結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2017−890005(T2017−890005/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5665763号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成25年8月13日登録出願,第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送」を指定役務として,同26年4月25日に設定登録されたものである。
請求人が,本件商標の登録の無効の理由について,商標法第4条第1項第11号,同第10号及び同第15号に該当するとして引用する商標は,以下のとおりであって,以下に示す登録商標は,現に有効に存続しているものである。
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成24年12月20日
優先権主張日:2012年(平成24年)6月26日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成25年6月7日
指定役務 :第38類「インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したオーディオ・ビデオ及びマルチメディア放送,インターネット経由及び他の通信ネットワーク経由でのオーディオ・ビデオ及びマルチメディアの放送,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したメッセージ・データ・音声・映像の伝送交換,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したユーザー同士による一般的関心事に関するメッセージ・コメント及びマルチメディアコンテンツの伝送のためのオンラインフォーラム・チャットルームの提供,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介した電子メディア・マルチメディアコンテンツ・ビデオ・映画・ピクチャー・画像・テキスト・写真・ユーザーが作成したデジタルメディアコンテンツ・データの伝送交換,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したユーザーによるビデオ及びその他のマルチメディアコンテンツを投稿・検索・視聴・共有・批評・評価及びそれらについてコメントするためのオンラインフォーラムの提供,娯楽及び教育を目的とするビデオ共有ポータルへの接続用回線の提供,電気通信(「放送」を除く。),放送」並びに第35類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
指定役務:第38類「電気通信,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したオーディオ・ビデオ及びマルチメディア放送,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したメッセージ・データ及びコンテンツの送信,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したユーザー同士による一般的関心事に関するメッセージ・コメント及びマルチメディアコンテンツの伝送のためのオンラインフォーラム・チャットルーム形式の電子掲示板通信の提供,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介した電子メディア・マルチメディアコンテンツ・ビデオ・映画・ピクチャー・画像・テキスト・写真・ユーザーが作成したコンテンツ・オーディオコンテンツ及び情報の送信,インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したユーザーによるビデオ及びその他のマルチメディアコンテンツを投稿・検索・視聴・共有・批評・評価及びそれらについてコメントするためのオンラインフォーラム・チャットルーム形式の電子掲示板通信の提供,娯楽及び教育を目的とするビデオ共有ポータルへの接続用回線の提供,コンピュータ情報通信ネットワークへの接続の提供,データベースへの接続用回線の提供」,第41類「インターネットにおけるブログを通じたオンラインによる一般的関心事に関する個人的見解を特集した電子雑誌の提供」及び第42類「インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介したユーザー同士による一般的関心事に関するメッセージ・コメント及びマルチメディアコンテンツの伝送のためのウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として,現在,審査継続中。
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
優先権主張日:2014年(平成26年)6月20日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成28年10月14日
指定役務:第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
優先権主張日:2014年(平成26年)6月20日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成28年10月14日
指定役務:第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
優先権主張日:2014年(平成26年)6月20日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成28年10月14日
指定役務 :第45類「オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供」
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
優先権主張日:2014年(平成26年)6月20日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成28年10月28日
指定商品:第9類「インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介した電子メディア又は情報のアップロード・投稿・表示・ディスプレイ・タグ付け・ブロギング・共有又は提供を可能にするソフトウェア」
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月2日
優先権主張日:2014年(平成26年)6月20日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成28年10月28日
指定役務:第35類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第86号証(枝番を含む。)及び参考資料を提出した。
引用商標に係る,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形は,請求人の提供する動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」にアクセスした際に,動画を起動するためのボタン(アイコン),そして,ブラウザソフトウェアのタブ(アドレスバー)やブックマークに表示されるアイコン,いわゆる「ファビコン(お気に入りアイコン)」,並びに,タブレットコンピュータやスマートフォンの表示画面に表示される,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を閲覧するソフトウェアのアイコンとして採択され(甲3),我が国において周知となっている商標である。
動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」は,2005年の立ち上げ以来,全世界で何十億人ものユーザーが,自ら作成した動画をアップロードし,共有し,再生することができる場として親しまれ,そこでは,世界中のユーザーが繋がり,情報を交換し,お互いに影響を与え合うことができることから(甲4),動画共有ウェブサイト「YouTube」は,インターネット上における動画配信サービスの先駆けとなり,極めて短期間のうちに世界中で広く知られるようになった。
また,動画コンテンツ制作者や広告主は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を用いて,動画や広告を自由に配信することもでき,広告媒体としての利用も推奨されており,個人のインターネットユーザーのみならず,多くの企業にも幅広く活用されている(甲5の1)。
なお,請求人は,「YouTube」を利用する個人や企業に対し,引用商標に係る「赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形」の使用を許諾しているところ,長年にわたる「YouTube」の運営・提供を通じて得られたブランド価値を守るとともに,他社の業務との混同防止のため,引用商標の使用に際しては,ロゴの表示方法に事細かなガイドラインを策定し,使用者に対しその遵守を求め,ロゴの改変を固く禁じており,これに違反する者に対しては適宜修正も求めることとしている(甲5の2)。
(1)請求人とユーチューブ リミテッド ライアビリティーカンパニーについて
請求人は,インターネットの代表的なサーチエンジンのひとつである「Google」を運営する米国の企業であり,今日では,サーチエンジンのほかに,ウェブブラウザ,動画共有,地図,インターネット広告,電子メールなどソフトウェアアプリケーションの提供を中心として,さまざまなサービスを提供している。
その中核サービスの一つ動画共有は,主に動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の管理運営を通じて提供されているものであるが,同サイトは,請求人が2006年11月にユーチューブ,インコーポレイテッド(以下「ユーチューブ社」という。のちに,ユーチューブ リミテッド ライアビリティー カンパニーとなる。)を買収し,その事業を実質的に運営・管理する形で開始されたものである(甲6)。
請求人の関連会社であるユーチューブ社は,2005年2月にカリフォルニア州サンマテオで設立,インターネット上で各種作業を簡単に行うための方法を開発し,そのためのウェブサイトを開設したことが創業の契機となった。かかるウェブサイトは「YouTube」と名付けられ,またたく間に日本を含む世界のネットユーザーに急速に浸透し,「YouTube」の文字と共に特徴的な赤色の丸みを帯びた横長長方形を表した別掲4のとおりのロゴ(以下「参考商標」という。:甲2の14)は極めて短期間に日本を含む世界中で周知・著名な商標として認識されるに至った。
(2)動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の特徴について
ウェブサイト「YouTube」においては,会員登録をしたユーザーは,動画ファイルをインターネット上にアップロードすることにより投稿し,公開することができる。また,「YouTube」で公開された動画ファイルの検索・閲覧は会員登録の有無に拘わらず誰でも無料で閲覧することができる。会員登録したユーザーはさらに閲覧した動画に対するコメントを投稿したり,動画を5段階で評価したりすることもでき,一般的なインターネット個人ユーザーが動画をウェブ上で公開するための手段として使い勝手の良い動画配信サイトは,「YouTube」が初めてのものである。「YouTube」が開設されたことにより,個人が容易にビデオクリップ等の動画をウェブ上にアップロード,検索・閲覧,インターネット・個人専用のビデオネットワーク又は電子メールを経由して他人と動画を共有することが極めて容易にできることとなったことが最大の特徴であった(甲7)。
(3)急増した動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の利用者について
「YouTube」は,サービスを開始した当初は英語のみで運営していたが,動画のアップロード・閲覧が簡単にできるという高い利便性・娯楽性から世界中で人気が爆発し,サービスを開始後間もなく(2006年春),世界中から一日当たり6万5千件もの動画のアップロードがなされ,1億件を超える動画の配信が行われるようになった(甲8)。その中には日本からの投稿者・視聴者も非常に多く,さらにその数も急増することとなった。さらに,2007年6月には日本語版の「YouTube」のサイトが完成し,より多くの日本のユーザーが容易にアクセスできるようになり,ウェブサイト「YouTube」は我が国において急激に広まることとなった。2006年のインターネット10大ニュースに選ばれ(甲9)「YouTube」の語は2007年のYahoo!の検索ワードランキングで第2位となった程である。同年には,民間調査会社のネットレイティングスの発表で,サービス開始後わずか14か月で日本国内家庭からの利用者が1,000万人を超えた(甲10)。
(1)引用商標は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」において長年使用されてきた参考商標において顕著に表されている,「赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形」の中央に,白抜きで右向きの三角形を表した図形(以下「赤色のアイコン図形」という場合がある。)からなるものである。
なお,引用商標1については,文字部分を含むが,ここでは図形部分のことを示すものとして述べる。
(2)動画の起動ボタンとしての使用
2006年のサービス開始以降,今日に至るまで,何兆何千億もの動画がウェブサイト「YouTube」に投稿され,視聴者(インターネットユーザー)はこれら膨大な数の動画にアクセスすることができるのであるが,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は,その動画を視聴する場合に,その動画を起動するためのアイコン(起動ボタン)として使用されてきた。
例えば,請求人の日本法人が運営する公式ブログである「YouTube Japan Blog」(甲53)において,動画が表示されている各画面の中央に引用商標に係る「赤色のアイコン図形」が表示されている。なお,甲第53号証においては,引用商標と同じ形状の図形が黒地又は濃グレー地で表されているが,ユーザーが動画を閲覧するために,端末装置の表示画面上にカーソルを置いたときに,赤色に変化し,そのアイコン(起動ボタン)をクリックすることにより動画が配信される(甲53)。
また,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を特集した書籍・雑誌又は請求人の他のソフトウェアやサービスの紹介インターネット記事,それら紹介記事における説明図(コンピュータ上の表示画面)において,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」が,動画の表示画面に使用されてきた事実をみることができる(甲54〜甲59)。
そうすると,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」に投稿された動画にアクセスしようとする需要者・取引者は,動画の一つ一つを閲覧する時は必ず,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」からなるアイコン(起動ボタン)を目で確認したうえで,当該アイコンをクリックし,動画を閲覧することになるので,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」全体におけるアクセス回数が天文学的数字となることは容易に想像できる点を考慮すれば,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は,請求人(ユーチューブ社)が動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を通じて提供する各種サービスを受ける際に常に表示される図形商標として広く認知されるに至っている。
(3)動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の利用のためのアプリケーションソフトウェアのアイコン,ブラウザのアイコンやファビコンとしての使用について
引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」における動画を視聴する場合に,その動画を起動するためのアイコン(起動ボタン)として使用されてきたが,それに加え,今日では,同サイトを利用するためのアプリケーションソフトウェアのアイコンとして,また,PCやスマートフォンの表示画面に表示されるアイコンやファビコン(お気に入りアイコン)として使用されている(甲60)。
しかし,過去におけるこれら表示画面そのものを,証拠資料として提出することは困難であるところ,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」は,請求人の提供する各種サービスの中でも極めて人気の高いサービスであるころから,動画を特集した雑誌や,請求人のサービスを特集した雑誌において特集記事が組まれ,そのサービス内容が紹介されてきてきた。それら記事に添付されている写真画像に,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」が各端末の表示画面に表示されている事実が掲載されている(甲61〜甲83)。
特に請求人の提供するスマートフォンやタブレットコンピュータ用のオペレーションソフトである「アンドロイド(Android)」を搭載したスマートフォンやタブレットコンピュータに,引用商標をアイコンとして用いた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアが,プレインストールされている事実は特筆すべきものである。
我が国における,携帯電話やスマートフォンにプレインストールされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアの総数は,2013年の8月20日から2015年の9月30日の間で,約2,717万に上る(請求人調べ)。また,「Android」を搭載したスマートフォン用のアプリケーションのダウンロードサービスである「Google Play」を通じてダウンロードされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアの総数は,同期間で,約26万7千に上る(請求人調べ)。これらの数を合計すると,約2,743万7千もの「YouTube」のアプリケーションソフトウェアが端末に保存されたことになる。
してみると,遅くとも2012年の初旬には引用商標に係る「赤色のアイコン図形」の使用が開始され(甲37,甲61),本件商標の出願時である平成25(2013)年8月13日,登録査定時である平成26(2014)年1月15日においても継続して使用されていた事実をみることができる。
(4)引用商標の指定役務と動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を通じて提供された商品・役務との関係について
前記したように,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を通じて,引用商標2の指定役務に係るインターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等に関する役務(第38類)をはじめとして,動画作成に関する知識の教授・動画の提供を含む娯楽の提供等に関する役務(第41類),動画・アプリケーションソフトウェアのホスティング・ソーシャルコミュニティ作成のためのメッセージの交換のためのサーバーの記憶領域の貸与等に関する役務(第42類),ソーシャルネットワーキングサイトの提供等に関する役務(第45類),広告業・広告に関する事業支援等に関する役務(第35類)を提供するとともに,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の利用のためのアプリケーションソフトウェアのアイコン,ブラウザソフトウェアにおけるアイコンやファビコン(第9類)として使用されている。
(5)まとめ
以上より,本件商標の登録出願前から,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は請求人の提供に係る動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンや,「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示するものとして継続して使用された結果,周知性を獲得していた事実は疑いようがないのであり,本件商標の登録査定時においても継続してその周知性を維持していたと優に推認できるものである。
引用商標は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」において長年使用されてきた商標において顕著に表されている,「赤色のアイコン図形」からなるものである。
ところで,その構成中の右向きの三角形部分は,これだけを見れば,動画や音楽を再生する機器やソフトウェアのコントローラーに,「再生」の操作を行うボタンを表すものとして一般に使用されているものである。
しかしながら,引用商標は,往年の「ブラウン管テレビの表示画面の輪郭」を彷彿とさせる,四隅に丸みをもたせた横長長方形の輪郭を有する「赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形」の中に,白抜きで右向きの三角形が表されているものであって,その態様は,赤色の色彩を基調とした一体不可分の構成全体として,脳裏に印象づけられる,特徴を有する識別力のある商標である。
このような見解は,引用商標6に係る審決においてもなされている(甲84)。また,引用商標1ないし引用商標5及び引用商標7に係る商標登録出願において,商標法第3条に係る拒絶理由が出されたのち,登録査定がなされた事実から,上記審決と同様の判断がなされた事実をうかがい知ることができる。
本件商標は,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形を顕著に表し,その左右にそれぞれ「Video」と「Blog」の欧文字を配し,その下段に「−動画ブログ−」の文字を配した二段書きの構成からなるところ,「Video Blog」,「動画ブログ」,及び,「赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形」(以下「本件図形部分」という。)という,複数の文字・図形を組み合わせた結合商標を構成するものである。
そして,本件商標の文字部分である「Video Blog」及び「動画ブログ」と,本件図形部分は,その意味内容において,馴染まれた熟語的意味合いを有しているなど,密接あるいは自然な牽連性はなく,しかも,外観上も別個のものとして看取できるものであり,その他両者を常に一体のものとして把握されなければならない格別の事情も見当たらない。
この点,本件商標に顕著に表された,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に,白抜きで右向きの三角形を表した本件図形部分は,上記2で述べたとおり,請求人,その関連会社であるユーチューブ社が長年にわたって使用を継続し,我が国において周知なものになっている,引用商標にかかる「赤色のアイコン図形」と酷似しているところから,本件商標の構成にあっては,本件図形部分こそが本件商標に接する取引者,需要者をして,脳裏に印象付けられ,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。
その余の「Video Blog」及び「動画ブログ」の文字部分は,その構成文字の意味内容から「動画を用いたブログ」の意を容易に理解,把握させるものであり,本件商標の指定役務にかかる,第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送」との関係では,単に役務の質(内容)を端的に示すために使用しているにすぎず,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものであって,出所識別標識としての機能を果たすものではない。
したがって,本件商標にあっては,本件図形部分こそが自他役務の識別標識としての機能を果たす要部である。
そこで,本件図形部分と引用商標に係る「『赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形』の中央に,白抜きで右向きの三角形を表した図形」とを比較対照して観察すると,ともに,「赤色」「横長長方形で四隅が丸い」「横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形を含む」等,視覚上捉えることができる殆どの特徴的部分において共通する,実質的に「同一」の外観を有しているといえる。
なお,当該図形部分に関して,特定の称呼が生じないことは明らかであり,称呼においては対比することができないものである。
さらに,観念においても,本件図形部分からは特定の観念を生じるとはいえないのであるが,当該図形が請求人の周知商標と酷似しているところから,「請求人の提供に係る,動画共有・配信ウェブサイト『YouTube』」に関連する役務を想起,連想する点において,観念上も,引用商標と相当程度類似する。
以上を総合すると,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれの高い類似の商標である。
前記4で述べたように,本件商標にあっては,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」と酷似する図形が顕著に表されているところ,該図形部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え,独立して自他役務の識別標識としての機能を果たす。
これに対して,引用商標1においては,「PL」「Y MEANS BUSINESS」の欧文字とともに,「赤色のアイコン図形」が顕著に表されている。当該図形は前記1に述べたとおり,請求人,その関連会社であるユーチューブ社が長年にわたって使用を継続し,我が国において周知なものになっているので,本件商標に接する取引者,需要者をして,脳裏に強く印象付けられる。
してみると,本件商標と引用商標1は,自他役務の識別標識としての機能を果たす要部において共通にしており,相紛れるおそれが高い。
また,本件商標の指定役務である,「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送」は,引用商標1の指定役務と同一又は類似のものである。
よって,本件商標は,引用商標1との関係において,商標法第4条第1項第11号に該当する。
前記4で述べたように,本件商標にあっては,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」と酷似する図形が顕著に表されているところ,該図形部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え,独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすので,本件商標は,引用商標と相紛れるおそれの高い類似の商標である。
そして,前述したように,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は,請求人の提供に係る動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンや,「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示するものとして継続して使用された結果,本件商標の登録出願前から,引用商標2の指定役務に係る「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等に関する役務(第38類)を始めとした各種商品・役務について使用される商標として,広く知られるに至っていた事実は疑いようがないのであり,本件商標の登録査定時においても継続してその周知性を維持していたと優に推認できるものである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(1)本件商標と引用商標との類似性について
前記4で述べたように,本件商標にあっては,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」と酷似する図形が顕著に表されているところ,該図形部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え,独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすので,本件商標は,引用商標と相紛れるおそれの高い,類似の商標である。
よって,本件商標と引用商標の類似性は高いといわなければならない。
(2)引用商標の周知(著名)性について
前記1で述べたように,引用商標に係る「赤色のアイコン図形」は,請求人の提供に係る動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンや,「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示するものとして継続して使用された結果,本件商標の登録出願前から,周知性を獲得していた事実は疑いようがないのであり,本件商標の登録査定時においても継続してその周知性を維持していたと優に推認できるものである。
(3)引用商標の独創性について
引用商標に係る赤色の輪郭図形は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」において長年にわたって用いられてきた参考商標に係る,往年の「ブラウン管テレビの表示画面の輪郭」を彷彿とさせる,四隅に丸みをもたせた横長長方形の輪郭を有する「赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形」と同一のものであり,これを顕著に表した,赤色の色彩を基調とした一体不可分の構成全体として,脳裏に印象づけられる,特徴的で独創的な商標である。
なお,請求人は,「YouTube」を利用する個人や企業に対し,引用商標に係る図形の使用を許諾しているところ,長年にわたる「YouTube」の運営・提供を通じて得られたブランド価値を守るとともに,他社の業務との混同防止のため,引用商標の使用に際しては,参考商標の表示方法に事細かなガイドラインを策定し,使用者に対しその遵守を求め,参考商標の改変を固く禁じており,これに違反する者に対しては適宜修正も求めることとし,その独創性の維持に努めている。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品・指定役務の関連性の程度について
本件商標の指定役務は,第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送」である。
これに対して,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」を通じて,引用商標2の指定役務に係るインターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等に関する役務(第38類)をはじめとして,動画作成に関する知識の教授・動画の提供を含む娯楽の提供等に関する役務(第41類),動画・アプリケーションソフトウェアのホスティング・ソーシャルコミュニティ作成のためのメッセージの交換のためのサーバーの記憶領域の貸与等に関する役務(第42類),ソーシャルネットワーキングサイトの提供等に関する役務(第45類),広告業・広告に関する事業支援等に関する役務(第35類)を提供するとともに,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の利用のためのアプリケーションソフトウェアのアイコン,ブラウザソフトウェアにおけるアイコンやファビコン(第9類)として使用されている。
ア 「電気通信(放送を除く。)」等(類似群コード:38B01)について
「電気通信(放送を除く。),インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送(類似群コード:38B01)」の指定役務は,特許庁審査基準(「類似商品・役務審査基準」)において,引用商標が周知性を獲得することとなった「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供」等に関する役務との関係で「同一又は類似の役務」として取扱われており,非常に関連性の高いものであることは疑いのないところである。
してみると,本件商標の指定役務と引用商標が周知性を有する役務「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等」の間における役務の質,用途,目的における関連性の程度は極めて高いというべきである。
イ 「放送」について
本件商標の指定役務と引用商標が周知性を有する役務「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等」は,「インターネット放送(ブロードバンド放送)」とも呼ばれるものである。
「インターネット放送」とは,「インターネットを通じて動画や音声を配信するサービス。従来のテレビ放送のように番組の放送時間が決まっているストリーミング型と,動画ファイルをまとめて受信して聴取するダウンロード型とがある。音声のみを配信するものをインターネットラジオという。ネット放送。ネットテレビ。ウェブキャスティング。ウェブ放送。」(小学館,デジタル大辞泉)の意味が記載されている。
法律上は,通信の一種とみられる関係で,放送法が管理する「放送」とは区別がなされ,従来は「放送」が電波等を通じて配信され,利用者がテレビ・ラジオを通じて視聴することとされ,「インターネット放送」が通信回線を用いて,利用者がコンピュータ端末を利用して視聴することとされてきたと考えられるが,インターネットの普及から,インターネットを通じて動画を視聴することは普通に行われるようになり,需要者にとっては,ことさら,従来の(テレビ,ラジオ)放送と彼此区別する意義は存在しない。
現に,「2002年(平成14)に施行された,有線通信と放送の融合を図った電気通信役務利用放送法により公衆向けに電気通信事業者などが提供している施設を利用することができるようになったため,ハード,ソフトがそろわない多くの業者が放送に参加している(甲85)。
さらに,通信機能を有するテレビが急速に普及したところから,テレビを通じてインターネット放送や動画共有・配信ウェブサイトの視聴も可能となり(甲86),「放送」と彼此区別することは困難なものとなっている。
してみると,本件商標の指定役務と引用商標が周知性を有する役務「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等」の間における商品・役務の性質(質),用途,目的における関連性の程度は極めて高いというべきである。
ウ 「報道をする者に対するニュースの供給」について
当該役務は,総務省発行の日本標準産業分類(平成19年(2007)11月改定)によれば,「情報通信業」の一に分類され,「新聞,定期刊行物,テレビジョン,ラジオ等にニュースを供給する事業所をいう。」とされる。また,このような役務は,印刷発行を行わない,新聞社支局や放送設備の無い民間放送局支局を通じて提供される。
そうすると,先に述べたような,「インターネット放送」,「動画配信」と「放送」の間の密接な関連性に鑑みれば,当該役務と,引用商標が周知性を有する役務「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供等」の間における関連性の程度は相当程度あるというべきである。
(5)需要者・取引者の共通性について
本件商標の商標権者の取引者・需要者は,紛れもなく,インターネットユーザーを中心とした一般消費者であり,両商標の取引者・需要者は完全に同じとなる。
本件商標の商標権者の需要者である一般消費者には,老若男女も含まれ,その注意力の程度は決して高くはない。
(6)取引の実情について
前記1で述べたように動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」は,映画・放送番組などの制作に関わるコンテンツ業界より,広告・宣伝の手段として着目され,米国のテレビ会社であるCBSや,英国のBBCとも提携関係を結んだことも話題を呼び(甲12),我が国においても,「YouTube」の広告・宣伝的活用法が着目された(甲13,甲14)。有料放送を手掛けるスカイパーフェクTVをはじめ,民放各社がこぞって専用チャンネルを開設した(甲15〜甲18)。動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」はコンテンツ業界をはじめ,放送・広告業界とも密接な競業関係にある。
(7)事業の多角化の可能性について
請求人は,インターネット検索サービスなどのインターネット関連事業・携帯電話用のソフトウェアプラットフォーム及びそのアプリケーションソフトウェア,ビデオ動画・音楽の提供・販売を主として事業を展開しているところである。
2002年(平成14)に施行された,有線通信と放送の融合を図った電気通信役務利用放送法により公衆向けに電気通信事業者などが提供している施設を利用することができるようになったため,ハード,ソフトがそろわない多くの業者が放送に参加しており,該事業者には,CATV方式ではケイ・キャット,近鉄ケーブルネットワーク,東京ベイネットワークなどが,IP方式ではビー・ビー・ケーブル,MOVIE SPLASH,アイキャストなどがあり,NTT東日本,NTT西日本もサービスを開始している(甲85)。
してみると,事業多角化の一環として,請求人自らが引用商標を用いて,本件商標の指定役務のうち,放送事業者が行うことが多い「放送」及び「報道をする者に対するニュースの供給」に関連する役務を提供することも充分に考えられるというべきである。
(8)まとめ
以上の事情を総合的に勘案すれば,本件商標は,これに接する需要者・取引者に対して,引用商標を連想させて商品の出所について誤認を生じさせ,不当に需要者等を誘導するためのものであり,その登録を認めた場合には,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や,その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じえない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」にあたるというべきである。
以上の理由により,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第10号及び同第15号に該当し,同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。
被請求人は,本件審判の請求に対し何ら答弁していない。
(1)引用商標2ないし引用商標7の周知性について
ア 請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人は,インターネットの代表的なサーチエンジンのひとつである「Google」を運営する米国の企業であり,今日では,サーチエンジンのほかに,ウェブブラウザ,動画共有,地図,インターネット広告,電子メールなどソフトウェアアプリケーションの提供を中心として,さまざまなサービスを提供している。そのサービス中の動画共有は,主に動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」の管理運営を通じて提供されているものであって,同サイトは,請求人が2006年11月にユーチューブ社を買収し,買収完了後もユーチューブ社はこれまでどおり独立した形で,「YouTube」ブランド名でサービスを提供し,「CBS」,「BBC」,「Sony Music Group」,その他の多数のコンテンツプロバイダとパートナー契約を結んでいる(甲4,甲6)。
(イ)「YouTube」は,動画のアップロード・閲覧が簡単にできるという高い利便性・娯楽性から世界中で人気が爆発し,サービスを開始(2006年春)後間もなく,世界中から一日当たり6万5千件もの投稿があり,1億件を超える動画の配信が行われるようになり(甲8),2006年3月時点において,米国内からのアクセスが月間約800万人,日本国内からのアクセスも同時点で約212万人,同年5月には400万人を突破した(甲14)。
また,2007年6月には「スカイパーフェクト・コミュニケーションズ」が,「YouTube」日本語版に国内企業初のパートナーページを開設した(甲15)。2007年7月には「TOKYO MX」が,「YouTube」日本語版にブランドチャンネルを地上テレビ局では初めてオープンした(甲16)。
そして,「YouTube」は,2006年のインターネット10大ニュースに選ばれ(甲9),また,「YouTube」の語は,2007年のYahoo!の検索ワードランキングで第2位となり,同年の民間調査会社のネットレイティングスの発表で,サービス開始後わずか14か月で日本国内家庭からの利用者が1,000万人を超え,「YouTube」が短期間で利用者を拡大した(甲10)とされる。
また,「現代用語の基礎知識2008」(甲25)には,「各国事情」の「アメリカ」のページに,「ユーチューブ/ユーチューズ[YouTube/You Choose08]」の項があり,「動画共有サイト最大手のユーチューブ(2005年会社設立)は07年春,08年大統領選挙に向けた特設サイトを開設した(You Choose08)。・・・ユーチューブがすでに07年段階から大きな役割を演じつつある。・・・CNNテレビはすでにユーチューブを利用した候補者討論会も実施した。」と記載されている。
(ウ)引用商標2ないし引用商標7(以下「引用商標A」という。)は,例えば,「Google Chrome/完全活用術」(2012年5月25日 株式会社アスキー・メディアワークス発行:甲61),「Googleサービス超活用/Perfect GuideBook」(2012年7月10日 株式会社ソーテック社発行:甲62),「Googleサービスオールインワンガイド」(2012年9月21日 株式会社インプレスジャパン発行:甲63),「クラウドの達人はなぜクロームを使うのか」(2012年11月21日 株式会社インプレスジャパン発行:甲64),「YouTubeで小さく稼ぐ」(2013年6月1日 大和書房発行:甲65),「特選街」(平成25年11月2日及び同年12月3日 (株)特選街出版/(株)マキノ出版発行:甲66,甲67)等の「YouTube」を特集した書籍・雑誌によると,動画を起動させるためのアイコンや,タブレットコンピューターやスマートフォンの画面に,「YouTube」を閲覧するアプリケーションソフトウェアのアイコンとして,「赤色のアイコン図形」が表示されており,請求人の提供する動画共有ウェブサイト「YouTube」において使用されている。
(エ)請求人は,「YouTube」を利用する個人や企業に対し,引用商標Aの使用を許諾しているところ,長年にわたる「YouTube」の運営・提供を通じて得られたブランド価値を守るとともに,他社の業務との混同防止のため,引用商標Aの使用に際しては,参考商標の表示方法にガイドラインを策定し,使用者に対しその遵守を求め,参考商標の改変を固く禁じており,これに違反する者に対しては適宜修正も求めることとしている(甲5の1,甲5の2)。
イ 上記アによれば,動画共有ウェブサイト「YouTube」のサービスは,2006年から開始され,その開始直後からアメリカを始め日本においても,利用者が多く,少なくとも2012年には,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に,白抜きで右向きの三角形を配した一体的に表した図形である引用商標Aは,「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンとして,また,タブレットコンピューターやスマートフォンにプレインストールされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンとして,我が国の需要者において広く認識され,その認識は本件商標の登録査定日はもとより,現在も継続しているものと認められる。
そして,前記動画共有ウェブサイトは,本件商標の登録出願前から,請求人の業務に係る「インターネット放送・動画やメッセージの電子交換・電子フォーラム(電子掲示板)の提供」等(以下「請求人の業務に係る役務」という。)に使用していたといえる。
(2)本件商標と引用商標Aとの類否について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,「Video」の欧文字と「Blog」の欧文字との間にやや右斜め上に傾いた赤色で四隅が丸みをもった四角形の中央に,白抜きで右向きの三角形を表した図形(以下「図形部分」という。)を配し,その下段に,やや小さく「−動画ブログ−」の文字を表してなるものである。
そして,図形部分は,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を配した一体不可分の構成からなる図形として看取されるものであって,その構成全体として,ブラウン管テレビの表示画面の輪郭を特徴として有するものであり,需要者に強い印象を与えるものであって,本件商標全体から図形部分が視覚的に分離して看取されるとみるのが相当である。
また,本件商標を構成する「Video」の文字は,「ビデオ,映像」等を意味し,「Blog」の文字は,「日記感覚で日々更新していくような形式のホームページ。ウェブブログ(Weblog)の略。」(現代用語の基礎知識2017「自由国民社」)等を意味する語であり,これらの「Video」と「Blog」文字及び「動画ブログ」の文字からは,それぞれ「動画を内容としたブログ」程の意味合いを理解させるから,これらの文字は本件商標の指定役務との関係において,自他役務の識別標識としての機能がないか極めて弱いものであり,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものといえる。
そうすると,本件商標において自他役務の識別標識として機能するのは「赤いアイコン図形」からなる図形部分であるとみるのが相当であり,該図形部分は本件商標のほぼ中央に位置し目立つように赤色(一部がグラデーションとなっている)で着色されていることから,この部分が要部であるといえる。
そして,該図形部分よりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
イ 引用商標A
引用商標Aは,別掲3のとおり,赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形からなるものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標Aの類似性の程度について
本件商標と引用商標Aとは,称呼及び観念においては比較できないとしても,外観においては,上記ア及びイのとおりの構成態様からなり,本件商標と引用商標Aは,ほぼ同一の図形を要部とするものであるから,両者の類似性の程度は非常に高いものといい得るものである。
エ 引用商標Aの独創性
引用商標Aに係る赤色の輪郭図形は,動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」において長年にわたって用いられてきた参考商標に係る,往年の「ブラウン管テレビの表示画面の輪郭」をほうふつとさせる,赤色の四隅に丸みをもたせた横長長方形の輪郭図形であり,その中央に白抜きで右向きの三角形を配した一体不可分の構成態様として,特徴的で独創的な商標である。
オ 事業の多角化の可能性
請求人は,インターネット検索サービスなどのインターネット関連事業・携帯電話用のソフトウェアプラットフォーム及びそのアプリケーションソフトウェア,ビデオ動画・音楽の提供・販売を主として事業を展開しているところである。
また,2002年(平成14)に施行された,有線通信と放送の融合を図った電気通信役務利用放送法により公衆向けに電気通信事業者などが提供している施設を利用することができるようになったため,ハード,ソフトがそろわない多くの業者が放送に参加しておりサービスを開始している。
してみれば,事業多角化の一環として,請求人自らが引用商標Aを用いて,本件商標の指定役務のうち,放送事業者が行うことが多い「放送」,「報道をする者に対するニュースの供給」に関連する役務を提供することも充分に考えられるものである。
カ 需要者の共通性
本件商標は,「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,インターネットその他の通信網により電子媒体・電子情報をアップロード・投稿・展示・掲示・付加・ブログ・共有その他の方法で提供する放送」を指定役務とするものであり,その取引者,需要者は,インターネットユーザーを中心とした一般消費者であり,一方,引用商標Aは,インターネット検索サービスなどのインターネット関連事業・携帯電話用のソフトウェアプラットフォーム及びそのアプリケーションソフトウェア,ビデオ動画・音楽の提供等であって,その取引者,需要者は,インターネットユーザーを中心とした一般消費者であるから,両商標の取引者,需要者は同じである。
また,本件商標の需要者である一般消費者には,老若男女も含まれ,その注意力の程度はそれほど高くはない。
キ 本件商標と引用商標Aの出所混同のおそれについて
以上を総合すると,引用商標Aは,上記(1)のとおり請求人又は同人の業務を表示するものとして,本件商標の登録出願時ないし登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められるものである。
また,上記ウのとおり,本件商標と引用商標Aとは,ほぼ同一の図形を要部としているものであるから,両者の類似性は非常に高いと認められる。
さらに,上記エないしカのとおり,引用商標Aの独創性,事業の多角化の可能性及び需要者の共通性を考慮すれば,本件商標をその指定役務について使用した場合には,これに接する取引者,需要者をして,引用商標Aあるいは請求人を連想,想起させ,その役務が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
引用商標Aは,上記(1)のとおり,「赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に白抜きで右向きの三角形を表した図形」からなり,請求人の提供に係る動画共有・配信ウェブサイト「YouTube」について継続して使用された結果,取引者,需要者の間に広く認識されているものといえる。
また,本件商標と引用商標Aとは,上記(2)ウのとおり,外観においては,ほぼ同一の図形を要部とするものであるから,両者は類似するものである。
さらに,本件商標の指定役務は,引用商標2の指定役務中,第38類に属する役務と類似する役務といえる。
以上からすると,本件商標は,請求人の業務に係る役務を表示するものとして,本件商標の登録出願前より取引者,需要者の間に広く認識されている引用商標2と類似の商標であって,類似する役務に使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものであるから,その余の無効理由について判断するまでもなく,同法第46条第1項第1号に基づき,無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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