sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−12699(T2017−12699/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の展示会の企画・運営,建築物における来訪者の受付および案内」,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」,第37類「建設工事,建築物の改築・増築・修繕工事,建築物の改築・増築・修繕工事に関する情報の提供,改築・増築・修繕工事の請負およびその媒介,建築工事に関する助言,建築物の改築・増築・修繕工事に関する監理または助言,建築設備の運転・点検・整備」及び第41類「住宅および住宅施設に関する知識の教授,不動産に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツまたは知識の教授」を指定役務として,平成28年2月5日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続している。

(1)登録第4619912号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成13年10月24日登録出願,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を含む同類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同14年11月15日に設定登録された。

(2)登録第5418179号商標(以下「引用商標2」という。)は,「みらいえ」の文字を標準文字で表してなり,平成22年12月28日登録出願,第37類「建設工事,建築工事に関する助言」を指定役務として,同23年6月10日に設定登録された。

(3)登録第5827588号商標(以下「引用商標3」という。)は,「みらいえ」の文字を標準文字で表してなり,平成27年8月5日登録出願,第41類「幼児教育,学習塾における幼児教育,乳幼児教育に関する情報の提供,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授」を含む同類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同28年2月19日に設定登録された。

なお,以下,これらをまとめて「引用商標」ということがある。

3 当審の判断

(1)商標の類否判断について

商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。

この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。

上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。

(2)本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,「MiRAiE」の文字(「i」の上部の点部分は青色に着色されている。),並びに,該「MiRAiE」の文字の「M」の文字部分の左側と上側にかぶさるように少し隙間を空けて配された青色の「e」の文字状の図形(以下「図形部分」という。)と,「iRAiE」の文字部分の直上に,その文字列の幅に収まるように配された「Housing for the future.」の小さな文字から構成される結合商標である。

そして,本願商標の構成中の「MiRAiE」の文字部分は,辞書類に載録のない語であるところ,これからは,ローマ字読みで「ミライエ」との称呼が生じ,特定の観念は生じないといえる。また,「Housing for the future.」の文字部分は,「未来(へ)の住宅」ほどの意味合いを認識させるものであり,本願商標の指定役務との関係では,役務の宣伝文句等として認識されるものであるから,これからは,役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないといえる。

一方,本願商標の構成中の図形部分は,ローマ字の「e」の文字に形状が似ていることから,これからは,「イー」の称呼が生じ得るものであり,特定の観念は生じないといえる。

そうすると,本願商標は,「MiRAiE」の文字部分と図形部分が視覚上明確に分離されており,構成上からは,当該文字部分と図形部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。また,両部分からは,特定の観念が生じないものであるから,観念的にも密接な関連を見いだせない。してみれば,本願商標は,その構成中,「MiRAiE」の文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

したがって,本願商標は,その構成中,「MiRAiE」の文字部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。

そうすると,本願商標からは,構成全体から生じる「イーミライエ」の称呼のほか,要部である「MiRAiE」の文字部分に相応して,「ミライエ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。

(3)引用商標

引用商標1は,別掲2のとおり,「ミライエ」と「MIRAYE」の文字を上下二段に併記してなるところ,上段の「ミライエ」の文字は下段の「MIRAYE」の文字の読みを特定しているものと認められるから,これからは,「ミライエ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。

また,引用商標2及び同3は,前記2(2)及び(3)のとおり,「みらいえ」の文字を標準文字で表してなるから,これらからは,「ミライエ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。

(4)本願商標と引用商標の類否

ア 外観

本願商標の要部である「MiRAiE」の文字部分と引用商標1の構成中の「MIRAYE」の文字とを対比すると,両者は共に6文字からなり,相違するところは,2文字目の小文字「i」と大文字「I」と,5文字目の「i」と「Y」の差異に過ぎないから,外観において近似した印象を与えるものである。

また,引用商標2及び同3は「みらいえ」の文字からなり,本願商標の要部である「MiRAiE」の文字部分とローマ字及び平仮名という文字種を異にするところがあるものの,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があること,両者の態様がさほど特徴がないことも併せ考慮すると,これに接した取引者,需要者に対し,文字種の相違が,外観上の差違として強い印象を与えるとはいえない。

イ 称呼及び観念

本願商標の要部である「MiRAiE」の文字部分と引用商標は,「ミライエ」の称呼を共通にし,また,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において区別することはできない。

ウ 類否

以上からすると,本願商標の要部と引用商標は,「ミライエ」の称呼を共通にする一方,その外観において,称呼の共通性を凌駕するほどの顕著な差異があるとはいえず,また,観念によって区別できるものではないことから,これらの外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すれば,両者は,相紛れるおそれのある類似するものというべきである。したがって,本願商標と引用商標は,類似する商標であるというのが相当である。

そして,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。

(5)小括

以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定役務と引用商標の指定役務も同一又は類似するものである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

請求人は,本願商標「eMiRAiE」は,「e」と「i」が英語の小文字,その他の文字が英語の大文字と混じって構成され,かつ,「e」と「M」の間にスペースもなく,「eMiRAiE」全体として一体不可分に表現されており,また,語頭に英文字一文字を付した商標を一連一体として呼称することが深く浸透していること,並びに,本願商標に接した需要者は,「江村工務店の提供するエネルギーに満ち溢れた未来に向けた良い電化住宅」の観念を想起することも踏まえれば,本願商標は全体として一体不可分なものと認識される旨主張する。

しかしながら,上記(2)で述べたとおり,本願商標の図形部分と「MiRAiE」の文字部分との,大きさ,間隔及び色等の態様上の差異,並びに,両部分に観念上の一体性も認められないことを踏まえれば,両部分は,それぞれが独立して取引者,需要者に対し役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから,本願商標は,その構成中,「MiRAiE」の文字部分を要部として抽出し,引用商標と比較して,商標の類否を判断することができるものである。また,本願商標から,請求人主張のごとき観念が生じることを裏付ける証拠の提出はない。

したがって,請求人の主張は,その前提において妥当といえず,採用することはできない。

(7)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。