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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900045(T2018−900045/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5999036号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5999036号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年3月28日に登録出願、第41類「ゴルフの教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,ゴルフに関するセミナーの企画・運営又は開催,その他のセミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,ゴルフ場の提供,その他の運動施設の提供,ゴルフトーナメントのチケットの予約の代行,興行場の座席の手配,ゴルフ用具の貸与,その他の運動用具の貸与」を指定役務として、同年10月30日に登録査定され、同年11月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5143812号商標(以下「引用商標」という。)は、「GRAND SLAM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年6月22日に商標登録出願、第41類「テニスの興行の企画・運営又は開催」を指定役務として、同20年6月20日に設定登録され、その後、同30年3月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

商標の類否判断は、商標から生じる称呼、外観、観念等を総合して全体的に観察した上で、出所混同が生じるおそれがあるか否かという観点から判断されるものであるところ、引用商標と本件商標から生じる称呼及び観念が同一であるため、引用商標は本件商標と極めて類似する商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、テニストーナメントの四大大会(すなわち、全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープン)の総称及びこれらを制覇することを表示するものとして、長い間、需要者の間に広く認識されている。

本件商標は「グランドスラム」の語を含んでおり、本件商標が指定役務について使用されれば、これに接する取引者・需要者は、当該商標の商標権者である申立人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同する蓋然性が極めて高い。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、青色と金色で表された円図形及び黒色で表された「グランドスラム カントリークラブ」の片仮名からなるところ、その円図形の中には、鳥類及びゴルフクラブを紋章風にかたどった図形が配置され、また、その円図形に沿うように半円状に金色で表された「Grand Slam Country Club」の欧文字が配置されており、当該欧文字は、その図形中にまとまりよく配置されているものであるから、円図形と一体の構成のものとして認識されるものである(以下、この図形部分を「円図形部分」という。)。

そして、円図形部分と、「グランドスラム カントリークラブ」の文字部分とは、視覚的に分離され、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情はないことから、その構成中の円図形部分及び文字部分がそれぞれが独立して自他役務の識別機能を果たし得るものである。

また、「グランドスラム カントリークラブ」の文字部分は、同書、同大で、まとまりよく一体的に表されており、外観上、いずれかの文字が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいえないばかりか、当該文字部分全体から生ずる「グランドスラムカントリークラブ」の称呼は、やや冗長ではあるものの、よどみなく一連に称呼し得るものであり、他に「グランドスラム」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。

してみれば、本件商標は、「グランドスラム カントリークラブ」の文字に相応して、「グランドスラムカントリークラブ」の称呼が生ずるものである。

そして、「カントリークラブ」の文字は、「日本ではゴルフ場の名称」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有することから、本件商標は、「グランドスラムという名称のゴルフ場」という観念が生ずるものである。

(2)引用商標について

引用商標は、前記第2のとおり、「GRAND SLAM」の文字からなるところ、当該構成文字に相応して「グランドスラム」の称呼を生じ、「(テニスやゴルフで)その年度の主要4大会全部で優勝すること」の意味(株式会社三省堂「コンサイス英和辞典第13版」)を有するものであり、「(テニスやゴルフで)その年度の主要4大会全部で優勝すること」の観念を生ずるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観については、商標全体の比較においては、円図形部分の有無という顕著な差異を有するものである。また、本件商標中の円図形部分と引用商標との比較においては、図形商標と文字商標という顕著な差異を有するものであり、さらに、本件商標中の片仮名部分と引用商標との比較においては、「カントリークラブ」の文字の有無、片仮名と欧文字の文字種の相違という明らかな差異を有することから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、称呼については、本件商標から生じる「グランドスラムカントリークラブ」の称呼と、引用商標から生じる「グランドスラム」の称呼とは、構成音数の差異、「カントリークラブ」の音の有無の差異等から、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。

そして、観念については、引用商標は「(テニスやゴルフで)その年度の主要4大会全部で優勝すること」という観念を生ずるものであるとしても、本件商標は、「グランドスラムという名称のゴルフ場」という観念を生ずるものであるから、観念上、紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において、明確に異なるものであり、これらを総合して判断すれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。

(4)小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(5)申立人の主張について

申立人は、本件商標中「カントリークラブ」の文字は、指定役務との関係において比較的識別力の弱い部分であり、本件商標の要部は「グランドスラム」であるため、本件商標からは「グランドスラム」との称呼、「テニストーナメントの四大大会(すなわち、全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープン)の総称及びこれらを制覇する」という観念が生ずる旨主張している。

しかしながら、「グランドスラム」の文字と、「ゴルフ場の名称」の意味を有する「カントリークラブ」の文字とがまとまりよく一体的に表された本件商標の構成において、これに接する需要者は、殊更、「グランドスラム」の文字部分のみに着目するというよりは、その構成文字全体をもってゴルフ場の名称を表した一体不可分のものと認識し把握するものとみるのが自然である。

さらに、円図形部分の「Grand Slam Country Club」の文字についても、さきに述べたとおり、全体として一体の構成のものとして認識されるというべきであるから、殊更、「Grand Slam」の文字部分のみが着目されるとはいい難い。

したがって、申立人のかかる主張は採用できない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知著名性について

申立人は、引用商標は、「テニストーナメントの四大大会(すなわち、全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープン)の総称及びこれらを制覇することを表示するもの」として、長い間、需要者の間に広く認識されている旨主張している。

確かに「GRAND SLAM」の文字は、前述のとおり、「ゴルフ・テニスなどで、主要試合の完全制覇。」の意味を有する「グランドスラム」に通じるものであり、「テニスで主要試合の完全制覇。」の意味合いを理解させる場合があることは否定できない。

しかしながら、引用商標を申立人の業務に係る役務に使用していることを客観的に示す証拠の提出は一切なく、申立人による引用商標の使用状況を具体的に把握することができない。

また、その他に申立人の業務に係る引用商標の使用状況や、引用商標の周知著名性を客観的に把握することができる証拠も見いだせない。

以上よりすれば、本件商標の出願時及び登録時において、引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものということはできない。

(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について

本件商標と引用商標は、上記1で検討したとおり、外観、称呼及び観念を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、類似性の程度は高いとはいえないものである。

(3)本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務の関連性、需要者の共通性について

本件商標に係る指定役務中「ゴルフの興行の企画・運営又は開催,その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催」と、引用商標に係る指定役務「テニスの興行の企画・運営又は開催」とは、「テニスの興行の企画・運営又は開催」の範囲において同一であり、興行の開催主体、競技場所、運営方法、競技者等を共通にする場合もあることから、両役務は、密接な関連性を有し、需要者を共通にする場合があるものといえる。

(4)出所の混同のおそれについて

上記(1)ないし上記(3)を総合して判断するに、本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務は、「テニスの興行の企画・運営又は開催」の範囲において密接な関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、かつ、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、類似性の程度は高いとはいえないものである。

してみれば、商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、取引者、需要者は、引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

また、他に本件商標が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるというべき事情も見いだせない。

(5)小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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