Trademark Appeal Case
シニア大学の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−5053(T2017−5053/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「シニア大学」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、平成28年4月13日に登録出願されたものである。
2 当審において通知した拒絶の理由
当審において、平成29年9月28日付けで請求人に対し、「本願商標は、『高齢者を対象とした教養講座』の意味合いを理解させるものであり、これをその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識として認識し得ないものであって、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、『高齢者を対象とした教養講座』を内容とする役務以外の役務に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨の拒絶理由を通知した。
3 拒絶理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記2の拒絶の理由に対し、平成29年10月11日受付の意見書において、要旨以下のとおりの意見を述べた。
「シニア大学」の語は、国語辞書等にも何ら記載がなく、「シニア大学」の語の意味合いが特定された親しみのある語とはいえず、該語は、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質、用途又は使用の時期を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難いものである。
また、本願の指定役務を取り扱う業界において、「シニア大学」の文字が、役務の具体的な質等を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その構成全体をもって特定の意味を有することのない一種の造語として認識されるというのが相当であるから、これをその指定役務について使用しても、役務の質等を表示したものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「シニア大学」の文字からなるところ、その構成中の「シニア」の文字は、「年長者。高齢者。」等の意味を有する語であり、「大学」の文字は、「高等教育の中核をなす教育機関。俗に、社会人を対象にした教養講座のこと。」等の意味を有する語(ともに、株式会社小学館「デジタル大辞泉」)として、いずれも一般に親しまれ、よく知られた語といえるものである。
また、複数の辞書から、用語を横断検索できるインターネット上のサービスである「コトバンク」のウェブサイトには、「老人大学」の項に「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」の見出しの下、「高齢者を対象とした教養講座。定年後もみずからの教養を高め、学び続けたいと願う高齢者のために、おおむね60歳以上を対象に開設される。生涯学習の場を提供し、高齢者の生きがいや健康づくりを支援する。シニア大学、シルバー大学、高齢者大学とも呼ばれる。自治体が老人大学運営事業の実施要綱を作成し、福祉課や教育委員会が主管するもの、社会福祉協議会や老人会などの団体が支援するものなどがある。」の記載がある。
さらに、別掲の新聞記事情報及びインターネット記事情報のとおり、本願指定役務と関連の深い分野において、自治体や公益財団法人等が、本願商標である「シニア大学」の文字を使用している実情があり、これらの情報によれば、例えば、「シニア大学」の説明として、「・・・生涯学習に取り組む京都シニア大学(京都市)の英会話同好会。」、「地域活動リーダーの養成を目的とした、高齢者が対象の学習講座です。」、「4年間継続して学習・自治活動を志す高齢者のための大学です。」、「・・・、市内に居住する60才以上の市民で年間継続して学習しようとする方を対象として開設しています。」、「シニアの皆さん、さらに教養を高め、たくさん笑って生きがいのある充実した生活を送りませんか。」等の記載があることからすると、「シニア大学」の文字は、総じて「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」の意味合いで使用されているものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」を内容とする役務を表したものとして理解するものであり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものであって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、当審における拒絶理由に対し、上記3のとおりの意見を述べ、「『シニア大学』の語は、国語辞書等にも記載がなく、『シニア大学』の語の意味合いが特定された親しみのある語とはいえない。・・・いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質、用途又は使用の時期を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難いものである。」旨を主張し、前記2の拒絶理由で示した新聞記事情報及びインターネット記事情報(別掲)について、「『シニア大学』の語が識別力のない態様で使用されていることを裏付ける証拠資料足り得ない。・・・膨大なインターネット情報中わずか10件のインターネット情報だけでは、本願の指定役務を取り扱う業界において、『シニア大学』の語が、役務の質・内容等を表示するものとして、取引上一般に使用されていると認めるに足りる事実を見いだすことはできない。」旨を主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう役務の質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものである。
そして、前記2の拒絶理由において示した証拠(別掲)は、本願の指定役務と関連の深い分野において、請求人以外の多数の者がインターネットのウェブサイトで「シニア大学」の文字を使用している実情、さらには、複数の新聞記事に「シニア大学」の文字が掲載されている実情を挙げたものであって、需要者においては、本願商標である「シニア大学」の語が、辞書等において記載がなく、また、如何なる大学であるのかが具体的に特定されていないとしても、一般によく知られた「シニア」及び「大学」の各文字を結合した「シニア大学」の文字全体からは「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」程の意味合いを容易に認識するとみるのが相当であり、これを、本願の指定役務に使用しても、「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」を内容とする役務であるという役務の質を表したものとして認識されるにとどまるものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。