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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼・観念の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−15414(T2017−15414/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「恵比寿刃」の文字を標準文字で表してなり,第8類「包丁類」を指定商品として,平成28年8月30日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第2308751号商標(以下「引用商標」という。)は,「EBISU」の欧文字及び「エビス」の片仮名を上下二段に表してなり,昭和62年2月17日に登録出願され,第13類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年5月31日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,また,同15年3月19日に指定商品を,第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)」とする指定商品の書換の登録がされ,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は,前記1のとおり「恵比寿刃」の文字を標準文字で表してなるところ,本願商標の構成中,「恵比寿」の文字は「七福神のひとり。風折烏帽子に狩衣・指貫姿でタイを釣り上げた挙げた像に作る。商家で守護神として信仰する。」の意味を有し,「刃」の文字は「刃物の,物を切る部分。やきば。刃物。刀剣」の意味を有する語(株式会社三省堂 新明解国語辞典第七版)として,それぞれ広く一般に親しまれた語である。

そして,その構成中「刃」の文字部分は,本願商標の指定商品「包丁類」との関係において,「包丁類」の物を切る部分あるいは「包丁類」を含む刃物の総称を表わすものとして普通に使用されていることからすれば,本願商標の構成中「刃」の文字部分は自他商品の識別標識としての機能を有さないものといえる。

さらに,本願商標が,その構成文字全体として,なんらかの特定の熟語的意味合いを形成する等,「恵比寿」及び「刃」の文字を常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。

そうすると,本願商標は,その構成中,「恵比寿」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強い印象を与えるものというべきであるから,本願商標は,その構成中の「恵比寿」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。

したがって,本願商標は,その構成文字全体から生ずる「エビスヤイバ」の称呼のほか,「恵比寿」の文字部分に相応した「エビス」の称呼を生じ,「七福神のひとりである恵比寿」の観念を生じるものである。

(2)引用商標について

引用商標は,前記2のとおり「EBISU」の欧文字と「エビス」の片仮名とを上下二段に表してなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の表音を片仮名表記したものと容易に理解されるため,それぞれの構成文字に相応して,「エビス」の称呼を生じる。

そして,「EBISU」の欧文字に相当する既成の外国語は存在しないものの,当該欧文字部分の片仮名表記と理解される「エビス」の片仮名及び引用商標から生ずる「エビス」の称呼により,我が国で一般に親しまれた「恵比寿」の語を容易に想起するもの認められ,これより,引用商標からは,「七福神のひとりである恵比寿」の観念を生じるものである。

(3)本願商標と引用商標の類否について

本願商標の要部と引用商標とを比較してみるに,上記(1)及び(2)のとおり,外観においては,漢字からなる本願商標と,欧文字及び片仮名の組み合わせからからなる引用商標とは,文字種を異にするところがあるものの,両者は,「エビス」の称呼と「七福神のひとりである恵比寿」の観念を共通にするものである。

そして,外観における文字種の差異についても,本願商標と引用商標とは特異なデザインが施されているものでもなく,さらに,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で平仮名,片仮名及びローマ字等相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般に行われている取引の実情があって,これより,商標より生ずる称呼及び観念において記憶し,これを頼りに取引に当たることがすくなくないというのが相当であることから,前記,本願商標と引用商標の文字種の差異が,称呼及び観念の一致を凌駕するほどに看者の印象に強く残るとはいえない。

以上によれば,本願商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,上記取引の実情を考慮すると,両者の外観が相違するとしても,取引上必要な役割を果たす称呼及び観念を共通にするものであるから,商標の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

(4)本願商標と引用商標の指定商品の類否について

本願商標の指定商品「包丁類」は,引用商標の指定商品「手動利器(『刀剣』を除く。)」の範囲に含まれる同一又は類似の商品である。

(5)小括

以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,その指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は,本願商標は,標準文字で横一連に「恵比寿刃」と表したものであり,「エビスヤイバ」「エビスハ」と自然に称呼できる。この「エビスヤイバ」は、短い6音の称呼であり、「エビスハ」は、短い4音の称呼であり,いずれも一気に称呼でき,「エビスヤイバ」「エビスハ」から「エビス」のみ独立に分離して称呼されることはない旨主張する。

しかしながら,本願商標は,その構成文字中,「刃」の文字部分からは商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないことから,「恵比寿」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強い印象を与えるものであるから,これより,「恵比寿」の文字部分を要部として抽出し,この部分を引用商標と比較することが許されることは上記(1)のとおりである。

イ 請求人は,結合商標に関連する審査・審判・判決の事例をあげ,本願商標も登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,請求人が挙げる事例は,いずれも本願商標とその構成態様を異にするものである。また,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。

ウ 請求人は,本願商標「恵比寿刃」は,請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることから,周知の本願商標を付された商品と,引用商標を付された商品とを間違えることはない旨主張し,使用情報としてインターネットのアドレス及び納品書等(甲2〜甲4)を提出している。

しかしながら,請求人の提出したアドレス及び証拠からは,請求人が本件商標を使用した商品が販売されていることは認められるものの,これが直ちに本願商標が,常に一体不可分のものとしてのみ把握・認識されなければならない事情を立証したものとはいえない。

エ よって,請求人の上記主張はいずれも採用できない。

(7)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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