Trademark Appeal Case
称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900114(T2017−900114/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5910587号商標(以下「本件商標」という。)は、「Swagway」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年12月2日に登録出願、第12類「電動立ち乗り二輪車,自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにそれらの部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,船舶並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同28年11月18日に登録査定され、同29年1月6日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4605474号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 SEGWAY(標準文字)
指定商品 第12類「自動車並びに部品及び附属品,二輪自動車・自転車・スクーター並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車椅子」
登録出願日 平成13年10月3日
優先権主張日 2001年9月11日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成14年9月20日
(2)登録第4712561号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 SEGWAY(標準文字)
指定商品及び指定役務 第28類、第35類、第36類、第37類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成14年5月29日
優先権主張日 2001年11月30日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成15年9月26日
(3)登録第4812130号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 SEGWAY(標準文字)
指定商品 第9類、第16類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成14年5月29日
優先権主張日 2001年11月30日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成16年10月22日
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第77号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知性について
引用商標は、申立人が日本及び世界において「電動立ち乗り二輪車」等について使用している著名商標である(甲5〜甲75)。
申立人は、アメリカの発明家ディーン・ケーメンを中心に開発された、電動立ち乗り二輪車を発売している企業である。
申立人の販売に係る電動立ち乗り二輪車は、「SEGWAY」「Segway」(セグウェイ)の商標で2001年に米国で発売されて以来、日本及び世界中で販売されている次世代の乗り物である。セグウェイは、アクセルやブレーキの操作なしに重心移動で動きを制御するもので、これは内部センサーが重心の変化を感知し、コンピュータが車体を制御するものである。
申立人の販売に係る電動立ち乗り二輪車は、2001年の発売以来、大変な話題を博し、日本でも、2005年11月16日の日米首脳会談の際、当時のブッシュ米大統領が日本の小泉首相(当時)にプレゼントし、翌12月に首相官邸をセグウェイで走る首相の様子は大きく報道され多くの人が目にすることになった(甲5)。
その後、2007年には東京国際展示場にて警備の実証実験が行われ、2008年には埼玉県越谷市のショッピングセンター・イオンレイクタウンで、成田国際空港第一・第二旅客ターミナルで、ガイドや警備員の移動ツールとしても使用されるなど大型施設での導入が進んでいる。2011年時点においては、諸外国での実績と同様に、空港、コンベンションセンター、大学、駐車場など多くの施設で導入されるまでになってきており、これらのことは多くのメディアにも取り上げられている(甲7〜甲75)。
また、「Segway」及び「セグウェイ」の文字は、英和・和英辞書においても、それが申立人の使用にかかる「商標」である旨の記載と共に、使用例が多く紹介されている(甲6)。
上述したように、申立人の使用にかかる商標「SEGWAY/Segway」は、その先駆的かつ革新的な商品と相まって、今日では、日本及び世界において著名となるに至っている。
以上より、引用商標は、本件商標の出願時には米国及び日本を含めた世界各国において申立人の提供する商品を表示するものとして著名になっていたものである。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標は「Swagway」の欧文字からなり、その文字に相応して「スワグウェイ」の称呼が生じる。一方、引用商標の「SEGWAY」は、その文字に相応して「セグウェイ」の称呼が生じる。
ここで、本件商標は、引用商標と語頭の「S」及び語尾部分の4文字「gway」を共通にしている。そして語尾の3文字「way」は、英語で「道、道路」、「方角、方向」を意味するものである。
本件商標と引用商標の称呼を比較すると、本件商標は、上述のとおり「スワグウェイ」の称呼が生じるが、「スワ」の部分は第一音の「ス」が明瞭に聴取されるのが自然であるところ、「ワ」は半母音「W」と母音「a」の綴音で響きの弱い音であるのに対して、その後に続く「グウェイ」の音が引用商標と同一であることから、全体を一連に一気に発音した場合に、本件商標の語頭音が引用商標と同じサ行であることと相まって、全体として聞き誤る程に近似した印象を受ける。特に両商標の語頭音の「セ」と「ス」の音は、50音中の同行の近似音であり、しかも、とかく発音において明確を欠く中間における介在音であることから語韻語調が似ており、全体として称呼上類似するものである。
次に、本件商標と引用商標は、視覚上注意が向けられる語頭と語尾の5文字がそれぞれ、「S」、「gway」/「GWAY」と同一のアルファベットからなるため、全体として見た場合、相紛らわしく、外観上も類似する商標である。
以上より、本件商標は、引用商標に称呼・外観上類似するものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記のとおり引用商標に類似し、その指定商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、申立人の使用にかかる「電動立ち乗り二輪車」の出所を表示するものとして著名な引用商標と類似し、その商品と同一又は類似の商品に使用するものである。特に、本件商標の指定商品中「電動立ち乗り二輪車」は、引用商標の指定商品と同一・類似の関係にある。また、上述のとおり、本件商標の前記指定商品「電動立ち乗り二輪車」は、まさに申立人の提供する商品の中でも特徴的かつ著名といえるものである。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
申立人の著名な引用商標と相紛らわしい本件商標が、その指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が申立人の業務にかかわるものであるかのごとく、あるいは、同人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがあることが極めて高いといわざるを得ない。特に、本件商標に係る指定商品は、「電動立ち乗り二輪車」をはじめとする各種乗り物であるところ、係る商品は、広く「乗り物」及び乗り物に関連した商品・役務を指定している引用商標の第12類、第28類、第35類ないし第37類、第39類及び第41類の指定商品・役務と類似、或いは密接関連する技術・商品分野に係るものである。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合には著名商標である引用商標との間に出所の混同が生じるおそれが極めて高いといわざるを得ない。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、本件商標と引用商標は、視覚上注意が向けられる語頭と語尾の5文字がそれぞれ、「S」、「gway」/「GWAY」と同一のアルファベットから成るため、全体として見た場合、相紛らわしく、外観上も類似する。
また、本件商標の実際の使用態様を見ると、「電動立ち乗り二輪車」に本件商標「SWAGWAY」ないし「Swagway」が付され使用されている(甲76、甲77)。そして、本件商標が使用されている商品の中で、立ち乗りを行う際の足を置く部分と二輪車が結合された部分の形状は、申立人の著名な商品と近似している。
そして、引用商標は、本件商標の出願時においては、すでに需要者・取引者において極めて広く知られていたものである。
したがって、本件商標の商標権者が、その出願時に、申立人の著名な引用商標の存在を知らなかったとは到底言い難いものであり、これらの存在を知らずに本件商標を出願したとは考えられない。また、上述のとおり、世界中で広く知られている他、日本国内でも全国的に知られている引用商標と同一又は類似の商標について出願・登録された本件商標は、引用商標の出所表示機能を希釈化させるものである。
さらに、引用商標が著名であり、申立人の造語であることによる高い識別性及び信用が化体していること、また、本件商標が使用されている商品及びその使用態様が引用商標のそれと酷似していることは、本件商標について、不正の利益を得る等、不正の目的が存する可能性があると言わざるを得ない。このような商標の登録を認めることは、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するという商標法の目的に合致しないことが明らかである。
以上のことから、本件商標は他人の著名な商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第7号について
申立人の著名な引用商標と同一・類似の本件商標を、同企業と何ら関係のない他人が自己の商品について商標として採択し使用することは、本来みずからの営業努力によって得るべき業務上の信用の維持を図る商標法の目的に反し、該名称の著名性にフリーライドするものであり、また、著名商標「SEGWAY」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるといわざるを得ない。特に、本件商標の使用状況を検討すると、本件商標は、上記(5)で述べたとおり、著名商標「SEGWAY」と全体として非常に近似した使用態様にて使用されており、さらに、本件商標が提供する商品を検討すると(甲76、甲77)、申立人の商品と酷似しており、模倣を推認させる使用態様といえる。
以上の具体的事情に鑑みても、本件商標には、著名商標にただ乗りする意図が容易に見受けられるものと思料する。
したがって、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、「SEGWAY」という名称(商品名)の「電動立ち乗り二輪車」(以下「申立人商品」とい。)を、米国で2002年頃から販売を開始した(甲5)。
(イ)申立人は、我が国において販売代理店を通じ2006年(平成18年)10月から販売を開始したことが認められ、現在まで継続して販売していることがうかがえる(甲5、甲72 ほか)。
(ウ)その後、申立人商品は、我が国において「SEGWAY」「セグウェイ」として、その新モデルの紹介記事や申立人商品の活用記事などが本件商標の登録出願の日(平成27年12月2日)及び登録査定日(平成28年11月18日)はもとより、平成29年6月まで継続して新聞やインターネットに多数掲載され、その中には記事とともに申立人商品が掲載されているものが少なくない(甲5〜甲9、甲11〜甲17 ほか)。
(エ)なお、申立人が引用商標を「電動立ち乗り二輪車」以外の商品及び役務について使用していると認め得る証左は見いだせない。
イ 上記アの事実によれば、申立人商品の名称「SEGWAY」(セグウェイ)は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、申立人の業務に係る商品(電動立ち乗り二輪車)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そうとすれば、「SEGWAY」の文字からなる、引用商標1は、その指定商品に含まれる申立人の業務に係る商品(電動立ち乗り二輪車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということができる。
しかしながら、「SEGWAY」の文字からなる、引用商標2及び引用商標3は、その指定商品及び指定役務についての使用が確認できない。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標は「Swagway」の文字からなり、その文字に相応して「スワグウェイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は「SEGWAY」の文字からなり、その文字に相応して「セグウェイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、まず外観において両者は、語頭部の「S」の文字及び語尾部の「gway」と「GWAY」の綴り字を同じにするものの、2文字目(及び3文字目)に「wa」と「E」の差異を有し、その差異が7文字又は6文字という比較的短い文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「スワグウェイ」と引用商標から生じる「セグウェイ」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭部において「スワ」と「セ」の差異を有し、その差異が5音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
なお、申立人は、両商標の共通点を挙げるなどし、本件商標と引用商標は称呼・外観上類似するものである旨主張しているが、両商標は上記のとおり外観、称呼及び観念のいずれの点からみても非類似の商標と判断するのが相当であるから、かかる主張は採用できない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
上記(2)のとおり、本件商標は引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
してみれば、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品が同一又は類似であるとしても、両商標は非類似の商標である。
また、本件商標の指定商品と引用商標2及び3の指定商品及び指定役務は非類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、上記(1)のとおり、引用商標1が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることは認められるとしても、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。
また、引用商標2及び引用商標3は、その指定商品及び指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものといえない。
(5)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について
上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり、上記(4)のとおり本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものでもない。
そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標は、引用商標の信用、名声に便乗するものとはいえないし、かつ、引用商標の顧客吸引力を希釈化させ、その信用、名声を毀損するなどの不正の目的をもって、使用するものというべき証左は見出せない。
そうとすれば、上記(1)のとおり、引用商標1が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標は、引用商標とは類似しない別異の商標であって、不正の目的をもって使用をするものと認めることもできない。
さらに、本件商標は、その構成態様に照らし、きょう激、卑わい若しくは差別的な文字又は図形からなるものでないことは明らかであるばかりでなく、公正な競争秩序を乱し、国際信義に反し、あるいは商標制度の趣旨に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものとはいえない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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