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Trademark Appeal Case

称呼・外観の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900377(T2017−900377/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5982905号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5982905号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年2月15日に登録出願、第9類「モニター付監視装置,ビデオカメラ,ビデオテープ(未記録のもの),送電線用材料,盗難警報器,電気式錠,扉用電気式ベル,電池用充電器,距離記録装置,コンピュータ用モニター」を指定商品として、同年9月1日に登録査定され、同年9月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、別掲2及び別掲3のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人が商品「モバイルバッテリー、急速充電器」などについて使用し、需要者の間に広く知られているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第10号について

ア 商標の類似

(ア)外観

本件商標の外観は、「ANNKE」の5文字の英文字を黒色で横書きにした構成である。

これに対し、引用商標の外観は、「ANKER」の5文字の英文字を全体的に黒色で横書きにした構成である。

両商標の外観を比較検討すると、引用商標の冒頭のAには左辺と右辺の略中央を結ぶ横棒に代えて三角形や稲妻模様がつけられている点、3文字目以降の英文字が異なる点、文字の太さは引用商標の方がやや細い点で相違している。

しかし、両者は、全体的に太字でゴシック調の英文字が横書きされている点、5文字の英文字中4文字が同じ文字である点、「A」と「K」の英文字のデザインが似ている点等共通する部分多い。

特にデザイン化されている「A」は、三角形の左辺と右辺が下にのびた形である点が近似しており、デザイン化されている「K」は、三角形の左辺と右辺が上にのびた略「V」形と、その「V」形の右下から一定の隙間を開けた状態で斜線が出た形である点が近似している。

このように全体として5文字の英文字のうち4文字を共通にし、看者に強い印象を与える冒頭の大文字2字が共通しており、各文字の字体が共通であり、デザイン化されている文字が共通している等の共通点のある表示を同一の商品に別個に使用するときは、本件商標の指定商品の取引者、需要者においては時として彼此を混同し、両者を同一視するおそれは十分にあり、このような両者の相紛わしさは、これを類似の関係にあるというべきである。

よって、本件商標と引用商標とは、外観上明瞭に区別できるものではなく、両者は相紛れるおそれがある。

(イ)称呼

本件商標の称呼は、「アンカ」又は「アンクォ」と称呼される。

これに対して、引用商標の称呼は、「アンカ」又は「アンクォ」と称呼される。引用商標は、ドイツ語の「Anchor」に因んで名づけられており、中国語では「安克」で表され中国では「アンクォ」と称呼される。これは、「安克」をピンイン変換すると「an ke」(「e」にはアクセント記号が付されている。)で表され、「アンクォ」と称呼されることからも明らかである(甲6)。また、引用商標は、日本語ではローマ字読みがされやすいことから「アンカ」と称呼される。

一方、本件商標もピンインでは「N」を二つ使うことはないため「an ke」(「e」にはアクセント記号が付されている。)と表され、中国では「アンクォ」と称呼される。また、本件商標は、日本語ではローマ字読みがされやすいことから「アンカ」と称呼される。なお、本件商標の称呼が「アンカ」であることは、アマゾンドットコム等で商品を販売する際に「ANNKE(アンカ)」(甲7)や「ANNKE(アンか)」(甲8)と表示していることからも明らかである。

そして、両商標の称呼を比較検討すると、両者とも中国語では「アンクォ」と称呼され、日本語では「アンカ」であり、同一又は類似の関係にあるというべきである。

よって、本件商標と引用商標とは、称呼上明瞭に区別できるものではなく、相紛れるおそれがある。

イ 商品の類似

申立人が引用商標を使用している商品は、モバイルバッテリー、急速充電器、ライトニングUSBケーブル、USBType−Cケーブル、MicroUSBケーブル、スピーカー、イヤホン、オーディオケーブル、プロテクション、インターフェース等(以下「申立人商品」という。)である。

この申立人商品は、本件商標の指定商品に該当する商品である。

よって、申立人商品は、本件商標の指定商品と同一又は類似する商品である。

ウ 引用商標の周知・著名性

(ア)商標の使用開始時期、使用期間

申立人は、Googleで勤務していたスティーブン・ヤンが、高品質で手頃な価格のノートパソコンの交換用バッテリーを市場に提供するために、2011年に創業したAnkerである。

携帯充電デバイスの必要性を認識したことで、申立人はモバイルバッテリーと急速充電器に焦点を移し、手の届きやすい価格で、優れた機能性・品質・サポートを備えたスマートフォン関連製品を次々に発表、現在では同社の売上の大半を占めている。

申立人は、アメリカ合衆国、日本、ドイツ、イギリス、及び中華人民共和国で現地法人を運営しており、大韓民国、クウェート、サウジアラビア、ルーマニア等でも委託販売している。

申立人は、日本において、アマゾンドットコム、楽天、Yahoo!ショッピング等のEコマースサイトのほか、家電量販店のビックカメラの一部店舗で、「Ankerコーナー」として販売を行っている。

申立人商品の販売開始から現在に至るまで商品デザインに大きな変更はなく、申立人商品には引用商標が大きく目立つ態様で表示されている。

申立人商品は2012年には販売が開始されているから、引用商標の使用期間は本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点でもおよそ5年にも及んでいる。

申立人が長期間継続して引用商標の使用をしてきたことで、引用商標には申立人に対する顧客からの多大な信用が蓄積されている。

(イ)プロ向け及びDIY向け補修框市場における申立人の地位

申立人商品の需要者はスマートフォン・タブレット関連製品をはじめとするモバイル電化製品の愛好者である。

申立人商品は、充電デバイスに接続されたデバイスを自動検知し、機器毎に適した最大のスピードで急速充電を行う。申立人商品は、独自の急速充電テクノロジーで、最大出力18Wまでのすべてのデジタル機器にフルスピードで急速(決定注:「充電」の誤記と思われる。)ができる。

このような経緯から、2015年にAnkerはアマゾンドットコムでのモバイル充電器のリーディングブランドとして言及されている状況である(甲5)。

そして、申立人の売上高は、2015年が約26億5,595万円、2016年が約50億8,664万円、2017年が約61億8,345万円であった(甲9〜甲11)。

2015年から2016年にかけての申立人の売上高は年々上昇し市場全体においても非常に高い割合となっており、申立人がスマートフォン・タブレット関連製品をはじめとするモバイル電化製品の市場における最大手の地位を占めており、同市場において優位性を有していることが分かる。

このように、申立人がモバイル電化製品市場において最大手の地位を占めることは、申立人商品が販売店において同種商品に対して宣伝や取り上げ方、商品の陳列などに優位性を有することになり、引用商標の知名度獲得に大きく貢献している。

(ウ)商標の使用態様、商品数

申立人商品は、アマゾンドットコムにおいては、「携帯電話・スマートフォン用充電器・チャージャー」「モバイルバッテリー」等のカテゴリ毎に商品があり(甲12)、約400点以上の商品が販売されている(甲13)。

申立人商品は、その用途に応じて各用途に複数の色があり、単品ものやセットものがある。

申立人商品のいずれにおいても、商品パッケージ、商品本体に大きく引用商標が非常に目立つ態様で記載されている(甲3、甲4)。

こうした商品の数の多さや引用商標が商品パッケージ、商品本体における目立つ態様から、引用商標は申立人商品に接した需要者に対して強い印象を与えている。

(エ)商標使用地域、商品販売方法

申立人商品は、商品の販売開始から現在に至るまで、実店舗での販売、インターネット通販サイトでの販売、家電量販店を通じた商品の頒布を行ってきている。(甲14、甲15)

申立人商品は、以前より申立人が開設・運営するホームページを経由してインターネットサイト、各種インターネット通販サイトにおいて販売されてきた。(甲16〜甲18)

(オ)商品販売実績

申立人商品(Cable)の販売数量は、2015年551,713、2016年1,100,961、2017年1,227,006であり、申立人商品(Protection)の販売数量は、2015年256,462、2016年300,078、2017年420,105であるなど、各申立人商品(Charger、Battery、Speaker、Headphone)の販売数量は甲第9号証ないし甲第11号証のとおりである。

申立人商品は、年々売り上げが上がっており、申立人商品の全ての販売個数は、2015年166万個、2016年306万個であり、2017年359万個程度である。

申立人商品は、市場において販売開始から本件商標が登録出願されるまでの間の2015年と2016年の販売個数にとどめても、少なくとも472万個販売され、登録査定を受けるまでの間の2015年から2017年の半ばの販売個数にとどめても、少なくとも651万個販売されている。

このように申立人商品は膨大な個数が販売されていることからすると、申立人商品は既にモバイル電化製品の市場において高い知名度を有し、需要者に広く知られた商品であったといえる。

申立人商品の販売拡大とともに、引用商標の知名度は需要者の間において高まっていくので、引用商標は本件商標が登録出願されるまでに需要者に対して広く知られていたことは疑いようがない。

(カ)その他の宣伝活動

申立人商品の使い方を紹介した動画を、インターネットの大手動画サイトであるYouTubeにて公開しており(甲19)、誰でも閲覧可能にするとともに、自社ウェブサイトにこの動画のURLを埋め込むことで利用者に対して必要な情報を提供してきた。

申立人商品は、この使い方を紹介した動画によってその用途を容易に理解できることから、商品選択の後押しとなり宣伝効果を高めている。

(キ)インターネットサイト、ブログにおける掲載

一般需要者が作成したブログの記事には、申立人商品がパッケージの写真とともにその使用感などが掲載されており(甲20、甲21)、ブログ読者に対する申立人商品の口コミ宣伝となっていた。

申立人の販売活動や宣伝活動により知名度が高められたのに加えて、実際に商品を使用した一般需要者による口コミがなされることで、両者が相侯って申立人商品及び引用商標の知名度は飛躍的に高まっている。

(ク)小括

このように、申立人商品の販売活動、宣伝活動等により、申立人商品に付された引用商標「ANKER」は、本件商標の登録出願日時点で申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に周知を超えて著名といえる程度に広く認識されていたことは明らかである。

エ まとめ

以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品(申立人商品)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた引用商標と同一又は類似する。また、本件商標の指定商品も申立人商品と同一又は類似する商品である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)で述べたように、引用商標は、本件商標の登録査定時のみならず、登録出願時においても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に周知・著名となっていた。

そのため、引用商標と同一又は類似する本件商標をその指定商品に使用をしたときには、需要者は申立人の業務に係る商品であると認識することになるから、出所の混同を生じるごとに明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

ア 引用商標の周知・著名性

これまで述べてきたように、引用商標は、本件商標の登録査定時のみならず、登録出願時においても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く認識されていた。

しかも、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、周知を越えて著名とまでいえる程度に認識されていた。

イ 不正の目的

引用商標は、「錨」という語が連想させる技術の重厚さ、品質の確かさというイメージにヒントを得て案出された商標であり、上記のように本件商標の登録出願の時点では既に広く知られていた。

商標権者は、引用商標の特にデザイン化されている「A」と「K」にわざわざ近似させた形での商標登録出願を行った。

申立人はモバイル電化製品市場において最大手であるが、その申立人商品と酷似する商標が本件商標の指定商品に使用されれば、出所の混同が生じるだけでなく、永年使用したことで引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力が毀損されることは明らかである。

そして、本件商標は「アンケ」と称呼される余地もあるが、商標権者は、あえてアマゾンドットコム等で商品を販売する際に「ANNKE(アンカ)」や「ANNKE(アンか)」と表示し、本件商標の称呼が「アンカ」であることを示している(甲7、甲8)。

このことは、本件商標の称呼を意図的に引用商標の称呼に近づけていることが明らかであり、このように使用されれば、出所の混同が生じるだけでなく、永年使用したことで引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力が毀損されることは明らかである。

こうした商標権者の行為は、申立人が長年引用商標を使用して築き上げてきた引用商標に対する顧客吸引力を毀損するものである。

これらの事実からすると、商標権者が、引用商標を知った上で、周知、著名となっていた引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、あえて引用商標と同一又は酷似した商標を先回りして登録したことは明らかである。

商標権者は、申立人が築きあげてきた信用にただ乗りするだけでなく、申立人に対して損害を加える目的を有していたのであるから、「不正の目的」を有していた。

ウ 小括

以上より、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号について

商標権者は、上記のようにモバイル電化製品市場において既に中国全土でも広く知られていた引用商標と同じ称呼「アンクォ」をもつ別の英文字で表した「ANNKE」が商標登録されていないことを奇貨として、あえて引用商標と同一又は酷似したデザインの「A」や「K」を使用した商標を先回りして登録していることは明らかである。

こうした商標権者による本件商標の商標出願の経緯は、著しく社会的妥当性を欠き、登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。

(ア)引用商標(色彩の異なるものを含む。)が付された「モバイルバッテリー、急速充電器」などの商品は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのインターネット通販サイト(甲12、甲13、甲16〜甲18)及びビックカメラ(9店舗。甲15)で販売されている。

(イ)申立人は、米国、ドイツ等では現地法人を運営し、また、韓国等では委託販売している旨の記載がある。(甲5)

(ウ)申立人は、2015年〜2017年の申立人の商品の販売額実績(甲9〜甲11)を提出しているが、当該証拠は、引用商標を付した商品の販売額実績であるのか、いずれの国の販売額実績であるものか不明である上、その数値を裏付ける客観的な証拠もない。

イ 上記アの事実からすれば、引用商標を付した商品(モバイルバッテリー、急速充電器など)が、我が国において販売されているほか、米国などの外国で販売されていることがうかがえるものの、我が国又は外国における販売実績、広告宣伝の方法や規模などを認め得る客観的な証拠は見いだせないから、引用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、「ANNKE」の文字をややデザイン化して表してなり、その構成文字に相応し「アンケ」の称呼を生ずるものである。また、当該文字は辞書等に記載がなく、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は、別掲2及び別掲3のとおり、いずれも「ANKER」の文字をややデザイン化して表してなり、その構成文字に相応し「アンカー」の称呼を生ずるものである。また、該文字は英語で「オランダ、ドイツ等で酒類のなどに用いられる液量の単位」(ランダムハウス英和辞典)の意味を有するものであるとしても、我が国では、一般に馴染みのない語であって、その意味合いをもって認識されるというよりは、むしろ、特定の意味合いを生じない一種の造語として認識されるものというべきであるから、特定の観念を生じないものである。

ウ 申立人の主張

申立人は 中国語のピンイン変換を前提とし、また、ローマ字読みや販売する際の実情から、本件商標と引用商標はいずれも「アンカ」及び「アンクォ」の称呼が生じると主張し、証拠(甲6〜甲8)を提出している。

しかしながら、いずれも欧文字からなる両商標の称呼について、通常、我が国においては、特定の意味合いを有さない欧文字を称呼するときには、英語読み風又はローマ字読み風に称呼するのが一般的であることからすれば、中国語のピンイン変換を考慮すべき事情があるとは考え難く、また、両商標の綴り字「ANNKE」及び「ANKER」は、これを英語読み風又はローマ字読み風にしても「アンカ」と称呼されるものとは認められない。

さらに、証拠(甲7、甲8)には、「ANNKE(アンカ)」「ANNKE(アンか)」との記載があるが、それら証拠はいずれも本件商標の登録査定の日後の2018年2月15日にプリントアウトされたものであるし、わずか2件の証拠(ウェブページ)に記載されていることをもって、その記載内容を一般的恒常的な取引の実情として認めることはできない。

したがって、申立人の係る主張は採用できない。

エ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者は外観において、その構成文字中、語頭の「AN」の2文字を共通にするものの、語尾を含む3文字目ないし5文字目に「NKE」と「KER」の3文字の差異、及び語頭の「A」の文字に三角形又は稲妻模様の有無の差異を有するから、これらの差異が共に5文字という比較的短い文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。

次に、本件商標から生じる「アンケ」と引用商標から生じる「アンカー」の称呼を比較すると、両者は語頭部の「アン」の2音を共通にするものの、後半部に「ケ」の音と「カー」の音の差異を有するから、この差異が3音又は長音を含む4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼した場合には、明確に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、比較することはできない。

そうすると、両商標は、観念において比較できないものの、外観、称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。

その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。

オ 小括

上記(1)のとおり、引用商標は他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、上記(2)エのとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と申立人商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)エのとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号及び同第7号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって別異のものである。

そして、申立人は、「商標権者が、本件商標の称呼を意図的に引用商標の称呼に近づけている」旨主張し、ウェブサイト上に「ANNKE(アンカ)」、「ANNKE(アンか)」と表示している証拠(甲7、甲8)を提出しているが、これら2件のウェブサイト上における表示のみをもって、直ちに本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。

その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であることを認めるに足りる証拠の提出はない。

そうすると、本件商標は、引用商標の信用にただ乗りする、申立人に損害を加えるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第7号のいずれにも該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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