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Trademark Appeal Case

著名商標の異種商品混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900026(T2018−900026/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5991764号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5991764商標(以下「本件商標」という。)は、「SUBARU」の欧文字を標準文字により表してなり、平成28年7月26日に登録出願、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として、同29年10月13日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は、申立人が「自動車、小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、その他各種関連グッズ」に使用しているとする「SUBARU」の欧文字からなる商標(以下「引用商標」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第8号について

引用商標は、申立人の著名な略称であり、本件商標の権利者は、本件商標の登録査定時において、申立人の承諾を得ていない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人の業務に係る商品を示す商標として、「自動車」の分野はもとより、航空宇宙及び各種産業機器の分野において国内外において広く認識される著名な商標であり、本件商標は、引用商標と同一の商標である。

そして、本件商標の指定商品である酒類と、引用商標の使用商品である自動車の需要者は、共に広く一般の消費者を需要者とする点で共通するものであり、「互いに同時には使用してはいけない商品である」という相反する関係にあるが、国をあげて飲酒運転の防止対策などが積極的になされ、社会の関心も高いのは、この「互いに同時には使用してはいけない商品である」という関連性が、我が国において非常に重要なものであるからにほかならず、両者の関連性が極めて高いということにほかならない。

本件商標は、あたかも申立人あるいは申立人とのコラボレーションによる推奨商品などであるかのような悪質な誤認混同を生じるおそれが高く、一般消費者を混乱させ、引用商標に化体した申立人の業務上の信用の毀損及び出所表示機能の希釈化のみならず、需要者の利益の保護という商標法第4条第1項第15号の規定趣旨にも反する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、国内外において著名な引用商標と同一の商標であって、引用商標に関する営業上の信用や名声にフリーライドし、使用商標の出所表示機能を希釈化するおそれのあるものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号について

本件商標の使用は、あたかも申立人あるいは申立人とのコラボレーションによる推奨商品であるかのような悪質な誤解を与えかねず、市場における混乱を招き、飲酒運転防止の様々な施策の妨げとなり、公の秩序を乱し善良な風俗を害するおそれがある。

また、著名商標の剽窃は、需要者感情をも害し、商道徳的にも許されるべきものではない。

そして、既に膨大な数の自動車に付されている名称と同一の「SUBARU」を名称とする酒類が市販されることは、間接的な広告効果を目的としたものと解釈し得るものであり、「車体広告はしない」とする自主規制に関する秩序も乱すものである。

さらに、アイサイトなどの安全性能技術について世界各国で多大な評価を受けているブランド「SUBARU」と同じ名称の酒類が第三者により製造され、輸出されるとすれば、日本ブランドを信用してきた当該各国に対する国際信義に反する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

申立人は、1917年(大正6年)に創業された「自動車ならびにその部品の製造、修理および販売」及び「航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売および修理」を主な事業内容とする株式会社(甲3)であり、日本の主要な自動車メーカーの一つであって(甲9)、引用商標は、少なくとも自動車の分野において、申立人が製造する自動車のブランドとして、本件商標の登録出願日には既に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえ、2017年(1月〜12月)においては、約107万3,000台の世界生産をし、日本国内で約17万6,700台の自動車を販売していることから(甲26)、その周知性は、本件商標の登録査定日においても継続していたものと認められる。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の独創性について

引用商標は、「牡牛座にある散開星団。プレアデス星団。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有する成語である「昴」の語をローマ字により表したものと容易に理解されるものであり、その独創性は、造語に比べて高いとはいえないものである。

イ 本件商標と引用商標との類似性

本件商標及び引用商標は、「SUBARU」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成文字全体に相応した「スバル」の称呼が生じ、「牡牛座にある散開星団。プレアデス星団。」との観念を生じるものである。

なお、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人が製造する自動車のブランドとして広く知られているから、自動車の分野においては、引用商標からは、上記観念が生じるだけでなく、申立人が製造する自動車のブランドの観念も生じ得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、共に「SUBARU」の綴りを共通にし、「スバル」の称呼及び「牡牛座にある散開星団。プレアデス星団。」との観念を同じくする類似の商標である。

ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の関連性について

本件商標の指定商品は、「泡盛,合成清酒,焼酎」などのいわゆる酒類であるのに対し、引用商標は、申立人の製造に係る自動車のブランドとして広く知られているところ、酒類と自動車とは、その用途、性質、機能等において著しく異なるばかりか、生産者、取引系統、販売場所等においても明らかに相違するものといえるから、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品である自動車とは何らの関連性を有しないか、関連性が極めて乏しいものである。

申立人は、酒類と自動車の需要者は、広く一般の消費者である点、テレビでの広告など宣伝広告手法も共通点があることにより、申立人あるいは同人と関係のある会社の業務に係る商品であるかのような誤解を与え、混同を生じさせる旨、及び清涼飲料は、自動車でのドライブに欠かせない関係にあり、酒類メーカーがノンアルコール飲料を製造販売し、飲酒運転の撲滅に寄与する活動を行っている実情等により、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の関連性が高い旨を主張している。

しかしながら、どの分野の商品においても、テレビや新聞による広告の手法は一般的であり、また、清涼飲料が自動車のドライブに欠かせない商品だとしても、本件商標の指定商品は、酒類であって、申立人の業務に係る商品である自動車とは、上記のとおり、その用途、性質、機能等において著しく異なるばかりか、生産者、取引系統、販売場所等においても明らかに相違するものであるから、申立人の主張は採用することができない。

エ 出所の混同のおそれについて

上記(1)のとおり、引用商標は、少なくとも自動車の分野において、申立人の業務に係る「自動車」のブランドを表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができるものであり、また、上記イのとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標と認められるものである。

しかしながら、上記ウのとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「自動車」とは、何らの関連性を有しないか、関連性が極めて乏しいものであること、上記アのとおり、引用商標は、「牡牛座にある散開星団。プレアデス星団。」の意味を有する成語である「昴」の語をローマ字により表したものと容易に理解されるものであって、その独創性は、造語に比べて高いとはいえないものであること、そして、当審が職権をもって調査しても、引用商標が、「自動車」と何らの関係を有しないと認められる本件商標の指定商品を取り扱う分野において、その取引者、需要者に広く認識されていた実情も見いだせないことを併せ考慮すれば、引用商標の著名性は、「自動車」と著しく異なる本件商標の指定商品を取り扱う分野には及ばないというのが相当である。

してみれば、本件商標は、成語である「昴」の語をローマ字により表したものと容易に認識されるものであるから、本件商標をその指定商品に使用するときには、「牡牛座にある散開星団。プレアデス星団。」の観念を生じるというべきであり、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人が製造する自動車のブランドを想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第8号該当性について

申立人は、2017年4月1日に、「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」と商号を変更をしているところ(甲4ないし甲8)、引用商標は、上記(1)のとおり、上記商号の変更前から、少なくとも自動車の分野において、申立人が製造する自動車のブランドとして使用され、取引者、需要者に広く認識されていたと認められるものである。

しかしながら、申立人の提出に係る申立人の商号の変更に関する証拠は、2016年7月24日付けの東洋経済ONLINE(甲4)及び2016年5月12日ないし2017年4月6日付けの日本経済新聞(甲5〜甲8)、並びに日本で生産される自動車やメーカーに関するウィキペディア(甲9)及び2017年6月2日ないし同年9月6日付けの日本経済新聞(甲10〜甲14)であり、これら各甲号証によれば、2017年4月に申立人が商号を「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に変更し、新聞等において申立人の社名が「SUBARU」と表示されたことはうかがえるものの、引用商標が、申立人の著名な略称であることを裏付ける証拠は見いだせない。

そうすると、引用商標は、申立人に係る自動車のブランドとして知られているとしても、申立人の著名な略称とはいえないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標と引用商標とは、類似の商標であって、引用商標は、申立人が製造する自動車のブランドとして使用され、取引者、需要者に広く認識されているものであるとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。

そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情が存するものということはできず、かつ、引用商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標は、上記1のとおりの構成からなり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。

申立人は、著名商標の剽窃とも理解できる本件商標の登録及び使用は、申立人の業務上の信用を毀損し、市場における混乱を生ぜしめ、交通の安全に係る施策、業界の自主的な秩序、国際信義などの社会の一般的秩序及び善良な風俗に反する旨を主張するが、上記(2)エのとおり、本件商標は申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれのある商標ともいえず、その他、その登録が公序良俗を害する理由を見いだすことができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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