Trademark Appeal Case
略称の周知性と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900371(T2017−900371/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5983269商標(以下「本件商標」という。)は、「KINTO TYRES」の欧文字を横書きしてなり、平成29年6月8日に登録出願、第12類「タイヤ,タイヤホイール,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」の商品を指定商品として、同年8月8日に登録査定され、同年9月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1052173号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Conti」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年12月1日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同49年1月21日に設定登録され、その後、平成17年2月9日に指定商品を第9類「消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1651434号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和45年7月27日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同59年1月26日に設定登録され、その後、平成16年12月22日に指定商品を第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
本件商標は、タイヤについて周知・著名な申立人の引用商標1及び引用商標2の著名な略称としての「Conti」を彷彿とさせ、これらと相紛らわしいものであるから、その指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
4 当審の判断
(1)申立人の商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠及びその主張によれば、申立人は、1871年にドイツのハノーバーで創業以来、145年にわたって事業を継続し、現在、「タイヤ」を初めとする5部門からなり、日本を含む世界50ケ国で事業を展開する企業であって、タイヤ部門では、世界のタイヤ市場において第4位のシェアを有している(甲4〜甲11)。申立人は、創業以来「Continental」の文字をハウスマークとして使用しており(甲4)、該文字をデザイン化した引用商標2は、我が国において昭和59年に商標登録されている(甲3)。
また、甲第4号証として提出された申立人のウェブページの記述によれば、引用商標2と同様の標章が、1921年、1972年、1991年、2000年、2009年及び現在の記事に表示される画像より確認できるところ、2000年以降のものは、申立人会社のハウスマークとして使用されていることがうかがえるものであるから、本件商標の出願時及び登録査定時において、引用商標2は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に相当程度は知られているといい得るものである。
そして、申立人の提出した証拠によっては、本件商標の出願時及び登録査定時において、「Conti」の文字が、申立人の取り扱いに係る商品「タイヤ」の商標中に他の語と結合して使用されている事実は認められるものの(甲5、甲13〜甲16)、「Conti」の文字のみからなる引用商標1が、申立人の商標として取引者、需要者の間に広く知られている事実及び申立人のハウスマークである「Continental」や引用商標2の略称として使用されている事実は確認できないものであるから、引用商標1が、申立人の商標として及び申立人のハウスマークである「Continental」や引用商標2の略称表示として、取引者、需要者の間に広く知られているとはいえない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「KINTO TYRES」の文字からなるところ、その構成文字に相応して、「キントータイヤズ」の称呼を生じ、該文字は辞書等に採録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標1は、前記2のとおり、「Conti」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「コンチ」の称呼を生じ、該文字は辞書等に採録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
引用商標2は、別掲のとおり、「Continental」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「コンチネンタル」の称呼を生じ、また、該文字は我が国でも親しまれた英単語であり「大陸の人」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標は、前記ア及びイの構成からなるところ、両者は、外観の構成、態様を異にするものであり、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標は、「キントータイヤズ」であり、引用商標は、「コンチ」又は「コンチネンタル」であって、構成する音やその音数において明らかな差異を有するものであり、両者は、称呼上、明確に聴別し得るものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1も、特定の観念を生ずるものではなく、引用商標2は、「大陸の人」の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、類似するところがないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(3)商品の関連性
本件商標の指定商品である第12類「タイヤ,タイヤホイール,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」は、引用商標の指定商品と、同一又は類似の商品であって、商品の共通性及び関連性があり、また、取引者及び需要者が共通するものと認められる。
(4)出所の混同のおそれ
上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標2が、申立人の商標として取引者、需要者に相当程度は知られていたとしても、引用商標1は、申立人の商標として及び引用商標2の略称として、取引者、需要者に広く知られていたとはいえないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない別異の商標といえるものであって、類似性の程度はまったく高くないものである。
そうすると、商品に共通性や関連性があって、取引者、需要者が共通であるとしても、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものとは認められないものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当せず、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲(引用商標2)
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。