Trademark Appeal Case
スライドファスナー立体形状の類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2018−600001(T2018−600001/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5900749号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなる立体商標であり,平成28年6月15日に登録出願,第26類「スライドファスナー,面ファスナー,アジャスタブルファスナー,レール状ファスナー,スナップボタン,飾りボタン,フックアンドアイ,ホック,コードストッパー,ボタン類,被服用はとめ,靴はとめ,衣服用バックル,弾性リボン,織物製テープ」及び第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,書類の複製,ボタン類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同年11月25日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
請求人の示す商品「スライドファスナー」(以下「使用商品」という。)について使用するイ号標章は,別掲2のとおりの構成よりなる「ベスト(被服)のスライドファスナーに固着されたエレメントの立体的形状」である。
第3 請求人の主張
請求人は,イ号標章は本件商標の効力の範囲に属するとの判定を求める旨を申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第5号証及び甲第7号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。なお,甲6は欠番である。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は,請求人が2009年に発売し(甲3),その後,今日に至る間継続して販売をしている,商品名を「METALUXE」(メタルックス)と称する「スライドファスナー」のエレメント(甲4)に使用している立体的形状よりなる商標である。
2 イ号標章について
イ号標章は,ベスト(被服)のスライドファスナーに固着されたエレメントの立体的形状(甲2の1〜6)よりなる。
3 本件商標とイ号標章の比較
本件商標とイ号標章は,いずれも特定の称呼及び観念を生じない。
しかしながら,本件商標とイ号標章は,正面の一見矢じりを表したような形状が酷似し,背面の,一見,頭と胴よりなる人体を模したような形状が酷似し,正面と背面を一体として結合した全体の形状が酷似する。
そうすると,本願商標とイ号標章は,互いに共通した構成態様よりなるため,外観において互いに類似する商標である。
4 本件商標とスライドファスナーの多数のエレメントとの比較
乙第2号証の1ないし6のベスト(被服)(以下「イ号ベスト」という。)の左右のスライドファスナーには,各々多数のエレメントが固着されているところ,これらエレメントはいずれも同じ立体的形状よりなり,どのエレメントを分離観察しても,すべてイ号標章といい得る。
このような場合,本件商標とイ号標章は,本件商標とイ号ベストのスライドファスナーに固着された多数のイ号標章(エレメント)全体との比較においても,時と所を異にして観察した場合,両者は外観上,互いに類似するというべきで,同様の判断をした審決例もある(甲5)。
そうすると,本件商標とイ号標章は,本件商標とイ号標章との比較においてはもとより,多数のイ号標章(エレメント)全体との比較においても互いに類似する商標である。
5 イ号標章の識別性
イ号標章は,スライドファスナーにおけるエレメントの立体的形状よりなるものであるが,「スライドファスナー」等を指定商品として識別力が容認された立体的形状よりなる本件商標と共通した構成態様よりなり,本件商標を侵害するものである以上,イ号標章は識別力を有するものとして,本件商標とは互いに類似する商標と判断されるべきである。
6 むすび
イ号標章は,本件商標と互いに類似する商標であり,その使用商品も,本件商標の指定商品と同一又は類似するため,本件商標の効力の範囲に属する。
なお,本件判定請求は,被請求人が存在しないものであり,その理由として,請求人は,海外で転々流通するイ号標章の日本への流入を止めるために,税関への商標権侵害の輸入差止請求資料として活用するため,被請求人となるべき相手方を特定できない旨主張している。
第4 当審の判断
1 イ号標章について
(1)イ号標章について
ア イ号標章は,「ベスト(被服)のスライドファスナーに固着されたエレメントの立体的形状」であるところ,その立体的形状は,(ア)全体として,厚みのある縦長の角のとれた直方体の形状に,横穴及びそこから側面の一つに繋がるような隙間を設けたものであって,(イ)上面は,先端を細く絞った形状にし,(ウ)下面は,先端を扇状に膨らませ,その根元を細くすることで,窪みをつけた形状よりなるものである(別掲2(3)〜(5))。
イ そして,イ号標章は,横穴及び側面の隙間を布地状のテープに挟み,複数個を一定間隔で連続して固着し,それを対にして相互にかみ合せ結合することを目的としたスライドファスナーの部品(エレメント)であり(別掲2(3)及び(4)),そのスライドファスナーも,被服(ベスト)の前側に設置され,イ号標章が,その先端の扇状の膨らみ及び窪みによって,相互にかみ合う又は開放するという役割を果たすことにより,被服前側の開閉が可能となるとの役割を果たしている(別掲2(1)及び(2),甲11)。
(2)検討
ア 商品「スライドファスナー」の構造は,テープ,エレメント(務歯)及びスライダー(開閉部分)に大別できるもので,その仕組みは,スライダーによってテープに固着したエレメントをかみ合わせ,又は離れさせることで開閉をするものであり,その機能のためにエレメントにはかみ合う部分(務歯頭部)がある(甲4)。
イ号標章は,上記(1)アのとおりの構成よりなるところ,その全体の形状や,扇状の膨らみ及び窪みは,上記(1)イのとおり,対にして相互にかみ合せ結合することを目的としたもので,その横穴及び側面の隙間も固着する際にテープを挟み込むためのものといえる。また,その他のイ号標章の構成上の特徴は,いずれも装飾的な印象を与えるものではなく,商品の機能又は美感を発揮させる目的以外により採択されたものとは理解し難い。
そうすると,イ号標章は,その使用商品との関係において,商品の部品としての機能又は美感に資することを目的として採用されたと,客観的に理解できるものであるから,使用商品の部品(エレメント)の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきである。
したがって,イ号標章は,商標法第26条第1項第2号に該当する。
イ イ号標章は,上記(1)イのとおり,使用商品である「スライドファスナー」の部品であるエレメントとして,スライドファスナーに複数個を一定間隔で連続してテープに固着して使用されており,そのスライドファスナーも,被服(ベスト)の前側に設置され,その商品の機能(開閉)を果たすために利用されているにすぎない。また,イ号標章は,スライドファスナーのテープに固着して使用されるため,外形上,その各特徴の詳細の把握は容易ではない。そのため,イ号標章は,その使用商品との関係において,自他商品の識別標識として機能させるような態様で使用されているものとはいえない。
そうすると,イ号標章は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていないと認められるから,商標法第26条第1項第6号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり,イ号標章は,商標法第26条第1項第2号及び同項第6号に該当するから,本件商標とイ号標章との比較並びにその指定商品及び指定役務と使用商品との比較をするまでもなく,本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって,結論のとおり判定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。