Trademark Appeal Case
宣伝文句の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−12018(T2017−12018/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「燗して冴える」の文字を標準文字で表してなり、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として、平成28年6月21日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『燗して冴える』と標準文字で現してなるところ、その構成中、『燗』の文字部分は『酒を器に入れて適度に温めること。』を意味し、また、『冴える』の文字部分は『際立つ』ほどの意味合いを有する語であるから、本願商標はその構成全体から『燗をすると際立つ』ほどの意味合いを容易に認識させるものである。そして、本願指定商品を取り扱う業界においては、燗をして飲むのに適した酒について、『燗して冴える』『燗で冴える』などの文句を使用して販売している実情があることからすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、当該商品の宣伝広告として認識するにとどまり、結局、本願商標は何人かの業務に係る商品であることを認識できないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり「燗して冴える」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成文字全体が一連で辞書類に掲載されている語句であるとは認められないものの、構成中、前半の「燗して」の文字が「酒をあたためる。燗をつける。」を意味する動詞「燗する」の連用形「し」に接続詞「て」を付した語として、後半の「冴える」の文字が「(ア)月や星が寒い夜空にくっきりとみえる。(イ)楽器の澄んだ音色がはっきり聞こえる。(ウ)色がくっきり鮮やかに感じられる。また、顔色や表情が生き生きとする。(エ)意識がはっきりする。(オ)腕前や技術が際立って鮮やかである。(カ)にぎやかに盛り上がる。(キ)寒さがきびしくなる。冷える。」(いずれも株式会社三省堂発行「大辞林第三版」)を意味する語として、いずれも一般に広く親しまれた二つの語を組み合わせてなるものと容易に理解させるものであり、それぞれの意味合いから、全体として「酒を燗することで、(味が)際立つ」ほどの意味合いを容易に看取させるものである。
そして、原審説示のように、本願の指定商品を取り扱う業界において、「酒の燗をすると(味が)際立つ」程の意味合いの宣伝広告として、「燗して冴える」、「燗で冴える」及び「お燗で冴える」などの表示が、別掲1及び2のとおり取引上普通に用いられている事実がある。
そうすると、本願商標に接する指定商品の需要者は、その構成文字の意味合い、本願指定商品を取り扱う業界の宣伝広告における「燗して冴える」等の文字の使用に関する取引の実情からすれば、本願商標から「酒の燗をすると(味が)際立つ」程度の意味合いの商品の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識、理解するというべきであって、このことは、当合議体による職権調査(別掲3)においても裏付けられるところである。
加えて、本願商標は標準文字で表してなるものであって、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、自他商品の識別機能を持たない、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、何ら酒の具体的品質表示では無く、特定な観念を生じない一種の造語と理解される「燗して冴える」の文字よりなる商標であって、酒の具体的品質表示ではないから酒の説明には該当せず、酒の特性や優位性を表わすものでもなく、酒の品質、特徴を簡潔にあらわしたものでない上、一般的に使用されない語句の言い回しによって構成される特別顕著な一種の造語商標である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、全体の意味合いの理解は容易であり、その構成文字や表現方法も特異なものではなく、本願の指定商品を取り扱う業界における宣伝広告として採択されているものであるから、本願商標は全体として上記意味合いを容易に認識、理解させるというべきものであって、明確な意味合いを想起させることのない造語と看取されるものとはいえない。
イ 請求人は、子会社である宝酒造株式会社が、本願商標を、実際に自他商品の識別力を有する商標として使用しており、同業他社は「燗して冴える」の文字を酒の具体的品質を表示するものとして宣伝広告に使っていないものであり、本件商標はそれ自体十分商標としての自他商品の識別機能を備えかつ現実に発揮しているものである旨主張する。
しかしながら、仮に請求人本人(又は子会社)による使用があるとしても、上記(1)の事実のように、これらの文字が商品の広告として明示して使用されているのであるから、本願商標が付された商品に接する需要者が請求人の出所識別標識としてではなく、単なる商品の宣伝文句の説明をした表示であると理解するのは極めて自然なことであり、その識別性を否定するための証拠として評価することに特段の支障はない。
ウ 請求人は、原審の拒絶査定において提示した引例(1)〜(5)は、「燗」と「冴える」だけを抽出して、請求人の主張の反証として掲示されたものであるが、「燗して冴える」を「燗をすると際立つ」と言い換えただけで表意の内容は依然意味不明であり、請求人の主張するように「燗して冴える」は、酒について何ら具体的内容を表示しない語句というべく一種の造語にすぎず、この意味においてこの引例は、請求人の利益とする旨主張し、さらに原審の拒絶査定において提示した引例(6)〜(10)は、「燗して冴える」の文字は、どこにも見当たらず、本件商標の要旨認定には全く的外れで無関係の引例である旨主張する。そして、原審の拒絶査定において提示した引例(11)〜(15)は、「燗して冴える」の文字が見当たらず、「燗をすることによって旨みが増す」や、「燗をして飲むのに適した酒」について使用されておらず、「商品が燗をして飲むのに適した酒であることを需要者に訴える宣伝広告」として使用されていないものというべきである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品を取り扱う業界においては、本願商標とつづりがすべて同一の文字の使用が限られているとしても、上記(1)のとおり、「燗」及び「冴える」の語を使用して宣伝文句とすることが普通に行われているという実情を鑑みれば、本願商標に接する需要者は、単に商品の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識、理解するというべきでありその主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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