされる商標は示されていない。
(5)乙第7号証について
乙第7号証は納品書であり,被請求人が株式会社エーアンドティーにデロンボディバターを納品したことが示されている。
しかし,上記納品書には,本件商標又は本件商標と社会通念上同一とされる商標は示されていない。
(6)まとめ
以上より,被請求人の提出した各号証によっては,本件審判の請求前3年以内に,本件商標が,日本国内において「化粧品」に使用されていたという事実は確認できない。
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)本件商標の使用について
被請求人は,本件審判請求登録日前3年以内(以下「要証期間内」とする。)に,デロン社が製造する「デロンボディバター」(以下「本件商品」とする。)を我が国に輸入し,ドラッグストア,百貨店などの小売店に対して本件商品を販売する,いわゆる販売代理業(小売業)を行っていた。
(2)本件商品について
本件商品(乙1)はデロン社がカナダで製造するものであり,使用者が保湿などの効果を期待して身体に直接塗布するクリームである。
また,本件商品の裏面には,販売元として被請求人の名称,及び,「DELON日本総代理店」と被請求人が我が国におけるデロン社の総販売代理店であることが記載されており,被請求人は,「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件指定役務」とする。)を行っている。
(3)本件取引の実情について
ア 本件商品の取引については,デロン社と被請求人が平成24年(2012年)6月12日に販売代理店契約(以下「代理店契約」とする。)を締結したことに端を発する(乙3)。この代理店契約に基づいて,デロン社がカナダで製造した本件商品を,被請求人が我が国に輸入し各小売業者に卸売販売を行うのが一連の商取引の流れとなっている。
イ 被請求人がデロン社に対して送付する「PURCHASE ORDER」(発注書)(乙4)には,発注する商品の種別,数量,金額,送り先などが記載されている。また,左上部の「Date(日付)」欄には「16,Jan.2015」(2015年1月15日)と記載されていることから,該発注書は,要証期間内に取り交わされた取引書類である。
さらに,該発注書の右上部に,本件商標が表示されている。当該表示は取引書類において付されたものであり,被請求人は取引書類を取引先に頒布している。
したがって,該発注書における本件商標の表示は,商標法第2条第3項第8号に規定されている商標の使用である。
ウ この発注書に対して,デロン社は,「INVOICE」(請求書)(乙5)を被請求人に送付する。該請求書の中央右部には,上記発注書に記載された金額と同額の「$14400.00USD」(1万4400米ドル)が記載され,さらに,左上部には上記発注書の左上部に記載された「ORDER No.」(発注番号)と同様の「P−COS.029」が記載されていることから,上記イの発注書と該請求書は,各々対応して取り交わされた取引書類である。また,該請求書の日付についても要証期間内である「01/26/15」(2015年1月16日)と左上部に記載されている。
エ デロン社は,本件商品を輸出する際に「CAED EXPORT DECLARATION」(CAED輸出宣言書)(乙6)をカナダ国境サービス庁へ提出する。該輸出宣言書は,デロン社が被請求人に対して本件商品を輸出することを示すものである。また,該輸出宣言書の日付も要証期間内である「2015/1/27」(2015年1月27日)と1枚目中央右部に記載されており,同じく1枚目中央右部には本件商品の価格として「14400.00」(1万4400米ドル)と記載されていることから,該輸出宣言書は,上記イ,ウの請求書及び発注書に関する一連の取引の過程でデロン社が同庁へ提出したものである。
オ 被請求人は,デロン社から輸入した本件商品を,ドラッグストア,百貨店などの各小売業者に納品する。「納品案内書」(乙7)は,被請求人が各小売業者に対して本件商品を納品する際に,納入商品名,数量,届先などが記載されているものであり,さらに,右上部には「15/03/17」(2015年3月15日)が記載されていることから,納品案内書は要証期間内の書類である。
カ このように,本件商品を巡る一連の取引過程において,本件商標は,要証期間内に,商標権者である被請求人によって,本件指定役務について現に使用(商標法第2条第3項第8号)されている。
(4)結語
以上に述べたように,被請求人の提出に係る乙各号証によって,被請求人は,要証期間内に,本件商標の指定商品及び指定役務中「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標を使用していることは明らかである。
合議体は,被請求人に対して,請求人提出の弁駁書を送付するとともに,請求人及び被請求人の当事者双方に対して,口頭審理(日付:平成29年10月31日,特許庁審判廷)を行う旨通知し,双方より期日請書を受領した。
しかしながら,その後,被請求人は,平成29年9月22日付け上申書において,既に,答弁書により主張・立証を尽くしているから,書面審理にしてほしい旨,また,請求人は,同年10月3日付けの上申書において,当該審理を書面審理にすることに異存はない旨の申し出があったため,同月11日付(発送日:同月13日)で,口頭審理期日取消通知書を請求人及び被請求人の双方へ送付し,以後,本件審理を書面審理としたものである。
(1)乙第1号証は,「デロン ボディバター(ストロベリー)/(ボディークリーム)」旨の化粧品の容器の写真であり,2葉目の写真の容器の底面に表示されている「製造販売元」には被請求人(商標権者)の名称及び「DERON日本総代理店」の表示があり,1葉目の写真の蓋には「2013/8/23入荷」の表示がある。
(2)乙第2号証は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供している「J−PlatPat 特許情報プラットフォーム」中の「商品・役務名検索」のウェブサイトの写し(印刷日:2017年4月24日)であり,「ボディバター(ボディ用クリーム)(化粧品)」の表示がある。
(3)乙第3号証は,2012年(平成24年)6月12日付けの「INTERNATIONAL DISTRIBUTOR AGREEMENT(国際販売店契約書)」の表題のデロン社と被請求人との間で交わされた契約書の写しであり,その訳文によれば,「契約地域は,日本とする。」,「本契約の期間は,2017年5月31日までとする。」の記載がある。
(4)乙第4号証は,2015年(平成27年)1月16日付けの被請求人よりデロン社へ宛てた「PURCHASE ORDER(発注書)」であり,該発注書の左上には,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。また,その訳文によれば,「発注書番号」として「P−COS.029」の記載がある。そして,該発注書の中段の発注商品が記載されている部分の「解説」欄には「ボディバターアジアン・リリー(百合)DELON+ 200mlx12個」,「ボディバター白牡丹・春 DERON+200mlx12個(ピンク瓶)」等の商品名,容量,数量が,「製造者商品番号」欄には「D553D−1DELON+」,「D552D−1DELON+」等のそれぞれの商品の製造番号が,「数量」欄に「100ケース」等のそれぞれの商品の数量が,「単価」欄には「$28.80」の商品の単価が,「合計」欄には「$2,880.00」等のそれぞれの商品の金額の合計が一連に記載され,それらの最下段には「合計」として「$14,400.00」の総合計の記載がある。
(5)乙第5号証は,2015年(平成27年)1月26日付けのデロン社より被請求人に宛てた「ORIGINAL INVOICE(請求書)」であり,その訳文によれば,該請求書の「貴社発注書番号」欄には「P−COS 029」の記載及び「スタイル」欄には「D553D−1DELON+」,「D552D−1DELON+」等の記載が,「概要」欄には「ボディバターアジアン・リリー(百合)DELON+ 200mlx12個 ロット番号140707−33 100ケース,ケース当たり瓶12個,200ml」,「ボディバター白牡丹・春 DERON+200mlx12個 ロット番号14117−75 100ケース,ケース当たり瓶12個,200ml」等の商品名,容量,数量が,「単価」欄には「28.80」の商品の単価が,「数量」欄には「2880.00」等のそれぞれの商品の金額の合計が一連に記載され,2葉目の下段の「合計」欄には「$14400.00 UDS」の総合計の記載がある。
そして,該請求書に記載の発注書番号,商品名,容量,数量,単価,合計金額等の記載は,上記(4)の発注書の記載と一致する。
(6)乙第6号証は,輸出日を2015年(平成27年)1月27日とするデロン社からカナダ国境サービス庁宛の「CAED EXPORT DECLARATION(CAED輸出宣誓書)」であり,その訳文によれば,「輸出者情報(被居住者を含む)」欄にはデロン社の名称が,「最終受取人情報」欄に被請求人名の記載があり,「商品説明」欄に「ボディクリーム」の商品名及び「出国場所における本船渡し価格総額」欄に「14,400.00」の記載がある。
そして,該輸出宣言書に記載の「出国場所における本船渡し価格総額」は,上記(4)及び(5)の発注書及び請求書に記載の総合計の金額と一致する。
(7)乙第7号証は,2015年(平成27年)3月17日付けの商標権者による株式会社エーアンドティー(以下「エーアンドティー」という。)宛の納品案内書と認められ,「4.納品案内書」の記載下の行には「返品」の表示があり,書証の右上には「<赤伝>」と手書きされ,「商品コード/品名」欄には「4582330490028(10925)デロンARヘアーオイル 60ML」,「458233049196(10935)デロンボディバターアサイクコ」等の商品番号及び商品名,「数量」欄には「−2」等のそれぞれの商品の数量,「納品数量」欄には「−2」等それぞれの商品の数量,「単価」欄には手書きで「@630」の記載がある。
(1)本件商品について
上記1(1)ないし(3)より,被請求人は,デロン社と同社の商品の日本における総代理店の契約を2012年(平成24年)6月12日から2017年(平成29年)5月31日までの期間として締結した。そして,デロン社に係る本件商品「ボディバター」は,「化粧品」の範疇の商品「ボディ用クリーム」と認められる。
しかしながら,本件商品には本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の表示は確認できない。
(2)本件商標に係る指定役務の取引について。
上記1(4)ないし(6)によれば,被請求人は,要証期間内である平成27年1月16日のデロン社に対して総額14,400ドル分の本件商品を発注し,この発注に対しデロン社は被請求人に同月26日に代金を請求し,翌27日に商品を輸出したものと推認してなんら不自然な点はない。
しかしながら,本件商品には本件商標が表示されていないことは上記(1)のとおりである。
次に,被請求人が,上記輸入した本件商品を要証期間内の平成27年3月17日に,エーアンドティー宛てに納品したと主張する「納品案内書」(乙7)には,「4.納品案内書」の記載下の行に「返品」の文字があること,「数量」及び「納品数量」の項目に記載された数字はいずれもマイナスの数字であること,また右上には「<赤伝>」と手書きされていることから,該納品案内書は「返品伝票」と認められる。
そうすると,返品に係る該納品案内書をもっては,被請求人が,要証期間内にエーアンドティーに対して,本件商品の卸売りを行った事実を証明したとまではいえないから,被請求人は,要証期間内に本件商標の指定商品及び指定役務中「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていたとは認めることはできない。
(3)本件商標の使用について
被請求人が発行し,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が付されており,本件商品の取引書類と認められる発注書(乙4)は,その宛先が,カナダ在のデロン社であることから,該発注書が,日本国内において頒布されたものとは認められない。また,他に,被請求人は,日本国内において本件商標を付した取引書類を頒布したことを証明する証拠の提出もないことから,商標権者が,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品又は指定役務についての取引書類に本件商標を付して頒布する行為を行ったものとは認めることはできない。
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについて,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の取消請求に係る指定商品及び指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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