sokuhyo

Trademark Appeal Case

バリアフリーの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第10907号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「バリアフリー」の片仮名文字を横書きしてなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,映写機の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,エレベータの修理又は保守,火災報知器の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,家具の修理,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,浴槽又は浴槽がまの清掃,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定役務として、平成6年6月10日に登録出願されたものであるが、指定役務については、平成10年8月3日付手続補正書をもって「建築一式工事」と補正されたものである。

2 原査定の理由

原審において、登録異議申立の結果、本願商標は、これをその指定役務中『建築一式工事』に使用するときは、役務の質(内容)を表示するにすぎないものであって、該役務以外の役務に使用するときには、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

高齢化社会を迎えるに当たり、あるいは身体障害者等の自立を目指し、生活の基盤である住宅を含めた建物作りに関して、平成6年9月28日施行された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(以下「ハートビル法」という。)の第14条の規定に基づく高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する国民の理解を深めるための教育活動、広報活動の一環として、加齢等による身体機能の低下や障害が生じた場合にも基本的にそのまま住み続けることができるような住宅の設計について指針をすることにより、高齢化社会に対応した住宅ストックの形成を図ることを目的とする「長寿社会対応住宅設計指針」及びその補足基準が建設省より打ち出されたところである。

そして、該指針によれば、例えば、「住宅(集合住宅の場合は住戸専用部分)の設計」には、「部屋の配置」「段差」「手すり」などについて、高齢者等が安全、かつ、快適に生活できるように様々な配慮をした設計指針(「住戸内の床は原則として段差のない構造のものとする」「階段、浴室には、手すりを設ける」など。)がなされていることが認められる。

ところで、「バリアフリー」の語は、朝日新聞社発行「朝日現代用語’99」(373頁、「バリアーフリーbarrier free」の項)によれば、「障害のある人が社会生活をしていく上での障壁(バリア)を除去するという意味で、1974年国連障害者生活環境専門家会議が『バリアフリーデザイン』という報告書を出した頃から使用されるようになった。もともと建築用語として使用され、段差の解消などの物理的障壁の除去という意味が強かった・・・」なる記載が認められるところであり、また、株式会社岩波書店(1993年12月6日第1刷)発行「建築学用語辞典」によれば、「生活環境において障害者にとっての障壁のない状態。物的環境整備の条件を表す概念として用いられる。」なる記載が認められる。

そして、登録異議申立人である積水ハウス株式会社及び旭化成工業株式会社(以下、両者をまとめて「申立人ら」という。)の提出に係る甲第1号証(それぞれ順に、講談社発行「imidas1997」、「imidas1995」)の「高齢者用住宅」の項には、「高齢化時代を迎えて、住宅メーカーでは高齢者用住宅の開発に本格的に取り組むところが増えている。緊急通報システムをはじめ、床の段差をなくしたり、階段をゆるやかにして両側に手すりを付ける、・・・こうした高齢化の配慮を組み込んだバリアーフリー(barrier free)の考え方が取り入れられるようになった。」なる記載が認められるところであり、株式会社岩波書店発行「広辞苑第5版」の「バリアーフリー【barrier free】」の項にも、「身体障害者や高齢者が生活を営むうえで支障がないように商品を作ったり建物を設計したりすること。又、そのように作られたもの。」なる記載が認められる。さらに、株式会社三省堂(1998年3月30日第1刷)発行「カタカナ語辞典第2版」には、「障害排除。住宅などの建物で、床の段差・部屋の間仕切りなどの高齢者や身体障害者にとって障害となるものを設けないこと。高齢者が安心して住生活を送ることができるよう、『長寿社会対応住宅設計指針』の普及など住宅のバリアフリー化を推進するための施策を積極的に展開している。」なる記載が認められる。

また、その他、申立人らが提出した甲各号証を総合すれば、「バリアフリー」の語は、「床の段差・部屋の間仕切りなどの高齢者や身体障害者にとって障害となるものを取り除いた住宅などの建物」なる意をもって「バリアフリー住宅」、「住宅のバリアフリー化」などと同義語として、わが国の住宅等の建築関連分野において使用されていることが認められる。

他に上記認定を覆すに足りる証拠は見当たらない。

前記実情よりすれば、本願商標を構成する「バリアフリー」の文字は、請求人(出願人)主張の如く、英単語として英語の辞書に掲載されていないものであるとしても、これをその指定役務である「建築一式工事」について使用した場合、これに接するこの種役務の取引者、需要者は、「床の段差・部屋の間仕切りなどの高齢者や身体障害者にとって障害となるものを取り除いた住宅などの建物」の意をもって、役務の質を表したと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものといわなければならない。

請求人(出願人)は、本件審判請求書に添付した甲第1号証(imidas1998)、申立人らの提出に係る甲第1号証及び登録異議申立に対する答弁書に添付した乙第3号証(自由国民社発行「現代用語の基礎知識1998」 )を示し、「バリアフリー」の語は、「障害をもつ人でも地域のなかで通常に暮らせる社会づくりを意味するノーマライゼーションの考え方をより広げるために、身体的、精神的な障壁(バリアー)を除去しようという考え方。」などの記載があり、明確な特定の意味を有するものとして定着しておらず、その意味内容を直ちに理解し得るほど知られたものでなく、本願指定役務の質を表示するものではない旨主張する。

しかしながら、「高齢者や身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進のために建築物の質の向上を図る」といった目的をもつハートビル法の施行などの行政施策、及び「バリアフリー」の語が住宅等の建築関連分野において、ハートビル法の目的に沿う形で、「高齢者等が安全、かつ、快適に生活できるように様々な配慮をした建物」なる意味合いを表すものとして、普通に使用されている実情等よりすれば、請求人の上記主張は理由がないというべきであり、しかも、請求人が本件審判請求書に添付した甲第1号証の「バリアフリー」の項(702頁)においても、「バリアフリー」の語とハートビル法に基づく建築基準、建築のための融資制度等とを結び付けて記載されていることが認められ、この記載からしても、「バリアフリー」の語は、住宅等の建物の建築関連の役務について使用した場合は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。

したがって、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。