Trademark Appeal Case
オアシス商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−9914(T2017−9914/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成27年8月14日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における同28年2月1日付け手続補正書により,別掲2のとおりの役務に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続している。
(1)登録第523482号商標
・商標の構成:別掲3のとおり
・登録出願日:昭和32年5月31日
・設定登録日:昭和33年7月10日
・書換登録日:平成20年9月10日
・指定商品:第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第524826号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和32年10月10日
・設定登録日:昭和33年8月1日
・書換登録日:平成21年12月16日
・指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第637393号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和37年11月10日
・設定登録日:昭和39年2月21日
成16年2月10日,平成25年10月29日
・書換登録日:平成17年2月23日
・指定商品:第7類及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(4)登録第1564122号−2商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:昭和51年3月16日
・設定登録日:昭和58年1月28日
・書換登録日:平成16年12月15日
・指定商品:第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(5)登録第1661673号−111商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:昭和49年4月17日
・設定登録日:昭和59年2月23日
・書換登録日:平成18年4月5日
・指定商品:第7類及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(6)登録第1661673号−112商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:昭和49年4月17日
・設定登録日:昭和59年2月23日
・指定商品:第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(7)登録第2035684号−1商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:昭和60年8月23日
・設定登録日:昭和63年3月30日
・書換登録日:平成21年5月20日
・指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(8)登録第2035684号−2商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:昭和60年8月23日
・設定登録日:昭和63年3月30日
・書換登録日:平成20年11月5日
・指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(9)登録第2300328号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字(上下二段併記)
・登録出願日:昭和63年8月3日
・設定登録日:平成3年1月31日
・書換登録日:平成13年9月19日
・指定商品:第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(10)登録第2401396号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成1年3月9日
・設定登録日:平成4年4月30日
・書換登録日:平成16年12月8日
・指定商品:第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(11)登録第2428828号−2商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字(上下二段併記)
・登録出願日:平成1年9月20日
・設定登録日:平成4年6月30日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(12)登録第2573061号−1商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成2年7月20日
・設定登録日:平成5年9月30日
・書換登録日:平成16年9月15日
・指定商品:第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(13)登録第2617594号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:昭和55年5月12日
・設定登録日:平成6年1月31日
・書換登録日:平成16年12月15日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(14)登録第3212306号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成4年10月12日
・設定登録日:平成8年10月31日
・指定商品:第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(15)登録第3244897号−11商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成5年8月31日
・設定登録日:平成9年1月31日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(16)登録第3244897号−12商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成5年8月31日
・設定登録日:平成9年1月31日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(17)登録第3244897号−2商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成5年8月31日
・設定登録日:平成9年1月31日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(18)登録第3318189号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成5年9月29日
・設定登録日:平成9年6月6日
・指定商品:第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(19)登録第3359841号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成6年4月7日
・設定登録日:平成9年11月14日
・指定商品:第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(20)登録第4038272号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成6年4月7日
・設定登録日:平成9年8月1日
・指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(21)登録第4126781号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成8年1月17日
・設定登録日:平成10年3月20日
・指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(22)登録第4132461号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成6年4月7日
・設定登録日:平成10年4月3日
・指定商品:第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(23)登録第4349387号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・登録出願日:平成10年5月14日
・設定登録日:平成12年1月7日
・指定商品:第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(24)登録第4355465号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:平成11年2月24日
・設定登録日:平成12年1月28日
・指定商品:第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(25)登録第4361784号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:平成10年4月3日
・設定登録日:平成12年2月18日
・指定商品:第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(26)登録第4364283号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字(上下二段併記)
・登録出願日:平成8年11月7日
・設定登録日:平成12年3月3日
・指定商品:第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(27)登録第4492171号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成12年6月27日
・設定登録日:平成13年7月19日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(28)登録第4492794号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名(標準文字)
・登録出願日:平成12年7月14日
・設定登録日:平成13年7月19日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(29)登録第4537319号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成9年4月9日
・設定登録日:平成14年1月18日
・指定商品:第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(30)登録第4693024号−1商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成11年5月21日
・設定登録日:平成15年7月18日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(31)登録第4693024号−2商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成11年5月21日
・設定登録日:平成15年7月18日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(32)登録第4792200号商標
・商標の構成:「oasis」の欧文字及び「オアシス」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成16年1月9日
・設定登録日:平成16年8月6日
・指定商品:第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(33)登録第4851231号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字(上下二段併記)
・登録出願日:平成16年3月17日
・設定登録日:平成17年3月25日
・指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(34)登録第4925247号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成17年5月12日
・設定登録日:平成18年2月3日
・指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(35)登録第4988228号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字(上下二段併記)
・登録出願日:平成16年5月7日
・設定登録日:平成18年9月15日
・指定商品役務:第19類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(36)登録第5205156号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成19年5月9日
・設定登録日:平成21年2月20日
・指定商品:第3類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(37)登録第5501213号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名(標準文字)
・登録出願日:平成24年1月6日
・設定登録日:平成24年6月15日
・指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(38)登録第5515181号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成23年8月24日
・設定登録日:平成24年8月17日
・指定商品:第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(39)登録第5552508号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名(標準文字)
・登録出願日:平成24年8月8日
・設定登録日:平成25年1月25日
・指定商品:第6類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(40)登録第5600561号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成24年8月17日
・設定登録日:平成25年7月19日
・指定商品:第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(41)登録第5609537号商標
・商標の構成:別掲4のとおり
・登録出願日:平成24年6月14日
・設定登録日:平成25年8月23日
・指定商品:第3類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(42)登録第5637412号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名(標準文字)
・登録出願日:平成24年12月12日
・設定登録日:平成25年12月13日
・指定商品:第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(43)登録第5637413号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成24年12月12日
・設定登録日:平成25年12月13日
・指定商品:第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(44)登録第5648672号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名
・登録出願日:平成24年11月13日
・設定登録日:平成26年2月14日
・指定商品:第2類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(45)登録第5668001号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字(標準文字)
・登録出願日:平成24年4月18日
・設定登録日:平成26年5月9日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(46)登録第5728557号商標
・商標の構成:「オアシス」の片仮名(標準文字)
・登録出願日:平成26年8月21日
・設定登録日:平成26年12月19日
・指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(47)国際登録第1147671号商標
・商標の構成:「OASIS」の欧文字
・国際登録日:2012年(平成24年)9月12日
・設定登録日:平成26年2月7日
・指定商品役務:第14類,第18類,第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(48)登録第2128353号商標
・商標の構成:「OASYS」の欧文字
・登録出願日:昭和55年4月18日
・設定登録日:平成1年4月28日
・書換登録日:平成22年3月17日
・指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(49)登録第2188364号商標
・商標の構成:「OASYS」の欧文字
・登録出願日:昭和55年4月18日
・設定登録日:平成1年11月28日
・書換登録日:平成21年11月25日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(50)登録第3256118号商標
・商標の構成:「OASYS」の欧文字
・登録出願日:平成6年3月9日
・設定登録日:平成9年2月24日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(51)登録第3285930号商標
・商標の構成:「OASYS」の欧文字
・登録出願日:平成6年9月1日
・設定登録日:平成9年4月18日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(52)登録第4304517号商標
・商標の構成:「OASYS」の欧文字
・登録出願日:平成6年6月30日
・設定登録日:平成11年8月13日
・指定商品:第15類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(53)登録第5226343号商標
・商標の構成:別掲5のとおり
・登録出願日:平成19年7月30日
・設定登録日:平成21年4月24日
・指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(54)登録第5545721号商標
・商標の構成:別掲6のとおり
・登録出願日:平成24年5月22日
・設定登録日:平成24年12月21日
・指定役務:第35類及び第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
以下,上記項番1ないし項番54を順次「引用商標1」ないし「引用商標54」のように表すことがある。
なお,原査定において引用した,登録第3284567号商標及び登録第3295685号商標の商標権は,商標登録原簿の記載によれば,商標権の存続期間満了により,それぞれ平成29年4月18日に抹消(その登録は平成29年12月20日)及び平成29年4月25日に抹消(その登録は平成30年1月24日)されている。
3 当審における証拠調べ
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,別掲7に示すとおり,百貨店等が自身の名称とともに,当該百貨店等に出店している小売業者又は取扱商品の名称(ブランド名)を表示し,それぞれが独立して自他商品又は役務の識別標識としての機能を発揮しているといえる事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,意見を申し立てる機会を与えるべく,相当の期間を指定して,平成29年8月31日付けで証拠調べの結果を通知したところ,請求人からは,同年10月10日付けで意見書が提出された。
4 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「小田急百貨店」の青色の文字と,その右側に青色の横長楕円形(楕円形の上下中央部はややへこんでいる。)の図形中に,「Oasis」及び「オアシス」の白抜き文字を上下二段に書してなる図形(以下「図形部分」という。)を配してなる結合商標である。
そして,本願商標構成中の「小田急百貨店」の文字は,請求人の著名な略称であって,請求人が提供する総合小売役務に係る出所識別標識と認められる。また,図形部分中の「Oasis」及び「オアシス」の文字は,「オアシス」,「砂漠中で水がわき,樹木の繁茂している沃地。慰安となる場所。」を意味する英単語(初級クラウン英和和英辞典第11版参照)及び外来語(広辞苑第6版参照)としてよく知られている語であって,結局,これら文字は「オアシス」ほどの意味合いを認識させるものというべきであり,かつ,本願商標の指定役務との関係において,これら文字が,役務の質等を表すとか,あるいは,その取扱いに係る商品の品質等を表すといえるような事実は見いだせない。さらに,青色の横長楕円形部分は,単純な図形であって,背景図形の一種と認識される態様であることから,格別に看者の注意をひくものではなく,直ちに特定の事物を想起させないものであるから,これからは特定の称呼及び観念が生じるものとはいえない。
そうすると,本願商標は,「小田急百貨店」の文字部分と図形部分とは視覚上明確に分離されていることから,構成上からは,「小田急百貨店」の文字部分と図形部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。
また,「小田急百貨店」の文字部分からは,「オダキュウヒャッカテン」の称呼及び「(総合小売業者としての)小田急百貨店」の観念が生じる一方,図形部分からは,「Oasis」及び「オアシス」の文字より,「オアシス」の称呼及び観念を生じるものであるから,両者は,称呼及び観念的にも密接な関連を見いだせない。
さらに,別掲7のとおり,百貨店等が自身の名称とともに,当該百貨店等に出店している小売業者又は取扱いに係る商品の名称(ブランド名)を表示し,それぞれが独立して自他商品又は役務の識別標識としての機能を発揮しているといえる取引の実情が認められる。
してみれば,本願商標は,その構成中,「小田急百貨店」の文字部分と「Oasis」及び「オアシス」の文字を含む図形部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって,本願商標は,その構成中,「Oasis」及び「オアシス」の文字を含む図形部分をも要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。
そうすると,本願商標からは,その構成中の要部である「Oasis」及び「オアシス」の文字部分に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるというのが相当である。
(3)引用商標
ア 引用商標1
引用商標1は,別掲3のとおり,水平直線の上に大きく「OASIS」の欧文字を書し(「O」の文字の一部は水平直線と交わっている。),当該水平直線の下に,縦長楕円形内に,王冠状の図形,「WITH」及び「Menthol Mist」の文字を上下三段に併記した図形(以下,アにおいて「図形部分」という。)をそれぞれ配してなる結合商標である。
そして,引用商標1の構成中,「OASIS」の文字部分からは,上記(2)と同様,「オアシス」の称呼及び観念が生じ,引用商標1の指定商品との関係で,商品の品質等を表すものではない一方,「WITH」,「Menthol」及び「Mist」の文字部分は,それぞれ「〜と共に」,「メントール」及び「霧」を意味する英単語(ジーニアス英和辞典第5版参照)であり,全体として「メントールの霧と共に」ほどの意味合いを認識させるものであるから,これら文字部分は,引用商標1の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能がないか極めて弱く,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものといえる。また,図形部分中,王冠状の図形からは,「王冠」ほどの観念が生じ,特定の称呼は生じない一方,縦長楕円形からは,特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。さらに,水平直線部分は,極めて単純な態様であって,商品の出所識別標識としての機能を果たすものではない。
そうすると,引用商標1は,「OASIS」の文字部分と図形部分が視覚上明確に分離されており,構成上からは,「OASIS」の文字部分と図形部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。また,「OASIS」の文字部分からは,「オアシス」の称呼及び観念が生じる一方,図形部分からは,王冠状の図形より「王冠」の観念が生じ,特定の称呼は生じないのであるから,両者は,称呼及び観念的にも密接な関連を見いだせない。
してみれば,引用商標1は,その構成中,「OASIS」の文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって,引用商標1は,その構成中,「OASIS」の文字部分を要部として抽出し,他人の商標(本願商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。
そうすると,引用商標1からは,その構成中の要部である「OASIS」の文字部分に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるというのが相当である。
イ 引用商標2,同3,同12,同27,同29,同32(以下,まとめて「引用商標A」という。)
引用商標Aは,前記2でそれぞれ列記したとおり,「OASIS(oasis)」の欧文字及び「オアシス」の片仮名を上下二段に併記してなるものであるところ,これら文字は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,その構成文字に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるものである。
ウ 引用商標9,同11,同26,同33,同35(以下,まとめて「引用商標B」という。)
引用商標Bは,前記2でそれぞれ列記したとおり,「オアシス」の片仮名及び「OASIS」の欧文字を上下二段に併記してなるものであるところ,これら文字は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,その構成文字に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるものである。
エ 引用商標4,同10,同14ないし23,同30,同31,同34,同36,同38,同40,同43,同45,同47(以下,まとめて「引用商標C」という。)
引用商標Cは,前記2でそれぞれ列記したとおり,「OASIS」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,「オアシス」の称呼及び観念が生じるものである。
オ 引用商標5ないし8,同13,同24,同25,同28,同37,同39,同42,同44,同46(以下,まとめて「引用商標D」という。)
引用商標Dは,前記2でそれぞれ列記したとおり,「オアシス」の片仮名を横書きしてなるところ,当該文字は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,「オアシス」の称呼及び観念が生じるものである。
カ 引用商標41は,別掲4のとおり,「OaSIS」の文字を同じ大きさで書し,当該文字の幅に収まるように小さく「POST−HARVEST PRODUCTS」の文字を上下二段に併記し,これら文字の列幅と同じ高さの垂直直線を,左右にそれぞれ11本及び8本配してなる結合商標である。
そして,その構成中の「OaSIS」の文字部分は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,「オアシス」の称呼及び観念が生じる一方,「POST−」,「HARVEST」及び「PRODUCTS」の文字部分は,それぞれ「後の」,「収穫」及び「製品」を意味する英単語(ジーニアス英和辞典第5版参照)であり,全体として「収穫後の製品」ほどの意味合いを認識させるものであるから,これら文字部分は,引用商標41の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能がないか極めて弱く,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものといえる。また,垂直直線部分は,極めて単純な態様であって,商品の出所識別標識としての機能を果たすものではない。
してみれば,引用商標41は,その構成中,「OaSIS」の文字部分を要部として抽出し,他人の商標(本願商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。
そうすると,引用商標41からは,その構成中の要部である「OaSIS」の文字部分に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるというのが相当である。
キ 引用商標48ないし52(以下,まとめて「引用商標E」という。)
引用商標Eは,前記2でそれぞれ列記したとおり,「OASYS」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,一般的な辞書類に載録のない語であり,これからは,英語風の読みで「オアシス」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
ク 引用商標53
引用商標53は,別掲5のとおり,「OASiS」の文字を図案化し,「A」を表した文字部分の上部に「New」の文字を,「i」を表した文字部分の上部に葉状の図形を配してなる結合商標である(「New」,「O」,「S」及び「i」の点部分は青色,それ以外の部分は緑色に着色されている。)。そして,「New」の文字は,「新しい」を意味する平易な英単語であり,引用商標53の指定役務との関係では,役務の出所識別標識としての機能はないといえる一方,「OASiS」の文字部分は,上記(2)で述べた意味を有する語であることから,「オアシス」の称呼及び観念が生じるものである。また,葉状の図形部分から,特定の称呼及び観念は生じない。
そうすると,引用商標53からは,図案化された「OASiS」の文字部分に相応して,「オアシス」の称呼及び観念が生じるというのが相当である。
ケ 引用商標54
引用商標54は,別掲6のとおり,青色と黄色からなる図案化された「D」の文字と,当該文字とほぼ同じ大きさの「オアシス」の緑色の文字を,一連にまとまりよく一体的に表したものであるから,これよりは,「ディーオアシス」の称呼のみが生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標の類否
ア 引用商標1,同41及び同AないしDについて
(ア)外観について
a 本願商標の要部と,引用商標1及び引用商標41の要部並びに引用商標Cを対比すると,本願商標の要部である「Oasis」と「オアシス」の文字が上下二段に併記され,引用商標1の要部及び引用商標Cが「OASIS」並びに引用商標41が「OaSIS」の文字のみからなるという構成上の差異及び大文字小文字の差異はあるものの,本願商標の要部である「Oasis」の文字と,引用商標1の要部及び引用商標Cの「OASIS」並びに引用商標41の「OaSIS」の文字のつづりが共通することに加え,両文字部分とも書体において顕著な差異が認められないことからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
b 本願商標の要部と引用商標Aを対比すると,両者とも,上段に欧文字及び下段に片仮名を配するという構成が共通するものであり,欧文字部分における大文字小文字の差異と,書体における若干の差異はあるものの,欧文字部分も片仮名部分もつづりを共通にすることからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
c 本願商標の要部と引用商標Bを対比すると,本願商標の要部は,上段に欧文字及び下段に片仮名を配し,引用商標Bは,上段に片仮名及び下段に欧文字を配するという構成上の差異,欧文字部分における大文字小文字の差異,書体における若干の差異はあるものの,欧文字部分も片仮名部分もつづりを共通にすることからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
d 本願商標の要部及び引用商標Dを対比すると,本願商標の要部である「Oasis」と「オアシス」の文字が上下二段に併記され,引用商標Dが「オアシス」の文字のみからなるという構成上の差異はあるものの,本願商標の要部である「オアシス」の文字と引用商標Dの「オアシス」の文字のつづりが共通することに加え,両文字部分とも書体において顕著な差異が認められないことからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
(イ)称呼及び観念について
本願商標と,引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしDは,「オアシス」の称呼及び観念を共通にする場合がある。
(ウ)小括
以上から,本願商標と,引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしDは,「オアシス」の称呼及び観念を共通にする場合がある一方,その外観において,称呼及び観念の共通性を凌駕するほどの顕著な差異があるとはいえないことから,これらの外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すれば,両者は,相紛れるおそれのある類似するものであるというべきである。
したがって,本願商標と引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしDは,類似する商標であるというのが相当である。
(エ)本願商標の指定役務と引用商標1及び同41並びに同AないしDの指定商品又は指定役務の類否
本願商標の指定役務は,引用商標37及び引用商標47の指定役務を含むものであるから,互いに類似するものというべきである。
また,本願商標の指定役務に係る取扱商品には,引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしD(引用商標37を除く。)の指定商品が含まれるものである。そして,商品の販売と,その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,該商品の販売場所や需要者の範囲が,該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあるとみるのが相当であるから,本願商標の指定役務と,引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしD(引用商標37を除く。)の指定商品は,それらに同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれのある,互いに類似するものというべきである。
イ 引用商標E,同53及び同54について
(ア)引用商標E
本願商標の要部である「Oasis」の文字部分と引用商標Eを対比すると,外観については,両者は,文字のつづり及び大文字小文字の差異を有するものであるから,区別できるものである。次に,称呼については,「オアシス」の称呼を共通にするものである。さらに,観念については,本願商標の要部から「オアシス」の観念を生じる一方,引用商標Eから特定の観念は生じないから,両者は観念において紛れるおそれはない。
そうすると,本願商標の要部と引用商標Eとは,称呼において共通するとしても,外観において区別できるものであり,観念において紛れるおそれのないものであるから,これらを総合的に考察すると,本願商標と引用商標Eは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(イ)引用商標53
本願商標の要部である「Oasis」の文字部分と引用商標53を対比すると,両者は「オアシス」の称呼及び観念が共通するものであるが,外観については,文字の図案化の有無,葉状の図形の有無及び大文字小文字の差異において著しい相違がある。
そうすると,本願商標の要部と引用商標53とは,「オアシス」の称呼及び観念を共通にするとしても,これが外観における顕著な相違を凌駕するものではないから,これらを総合的に考察すると,本願商標と引用商標53は,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(ウ)引用商標54
本願商標の要部である「オアシス」の文字部分と引用商標54を対比すると,両者は,外観について文字の図案化の有無,図形の有無の差異において著しい相違があるから,明確に区別できるものである。また,称呼については,本願商標の要部から生じる「オアシス」の称呼と,引用商標54から生じる「ディーオアシス」の称呼は,最も聴取しやすい語頭音において明らかな差異があるから,明確に聴別されるものである。さらに,観念については,本願商標の要部から「オアシス」の観念を生じる一方,引用商標54から特定の観念は生じないから,両者は観念において紛れるおそれはない。
そうすると,本願商標の要部と引用商標54とは,外観,称呼及び観念において紛れるおそれのないものであるから,本願商標と引用商標54は,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(エ)したがって,本願商標は,引用商標E,引用商標53及び引用商標54との関係においては,互いに類似する商標とはいえない。
(5)まとめ
以上によれば,本願商標と引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしDとは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定役務と引用商標1及び引用商標41並びに引用商標AないしDの指定商品又は指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は,(ア)小売等役務に使用される商標は,店舗の看板や売場の名称として使用され,一般的に商標全体を一体として表示されるものであること,(イ)本願商標の構成中の「小田急百貨店」の文字を,その右側のオアシスの湖の図形と同じ青色で表したことで,本願商標全体で外観上一体感があるように表されており,かつ,「小田急百貨店」と「Oasis」の文字が同じ大きさで表され書体も類似していることから,どちらか一方が需要者の注意を強くひくように表されているものではないこと,(ウ)「小田急百貨店」の文字の青色が,自然とオアシスの水を連想される効果もあると考えられるから,商標の一体的な構成も相まって,「小田急百貨店のオアシス」,「小田急百貨店の憩いの場」との観念も生じること,(エ)実際に,本厚木ミロードにおいて,本願商標が一体的に使用され,請求人のブランドであると需要者に認識されていること,(オ)「小田急百貨店」の文字は,小売サービスを行う有名なデパートの名前として,取引者,需要者の間に認識されていることを考慮すると,本願商標から,「小田急百貨店」の文字部分が省略され,その他の部分のみから称呼,観念が生じることはない旨主張する。
しかしながら,上記(2)で述べたとおり,本願商標は,「小田急百貨店」の文字部分と図形部分が視覚上明確に分離されており,単に「小田急百貨店」の文字と図形部分が青色であるからといって,その構成上からは,両部分が,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情とはいえない。
また,図形部分中の「Oasis」及び「オアシス」の文字は,本願商標の指定役務との関係において,役務の質やその取扱商品の品質等を表すといえるようなものではないから,本願商標からは,「小田急百貨店」の文字部分のみならず,「Oasis」及び「オアシス」の文字からも,役務の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものであり,かつ,「(総合小売業者としての)小田急百貨店」の観念と「オアシス」の観念との間に,密接な関連も見いだせない。
そして,百貨店等が自身の名称とともに,当該百貨店等に出店している小売業者又は取扱商品の名称(ブランド名)を表示し,それぞれが独立して自他商品又は役務の識別標識としての機能を発揮しているといえる取引の実情も踏まえれば,本願商標は,その構成中,「小田急百貨店」の文字部分と「Oasis」及び「オアシス」の文字を含む図形部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから,本願商標は,その構成中,「Oasis」及び「オアシス」の文字を含む図形部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものであり,かかる認定,判断は,上記(1)で示した判断基準に沿ったものである。
なお,(エ)については,単に,請求人による本願商標の使用例のひとつに過ぎず,これが役務の類否の判断において参酌される一般的・恒常的な取引の実情に該当するということはできない。また,本願商標の指定役務に係る業界において,本願商標全体として,請求人に係る業務を表示するものとして広く一般に知られていると認められる事情も見いだせない。
したがって,請求人の主張は,採用できない。
(7)むすび
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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