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Trademark Appeal Case

欧文字2字商標の識別力と使用による識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−19733(T2016−19733/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「au」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第36類、第37類、第38類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年9月15日に登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、原審における同28年3月9日付け手続補正書により、第9類、第35類、第36類、第37類、第38類及び第42類に属する別掲1に記載のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、欧文字の2字『au』を標準文字で表してなるところ、欧文字の2字は、商品の品番、種別及び役務の質又は提供の方法等を表示するための記号、符号として取引上普通に使用されているものであるから、これをその指定商品・役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、極めて簡単で、かつ、ありふれた記号、符号の類型の一つにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、意見書において、商標法第3条第2項の規定に基づき登録されるべきである旨の主張をしているが、提出された証拠によっては、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至ったとは認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項第5号該当性について

商標法第3条第1項第5号は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」は、一般的に使用されるものであり、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである上、通常、特定人による独占的使用を認めるのに適しないことから、商標登録を受けることができない旨規定している(知財高裁平成23年(行ケ)第10359号 同24年10月25日判決参照。)。

これを本願商標についてみるに、本願商標は、上記第1のとおり、欧文字の標準文字2文字からなる商標であるところ、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる上、本願の指定商品及び指定役務との関係においても、それ自体何らの意味を有するものではなく、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、特定人による独占的使用を認めるのに適しているともいえないものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。

なお、請求人は、欧文字の2文字から構成される商標は、そのすべてが極めて簡単で、かつ、ありふれた記号、符合の類型にすぎないものであるわけではないとして、「GO」、「DO」、「if」などの商標の登録例を挙げ、「au」にも、インターネットドメインネームにおけるオーストラリアの国別コード、金の元素記号、仏語の「au」等の意味合いがある旨主張する。

しかしながら、本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、それ自体何らの意味を有するものではないこと、さきに述べたとおりであり、請求人の主張する上記各意味合いを有する語として、取引者、需要者に認識されるというべき事情も見当たらない。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

2 商標法第3条第2項該当性について

請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとしても、同条第2項に該当する旨主張し、証拠方法として甲第6号証ないし甲第59号証(枝番号を含む。)を提出した。

ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第2項に該当するか否かについては、使用に係る商標ないし商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模などの諸事情を総合考慮して判断するのが相当であり、その場合、使用に係る商標ないし商品等は、原則として,出願に係る商標及び指定商品等と同一であることを要するというべきである(知財高裁平成23年(行ケ)第10359号 同24年10月25日判決参照。)。

そこで、上記を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて、以下検討する。

(1)請求人の主張及び証拠によれば、以下のとおりである。

ア 使用に係る商標ないし商品・役務、使用開始時期及び使用期間について

(ア)請求人は、携帯電話・固定電話・インターネット通信事業等をその主たる業務としている。そして、請求人が営む同事業は、2000年11月にセルラーグループ会社7社が合併して設立された「株式会社エーユー」を、2001年10月に請求人が吸収合併して事業をスタートさせたことから始まる。

同事業により提供する役務について使用する商標は、当初、(a)「『図形』と欧文字の小文字活字体『au』の結合商標」(別掲2 以下「A商標」という。)であったが、その後、(b)同事業の運営主体が請求人に変更され「au」の携帯電話事業を推進していることを需要者に認識してもらうために、「A商標の欧文字部分の小文字活字体『au』の下に欧文字『by KDDI』を併記した商標」(別掲3 以下「B商標」という。)に変更し、さらには、(c)携帯電話通信事業について「au」のブランドが十分に浸透し、事業主体を表す「by KDDI」を付加する必要がなくなったことを見極めて、「欧文字の小文字活字体『au』のみの商標」(別掲4 以下「C商標」という。)へと変更した。

その後、(d)2012年1月に「au」ブランドのデザインを刷新し、現在の態様の商標(別掲5 以下「D商標」という。)を採択(甲11)し、現在に至るまで、これを使用し続けている。

また、(e)請求人は、上記D商標と併用する形で、「新たなデザインの欧文字の小文字活字体『au』からなる商標(別掲6 以下「E商標」という。)を使用しているほか、マスコミ広告、インターネット上の表示、カタログやリーフレット等の販促物において、その時々の事情に応じて、A商標からD商標とは異なる様々な書体の「au」からなる商標を使用している。

(イ)請求人は、D商標及びE商標を使用して、通信業務以外の様々な事業を展開している。たとえば、インターネットを利用した商品販売用のウェブサイト「au Online Shop」(甲35)、「auショッピングモール」(甲36)を開設し、様々な商品を取り扱っており、「auWALLET」(甲38、甲39)の役務により、「プリペイドカード」や「クレジットカード」を発行し、「au損保」(甲41)では、各種損害保険を提供している。

さらに、「auトラベル」(甲42)では、国内外のパック旅行の提供、ホテルの予約取次ぎ等を行っている。

また、「auスマートパス」(甲43)では、「トップニュース」の他、「社会」、「エンタメ」、「スポーツ」等の有益な情報を提供するとともに、併せて、「au」関連の情報を紹介している。

この他、「au toto」(甲44)では、スポーツ振興くじ(BIG、toto)の購入と当せん金の受け取りができ、「au Brand Garden」(甲45)では、被服・履物・かばんや袋物・生活雑貨・化粧品等に関するインターネットを介した販売を行っている。

イ 広告宣伝について

請求人は、携帯電話事業に関与した当初から、日本全国において、テレビその他のマスメディアを媒体とする広告宣伝に力を入れている(甲22〜甲29、甲31)。

また、ウェブサイトからも広告宣伝が閲覧できる(甲32〜甲34)。

そして、請求人は、各種のイベントにも協賛してきた(甲22の3)。

ウ 上記ア及びイによれば、当審は以下のとおり認定、判断する。

(ア)請求人は、携帯電話・固定電話・インターネット通信事業を主たる業務として、2001年10月から事業を開始した。同事業により提供する役務については、A商標(別掲2)からE商標(別掲6)と多少の変遷はあるものの、デザイン化された「au」の欧文字を使用すると共に、テレビその他のマスメディアを媒体として広告宣伝を継続して行っている。

(イ)しかしながら、本願商標は、「au」の欧文字を標準文字で表したものであるのに対し、請求人の使用に係る商標は、上記(ア)のとおり、デザイン化された「au」の欧文字からなるものであって、本願商標と同一とはいえない。

(ウ)また、本願の指定商品及び指定役務について、第35類「船舶の小売において行われる顧客に対する便益の提供」、第36類「有価証券の売買,土地の売買」、第42類「建築・都市計画・地域開発に関する調査又は研究」など、明らかに請求人の業務に含まれない商品・役務がある。

(エ)その他、本願の指定商品及び指定役務について、本願商標が請求人の業務を表すものとして、広く知られたものと認めるに足る的確な証拠はない。

以上のとおりであるから、請求人の主張、証拠によっては、本願商標が、請求人の使用により自他商品・役務識別力を獲得するに至ったものと認めることはできない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当しない。

(2)請求人の主張について

ア 本願商標と使用商標の同一について

請求人は、請求人が使用する商標「au」の書体は、A商標ないしE商標の5件の商標に限られるものではなく、これら以外の書体の商標も使用していること、テレビその他のマスメディアを媒体として自社の事業の広告宣伝に力を注いでおり、CM好感度アンケート調査では、2002年度から常にトップ10にランクされていること、そして、2012年のCMからはD商標及びE商標を表示しており、総じて、ローマ字活字体小文字「au」のみからなる商標(C商標)の周知性・著名性が請求人が現在使用するD商標及びE商標に引き継がれた旨主張する。

しかしながら、請求人の携帯電話、固定電話、インターネット事業等が「au」、「エーユー」と指称され親しまれていることは認められるものの、それは請求人の使用に係るデザイン化された「au」の文字とともに認識されているものである。そして、本願商標は、標準文字で表わしてなるものであるのに対し、請求人の使用に係る商標は、色彩、態様において様々な構成からなるものであったり、「auひかり」、「auスマートバリュー」、「au WALLET」のように、サービス名等の一部に使用しているものであり、本願商標とは同一ではない。また、リーフレット等において活字体で表された「au」の文字は、事業の説明等において記述的に使用されているものであり、商標としての使用ということはできない。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

イ 「商標の同一」に関する審決例・決定例

請求人は、出願商標が標準文字であり、実際に使用されている商標とは厳密には異なるとしても、同一の範囲の商標として、商標法第3条第2項の規定により、登録されている(甲52,甲53)。また、欧文字2字(標準文字ではない。)からなる商標と使用標章が、同一の範囲の商標として、商標法第3条第2項の規定により、登録されている(甲54)旨主張する。

しかしながら、出願された商標の登録の可否は、当該商標の構成態様と指定商品、指定役務に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、本件における上記判断が左右されるものではない。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。

ウ 指定商品及び指定役務について

請求人は、携帯電話、固定電話、インターネット通信事業等を主たる事業としているが、同事業により商標「au」に化体した信用を利用しつつ、これらの事業に関連する事業として小売等役務を含む各種の事業(例えば、ショッピングモール、プリペイドカードの発行、インターネット銀行、損害保険、国内外パック旅行の提供、ニュース等情報の提供、など)を展開している。取引者、需要者は、これらの主たる事業をもとに展開された各種の事業についても、同事業に基づく商品・役務に関して使用される商標「au」について、請求人の業務に係るものであると認識する(甲58,甲59)。また、欧文字の小文字「a」と「u」の組み合わせからなる請求人の商標は、極めてオリジナリティを有したものであり、いかなる業種の商品・役務についても他に使用する者がいない。よって、本願の指定商品及び指定役務について本願商標が使用されたときは、需要者をして、何人かの業務に係る商標として十分に認識される旨主張する。

しかしながら、上記アのとおり、請求人の使用に係る商標は、本願商標とは同一とはいえず、また、上記(1)ウ(ウ)及び(エ)のとおり、請求人は、本願の指定商品及び指定役務の全てについて、本願商標の使用の証拠を提出していない。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項に該当するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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