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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−685010(T2017−685010/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1303018号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件国際登録第1303018号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、2016年(平成28年)4月12日に国際商標登録出願、第3類「Cleaning preparations including hand cleaning preparations and spot and stain removers.」を指定商品として、同年11月11日に登録査定、平成29年2月24日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 引用商標

「De−Solv−it」(以下「引用商標」という。)は、The ORANGE−SOL Group of Companies, Ltd.(アメリカ合衆国アリゾナ州、以下「ORANGE−SOL社」という。)が剥離剤や洗浄剤に使用している商標である。日本においては、株式会社ドーイチが代理店として輸入販売している(甲2〜甲5)。

なお、申立人は、現在、「株式会社ドーイチ」の社名であるところ、平成22年(2010年)に「株式会社銅市」から社名を変更したものである(決定注:申立人は、「株式会社銅市」であるが、以下、「株式会社ドーイチ」も申立人とみて取り扱う。)。

2 商標法第4条第1項第10号に該当すること

(1)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標を比較すると、両者は、「De−Solv−it」の欧文字の部分において共通する。そして、両者からは「ディゾルビット」との称呼が生じるところ、両者は称呼において共通する。

他方、本件商標は、引用商標と異なり、柑橘類風の図形や飾り罫線を有する。そうすると、両者は、外観において相違点が存し、柑橘類風の図形部分からは柑橘類の観念が生じるため、観念においても相違点が存する。

しかし、本件商標は、「De−Solv−it」の欧文字が太く大きな書体でロゴ化して表されているところ、「De−Solv−it」の欧文字の部分こそが取引者・需要者の注意をひく部分といえる。

これに対し、飾り罫線は中央に窪みが存する程度のものであり、平凡な装飾といえ、また、柑橘類風の図形は、「De−Solv−it」の欧文字の部分と比較して、かなり小さいものであるから、柑橘類風の図形や飾り罫線の相違点が取引者・需要者に与える影響は小さいといえる。

したがって、本件商標と引用商標は、外観及び観念において相違点が存するものの、称呼の共通点を凌駕するものとはいえず、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標である。

(2)本件商標及び引用商標の指定商品の類否

本件商標は、第3類「Cleaning preparations including hand cleaning preparations and spot and stain removers.」(仮訳:洗浄剤(手洗い剤及びしみ抜き剤を含む。))を指定するものである。これに対し、引用商標は、剥離剤や洗浄剤に使用されているものである。

したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商品について使用するものである。

(3)引用商標が周知であること

商標法第4条第1項第10号は、周知商標という既存商標の使用伏態を保護するとともに、取引者・需要者をして出所の誤認混同を防止することを目的とするためである。

そこで、「需要者の間に広く認識されている商標」に該当するか否かは、商標として使用された期間の長さ、商品の性格、商品の取引の実情、メディアの紹介、広告の程度及び売上額などを考慮し、使用状態を保護するのが適当か否か、取引者・需要者をして出所の誤認混同を生じせしめるか否かの見地から決すべきである。

ア 引用商標が長期間にわたり使用されていること

申立人は、上述のとおり、ORANGE−SOL社の日本代理店である。申立入は、平成7年(1995年)12月、日本において、引用商標を使用した商品の輸入販売を開始し、平成15年(2003年)9月には、日本における輸入販売権を獲得した。そして、平成17年(2005年)9月にORANGE−SOL社の日本代理店となったものである。

引用商標を使用した商品は、平成7年(1995年)の販売開始以来、21年以上の長期間にわたり、日本において、販売されている。

イ 引用商標を使用した商品が日本全国で取り扱われていること

引用商標を使用した商品は、剥離剤や洗浄剤の用途に用いられるものであるものの、食器用洗浄剤などといった一般的な洗浄剤と異なり日常的に消費するものではなく、その属する市場規模は本来小さいものといわざるを得ない。

それにもかかわらず、引用商標を使用した商品は、実店舗やオンラインストアなどを通して日本全国で販売されている。また、全日本空輸株式会社や日本空輸株式会社といった大手航空会社が引用商標を使用した商品を採用し(甲4)、日建リース株式会社も引用商標を使用した商品を採用している。

引用商標を使用した商品を取り扱う実店舗としては、イオン、イトーヨーカ堂、ダイエー、平和堂、ロジャース、ホームアシスト、ドン・キーホーテ、ビックカメラ、アヤハディオ、いない、カインズ、カンセキ、京王アートマン、グッディ、くろがねや、ケーヨーデイツー、コメリ、コーナン、島忠、エンチョー、ジョイフル本田、山新、ダイシン、DCMホーマック、DCMカーマ、DCMダイキ、ドイト、ナフコ、ハンズマン、ビバホーム、ビーバートザン、ホームインプルーブメントひろせ、ホームワイド、ムサシ、ユニディ、ユーホーム、ロイヤル、タイム、セキチュー、西村ジョイ、クスリのアオキ、杏林堂及びヤマザワ薬品など多数の実店舗が挙げられる。

引用商標を使用した商品は、天然オレンジオイルから製造されるため、人や環境にやさしいものでありながら、強力な洗浄力を有している。引用商標を使用した商品は、取引者・需要者から高い評価を受けているものであり、実店舗においても、需要者の目につきやすい場所に陳列されている(甲6の1〜3)。

また、引用商標を使用した商品は、実店舗において、単に販売されるのみではなく、実演会が開催され、需要者に対し宣伝活動が行われている(甲11の1、2、5〜7、10、11、21〜23、25)。

また、オンラインストアとしては、アマゾン、ケンコーコム、楽天、Yahoo!ショッピング、モノタロウ、ビバホームオンラインショップ、DeNAショッピング、DIYFACTORYオンラインショップ、ドン・キホーテオンラインショッピングモール、コメリドットコム、ジョイフル本田オンラインショップ、ロイモールなどが挙げられる(甲7の1〜12)。

さらに、引用商標を使用した商品は、テレビ番組「SHOP CHANNEL」を通してテレビショッピングでも販売されている(甲8の1〜5)。

引用商標を使用した商品は、日本全国で広く販売されているものである。

ウ 高い評価を受け新聞やテレビでも紹介されていること

上述のとおり、引用商標を使用した商品は、天然オレンジオイルから製造されるため人や環境にやさしいものでありながら、強力な洗浄力を有しているものであり、取引者・需要者から高い評価を受けている。

そのため、引用商標を使用した商品は、新聞はもちろん(甲9)、テレビでも取り上げられている。例えば、平成25年(2013年)11月2日、TBSテレビ「あなたの損を取り戻せ差がつく!トラベル!」において取り上げられた他(甲10の1)、同27年(2015年)12月24日には日本テレビ「ヒルナンデス!」において(甲10の2〜4)、同28年(2016年)2月1日には日本テレビ「有吉ゼミ」においても取り上げられている(甲10の5、6)。

引用商標を使用した商品は取引者・需要者から高い評価を受けているものであり、テレビの放送を通して更に多くの取引者・需要者に認識されるに及んだものであることに疑問の余地はない。

エ 広告が頻繁に行われていること

上述のとおり、引用商標を使用した商品は、ホームセンターなど日本全国の実店舗で販売されているところ、引用商標を使用した商品の広告も頻繁に行われている(甲11の1〜27)。

オ 売上額が大きなものであること

上述のとおり、引用商標を使用した商品は、高い評価を受けているところ、申立人は日本全国のホームセンターなどに引用商標を使用した商品を販売している。引用商標を使用した商品に係る申立人の売上額は、直近3年の各年度において、1億円を下らない(甲12)。引用商標を使用した商品が、食器用洗浄剤などといった一般的な洗浄剤と異なり日常的に消費するものではなく、その属する市場規模が本来小さいことに照らせば、かかる売上額は大きなものといえる。

申立人は、平成7年(1995年)より、引用商標を使用した商品の輸入販売を開始し、同15年(2003年)、日本における輸入販売権を獲得し、同17年(2005年)、ORANGE−SOL社の日本代理店となったものである。申立人が取り扱う商品には、引用商標を使用した商品に加え、ORANGE−SOL社の他の商品も含まれるものの、引用商標を使用した商品の売上が占める割合は66.8パーセントを下回ることはない。

また、平成7年(1995年)から同14年(2002年)の売上額の記録は残っていないものの、各年度において、2000万円程度はあると考えられる。

カ 小括

したがって、引用商標は、その使用状態を保護するのが適当な商標といえる。

また、ORANGE−SOL社以外の者が引用商標と同一又は類似の商標を使用する場合、取引者・需要者は、商品の出所を誤認混同するおそれがあるといえる。

(4)まとめ

以上より、引用商標は、本件商標の国際登録日である平成28年(2016年)4月12日にはもちろんのこととして、現在に至るまで、取引者・需要者の間において、ORANGE−SOL社の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されている商標であることは疑い得ないといえる。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 商標法第4条第1項第15号に該当すること

上述のとおり、引用商標は、ORANGE−SOL社の商品を表示するものとして取引者・需要者に広く認識されている商標である。

ORANGE−SOL社はアメリカ合衆国の企業であるところ、出願人はオーストラリア連邦の企業であり、両社には何ら関係はない。ORANGE−SOL社が出願人に対し、本件国際登録出願や本件国際登録出願の基礎となったオーストラリア連邦の商標登録出願手続につき承諾を与えた事実もない。

本件商標の出願人が、本件商標を使用した場合、取引者・需要者は、出願人がORANGE−SOL社と緊密な営業上の関係を有するに至り、その上で製造・販売された商品であると誤信するおそれがあるといえる。

したがって、仮に本件商標の指定商品が剥離剤や洗浄剤と同一又は類似の商品でないとしても、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標といえる。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断

1 ORANGE−SOL社が使用する標章の周知性について

(1)申立人提出の甲各号証によれば、次のとおりである。

ア 申立人は、平成7年12月、米国ORANGE−SOL社の洗剤を販売開始し、同17年9月、ORANGE−SOL社の日本代理店となった(甲2)。

イ 甲第4号証は、DOICHI製品説明書(2016年改訂版)であり、別掲2のとおり、太字で表した「De−Solv−it」の欧文字(以下「使用標章」という。)を付した商品の画像が掲載され、「輸入・発売元 株式会社ドーイチ」と記載されている。

ウ 使用標章を付した商品の裏面には「De−Solv−it」、「ディゾルビット」の文字とともに「シール・ガム・接着剤 超頑固な油汚れはがし!」、「製造元 ORANGE−SOL Blending Packaging(米国製)」、「輸入・発売元 (株)ドーイチ」と記載されている(甲5)。

エ 「Amazon.co.jp」のウェブサイトには、使用標章を付した商品の画像とともに、「ディゾルビット375mlハンドスプレータイプ」、「ブランド名 ドーイチ」、「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2011/4/1」の記載があり、「商品の説明」欄には、「天然オイルから生まれた人と地球環境に優しいのに超強力な汚れはがし剤です。ディゾルビットは米国アリゾナ州オレンジソル社が開発した製品です。」と記載されている(甲7の1)。

オ 2015年10月3日には、「SHOP CHANNEL」、同年12月24日には、日本テレビ「ヒルナンデス!」において使用標章を付した商品が汚れはがし剤として紹介された(甲8の1、甲10の2〜4)。

カ 2009年1月16日付け日刊工業新聞において「オレンジ由来の洗浄・はく離剤 銅市」の見出しの下、使用標章を付した商品の画像とともに、「銅市(千葉県船橋市・・・)が販売している洗浄・はく離剤『ディゾルビット』が人気だ。・・・07年は前年比5割増となる約5万本を販売、昨年は消費冷え込みの影響を受けたが、それでも約6万本を販売した。ディゾルビットは、米国で約70年前からオレンジオイルを生産しているオレンジソル(アリゾナ州)の製品。」との記事が掲載された(甲9)。

キ ビバホーム、島忠などのホームセンターのチラシ及び毎日新聞の広告に使用標章を付した商品の画像が掲載された(甲11の2〜16、20、21、23〜27)。

(2)上記(1)によれば、平成17年9月にORANGE−SOL社の日本代理店となった株式会社ドーイチは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ORANGE−SOL社の製造に係る使用標章を付した商品「剥離剤、洗浄剤」を我が国に輸入し、販売したものと認められる。

しかしながら、ORANGE−SOL社の製造に係る使用標章を付した商品「剥離剤、洗浄剤」について、我が国における販売地域、販売量、同種商品に占める市場シェアは明らかではない。

また、上記(1)オ及びキによれば、テレビやチラシを用いた広告宣伝等においても、使用標章を付した商品の紹介がされていることはうかがえるものの、テレビに関しては、上記(1)オに加え、11月27〜29日放送の「SHOP CHANNEL」(放送年は不明)及び日本テレビ「有吉ゼミ」(放送年月日は不明)の計4回のみ放映されたものであるから、放送回数としては決して多いとはいえず、加えて、使用標章を付した商品が紹介されたチラシは、これらが作成された事実は認められるものの、その頒布部数、頒布地域及び頒布方法が不明であり、広告宣伝の地域、規模が明らかにされていないから、どれほどの範囲の需要者の目にふれたのか不明である。

さらに、申立人は、使用標章を付した商品に係る申立人の売上額は、直近3年の各年度において、1億円を下らないと主張しているが、この売上額の多寡について、比較すべき証拠も見いだせないため、評価することができない。

そうすると、使用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ORANGE−SOL社の業務に係る商品「剥離剤、洗浄剤」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

2 本件商標と使用標章との類否

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「De−Solv−it」の欧文字と図形とからなるところ、その構成中の「Solv」の文字は、一般の辞書等に掲載がなく、本件商標全体として、特定の意味を有しない造語と理解されるものであるから、これを称呼する場合には、我が国において親しまれた英語における発音に倣って称呼されるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「デソルブイット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)使用標章について

使用標章は、別掲2のとおり、「De−Solv−it」の欧文字を太字で表してなるものであるから、本件商標と同様にその構成文字に相応して、「デソルブイット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と使用標章との類否について

本件商標と使用標章とは、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなり、図形部分の有無という差異を有するものの、欧文字部分において、つづりを同じくするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものといえる。

また、両者は、いずれも「デソルブイット」の称呼を生じるから、称呼上、同一のものである。

さらに、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。

そうすると、本件商標と使用標章とは、観念において比較することができないとしても、外観においては近似した印象を与え、称呼においても同一のものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、類似の商標というべきである。

3 本件商標の指定商品と使用標章の使用に係る商品との類否

本件商標の指定商品である第3類「Cleaning preparations including hand cleaning preparations and spot and stain removers.」と使用標章を付した商品「洗浄剤」は、同一又は類似の商品である。

4 商標法第4条第1項第10号該当性について

上記2及び3のとおり、本件商標と使用標章とは類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品と使用標章を付した商品「洗浄剤」が同一又は類似の商品であるとしても、上記1(2)のとおり、使用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ORANGE−SOL社の業務に係る商品「剥離剤、洗浄剤」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記2のとおり、本件商標と使用標章とは、類似の商標であるとしても、上記1(2)のとおり、使用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ORANGE−SOL社の業務に係る商品「剥離剤、洗浄剤」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者に使用標章を連想、想起させることはなく、その商品がORANGE−SOL社と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

6 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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