Trademark Appeal Case
AXASとAXAの類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900031(T2017−900031/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5893052号商標(以下「本件商標」という。)は、「AXAS」の欧文字を書してなり、平成28年4月28日に登録出願、第36類「資金貸付け及び手形の割引,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,生命保険契約の締結の媒介,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の管理,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,ゴルフ会員権並びにホテルおよびスポーツ施設の利用権の売買および仲介」を指定役務として、同年9月21日に登録査定され、同年11月4日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第3001852号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲1(1)のとおり
指定役務 別掲2(1)のとおり
出願日 平成4年7月15日
設定登録日 平成6年8月31日
最新更新登録日 平成26年7月1日
2 登録第3000720号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲1(2)のとおり
指定役務 別掲2(2)のとおり
出願日 平成4年7月14日
設定登録日 平成6年7月29日
最新更新登録日 平成26年7月1日
3 登録第4246186号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲1(3)のとおり
指定役務 別掲2(3)のとおり
出願日 平成6年8月9日
設定登録日 平成11年3月5日
最新更新登録日 平成21年3月17日
4 国際登録第1030368号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲1(4)のとおり
指定役務 別掲2(4)のとおり
国際商標登録出願日 2010年(平成22年)1月18日
設定登録日 平成23年5月27日
5 国際登録第1290037号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 AXA
指定役務 別掲2(5)のとおり
国際商標登録出願日 2015年(平成27年)12月16日
設定登録日 平成29年3月24日
以下、これらをまとめて「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第72号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標の著名性について
(1)申立人アクサ(英文名称:AXA)は、フランス国において、保険・金融事業を目的として、1817年に前身となる保険会社コンパニー・ダシュランス・ミューチュエル・コントル・ランサンディが設立され、その後1985年に社名をAXA(アクサ)に変更した会社である。現在においては、世界で約64力国において、約1億300万人の顧客に支持される世界最大級の保険・金融グループとして君臨している。また、申立人は、保険とそれに関連する金融サービスに焦点を絞って事業展開しているが、それらのサービスについても、多数の関連会社を通じて幅広い分野で事業活動を行っており、申立人を中心としたこれらの関連会社によって一つのグループ(AXA GROUP)が形成されている(甲7〜甲12)。
また、申立人は、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジアを中心とした諸外国において多数の営業拠点を有し(甲7〜甲12)、これらの拠点を通じて「AXA」の名称の下にサービスを提供し、世界各国の従業員は約16万6,000人、近年(2015年)の総売上は約990億ユーロ(約13兆3,329億円)にも達している(甲8〜甲13)。
(2)我が国においても、申立人は、保険、資産運用、アシスタンス等の保険・金融等の様々な分野で事業を展開しており、申立人の経営方針の下、アクサ生命保険株式会社を中心に、保険分野を主たる業務範囲とする3社(アクサ生命保険株式会社、アクサ損害保険株式会社(アクサダイレクト)、アクサダイレクト生命保険株式会社)がアクサ ジャパン グループを形成し、かつ、資産運用、不動産投資・資産管理、アシスタンスの各分野を担うその他のアクサメンバーカンパニーと密接に連携をしている。特に、不動産投資等に関しては、アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネージャーズ・ジャパン株式会社が事業を展開している(甲9、甲10)。
(3)申立人において、引用商標中の「AXA」の欧文字は、申立人の英文表記たる「AXA」なる名称であり、申立人及びその関連グループ会社は、我が国において、「AXA」「アクサ」の名称の下で多様なサービスを提供し、当該各名称は、それぞれ実際の取引に資されていると共に、需要者、取引者をして広く親しまれているところである。
申立人及びその関連グループ会社が、新聞、雑誌、TVコマーシャルにおいて「AXA」「アクサ」の名称の下に積極的な宣伝広告をなしているのは周知の事実であるが、このような宣伝広告活動やサービスの優秀性と相侯って、申立人及びそのグループ会社の提供に係る保険・金融事業に係るサービスは高い評価を得るに至っており、世界各国だけでなく、我が国においても、その種の業界のリーディングカンパニーの一つとして名声を獲得している。
このような状況の下、「AXA」の欧文字は一般の電子英和辞書にも申立人を指すものとして掲載されているが(甲14)、このことは、申立人とそのグループ会社による保険・金融事業の分野を中心とした上述の宣伝、広告、市場の獲得及び需要者、取引者の高い評価を通じて、引用商標中の「アクサ」なる片仮名だけでなく、その英文表記である「AXA」の欧文字までもが、申立人又はそのグループ全体を示すものとして我が国において広く認識されるに至っているという事実を示すに他ならないものである。
以上のとおり、引用商標は、申立人を指称するハウスマークとして機能する商標であり、引用商標は我が国において周知著名な商標として認識されているものである(甲7〜甲14)。
2 商標法第4条第1項第11号違反について
(1)上記1のとおり、「AXA」の欧文字及び「アクサ」の片仮名は、申立人を指称する商標として保険・金融業界において周知著名であり、それらの文字自体を併記した態様で構成されてなるのが引用商標1及び引用商標2である。また、「AXA」なる欧文字及び「アクサ」の片仮名だけでなく、図形も構成要素に含まれているのが引用商標3及び引用商標4である。
そして「AXA」の欧文字からなるのが引用商標5である。
一方、本件商標は、「AXAS」の欧文字から構成されてなり、当該商標中には、「AXA」の欧文字が含まれているものである。
申立人の所有に係る引用商標は、保険・金融業界において特に高い周知性を獲得していることから、当該分野に関連する第36類の役務について「需要者の間に広く認識された登録商標」に該当するものであるから、これらの分類に属する役務を指定役務とし、引用商標中の「AXA」の文字をその構成中に含む本件商標は、特許庁の判断基準に照らすと引用商標と類似する商標といい得るものである。
したがって、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定役務には、引用商標に係る指定役務の範ちゅうに属する役務が含まれていることから、本件商標は引用商標が存在するにも拘わらず登録されたものであり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録された商標であることは明らかである。
(2)本件商標と引用商標の外観についてみると、両商標は、いずれも最初の3文字である「AXA」の欧文字を含む点において共通するのに対し、両商標は、語尾における欧文字「S」において相違するにすぎないものである。
そして、このような共通点である「AXA」の語は、4文字中の最初の3文字までもが共通し、視覚上強い印象を残す文字が共通するものであり、特に、本件商標と引用商標とは、書体もとりわけ個性のある印象深いものではなく、通常の書体の範囲といえるものであり、需要者、取引者をして、共通部分が強く印象に残るといい得るものである。
したがって、両商標を時と所を異にして離隔的観察をした場合には、これに接する需要者、取引者をして、両商標は、欧文字「AXA」の共通部分が強く脳裏に刻まれるのであり、外観において相紛らわしい商標と認識されるものである。
次に、称呼についてみると、本件商標からは、その構成文字に照応して「アクサス」の称呼が自然に生じるものであり、引用商標からは、それらの構成文字に照応して「アクサ」の称呼が生じるものであるが、これらの称呼を対比すると、両称呼は、称呼の識別において重要な影響を与える語頭音を含めた「アクサ」の3音を共通にし、異なるところは語尾における弱音の「ス」の1音の有無のみである。
そして、この相違音である「ス」の音は、舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音(s)と母音(u)との結合した音であって、他の音に比べ弱い音になることに加え、相違音が位置する語尾音は、通常明瞭に聴取され難いものであることから、この音の有無が両称呼全体に与える影響は大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感が互いに近似し聞き誤るおそれがあるものである。
この点について、過去の審決、異議決定において、語尾における「ス」音の有無が争われた例が存在する(甲15〜甲25)し、語尾音における「ス」の音の有無は、上述したような「ス」の音の性質、語尾音の特性等から、全体の称呼に与える影響が決して大きいものとはいえず、両称呼は類似する旨判断されており、これらの判断は、本件商標と引用商標との間における類否判断においても大いに尊重されるべきものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観だけでなく、称呼においても、互いに合い紛らわしい商標であり、かつ、本件商標の指定役務には、引用商標に係る指定役務の範ちゅうに属する役務が含まれていることから、本件商標は引用商標が存在するにもかかわらず登録されたものであり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録された商標であることは明らかである。
特に、申立人が2008年に異議申立した、異議2008−900491(甲17)は、異議申立の対象となった商標の欧文字部分が、本件商標と同一の「AXAS」であり、この異議申立事件では、称呼の類似性と、AXAの著名性をもって、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものと認定がされ、取消決定が確定している。本件事案はまったくといって良い程同一の事情に基づくものであるため、商標出願人ないし商標権者の間の公平性の実現の観点並びに特許庁の審査の安定性に鑑み、本件についても同様の判断が下されるべきである。
3 商標法第4条第1項第15号違反について
本件商標と引用商標とが類似するとはいい得ないとした場合であっても、「AXA」の欧文字が申立人を指称するものとして金融・保険業界において周知著名であることからすると、「AXA」「アクサ」の文字をその一部に含む本件商標の下に金融・保険関連のサービス等が提供されたときには、需要者、取引者をして、あたかも申立人に係るサービスであるかのごとく、又は申立人と経済的、組織的に何らかの関連を有するものの提供に係るサービスであるかごとく、その出所について誤認混同を招くことは明らかである。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないとした場合であっても、本願商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである。
4 商標法第4条第1項第8号違反について
前述のように、「AXA」の欧文字及び「アクサ」の片仮名は、申立人の名称及びそのグループ会社を示す著名な略称として認識されることからすると、本件商標はその構成中に「他人の名称」「他人の著名な略称」を含む商標に該当するものであるから、商標法第4条第1項第8号にも違反して登録されたものである。
第4 取消理由の通知
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年12月20日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標4及び引用商標5の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば以下のとおりである。
(ア)申立人は、フランス国において、保険・金融事業を目的として、1817年に設立された保険会社コンパニー・ダシュランス・ミューチュエル・コントル・ランサンディを前身とする会社である。そして、同人は、1985年に社名をAXA(アクサ)に変更し、現在においては、世界64の国と地域で事業を展開している世界最大級の保険・資産運用グループであり、我が国においては、保険、資産運用及びアシスタンスサービスなどの保険・金融等の様々な分野で事業を展開している(甲7〜甲11、甲26、甲27)。
申立人は、1994年にアクサ生命保険株式会社を設立し、1998年6月にアクサ損害保険株式会社(アクサダイレクト)、2006年10月にアクサダイレクト生命保険株式会社が設立され、この3社で「アクサ ジャパン グループ」(「アクサ損害保険株式会社(アクサダイレクト)」と「アクサダイレクト生命保険株式会社」は、「アクサ生命保険株式会社」の子会社、以下「アクサ生命等グループ会社」という場合がある。)を形成し、保険分野を中心とする業務を行っており、2017年6月1日現在で全国に334か所の支社、営業所が置かれている(甲7、甲9〜甲11、甲13、甲26、甲27)。
そして、アクサ生命等グループ会社の売上は、一般事業会社の売上にあたる「保険料等収入」は2012年(平成24年)ないし2016年(平成28年)で約5,520億円ないし6,700億円であり(甲26)、平成26年度ないし平成28年度の広告宣伝費は、約8億6,500万円ないし14億2,200万円である(甲36)。
また、資産運用、不動産投資・資産管理及びアシスタンスサービス分野をその他のAXAメンバーカンパニーが行っており、「アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネージャーズ・ジャパン株式会社」は、不動産投資・資産管理サービスを行っている(甲26)。
(イ)世界最大のブランディング専門会社の「インターブランド」において、2016年のベストグローバルブランドランキングでは、引用商標4が46位である(甲40、甲41)。
(ウ)2016年(平成28年)10月7日付けの申立人のニュースリリースには、「AXA PRESS RELEASE」の見出しのもと「2016年10月5日パリ発/AXAが世界No.1の保険ブランドに・・・インターブランド社によるベスト・グローバルブランド・ランキングで2ランク上昇して46位にランクアップ。・・・8年連続で世界No.1の保険ブランドに。」の記載(甲42)、「週刊ダイヤモンド」の2015年(平成27年)1月17日号には、「引受基準緩和型医療保険/新商品が続々登場の“未開拓地”1位はアクサ『OKメディカル』」の記載(甲44)、及び申立人のウェブサイトの「商工会議所とアクサ生命との提携について」には、「全国515商工会議所のうち511カ所(2016年6月1日現在)でアクサ生命の各種保険制度が採用されており」の記載がある(甲65)。
(エ)引用商標4の「AXA」の部分とほぼ同じ構成からなる「AXA」の文字をデザイン化した標章は、1985年から使用されており(甲27)、 引用商標4は、アニュアルレポート、会社案内、テレビコマーシャル、雑誌広告、保険の営業用の資料及びパンフレット等に広く使用されている(甲7、甲9、甲11〜甲13、甲26、甲27、甲37〜甲39、甲42、甲54、甲59、甲65、甲67、甲68、甲70〜甲72)。
また、引用商標5は、アニュアルレポート、ウェブサイト等において、申立人を表示するものとして使用され(甲7〜甲13、甲26、甲27、甲42、甲54、甲59、甲71、甲72)、インターネット上の辞書においても「AXA」の文字が、申立人を表示するものとして記載されており(甲14)、加えて、「AXA」を片仮名表記した「アクサ」及び該文字を含む「アクサ生命」、「アクサダイレクト」等の文字がアニュアルレポート、ウェブサイト、営業用資料等に使用されている(甲7〜甲11、甲13、甲26、甲27、甲36〜甲39、甲42、甲65〜甲69)。
イ 上記アによれば、申立人は、世界最大級の保険・資産運用グループであり、我が国においては、アクサ生命等グループ会社が保険分野を中心とする業務を行っており、2017年(平成29年)6月1日現在で日本全国に334か所の支社、営業所があること、また、その売上は、一般事業会社の売上にあたる「保険料等収入」は2012年(平成24年)ないし2016年(平成28年)で約5,520億円ないし6,700億円であること(甲26)、平成26年度ないし平成28年度の広告宣伝費は、約8億6,500万円ないし14億2,200万円であること、さらに、新聞や雑誌においても「アクサ損保」、「アクサ」及び「アクサ生命」の表示でアクサ生命等グループ会社の紹介記事が掲載されていること等からすれば、申立人及びアクサ生命等グループ会社は、日本においても著名な企業及びグループとして知られているものであり、そのグループ企業によって使用されている引用商標4及び引用商標5は、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものというのが相当である。
してみれば、引用商標4及び引用商標5は、申立人及びアクサ生命等グループ会社が、その提供に係る保険事業に使用した結果、当該業務について、我が国において、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、取引者、需要者の間に、広く知られていたといえるものである。
(2)引用商標4及び引用商標5の独創性の程度
引用商標4は、別掲1(4)のとおり紺色の四角内の下部に、白抜きで「AXA」の欧文字を両側の「A」の文字の一辺が「X」の下部でやや重なるように配し、該「X」の右から左へ向かう線の上部から、該四角の右隅へ向かって、斜めに赤い線を配した構成からなるものであり、その構成中の「AXA」の部分は、上記のとおりデザイン化されているものの、「AXA」の文字を表したものと容易に理解されるといえるものである。そして、上記構成からなる引用商標4においては、該「AXA」の部分が要部として認識されるものであり、「AXA」の文字は、一般の英語の辞書等には掲載されていないことから、造語と認められるものである。
また、引用商標5は、「AXA」の欧文字からなるところ、該「AXA」の文字は、一般の英語の辞書等には掲載されていないことから、造語と認められるものである。
したがって、引用商標4及び引用商標5の独創性は、相当程度高いものである。
(3)本件商標と引用商標4及び引用商標5との類似性の程度
本件商標は、上記第1のとおり、「AXAS」の文字からなるものであるところ、該文字は、一般の英語の辞書等には掲載されていないものである。 これに対し、引用商標4は、上記(2)のとおりの構成からなるものであるところ、「AXA」の部分が要部として認識されるものであり、また、引用商標5は「AXA」の文字からなるものである。
そうすると、本件商標と引用商標4及び引用商標5とは、末尾の「S」除く、「AXA」の文字を共通にするものである。
そして、引用商標4及び引用商標5は、上記(2)のとおり、申立人が創造した造語であり独創性が高く、申立人の業務に係る役務を表示するものとして著名な商標であることから、本件商標に接する取引者、需要者が、その構成中、看者の注意を強く惹く語頭の「AXA」の文字部分に着目し、該文字から申立人を連想、想起することが少なくないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成中、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える語頭の「AXA」の文字部分が、引用商標4及び引用商標5と同一の構成文字によるものであるから、本件商標と引用商標4及び引用商標5との類似性は高いものである。
(4)本件商標の指定役務と引用商標4及び引用商標5に係る役務の需要者 本件商標は、上記第1のとおり、「資金貸付け及び手形の割引,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,生命保険契約の締結の媒介,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の管理,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,ゴルフ会員権並びにホテルおよびスポーツ施設の利用権の売買および仲介」を指定役務とするものであり、引用商標4及び引用商標5は、申立人の業務に係る保険に関する役務に使用されて、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているものであり、本件商標の指定役務中の「生命保険契約の締結の媒介」とは、取引者、需要者を共通にするものといえ、また、生命保険や医療保険等の保険の需要者は、一般消費者である。
そして、これらの保険以外でも、様々な種類の保険が存在し、例えば、建物の所有者が加入可能な火災保険、地震保険も存在すること、及びアクサ生命等グループ会社が、銀行・証券会社などの金融機関等を通じて個人・法人の顧客に対するリスクマネジメント、コンサルティングサービスの提供をしていること(甲26)を考慮すると、引用商標4及び引用商標5の使用に係る役務と本件商標の指定役務中「生命保険契約の締結の媒介」以外の「資金の貸付け及び手形の割引,有価証券の売買,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介」等の役務の取引者、需要者が共通する場合も少なくないものといえる。
(5)取引の実情について
申立人は、我が国において、保険、資産運用及びアシスタンスサービスなどの保険・金融等の様々な分野で事業を展開しており、保険事業では、アクサ生命等グループ会社が「アクサジャパン グループ」を形成している。
また、その他のAXAメンバーカンパニーである、「アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社」及び「アライアンス・バーンスタイン株式会社」が資産運用サービスを、「アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネージャーズ・ジャパン株式会社」が不動産投資・資産管理サービスを、「アクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社」がアシスタンスサービスを行い、「アクサジャパン グループ」と連携しながらサービスを提供している(甲9、甲10、甲26)。
(6)出所の混同のおそれ
以上のとおり、引用商標4及び引用商標5は著名性を有しており、その独創性の程度は相当程度高く、本件商標と引用商標4及び引用商標5の類似性の程度も高いものであって、かつ、需要者は共通性があり、資産運用、不動産投資・資産管理等の分野における申立人の我が国における事業展開等がされていることを総合的に勘案すれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(7)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項15号に違反してされたものであるから、その他の登録異議の申立ての理由について言及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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