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Trademark Appeal Case

品質表示「やわらか仕立て」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−10602(T2017−10602/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「やわらか仕立て」の文字を標準文字で表してなり,第21類「コットン製パフ,化粧用パフ,化粧用綿製パフ,顔用の化粧用パフ,綿製の使い捨て化粧用パフ」を指定商品として,平成27年5月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

本願商標は,「やわらか仕立て」の文字を表してなるところ,その構成中「やわらか」の文字は「堅くないさま。しなやかなさま。ふっくらしているさま。柔軟。」等の意味を有し,「仕立て」の文字は「工夫してこしらえること。故意に作りあげること,裁(たち)縫うこと。裁縫。」等の意味を有することから,全体として「ふっくらと(柔らかく)作りあげている」程度の意味合いを容易に認識し得る。

また,各種業界において,「やわらか仕立て」の文字は,「柔らかく仕立ててある」程度の意味合いで使用されている。

そうすると,本願商標を,その指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者が,その商品を「ふっくらと(柔らかく)作りあげているコットン製パフ・化粧用パフ」等であると容易に認識し得るから,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲1及び2に掲げる事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成30年2月8日付け証拠調べ通知書),意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は,上記3の通知に対して,要旨以下のとおり意見を述べた。

(1)本願商標の構成中「仕立て」の語は,「作りあげる」という意味で使用する場合,衣服,料理又は食品の分野において使用されることが一般的で,その商品「化粧用パフ」についてはそのような意味で使用しないことが一般的である。つまり,通知で掲げる事例は,やわらかく作られている商品例を示すにすぎず,「仕立て」の語が「化粧用パフ」との関係において一般的に使用されていることを示していない。

(2)通知で掲げる事例には,「やわらか仕立て」の文字が,商品「化粧用パフ」について使用されている例はなく,その他に請求人以外の使用例を発見できないから,将来的に第三者に使用される可能性はなく,本願商標の独占適応性はある。

(3)通知で掲げる「やわらか仕立て」の事例は,ウェットティッシュ,ティッシュペーパー,トイレットペーパーの分野で各1例ずつのみで,他の使用例の大部分は料理又は食品の分野におけるものだから,それら以外の分野では一般に使用される言葉ではない。

5 当審の判断

(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性

本願商標は,「やわらか仕立て」の文字を標準文字で表してなるところ,「やわらか」の文字は「堅くないさま。ふっくらしているさま。」の意味を有し,「仕立て」の文字は「工夫してこしらえること。故意に作りあげること。」の意味を有する語である(参照:「広辞苑 第6版」岩波書店発行)。

そして,別掲2のとおり,「やわらか仕立て」の語は,ティッシュペーパーやおむつなどの衛生用品や食料品などを含む広い分野において使用されており,それら商品は,「こだわりのふんわり・やわらか仕立て」,「紙の厚みを約2倍にしつつやわらかく仕立てた」,「パッド全体がやわらか仕立て」,「肌にやさしいやわらか仕立て」,「歯応えをソフトにした『やわらか仕立てのあずきバー』」,「歯が弱くなった高齢犬向け半生タイプ『やわらか仕立て』」,「やわらか仕立てのハンバーグ」,「やわらか仕立てのミニハンバーグ」と紹介されるように,肌触りや歯応えが柔らかくなるように作りあげられたという品質を備えていることが確認できる。

また,別掲1のとおり,化粧用パフを含む商品の取り扱い業界において,肌触りがやわらかく作り上げられている商品は広く流通しており,例えば「やわらかコットンパフ」,「やわらかスポンジパフ」,「やわらかパフ」,「やわらか仕上げ」,「やわらかボディタオル」のように,やわらかく作り上げられているという特徴を備える商品が多くあるという実情もうかがえる。

そうすると,本願商標は,それぞれの構成文字の語義及び上記のような取引の実情も踏まえると,全体として「やわらかく作り上げたこと」程度の意味合いを容易に認識させるものであり,これに接する需要者,取引者は,その指定商品との関係においては,商品の品質を表したものと容易に理解するというべきである。

そうすると,本願商標は,その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,本願商標は請求人が創作した一種の造語であり,本願商標の構成中「仕立て」の語は,衣服,料理又は食品の分野において使用されるとしても,本願の指定商品「化粧用パフ」との関係では,「作り上げる」という意味では使用されていない旨を主張する。

しかしながら,本願商標の構成中「仕立て」の語は,特定の分野においてのみ意味の理解が可能で使用される専門用語というわけではなく,上記(1)のとおり,一般需要者を対象とする商品分野において,肌触りや歯応えなどが柔らかくなるように作りあげられた商品の品質を指称する語として,「やわらか仕立て」の語が取引上普通に用いられている実情を踏まえると,本願商標は造語と理解されるとはいえず,需要者,取引者をして,「やわらかく作り上げたこと」程度の意味合いが容易に認識,理解されるというべきである。

イ 請求人は,請求人以外はその指定商品との関係において,「やわらか仕立て」の文字を使用しておらず,将来的にも第三者により使用される可能性はないもので,請求人による本願商標を付した化粧用パフは,2016年度に約2億1千万円,5千7百万パッケージの売上があったこともあり(請求人の主張),本願商標は独占適応性がある旨を主張する。

しかしながら,請求人の主張する本願商標の使用実績は具体的に把握し得ないものであり,上記(1)のとおり,現に「やわらか仕立て」の語が衛生用品や食料品など広い分野において使用されている実情もあることに加えて,化粧用パフを含む商品の取り扱い業界においても,やわらかく作りあげられているという特徴を備える商品が多くあるという実情をも考慮すると,本願商標は商品の品質を表したものと認識,理解されるというべきである。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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