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Trademark Appeal Case

周知商標と付加語の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900068(T2018−900068/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6006826号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6006826号商標(以下「本件商標」という。)は、「GRAMERCY CREPE&WRAPS」の欧文字と「グラマシークレープ&ラップス」の片仮名を二段に併記してなり、平成29年4月20日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年11月24日に登録査定され、同年12月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

(1)登録第5912910号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GRAMERCY」の欧文字と「グラマシー」の片仮名を二段に併記してなり、平成28年5月23日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同29年1月13日に設定登録されたものである。

(2)登録第5011514号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GRAMERCY」の欧文字と「グラマシー」の片仮名を二段に併記してなり、平成18年2月20日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年12月15日に設定登録され、その後、同28年12月20日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(3)登録第4440733号商標(以下「引用商標3」という。)は、「GRAMERCY NEWYORK」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年5月21日に登録出願、第30類「アメリカ産の菓子及びパン」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載の指定商品及び第42類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同12年12月15日に設定登録され、その後、同22年12月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するので、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、商標登録出願の日前の商標登録出願に係る引用商標1に類似する商標であって、引用商標1に係る指定役務について使用をするものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標2及び引用商標3は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標2及び引用商標3と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。

4 当審の判断

(1)申立人の提出する証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 本件商標構成中の「WRAPS」に通じる「wrap」の語は、「包む」「覆うもの」の意味の他に「トルティーヤという薄い皮で野菜や肉、サラダを巻いて包んだサンドイッチ」の意味も有するものである(甲5の1)。

イ 本件商標及び引用各商標構成中の「GRAMERCY」の語は、英語の「thanks(感謝する)の古表記」である(甲6の1、甲6の2)。

ウ 申立人は、洋菓子の製造・販売を行っており、「グラマシーニューヨーク」と称する洋菓子店を、2000年3月にジェイアール名古屋タカシマヤに出店した。以降、全国の主要都市に全16の店舗を有しており、これらは、高島屋、東急百貨店、松坂屋、阪急百貨店、大丸などの有名百貨店に出店している(甲7の1,甲7の2)。また、自己のホームページにおいて、オンラインショップも備えている(甲11)。

エ 申立人は、「GRAMERCY」の文字を太字で、かつ、括弧で強調して「[GRAMERCY] NEWYORK」と表した商標及び「[GRAMERCY]」の文字と「NEWYORK」の文字を二段に併記した商標をホームページ、店舗、商品の包装等に使用していることが見受けられる(甲8の1〜甲8の5)。

オ 申立人のホームページにおいて、雑誌、テレビ番組、インターネット記事に「GRAMERCY NEWYORKの○○をご紹介頂きました。」との記載がある(甲9の1)。

カ インターネットにおいて、「グラマシーニューヨーク」のチーズケーキ等を紹介している記事がある(甲9の2、甲9の3)。

(2)本件商標について

本件商標は、「GRAMERCY CREPE&WRAPS」の欧文字と「グラマシークレープ&ラップス」の片仮名を二段に併記してなるところ、その構成文字に相応して、「グラマシークレープアンドラップス」の称呼が生ずるものであり、当該称呼は、やや冗長ではあるものの、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標構成中の「CREPE」及び「クレープ」の語は、「小麦粉・牛乳・卵などを混ぜ、鉄板などでごく薄い円形に焼いたもの。ジャム・チーズ・ハムなどを挟んで食べる。」(広辞苑第六版)の意味で親しまれた語といえるものの、本件商標構成中の「WRAPS」及び「ラップス」の語については、「wrap」の語が、「包む」「覆うもの」の意味の他に「トルティーヤという薄い皮で野菜や肉、サラダを巻いて包んだサンドイッチ」の意味をも有する(甲5の1)ものであるとしても、「WRAPS」及び「ラップス」の語が、本件商標に係る指定役務の分野において、提供する飲食物の名称として普通に使用されているといい得る証拠の提出はなく、また、取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠も見いだせない。

まして、「CREPE&WRAPS」及び「クレープ&ラップス」のような表記方法で、本件商標に係る指定役務の分野において、提供する飲食物の名称として普通に使用されているといい得る証拠の提出もなく、また、取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠も見いだせない。

また、「GRAMERCY」の語が、英語の「thanks(感謝する)の古表記」である(甲6の1、甲6の2)としても、我が国において、親しまれた語とはいい難く、むしろ、特定の意味合いを生ずることのない一種の造語として認識されるものというべきである。

そうすると、本件商標は、商標全体として特定の観念を生ずるとはいえないものであって、かつ、「CREPE&WRAPS」及び「クレープ&ラップス」が、本件商標の指定役務との関係において、自他役務識別標識としての機能を有さないとはいい難いものであり、その他に「GRAMERCY」及び「グラマシー」の文字部分が、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって、「グラマシークレープアンドラップス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとして認識、把握されるというのが相当である。

(3)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 引用商標1について

引用商標1は、「GRAMERCY」の欧文字と「グラマシー」の片仮名を二段に併記してなるところ、その構成文字に相応して、「グラマシー」の称呼が生ずるものである。

そして、「GRAMERCY」の語が、英語の「thanks(感謝する)の古表記」である(甲6の1、甲6の2)としても、我が国において、親しまれた語とはいい難く、むしろ、特定の意味合いを生ずることのない一種の造語として認識されるものというべきである。

そうすると、引用商標1からは、「グラマシー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものというのが相当である。

イ 本件商標と引用商標1との類否について

本件商標と引用商標1との類否について検討すると、外観については、「CREPE&WRAPS」及び「クレープ&ラップス」の文字部分の有無という顕著な差異を有することから、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、称呼については、本件商標から生じる「グラマシークレープアンドラップス」の称呼と引用商標1から生じる「グラマシー」の称呼とは、構成音数の差異、「クレープアンドラップス」の音の有無の差異等から、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

さらに、観念においては、両者は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、明らかに異なるものであり、これらを総合して判断すれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。

ウ 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標1とは、非類似の商標であり、他に、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標2及び引用商標3の周知・著名性について

申立人は、引用商標2及び引用商標3は、申立人の商標として、広く一般に知られている旨主張している。

申立人の提出した証拠及び主張によれば、申立人は、洋菓子の製造・販売を行っており、「グラマシーニューヨーク」と称する洋菓子店を、2000年3月にジェイアール名古屋タカシマヤに出店したこと、全国の主要都市における高島屋、東急百貨店、松坂屋、阪急百貨店、大丸などの有名百貨店に全16の「GRAMERCY NEWYORK」の店舗を有していること(甲7の1、甲7の2)、自己のホームページにおいて、「GRAMERCY NEWYORK」のオンラインショップを備えていること(甲11)が確認できる。

そして、申立人が、これらの店舗において、「GRAMERCY」の文字を太字で、かつ、括弧で強調して「[GRAMERCY] NEWYORK」と表した商標及び「[GRAMERCY]」の文字と「NEWYORK」の文字を二段に併記した商標を使用していることが認められる(甲8の1〜甲8の5)。

一方、雑誌、テレビ番組、インターネット記事に、「GRAMERCY NEWYORK」が取り上げられたことはうかがえるものの、甲第9号証の1に挙げられた雑誌、テレビ番組、インターネット記事において、どのように紹介されたのかは不明であり、甲第9号証の2及び甲第9号証の3は、「GRAMERCY NEWYORK(グラマシーニューヨーク)」のチーズケーキ等を紹介している記事ではあるものの、申立人の取扱いに係る商品の売上高、販売シェア等の販売実績を数量的に示す証拠は何ら提出されていない。

また、その他に申立人の取扱いに係る商品の売上高、販売シェア等の販売実績や引用商標2及び引用商標3の周知・著名性を客観的に把握することができる証拠も見いだせない。

以上を総合的に判断すると、「GRAMERCY NEWYORK」「グラマシーニューヨーク」については、一定程度の周知性はうかがえるとしても、「GRAMERCY」「グラマシー」の文字のみが、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。

イ 本件商標と引用商標2及び引用商標3との類似性の程度について

本件商標は、「GRAMERCY CREPE&WRAPS」の欧文字と「グラマシークレープ&ラップス」の片仮名を二段に併記してなるところ、前記(2)のとおり、その構成文字に相応して、「グラマシークレープアンドラップス」の称呼が生ずるものであり、特定の観念を生じないものとして認識、把握されるものである。

そして、引用商標2は、「GRAMERCY」の欧文字と「グラマシー」の片仮名を二段に併記してなるところ、前記(3)アにおいて検討したと同様に、その構成文字に相応して、「グラマシー」の称呼が生ずるものであり、特定の観念は生じないものというのが相当である。

以上を踏まえ、本件商標と引用商標2とを比較すると、前記(3)イにおいて検討したと同様に、両者は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、明らかに異なるものであり、これらを総合して判断すれば、非類似の商標というのが相当である。

また、引用商標3は、「GRAMERCY NEWYORK」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字全体に相応して、「グラマシーニューヨーク」の称呼が生ずるものである。

そして、「GRAMERCY」の文字が、英語の「thanks(感謝する)の古表記」である(甲6の1、甲6の2)としても、我が国において、親しまれた語とはいい難いものであり、「NEWYORK」の文字が「アメリカ合衆国の都市名・州名」であるとしても、その構成全体からは、特定の観念は生じないものというべきであり、仮に、「GRAMERCY」の文字部分に着目したとしても、当該文字部分からは、「グラマシー」の称呼が生ずるものであり、特定の観念は生じないものというのが相当である。

以上を踏まえ、本件商標と引用商標3とを比較すると、観念において比較することができないとしても、両者の外観は明らかに異なり、称呼においては容易に聴別できるものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。

してみれば、本件商標と引用商標2及び引用商標3との類似性の程度は低いものといわざるを得ない。

ウ 本件指定役務と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について

本件指定役務である「飲食物の提供」と申立人の取扱いに係る商品「菓子」とは、役務の提供者と商品の製造・販売者、役務の提供の場所と商品の販売場所が共通する場合も少なからず見受けられ、共に一般的な需要者を対象とするものといい得ることから、本件指定役務と申立人の取扱いに係る商品の関連性は高く、需要者が共通する場合も少なからずあるとみるのが相当である。

エ 出所の混同のおそれについて

上記アないしウのとおり、本件指定役務と申立人の取扱いに係る商品の関連性が高く、その需要者の範囲を共通にするものであるとしても、引用商標3については、一定程度の周知性はうかがえるものの、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとまではいい難く、引用商標2については、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであって、かつ、本件商標は、引用商標2及び引用商標3とは、非類似の商標であることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標の「GRAMERCY」の文字部分のみに着目して、申立人に係る引用商標2及び引用商標3を連想又は想起するものということはできない。

そうすると、本件商標は、商標権者がこれを本件指定役務について使用しても、取引者、需要者は、引用商標2及び引用商標3を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

オ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

引用商標2及び引用商標3は、上記(4)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできず、本件商標は、上記(4)において検討したとおり、引用商標2及び引用商標3とは、非類似の商標である。

そして、商標権者が、インスタグラム、ツイッターにおいて、「グラマシーの日」、「gramercy day」のように使用していること(甲14の1、甲14の2)、商標権者の店舗の紹介において、「“GRAMERCY”とは『手作りのおいしさ』『カッコ良さ』『スピーディーなサービス』をモットーにした、スイーツクレープから食事系ラップサンドまで幅広いメニューを取り揃えるNYスタイルカフェのお店です。」と記載されていること(甲13)をもって、直ちに、商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用しているとは認め難く、その他、商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用していると認めるに足りる証拠及び事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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