Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−10293(T2017−10293/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「美容一本鍼」の文字を標準文字で表してなり、第10類、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年4月6日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同年11月24日受付及び同年12月18日受付の手続補正書により、第10類「美容のためのはり治療用はり」、第41類「通信教育による知識の教授,専門学校における教育,実地教育」及び第44類「美容のためのはり,美容のためのはりに関する情報の提供,美容のためのはりに関する指導及び助言,健康管理に関する指導及び助言,健康相談,美容及びこれに関する情報の提供」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『美容』の文字と、『一本鍼』の文字を一連に『美容一本鍼』と標準文字で表してなるところ、指定役務との関係において『美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼』程の意味合いを容易に認識させるものである。そして、インターネットの情報によれば、『一本鍼』、『1本鍼』、『美容』の各文字は上記意味合いで使用されているものである。そうすると、これを本願指定役務中、美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼する役務に使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、後掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年2月13日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べた。
(1)証拠調べの結果は、本願の指定役務を取り扱う業界において、「美容」のような名詞と「一本鍼」とを組み合わせた「○○一本鍼」の表記により、鍼(はり)の質(内容)を表す事例がないことを示している。
(2)証拠調べの結果は、拒絶査定で認定された「美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼する役務」が存在しないことを示しており、一本の鍼を1ヶ所に刺鍼するだけの美容鍼サービスは有り得ない、という取引者や需要者の認識を裏付けているものである。
(3)証拠調べの結果は、「一本鍼」のサービスを「一本の鍼を1ヶ所に刺鍼」するサービスと限定的に解することが誤りであることを示しており、そうした限定的な解釈が取引者や需要者の間で行われていない実情を明確に示している。
(4)これらの点を考慮すれば、本願商標が、「美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼」することを認識させるとした認定は誤りである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「美容一本鍼」の文字からなるところ、その構成中の「美容」の文字は、「容貌・容姿・髪型を美しくすること。」の意味を有する語として一般によく知られているものであり、「一本鍼」の文字は、医歯薬出版株式会社発行「鍼灸医学大辞典」には、「1本(または数本)の刺鍼のみで症状を軽減する方法を一本鍼、あるいは一本鍼法という。」の意味を有する語として掲載されている。
そして、後掲のとおり、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、「美容鍼」の文字が、美容を目的とした鍼治療や施術を表す語として、「一本鍼(1本鍼)」の文字が、鍼治療の方法を表す語として、それぞれ使用されている実情があり、また、「小顔になる美容の一本鍼」といった美容を目的とした「一本鍼」の語の使用例もある。
そうすると、本願商標である「美容一本鍼」の構成文字全体からは、「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」程の意味合いを容易に理解させるものであるから、本願商標をその指定商品である第10類「美容のためのはり治療用はり」に使用するときは、これに接する需要者は、「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」に係る商品であること、すなわち商品の用途を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものである。
また、本願の指定役務中、第41類「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する通信教育による知識の教授,美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する専門学校における教育,美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する実地教育」及び第44類「美容のためのはり,美容のためのはりに関する情報の提供,美容のためのはりに関する指導及び助言,美容及びこれに関する情報の提供」に使用するときは、これに接する需要者は、「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」を内容とする役務であることを表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識として認識し得ないものである。
してみれば、本願商標は、商品の品質又は役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、本願の指定役務中、第41類「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する通信教育による知識の教授,美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する専門学校における教育,美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法に関する実地教育」以外の「通信教育による知識の教授,専門学校における教育,実地教育」の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「本願商標の『美容一本鍼』が、本願の指定役務の質を直接的かつ具体的に表示するものに当たらないことは明らかである。・・・出願人が『美容一本鍼』の商標を掲げて実施しようとしている美容鍼は、美容鍼用に好適な一本の鍼を使用し、顔面や顎などの複数個所に順番に刺鍼を施して美容の効果を上げるものである。この施術方法は、拒絶査定でいわれている『美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼』するものには該当しない。・・・仮に、拒絶査定でいわれているように、本願商標の『美容一本鍼』が『美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼』する役務の質(内容)を表示しているとすると、この標章は『取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するもの』に該当しない。したがって、特定人にその独占使用を認めても公益上の弊害は発生しない。また『一般的に使用される標章』ではないから自他役務の識別力を欠くものにも該当しない。」旨を主張し、当審においてした平成30年2月13日付け証拠調べ通知書に対する同年3月13日受付の意見書において、「今回の証拠調べの結果は、本願商標の指定役務を取り扱う業界において、『美容』のような名詞(〇〇)と『一本鍼』とを組み合わせた『〇〇一本鍼』の表記により、はり(鍼)の質(内容)を表す事例が皆無であることを示している。・・・拒絶査定で認定された『美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼する役務』が存在しないことを示しており、一本の鍼を1ヶ所に刺鍼するだけの美容鍼サービスは有り得ない、と言う取引者や需要者の認識を裏付けているものと思料する。また、今回の証拠調べの結果は、『一本鍼』のサービスを『一本の鍼を1ヶ所に刺鍼』するサービスと限定的に解することが誤りであることを示しており、そうした限定的な解釈が取引者や需要者の間で行われていない実情を明確に示していると思料する。」旨を主張している。
しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中の「美容」の文字が、一般によく知られた語であり、また、「美容鍼」の文字が、美容を目的とした鍼治療や施術を表す語として、「一本鍼(1本鍼)」の文字が、鍼治療の方法を表す語として多数使用されている実情があることからすれば、これに接する需要者は、「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」程の意味合いを容易に理解するものであり、該意味合いは、本願商標の指定商品及び指定役務との関係において、具体的な品質(質)を表すものと判断するのが相当である。
そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、本願商標においては、上記認定のとおり、「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」の意味合いを理解させる表示態様が、商品の品質又は役務の質(内容)として一般に認識されることをもって足りるというべきであり、請求人の提供する役務に関する施術方法に該当しないとか、必ず使用されているものであるとか、現実に提供されている役務であるか等は、商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。
なお、本願商標から理解される「美容を目的とした1本の刺鍼のみで症状を軽減する方法」の意味合いには、原査定で説示された「美容のための一本の鍼を1ヶ所に刺鍼」の意味合いをも含むものであるから、原査定における商標法第3条第1項第3号の認定、判断は、当審の判断と実質的に異なるものではない。
また、請求人の主張する「出願人が『美容一本鍼』の商標を掲げて実施しようとしている美容鍼は、美容鍼用に好適な一本の鍼を使用し、顔面や顎などの複数個所に順番に刺鍼を施して美容の効果を上げるものである。」との主張に照らしても、本願商標は、上記のとおり、需要者をして、自他商品、役務の識別標識としては認識し得ないものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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