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Trademark Appeal Case

周知商標と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900366(T2017−900366/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5980625号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5980625号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年12月2日に登録出願,第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第25類,第28類,第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同29年8月3日に登録査定,同年9月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1255080号商標(以下「引用商標」という。)は,「STRIPE」の欧文字を横書きしてなり,2015年(平成27年)1月14日に国際商標登録出願,第36類「Financial services, namely, online credit card payment and transaction processing and transmission of bills and payments thereof; financial services, namely, electronic funds transfer via electronic communications networks; clearing and reconciling financial transactions via electronic communications networks.」を指定役務として,平成28年1月22日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由

申立人は,本件商標はその指定商品及び指定役務中,第9類,第35類及び第41類の商品及び役務(別掲2のとおり)についての登録は商標法4条1項15号に該当するから,同法43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲1〜17(枝番号を含む。なお,枝番号の全てを示すときは,枝番号を省略する。)を提出した。

(1)引用商標の世界における周知・著名性について

引用商標は,2010年(平成22年)に,ジョン・コリソンとパトリック・コリソンの兄弟が共同で設立した申立人の名称であり,また,申立人が提供する,個人や企業がインターネットで商品取引を行うためのツールの名称である(甲3,4)。

「STRIPE」は,ウェブサイトやモバイルアプリに簡単なコードを組み込むことでクレジットカードなどによる決済サービスを追加可能にし,また,「STRIPE」は,年会費の支払や月々の会費の支払のような支払請求周期にも対応できるし,割引クーポンや複数の料金設定もでき,ほとんどのクレジットカードに対応していて,日本円を含む139種類の通貨に対応している。

「STRIPE」はプログラミングが苦手な人でも簡単に始めることができ,銀行振込や代引きなどで顧客の支払トラブルに煩わされることがなく,入金が週に1度行われるのでクレジットカード払いのようにキャッシュの入金を翌月末まで待たされるといったことがないことについても評価が高い。しかも,従来のクレジットカード会社による厳しい審査が一切存在しないので,中小企業だけでなくスタートアップの企業や個人間取引においても広がりをみせている(甲5)。

現在「STRIPE」は,年間数十億ドルもの支払を処理している。出来たてのスタートアップ企業からフォーチュン500社企業まで,その数は数千に及んでいる。その顔ぶれは,米国のソーシャルネットワークサービスを提供する「Twitter」,クリエイティブなプロジェクトを支援するための,クラウドファウンディングサービス「Kickstarter」,誰でも簡単に,優れたクオリティのストアを作成できるEコマースのプラットフォーム「Shopify」,クラウドベースの顧客管理や営業支援を世界10万社以上に提供している「Salesforce」,自動車運輸モバイルアプリケーションの開発,マーケティング,運営を行っている「Lyft」を始め,世界中の多数のWebモバイル関連企業が「STRIPE」を採用している(甲3)。

2015年の申立人の企業価値は50億ドルと算定されていたが,2016年(平成28年)にはその約2倍の92億ドルと算定され,急速に成長していることがわかる。申立人は,売上を公開していないが,2015年(平成27年)の決済総額が200億ドル(約2.2兆円)に達したと見込まれており,決済金額の2.9%及び30セントを決済ごとに手数料として得ていることから,2015年(平成27年)の売上は4億5,000万ドルと推定される(甲6)。

上記述べたように「STRIPE」は,その使い勝手の良さから,爆発的に利用者を増やし,「STRIPE」の知名度と企業価値を増大させてきた。このことは,申立人や申立人の創設者個人が,各種メディアのランキングなどに選出されていることからもうかがえる(甲7)。

また,申立人は,引用商標又は「STRIPE」の文字からなる商標を,世界各国・地域において,第36類だけでなく,第9類,第35類,第38類,第41類,第42類,第45類の商品・役務についても所有している(甲8)。

上記述べたとおり,「STRIPE」は申立人の商標として米国を中心に世界的に著名であるということができる。

(2)引用商標の日本における周知・著名性について

日本においては,2014年(平成26年)6月に日本法人のストライプジャパン株式会社が設立され,国内最大のクレジットカード会社である三井住友カード株式会社が業務提携して出資している。航空業界大手の全日本空輸株式会社,電子商取引プラットフォームの「BUYMA」,イベント管理プラットフォームの「Peatix」,株式会社KUFUの労務管理クラウドサービス「SmartHR」などが「STRIPE」を採用している。

申立人は,2015年(平成27年)5月から「STRIPE」の招待制ベータ版を提供し,2016年(平成28年)10月4日に正式にサービスを開始した。ベータ版では日本円しか扱えなかったが,正式なサービス開始により,130通貨以上での決済が可能になった(甲9)。

申立人のサービスの正式開始時には,CEOのパトリック・コリソン氏が来日,起業家や開発者を集めて,プレゼンテーションを行ったり,「STRIPE」を採用している企業が参加してのパネルディスカッションを行うなどのイベントを開催し,多くのメディア関係者が訪れた(甲10)。この日本における「STRIPE」の正式提供開始のニュースは,「ASCII」,「INTERNET WATCH」,「マイライフニュース」,「TechCrunch Japan」,「ITメディア」,「マイナビニュース」,「ITpro」,「NIKKEI ASIAN REVIEW」,「techinasia」などのニュースサイトやブログなど,多数のメディアを介して配信された。また,日本経済新聞においては,インターネット上だけでなく紙面にも掲載して報じており,申立人の「STRIPE」が,日本においても高い注目を得ていることがわかる(甲11)。

上記のほか,日経フィンテックのニューズレター(2017年10月号)において,ANAホールディングスの「STRIPE」導入が紹介されたり(甲12),2017年(平成29年)3月,テレビ東京の「モーニングサテライト」では,アメリカのトランプ大統領の政策に反発する企業として取材を受け,その様子が放映されていて(甲13),「STRIPE」は,インターネット上の電子メディアだけにとどまらず,新聞やテレビなどを通じて多くの人々に接している。

2017年(平成29年)8月31日からは「Apple Pay」にも対応し,世界で8,600万人以上のApple Payユーザーも利用可能となり,新たな市場を拡大している(甲14)。

「Google」で検索してみると,「STRIPE」の導入のしやすさや,使い勝手のよさを高く評価する記事が多数見られる(甲15)。

上記事実により,引用商標は,申立人の名称及び提供する役務を表すものとして,日本においても,著名な商標であるというべきである。

(3)本件商標と引用商標の対比

本件商標は,上記1のとおり,「STRIPE」の欧文字からなり,その文字には,該文字より若干太めの下線が施されている態様の商標である。したがって,本件商標からは「ストライプ」の称呼が生じる。

「STRIPE」は,「縞」を意味する語(甲16)であり,一般的に認識されている平易な英語であるから,本件商標からは「縞」の観念が生じる。

引用商標は,「STRIPE」の欧文字を普通の書体で表してなるものであり,その構成から「ストライプ」の称呼が生じ,「縞」の観念が生じる。

両商標を比較すると,下線の存在の有無の相違はあるものの,両商標とも「STRIPE」と容易に認識できるものであるから,外観において類似し,称呼及び観念において同一であるといえる。

本件商標の所有者は,主としてアパレル関連の商品を扱っているが,電子商取引サイトを利用しての商品販売やレンタルサービスなどの事業を行い,電子商取引での顧客層の拡大を図っている(甲17)。

そうすると,申立人とは無関係の者が,電子商取引を行うためのツール及び決済サービスの名称として需要者・取引者の間に広く認識されている引用商標と,外観において類似し,称呼及び観念を共通にする本件商標を,申立てに係る商品及び役務に使用すれば,それらが申立人と何らかの関係があるものであると誤認・混同するおそれがある。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標が,申立てに係る商品及び役務に使用された場合,その商品及び役務の需要者が,申立人と何らかの関係があるものであると誤認・混同するおそれがある。したがって,本件商標の指定商品及び指定役務中,申立てに係る商品及び役務は,商標法4条1項15号に違反して登録されたものであるから,同法43条の3第2項の規定により,その登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)引用商標の著名性について

証拠(本件商標の登録査定前のものに限る。)及び申立人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。

ア 「STRIPE」は,2010年(平成22年)に,ジョン・コリソンとパトリック・コリソンの兄弟が共同で設立した申立人の名称の略称であり,また,申立人が提供する,個人や企業がインターネットで商品取引を行うためのツール及び決済サービスの名称である(甲3〜6,7の10)。

イ 「Forbes JAPAN」のウェブサイト(甲6,7の10)において,「20代兄弟が生んだ1兆円企業 モバイル決済『ストライプ』の躍進」(平成28年11月29日)及び「クラウド業界の優良企業リスト『クラウド100』1位にストライプ」(平成29年7月15日)」の見出しの下,申立人会社及び決済サービス「STRIPE」が紹介された。

ウ ウェブ版決済サービス「Stripe」は,日本においては,招待制のベータ版のテスト運用が2015年(平成27年)5月から開始され,その後,2016年(平成28年)10月4日に正式に決済サービスの取扱いを開始したことがインターネット上のニュースなどで紹介された(甲9の1・2,10の1・2,11の1〜7,11の12〜14)。

エ インターネット検索エンジン「Google」での検索では,「STRIPE」の導入のしやすさや,使い勝手のよさを評価する記事がある(甲15の1〜6・10)が,導入会社による紹介や個人のブログである。

オ 以上からすると,「STRIPE」は,日本において,ウェブ版決済サービスの一つとして2015年(平成27年)5月にテスト運用や2016年(平成28年)10月に正式開始して,その一時期にだけニュース等で取り上げられているが,証拠上,我が国における利用者数,売上げ,広告方法等が不明であるから,需要者の間で広く知られているものとはいい難い。

カ したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間において広く認識されていたものとまでは認めることはできない。

(2)本件商標と引用商標との類似性の程度

本件商標は,別掲1のとおり,「STRIPE」の欧文字とその欧文字の下部に接してやや太めの下線が表されているものである。

これに対して,引用商標は,「STRIPE」の欧文字よりなるものである。

そうすると,両商標は,「STRIPE」のつづりを共通にし,共にその構成文字に相応して「ストライプ」の称呼及び「縞」の観念を生ずるものといえる。

したがって,両商標は,たとえ外観において下線の有無において相違するとしても,その類似性の程度は高いというべきである。

(3)引用商標の独創性の程度

引用商標は,「縞」の意味合いを有する英語である「STRIPE」を表してなるものであるため(甲16),造語ではなく,その独創性の程度は高くはない。

(4)両商標が使用される商品及び役務の関連性

引用商標は,第36類に属する決済サービスに使用されているものである。他方,本件商標の申立てに係る商品及び役務は,別掲2のとおり,第9類,第35類及び第41に属する商品及び役務であり,その取引において決済サービスを利用する場合があるとしても,商品と役務の事業者・用途,役務の提供の手段・目的又は場所及び業種において,引用商標が使用される役務とは明確に異なるものであるから,両者の関連性は低いものである。

(5)以上を総合すると,本件商標と引用商標との類似性の程度が高いものであるとしても,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間において広く認識されていたものとまでは認めることはできず,また,独創性も低いものであり,本件商標の申立てに係る商品及び役務と引用商標の決済サービスとの関連性は低いものである。

そうすると,本件商標は,これをその申立てに係る商品及び役務について使用しても,これに接する需要者をして,該商品及び役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品及び役務であるかのように,商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものということはできない。

したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務中,申立てに係る商品及び役務についての登録は,商標法4条1項15号に違反してされたものとはいえないから,同法43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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