Trademark Appeal Case
原材料名「フコイダン」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第8959号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「フコイダン」の文字を横書きしてなり、第32類「ビール、清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース、乳清飲料、ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成8年4月8日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、褐藻類に含まれている多糖類の一つで、抗腫瘍作用があると認められている「フコイダン」の文字を書してなるところ、健康志向の高まりのなかで、健康飲料が多数販売されている昨今の実情よりみれば、本願商標をその指定商品中、例えば「フコイダンを含んだ清涼飲料」等に使用するときは、単に商品の品質・原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「フコイダン」の文字を横書きしてなるところ、例えば「知恵蔵(2000年1月1日 朝日新聞社発行)」によれば、「フコイダン(fucoidan)」とは、「海藻のヌメリ成分の一つ。フコースという糖がいくつも鎖状につながり、ところどころのフコースに硫酸基やグルクロン酸が結合した多糖類。・・・成人病予防飲料、健康食品、化粧品などの開発が進められている。」との解説がある。
さらに、「フコイダン」について、株式会社ジーサーチの提供に係る「G−Searchの新聞情報データベース」をみるに、1988年4月29日付け日本経済新聞の地方経済面(四国)の12頁に「鳴門海藻食品、香り自慢ワカメの茶−芽株を粉末化し開発。」の見出しの下、「・・・血圧降下作用のあるアルギン酸やフコイダンなどが、通常、食用に供しているワカメの葉の部分よりはるかに多く含まれている。・・・」の記事、1996年10月7日付け日経産業新聞の5頁に「富山医薬大と大日本インキ、多糖使いがん転移抑制−立体構造が ”かぎ穴”役(解説)」の見出しの下、「・・・ヤクルト本社は多糖の一種フコイダンを経口投与すると胃かいようを防げることを見付けた。・・・ヤクルトのフコイダンは海藻のモズクからそれぞれ抽出するなど天然物に頼っている。がんの転移抑制や細菌・ウイルスの感染防止などに多糖を利用する試みは今後も盛んになっていくだろう。・・・」の記事、1999年1月20日付け日本経済新聞の地方経済面(九州B)の14頁に「健康成分、モズクから抽出−TTC、ホクガンに技術移転。」の見出しの下、「・・・フコイダンはモズクや昆布など海藻類に含まれる物質で、胃かいようの防止や血栓予防、抗ガン作用などの効能が確認されている。粉末にすることで原料や食品への用途が広がり、食用に適さなかったくずモズクも利用できる利点がある。・・・沖縄そばや菓子にフコイダンを添加した健康食品、栄養ドリンク、錠剤などの商品を企画中。一方で、フコイダンそのものを食品や医薬品、化粧品の原料として本土企業に販売することも検討している。」の記事が掲載されていることがそれぞれ認められる。
また、インターネットのホームページにおける「フコイダン」に関する情報サイトをみるに、「ビフィーナ・フコイダン・サラシア・アガリスク(健康社)」(http://www.kigyo.co.jp/elm/elm_fucoid.htm)と題する情報サイトには、「仁丹のフコイダン+3 これは素晴らしい! フコダインの持つ生理作用 フコイダンは海からの贈り物。オキナワモズクから抽出された成分で人体にとって優れた働きが明らかに成ってきております。フコダインには、体内中の有害物質の吸収を阻害・排出する作用とともに、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、抗高血圧作用などがあることが確認されています。」が掲載され、「海洋食品」(http://www.okinawa-ric.or.jp/virtualtown/kaishoku/content/content/mozuku.html)と題する情報サイトには、「この沖縄もずく、最近では健康食としてにわかに注目を浴びています。・・・さらに、もずくに含まれるフコイダンという食物繊維は、胃潰瘍を治す効果があると言われています。・・・特にフコイダンがガン細胞を自己消滅させるという抗ガン作用には、多くの研究機関が注目し、その効果を実証しています。すでにこのフコイダンを含む飲料などを商品化する企業もあるほどなのです。・・・」が掲載されている。
以上の実情よりすれば、「モズクや昆布など海藻類に含まれる物質(多糖類)」を「フコイダン」と称し、これを原材料とする健康飲料、健康食品及び医薬品等が開発・製品化されていることが認められる。
そうとすれば、「フコイダン」の文字を飲料、食品等に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして「フコイダンを使用した商品」としか認識、理解し得ないものというのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品中「フコイダンを原材料とした商品」に使用するときは、単に該商品の原材料、品質を表示するにすぎないものである。また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、「化学品」について、「フコイダン」の商標が登録され、また、多数の審決例がある旨主張しているが、前記のように判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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