Trademark Appeal Case
地名と業種名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900269(T2017−900269/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5952397号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「武蔵野ブルワリー」の文字を横書きしてなり、平成28年9月21日に登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、同29年4月21日に登録査定、同年6月9日に設定登録、同年7月4日に本件商標に係る商標掲載公報が発行されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成29年9月1日付け商標登録異議申立書において、本件商標は、商標法第3条1項第3号、同項第4号、同法第4条第1項第15号及び同項第16号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する理由
本件商標を構成する「武蔵野」の文字は、埼玉県川越以南、東京都府中までの間に広がる地域を示す著名な地域名であり、「ブルワリー」の文字は、「ビールの醸造所」といった意味を有することから、本件商標は全体として、「武蔵野地域に所在する醸造所・ビール工場」ほどの意味を容易に理解させるものである。
そうすると、本件商標は、単に商品の産地を表したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「武蔵野地域に所在する醸造所・ビール工場で製造、出荷されたビール」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第4号に該当する理由
本件商標は、著名な地理的名称である「武蔵野」の語と、業種名である「ブルワリー」を結合したものであり、「ありふれた名称」に該当し、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
申立人は、「武蔵野ブルワリー」という名称のビール工場を長年にわたり操業し、当該ビール工場にて多くのビールを製造、出荷してきた。
その結果、「武蔵野ブルワリー」の名称は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている。
そうすると、上記申立人の商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 取消理由の通知
当審において、本件商標の商標権者に対し、「本件商標は、商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨の取消理由を平成29年12月25日付けで通知した。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、「武蔵野ブルワリー」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであって、その指定商品を第32類「ビール」とするものである。
ところで、申立人の提出に係る証拠及び当審における職権による調査(別掲2)によれば、本件商標の登録査定時において、「武蔵野」の文字は、「関東平野の一部。埼玉県川越市以南、東京都府中市までの間に拡がる地域」を意味する語として、また、「ブルワリー」の文字は、「ビール醸造所」の意味を有する外来語として、一般に慣れ親しまれていたものといえる。そして、我が国において、「○○ブルワリー」(「○○」には、地名等を表示する文字が入る。)との名称からなる醸造所が少なからず存在し、ビールが製造されている実情があり、加えて、武蔵野の醸造所においても、ビールが製造されていることが認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本件商標から、「武蔵野の醸造所」ほどの意味合いを容易に看取し、その商品が「武蔵野の醸造所で製造されたビール」であることを理解し、認識するにとどまるとみるのが相当であるから、本件商標は、単に商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)まとめ
上記(1)のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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