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Trademark Appeal Case

スマイルマークと商標無効

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2017−890042(T2017−890042/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5810622号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、商願2013−99205に係る平成27年6月3日受付の手続補正書に基づく、商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3第1項に規定する商標登録出願として、同年9月3日に登録出願、第35類「織物及び寝具類(まくら・マットレスを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年11月19日に登録査定、同年12月4日に設定登録され、さらに、商標権の一部無効審判が請求され、平成30年1月15日に指定役務中「寝具類(まくら・マットレスを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を無効とする旨の審決の確定登録がされているものである。

第2 引用商標

請求人が、登録の無効の理由として引用する登録商標は、以下の4件(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第5438311号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成20年7月7日

設定登録日:平成23年9月16日

指定商品:第24類「織物,布製身の回り品,布団,布団カバー,まくらカバー,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗,カーテン」並びに第18類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

2 登録第5438318号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:平成21年5月22日

設定登録日:平成23年9月16日

指定商品:第12類,第14類,第18類,第21類,第28類,第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 登録第5455278号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲4のとおり

登録出願日:平成20年1月10日

設定登録日:平成23年12月9日

指定商品及び指定役務:第3類,第5類,第12類,第18類,第21類,第28類,第29類,第30類,第32類,第34類及び第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

4 登録第5671240号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:別掲5のとおり

登録出願日:平成25年10月10日

設定登録日:平成26年5月23日

指定商品:第14類,第18類,第21類,第28類及び第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出した。

1 本件商標の現状

(1)請求人は、本件商標に対して平成28年9月23日無効審判請求を行い、審決を経て本件商標は無効となっている。請求人が調べたところ、本件商標の指定役務中「織物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の権利についても、そもそも最初の被請求人の商標登録出願についての審査が不適切であり、本来その権利についても登録をさせるべきものでは無い。そのため、今回、さらにそれら商品についても無効審判を請求する。

(2)被請求人は、請求人関係の「故ハーベイ・ボール」や「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の著名性やボランティア活動の実績、エピソード、歴史等、上記の関係者がこれまで長年、多くの努力と投資によって作った「スマイル」の優れたイメージを悪用して、単に自己の金儲けのために本件商標を利用する目的で商標登録したにすぎない。

(3)請求人は、1963年末米国マサチューセッツ州ウスター市で「スマイリー・フェイス」(略称スマイル)を創作・著作した「故ハーベイ・ボール」の功績を記念し設立された「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の知的財産権の管理をするため設立された日本法人である。

上記財団では、1963年以来スマイルは自己の権利であると著作権等の権利も含めて主張している(甲5)。

しかし、日本では商標登録の制度上、先願主義(早い者勝ち)の考えがあり、被請求人等が上記「スマイリー・フェイス」を剽窃して、それに似せた図形を商標登録して利益を目的とした活動をしている事に財団は大変反感を持っている(甲6)。

2 答弁に対する弁駁(平成29年11月20日付け:以下「第1弁駁書」という場合がある。)

被請求人は、正当に商標権を尊重する考えがない。そのため、被請求人は、請求人の「ライセンス契約」や「共同事業」の提案を無視して連絡をしてこず、これまで10年近く「スマイル」商標を権利がないまま、請求人等の登録商標を侵害し続けている。本件商標の登録審査(第1回目の出願時)の過程でスマイル商標を使用している実績として、多数の他人の「スマイル商標」の権利侵害をしながら、被請求人が商品を製造し販売している状況を証拠として提出したものである。その当時から、被請求人は詐欺的行為を行っていた(甲2)。

その上、平成27年12月4日、本件商標の登録を得た後、その商標分類の「第35類」については、一般的にその内容が充分把握されていない現状に付け込んで、恰もファッション商品の大部分を占める「第14類」、「第18類」、「第24類」、「第25類」等の「全ての権利」を有している如きに振舞い、各小売業者に専用使用権等の商品製造・販売する権利があると主張して、それ等の商標分類の商品を製造・卸売させていた。結果、各小売に上記の事実を偽り販売させ続けていた(甲2)。

そして、同29年6月13日、本件商標が無効になった現在でも、被請求人自身の(1)通販サイト、(2)ZOZOTOWN、(3)楽天、(4)Amazon、(5)Yahoo!ショッピング等のネットサイトに掲載し続け「スマイル商品」を販売し続けている(甲9〜甲13)。

現在、被請求人は「スマイル」に関する唯一の登録商標である本件商標の上記分類に該当する商品は無効となっている。例えそうでないとしても、本件商標が「第35類」であると考えれば上記の行為は不法行為といえるものである。

なお、「子供玩具研究所」と「ジャクソンマティス」は、被請求人の管理下であり、同一の事業体である。被請求人の作成した上記事実を証明する資料を提出する(甲8)。

以上の行為は不正であり「第35類」の商標使用方法を逸脱させたものであった。その様な遵法精神が欠落している被請求人の「答弁書」での主張については、根拠がないものと考えざるを得ない。

3 答弁に対する弁駁(平成29年12月20日付け:以下「第2弁駁書」という場合がある。)

(1)知的財産高等裁判所での判決

本件商標の一部は、平成29年11月28日知的財産高等裁判所で被請求人の審決取消請求について「請求を棄却する」との判決が出されている(甲14)。

(2)請求人は改めて本件商標の第21類(清掃用具及び洗濯用具)及び第24類(織物)についてのみ、他人の引用商標との類似性を指摘する(甲15の1〜7)。これらの引用商標は、本件商標の登録日以前に商標登録の権利が確定した。

また、本件商標は、上記の引用商標と「類似群コード」が一致するため、本来、商標登録になるべきでは無かった。よって無効にされたい。

(3)被請求人は、「遵法精神」が全くなく、被請求人は、本件商標が元々「虚偽の証拠」で商標登録を得たとの請求人の主張に対して、全く反論せず、証拠も提出していない。請求人の全ての指摘と主張は「無効審判の理由にならない」との主張を繰り返すのみで、その被請求人の姿勢に同意できない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

1 理由1について

請求人は、根拠条文を記載していないが、請求人の主張内容を善解すれば、商標法第4条第1項第11号に該当することを理由として本件商標の無効を主張しているものと解される。請求人は、本件商標と引用商標とは、いずれも目と口を円で囲った図形で、いわゆる「スマイル・マーク」という点で共通し、違いは本件商標が手書きで、請求人が所有する登録商標は機械的な文字と円形である事だけにすぎないと主張しているが、本件商標と、引用商標の構成について、目とロを円で囲った点が共通するからといって、それのみを理由にこれらの商標が類似するとはいえない。笑顔をモチーフとした図形商標についてかかる基準で類否判断をしてしまうと、笑顔の表情をモチーフとした図形商標の類似範囲をいたずらに拡張しすぎてしまうからである。

実際に、特許庁においても、笑顔の表情をモチーフとした図形商標の類否判断は、単に目と口を円で囲った図形である点が共通する程度では類似とは判断しておらず、さらに、詳細な部分について子細に対比した上で、全体として受ける印象から総合的に判断して類否判断を行っている。

その一例として、引用商標と同様に目と口を円で囲った図形商標を商標の主要構成要素としている先行登録商標と、引用商標とを比較した表を提出する(乙5)。

なお、先行登録商標は、引用商標と指定商品及び/又は役務が類似し、かつ、引用商標の出願日よりも前に出願され、商標権者が請求人以外の者である。

乙第5号証に示すように、笑顔の表情をモチーフとした図形商標は、目と口を円で囲った図形である点が共通していたとしても、その図形商標から受ける印象は、目を表わす部位の形状、口を表わす曲線の湾曲の程度、目や口の位置、さらには線の太さ等、個々のパーツが微妙に異なるだけであっても全体としては大きく異なるという特徴を有している。これはもともと、人間の顔が個人を特定するための最も重要な指標であり、人はわずかな差異でも識別できるような能力が備わっているからである。喜怒哀楽などの表情を読み取る能力についても同様である。人間の顔をモチーフとした図形は、一般的に、実際の人間の顔よりも簡略化されて描かれ、識別の指標となるパーツの数が少なくなるのが通常であるから、その個々のパーツの相違が全体の印象、ひいては類否判断に与える影響はそれだけ大きくなる。先行登録商標と引用商標を比較すると、特許庁における笑顔の表情をモチーフにした図形商標の類否判断の実情を如実に示しているといえる。

そのような笑顔の表情をモチーフとした図形商標の特徴に鑑みれば、本件商標と引用商標とは、目を表わす部位の形状、口を表わす曲線の湾曲の程度、目や口の位置、さらには線の太さのすべてが異なり、需要者が受ける印象は大きく異なるものである。そのため請求人が主張するように、「手書きか否かが相違する程度では非類似とはいえず、目と口を円で囲った図形で、所謂「スマイル・マーク」と世間で称される図形であれば類似である」との主張は、笑顔をモチーフとした図形商標の審査実情と著しく乖離するものであり、妥当ではないことが明らかである。

2 理由2について

請求人は、甲第2号証を提出し、「他人の登録商標を使用した商品を証拠として提出しているが、そのような不法行為に基づいた不正証拠を提出して特許庁の審査を欺いて得た登録商標は認めるべきではない」と主張しているが、かかる理由は商標法で規定されている無効理由には該当しない。また、先述の類否判断に関する主張とも異なる。

なお、これは無効理由とは関係ない事項であるが、そもそも「他人の登録商標」が特定されておらず、その「他人の登録商標」との間で類否判断も行っていない状況で被請求人の不正行為を主張するのは、単なる請求人の感情論にすぎない。

3 理由3について

請求人は、「被請求人は、関係者が長年、多くの努力と投資によって作った『スマイル』の優れたイメージを悪用して、単に自己の金儲けのために商標登録したにすぎない」と主張しているが、かかる理由は商標法で規定されている無効理由として規定されていない。また、先述の類否判断に関する主張とも異なる。

したがって、請求人の主張は無効理由の主張としては根拠のないものであり、直ちに棄却されるべきである。

なお、後段の元弁理士による商標登録出願(甲3)や中国の冒認登録(甲4)に関する主張は本件商標の無効理由を裏付ける主張とは無関係であり、検討するに値しない。

4 理由4について

請求人は、「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」が著作権等の権利も含めて主張していること(甲5)、被請求人等が「スマイリー・フェイス」を剽窃してそれに似せた図形を商標登録して利益を目的とした活動をしていることに財団は反感を持っていること(甲6)、特許庁が無関係な第三者が商標登録し権利主張することを排除する方針を述べており、今回もその方針で判断を求めること(甲7)を主張しているが、これらの理由は商標法で規定されている無効理由として規定されていない。また、先述の類否判断に関する主張とも異なる。

したがって、請求人の主張は無効理由の主張としては根拠のないものであり、直ちに棄却されるべきである。

第5 当審の判断

請求人は、平成30年3月5日付けの回答書において、本件商標の無効審判の請求の理由を、商標法第8条であると回答していることから、以下、この点について判断する。

1 商標法第8条第1項該当性について

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、黒色の手書き風のややゆがんだ円輪郭線内を黄色に塗り、その上部に小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に両端上がりの弧線を描いてなるものである。

そして、その構成からは、円形の顔に目と口を描いたものと理解させ、人の笑顔であることを印象づけるものであるとしても、これより、単に「笑顔」の観念や「エガオ」の称呼を生じるとまではいい難く、特定の称呼や観念を生じるものではない。

(2)引用商標

ア 引用商標1は、別掲2のとおり、細い輪郭線で表した正円内の上部に比較的大きい黒塗りの正円を2つ並べ、その下に両端上がりの幅のある太い弧線を描いてなるものであり、その構成からは、正円の顔に大きい目と大きい口を描いたものを理解させ、人の笑顔であることを印象づけるものであるとしても、これより、単に「笑顔」の観念や「エガオ」の称呼を生じるとまではいい難く、特定の称呼や観念を生じるものではない。

イ 引用商標2及び引用商標3は、別掲3及び別掲4のとおり、細い輪郭線で表した正円内の上部に小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に両端上がりの弧線を描いてなるものである。

そして、その構成からは、正円の顔に目と口を描いたものと理解させ、人の笑顔であることを印象づけるものであるとしても、これより、単に「笑顔」の観念や「エガオ」の称呼を生じるとまではいい難く、特定の称呼や観念を生じるものではない。

ウ 引用商標4は、別掲5のとおり、細い輪郭線で表した正円内の上部に小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に両端上がりの弧線を描いてなるものであり、その下部に「SMILEY」の欧文字を横書きに配してなる。

そして、その図形部分と文字部分は上下に段を異にし、間隔を置いて配置されていることから、視覚上分離して認識されるものである。

また、文字部分は全体として「ニコニコした」程度の意味合いを認識させる、比較的親しまれた英語であり(参照 研究社英和中辞典、株式会社研究社)、その図形部分と文字部分は分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。

そうすると、引用商標4は、その構成中の図形部分を分離、抽出して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、本件商標と引用商標4との類否判断に際して、当該図形部分を要部として取り出して他の商標と比較することが許されるものである。

そして、引用商標4の要部である図形部分は、上記のように、その構成からは、円形の顔に目と口を描いたものと理解させ、人の笑顔であることを印象づけるものであるとしても、これより、単に「笑顔」の観念や「エガオ」の称呼を生じるとまではいい難く、特定の称呼や観念を生じるものではない。

(3)本件商標と引用商標との類否

ア 本件商標と引用商標1について

本件商標と引用商標1とは、次の点において顕著な差異を有する。

(ア)本件商標は、a 黒色の手書き風のややゆがんだ円輪郭線内を黄色に塗られた円形からなる。b 目と思しき図形は、それぞれが縦長楕円形で黒く描かれている。c 口と思しき図形は、手書き風に描かれた左側がやや上がった左右非対称な円弧状の形状からなり、その図形の両側の端には短い線が配され、口を閉じたような印象を受ける。

(イ)これに対し、引用商標1は、a 細い輪郭線で表した正円からなり、輪郭内は白抜きである。b 目と思しき図形は、それぞれが大きな黒色の正円で描かれ、大きい目を開いているような印象を受ける。c 口と思しき図形は、顔の輪郭を表す正円の下半分の曲線に添うように、幅の太い線で左右対象な円弧の形状からなり、大きな口の印象を受ける。

(ウ)してみると、両商標は、外観上、顔の輪郭線内の色彩の有無及び顔の輪郭を表す輪郭線において、手書き風のものとそうでないものとは、明確な差異があり、また、目と思しき図形においても、小さい黒塗りの縦長楕円形と大きい黒塗りの正円の差異があり、さらに、口と思しき図形においても、左右非対称の両端上がりの弧線とその両端の短い線と左右対象の両端上がりの幅のある太い弧線の表し方において、差異を有するものであるから、その全体から受ける印象が大きく異なるものであり、これに接する看者はそれぞれ異なったものとして記憶し認識するとみるのが相当であるから、両者を時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものというべきである。

また、本件商標と引用商標1からは、特定の称呼及び観念を生ずるものとは認められないから、これらについては比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標1は、称呼及び観念において比較できないとしても、図形商標の類否を判断する上で最も重要な外観において、明らかに異なるものであるから、両者は非類似の商標である。

イ 本件商標と引用商標2ないし引用商標4について

本件商標と引用商標2ないし引用商標4の図形部分の各構成要素は、子細に対比すれば、本件商標は手書き風のややゆがんだ円輪郭線内が黄色に塗られており、引用商標2ないし引用商標4の図形部分とは正円内が白抜きであるから、色彩の有無の差異があり、また、口と思しき図形の長さ、太さ及び曲率等においてそれぞれ微妙に差異を有するため、表される表情は微妙に差異があるものの、これらはいずれも、互いに円輪郭、円輪郭内部に配された2つの小さい黒塗りの縦長楕円形及びその下方に配した両端上がりの弧線を基本的な構成要素とし、これらによって円形の顔に目と口を有する人の笑顔を、簡潔かつ、象徴的に描写したものと看取される点において外観の印象を共通にするから、本件商標と引用商標2ないし引用商標4の図形部分は、見る者に似通った印象を与えるものであり、本件商標と引用商標2ないし引用商標4の図形部分とは、顔の輪郭、目及び口の形において相紛らわしく、外観において類似するものといえる。

また、本件商標と引用商標2ないし引用商標4の図形部分からは、上記(1)及び(2)のとおり、特定の称呼及び観念を生じないから、称呼及び観念において比較できない。

したがって、本件商標と引用商標2ないし引用商標4の図形部分との類否は、その図形部分における称呼及び観念は比較できないとしても、図形商標の類否を判断する上で最も重要な外観において類似するものであるから、両者は、類似する商標というべきである。

また、本件商標の指定役務「織物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標2ないし引用商標4の指定商品とは、役務の提供と商品の販売が同一事業者によって行われることはなく、取扱商品に係る小売役務が提供される場所と取扱商品が販売される場所とは一致せず、需要者(顧客)の範囲も異なるから、両者の商品及び役務は、互いに非類似の商品及び役務といわなければならない。

してみれば、本件商標は、引用商標2ないし引用商標4とは、類似の商標というのが相当であるが、本件商標の指定役務と引用商標2ないし引用商標4の指定商品は、非類似の商品及び役務である。

ウ 小括

以上のとおりであるから、たとえ、引用商標が先に登録出願されたとしても、本件商標と引用商標1は、非類似の商標であり、本件商標と引用商標2ないし引用商標4は、類似の商標ではあるものの、本件商標の指定役務と引用商標2ないし引用商標4の指定商品は、非類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。

2 請求人のその他の主張について

請求人は、上記以外にも被請求人の本件商標の不法行為や不正証拠等について主張しているが、その根拠や内容が必ずしも明確でなく、違法適用条文も明らかにしていない。

また、請求人提出の証拠からは、被請求人が、不正の利益を得る目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできないし、本件商標が不法行為や不正な証拠をもって、本件商標の登録を受けたものであると認めるに足りる証拠も見いだせない。

よって、請求人の主張は、採用することができない。

3 その他

請求人は、第2弁駁書において、引用商標を5件追加しているが、平成30年3月8日付けの回答書において、これらの5件の引用商標については、取り下げる旨の回答をしている。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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