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Trademark Appeal Case

称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−685013(T2015−685013/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1201307号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

国際登録第1201307号商標は,別掲1のとおりの構成からなり,2014年(平成26年)3月26日に国際商標登録出願,第38類「Television broadcasting;message sending;cellular telephone communication;communications by computer terminals;electronic mail;information about telecommunication;electronic bulletin board services[telecommunications services];providing user access to global computer networks;providing telecommunication channels for teleshopping services;providing Internet chatrooms.」及び第42類「Packaging design;computer programming;updating of computer software;rental of computer software;computer system design;duplication of computer programs;hosting computer sites[web sites];installation of computer software;providing search engines for the Internet.」を指定役務として,平成26年10月15日に登録査定,同27年2月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の2件の登録商標(以下,これら2件の商標を総称する場合は,「引用商標」という。)であり,いずれも現に有効に存続しているものである。

1 国際登録第1108614号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,2011年(平成23年)7月4日にPeople’s Republic of Chinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2011年11月14日に国際商標登録出願,第42類「Computer system design;computer software design;industrial design;conversion of data or documents from physical to electronic media;creating and maintaining web sites for others;computer software upgrade;technical project research;computer programming;hosting computer web sites;design of interior decoration.」を指定役務として,平成24年10月26日に設定登録されたものである。

2 登録第5666212号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成25年11月26日に登録出願,第35類「広告,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告,消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,販売促進のための企画及び実行の代理,商取引の受注管理,財務書類の作成,コンピュータデータベースへの情報構築,経理事務の代行,商品の実演による広告,通信販売を利用した広告,広告タイムの貸与,市場分析,輸出入に関する事務の代理又は代行,人材募集,電気通信への加入契約の取次ぎ,自動販売機の貸与,スポンサー探し,コンピュータデータベースへの情報編集」を指定役務として,同26年4月25日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第7号,同第10号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるものである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第55号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,「meitu」の欧文字を書してなる商標であり,ローマ字読みをすると「メイツ」の称呼が生じる。また,本件商標の商標権者は中国法人であるが,中国において本件商標を「メイズ」と発音する場合があることから,本件商標からは「メイズ」の称呼も生じる。

これに対し,引用商標は,「MEIZU」の欧文字を書してなる商標であり,「メイズ」の称呼が生じる。

したがって,本件商標と引用商標とは,「メイズ」の称呼を共通にするものである。また,本件商標から生じる「メイツ」の称呼と引用商標から生じる「メイズ」の称呼とは,語尾の「ツ」と「ズ」の相違があるが,「ツ」の濁音「ヅ」は「ズ」とほとんど同音のため,「ツ」と「ズ」は清音と濁音の関係といえる。語尾音における清音と濁音の差異は明確に聴別しづらいため,その差異が称呼全体に与える影響は比較的小さい。したがって,両商標を一連に称呼するときは,語調・語感が近似し互いに相紛らわしいものである。

本件と同様に,称呼上,語尾の清音と濁音の差異がある商標について,称呼上相紛れるおそれがあるとし,類似と判断された審決・決定が多数存在している(甲4〜甲11)。

また,本件商標「meitu」と引用商標「MEIZU」は,欧文字の綴りが4文字目の「t」と「Z」を除く「m(M)」「e(E)」「i(I)」「u(U)」が共通していることから,外観上も相紛らわしいものである。

そして,本件商標と引用商標の指定役務は,同一又は類似のものである。

2 商標法第4条第1項第10号について

申立人は,2003年に中国の広東省珠海市において設立された法人である(甲12)。設立後は「MEIZU」の商標を使用して携帯音楽プレーヤーの製造販売を行い,中国において引用商標は携帯音楽プレーヤーの商標として広く認識されていた(甲13〜甲17)。2007年頃からはスマートフォンの製造を開始し(甲18),2009年始めに発売した中国国産初となる大画面高精細スマートフォンは大きな話題となり,引用商標は中国の需要者,取引者の間で広く認識された(甲19〜甲22)。現在,中国でスマートフォンシェア1位のメーカーである「Xiaomi」の設立前からスマートフォンを販売しており,「Xiaomi」のスマートフォン販売前より,「MEIZU」は中国を代表するスマートフォンブランドとして中国の需要者,取引者に広く認識されている。近年では,申立人がOS「Ubuntu」を搭載したスマートフォンのOEMパートナーとして選ばれたことや(甲23〜甲27),世界を代表する電子商取引最大手の中国アリババグループから,約700億円の出資を受けたこと(甲28〜甲32)でも話題となった。

申立人は現在中国に560以上の販売店を有しており(甲33),引用商標を使用したスマートフォンの製造販売を継続して行っている(甲34)。なお,それらの店舗は本件商標の出願日前から営業をしているものである。また,香港やロシア,イスラエル,ウクライナでも事業を展開している。2013年の年間売り上げは37億元(当時のレートで約600億円)である。

上述のように,申立人の引用商標は本件商標の出願日前から現在に至るまで,中国において携帯音楽プレーヤー及びスマートフォンに使用する商標として需要者,取引者に広く認識されている。

また,甲第13号証ないし甲第32号証,甲第35号証ないし甲第48号証に示すように,日本の需要者又は取引者向けに申立人の商品や申立人に関する記事が多数掲載され,また申立人の商品や申立人に関する記載のある記事が多数掲載されている。日本向け「Amazon.co.jp」や「楽天市場」「YAHOO!ショッピング」等のインターネットショッピングサイトにおいて,申立人のスマートフォン,携帯音楽プレーヤー及びそれら専用のケースや,それらに対応したケーブルやスピーカー等が多数検索され,購入することができる(甲49〜甲54)。

以上により,日本においても,引用商標は申立人のスマートフォン及び携帯音楽プレーヤーに使用される商標として本件商標の出願日前から需要者,取引者に広く認識されている。

3 商標法第4条第1項第15号について

申立人の引用商標は,中国及び日本において,申立人のスマートフォン及び携帯音楽プレーヤーに使用される商標として本件商標の出願日前から需要者,取引者に広く認識されている。また,本件商標は,申立人の商標と類似する商標である。

本件商標の指定役務は,通信及びソフトウェア関連サービス等であり,スマートフォンと非常に密接な関連を有する役務である。また申立人が関連事業として行う可能性も十分に考えられるものである。本件商標は,申立人の商標と類似するものであるため,本件商標がその指定役務に使用された場合,申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。

4 商標法第4条第1項第19号について

申立人は,2007年頃からスマートフォンの製造を開始し,商標権者の設立時には,近日スマートフォンをリリースすることが発表されていたものである。したがって,商標権者は当然に申立人の存在を会社設立時から熟知していながら,申立人商標と類似する商標「meitu」を敢えて採用したものである。さらに,近年になって,申立人の存在及び商標を熟知しながら,申立人のスマートフォンを表示するものとして広く認識されている「MEIZU」と類似する商標「meitu」をスマートフォンについて使用している。

商標権者は,申立人の商標を知りながら類似する商標「meitu」を採用し,当該商標を申立人の商品と同一又は類似の商品に使用している。さらに,申立人が既に日本において商標を取得しており,日本において申立人商品に関する記事等が多数存在するなど需要者,取引者に広く認識されている状況において,申立人の主力商品であるスマートフォンと密接な関連を有する役務について本件を出願した。これらの状況から,本件商標の商標権者は,申立人の知名度を利用して不正の利益を得る目的又は出所表示機能を稀釈化させ,その名声等を毀損させる目的をもって出願したものと推測される。本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者,取引者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものである。

5 商標法第4条第1項第7号について

本件商標の商標権者は,設立当初から申立人の商標を知りながら,申立人の商標と類似する商標を採用し,同一又は類似の商品について当該商標を使用している。さらに,日本においても,申立人の知名度を利用して不正の利益を得る目的,又は出所表示機能を稀釈化させ,その名声等を毀損させる目的をもって本件商標を出願したものである。そのような意図を持って出願し,又は本件商標をその指定役務について使用することは,社会の一般的道徳観念に反し,また需要者,取引者が申立人の商標と混同を生じるおそれがあるため,社会公共の利益にも反することとなる。本件商標は,申立人の存在及び商標を知った上で,申立人の商標に化体した信用及び顧客吸引力等にただ乗りし,又は申立人の商標を希釈化し利益を害する目的で採用されたものであり,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠き,公正な取引秩序を乱し,公の秩序を害するものである。

6 むすび

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第10号,同第15号,同第19号及び同第7号に違反してなされたものであるから,取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標

本件商標は,別掲1のとおり,「meitu」の文字からなるところ,該文字は,辞書等に掲載がなく,かつ,親しまれた意味を有するものとして一般に知られている語でもないから,特定の意味を有しない一種の造語として理解されるものである。

そして,本件商標の構成文字は,全体的に丸みを帯びた字形をしている特徴を有するものである。

してみれば,本件商標は,その構成文字に相応して,「メイツ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標

引用商標は,別掲2のとおり,「MEIZU」の文字からなるところ,該文字は,辞書等に掲載がなく,かつ,親しまれた意味を有するものとして一般に知られている語でもないから,特定の意味を有しない一種の造語として理解されるものである。

そして,引用商標の構成文字は,「M」の文字から「U」の文字にかけて徐々に文字の線が細く書されており,その上,角張った字形をしている特徴を有するものである。

してみれば,本件商標は,その構成文字に相応して,「メイズ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,上記したとおり,それぞれの構成及びその文字に特徴を有するものであるから,両商標は,全体の印象が異なるものであって,外観上,相紛れるおそれはないものである。

また,称呼においては,本件商標からは「メイツ」の称呼が生じ,引用商標からは,「メイズ」の称呼が生じるところ,全体で3音という短い音の中で語尾の「ツ」及び「ズ」の相違は,はっきり発音されるものであるから,語調語感が明らかに異なり,称呼上,明瞭に聴別できるものである。

そして,観念においては,本件商標と引用商標とは,共に,特定の観念を生じないから比較することができないものである。

以上のことから,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼の点において相紛れるおそれのない非類似の商標であるといわざるを得ない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及びその主張によれば,以下のとおりである。

(ア)申立人は,2003年に中国の広東省珠海市において設立された法人である(甲12)。設立後は「MEIZU」の商標を使用して携帯音楽プレーヤーの製造・販売を行い,中国において引用商標は携帯音楽プレーヤーの商標として広く認識されていた(甲13,甲14,甲17)。

そして,2009年頃からはスマートフォンの製造を開始し,中国国産初となる大画面高精細スマートフォンは大きな話題となった(甲20)。

(イ)近年では,申立人が,OS「Ubuntu」を搭載したスマートフォンのOEMパートナーとして選ばれたことや(甲23〜甲27),世界を代表する電子商取引最大手の中国アリババグループから,約700億円の出資を受けたことでも話題となった(甲28〜甲32)。

申立人は,現在中国に560以上の販売店を有しており(甲33),引用商標を使用したスマートフォンの製造販売を継続して行っている(甲34)。

(ウ)申立人は,香港やロシア,イスラエル,ウクライナでも事業を展開している(甲24)。2013年の年間売り上げは37億元(当時のレートで約600億円)である。

(エ)申立人の商品や申立人に関する記事が,日本の需要者又は取引者向けに掲載されている(甲35〜甲48)。

(オ)日本向け「Amazon.co.jp」,「楽天市場」及び「YAHOO!ショッピング」等のインターネットショッピングサイトにおいて,申立人のスマートフォン,携帯音楽プレーヤー及びそれら専用のケースや,それらに対応したケーブルやスピーカー等が検索され,購入することができる(甲49〜甲54)。

イ 上記アによれば,申立人は,2003年に中国の広東省珠海市において設立され,携帯音楽プレーヤー及びスマートフォンの製造・販売を行っている企業であり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件登録出願時及び登録査定時には,主に中国の需要者の間に一定程度知られていたものと推認し得るところである。

しかしながら,申立人提出の甲各号証によれば,申立人に関する記事が掲載されたことは認められるものの,その内容は,申立人のスマートフォン等の製品に関する記事がほとんどであり,さらに,我が国でのインターネットショッピングサイト(甲49〜甲54)において,申立人のスマートフォン等の製品の販売は認められるとしても,売上額,市場比率(シェア)などは明らかにされていない。

その他,引用商標が,申立人の役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。

以上を総合勘案すると,引用商標の周知性は,提出された甲各号証をもってしては,主に中国のスマートフォンを使用する需要者の間に一定程度知られていることは推認できても,我が国において,他人(申立人)の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったとまでは認めることができない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性

前記1のとおり,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるが,外観及び称呼の点において相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

そして,上記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人(申立人)の業務に係る役務であることを表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。

してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定役務について使用しても,需要者をして引用商標を連想し,又は想起させることはなく,その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号及び同第7号について

前記1のとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

また,前記2のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されていたものではない。

そして,申立人から提出された証拠において,不正の利益を得る目的等について,その事実を証明するものは何も見当たらない。

そうすれば,本件商標は,引用商標の名声等にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

さらに,本件商標が,その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど,公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同第7号のいずれにも該当しない。

4 まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第10号,同第15号,同第19号及び同第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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