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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力と使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−9487(T2017−9487/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,緑色(RGBの組合せ:R0,G140,B80)のみからなり,第30類「パン」を指定商品として,平成27年5月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「商品の包装又は商品の広告の装飾等に使用される色彩は,様々な色彩を組み合わせたものも含め,多くの場合,それらの魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであるから,緑色からなる本願商標をその指定商品(の包装)に使用しても,これに接する需要者は,商品(の包装)について通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるというのが自然である。したがって,本願商標は,商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,提出された証拠において示された本願商標と同一と推測される色彩の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,緑色(RGBの組合せ:R0,G140,B80)のみからなるものであり,その指定商品を第30類「パン」とするものである。

ところで,本願の指定商品である「パン」を取り扱う業界においては,商品の特徴として,商品の包装の装飾や模様などに様々な色彩が用いられているところ,緑色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩についても,原査定において示した「伊藤製パン株式会社」,「フジパン株式会社」の製造,販売に係る商品を含め,別掲2のとおり,その商品の包装の装飾や模様などとして,一般に広く用いられているというのが実情である。

そうすると,緑色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品の包装について通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は,「本願商標は,いわゆる使用による特別顕著性を獲得しているものであるから,商標法第3条第1項第3号の規定にかかわらず,同条第2項の適用によって,当然商標登録を受けることができるものである。」旨主張し,証拠として第1号証ないし第39号証を提出している(なお,本審判事件において,請求人の提出に係る証拠(第1号証ないし第39号証)については,以下,「甲」を付して,例えば,「甲第1号証」と読み替えるものとする。)。

そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

ア 請求人は,1920年(大正9年)に創業,1969年(昭和44年)に関東地区へ進出した際に「Pasco」というブランド名を使用し始め,その後,中部・関西地区では,赤色又はえんじ色の四角形の地色に「Pasco」及び「シキシマ」の各文字を白抜きで表してなる標章,関東地区では,薄青色又はえんじ色の四角形の地色に「Pasco」の文字を白抜きで表してなる標章を用いており,2003年(平成15年)に,「シキシマ」と「Pasco」の各ブランドを統合し,本願商標を構成する緑色と同じ色彩と認識され得る緑色の隅丸横長長方形の地色に「Pasco」の文字を白抜きで表してなる標章(以下「本件使用標章」という。)を用いることとし,コーポレートカラーも当該緑色に統一したとされる(甲12,甲21,甲26)。

イ 本件使用標章は,請求人の社屋に掲げられた看板(甲22),請求人のホームページ(甲12,甲13,甲36,甲37),請求人を紹介する記事又はテレビ番組(甲19,甲22,甲26,甲27,甲39)に用いられているほか,請求人の業務に係る商品「パン」について,それを販売する自己又は他人が運営するインターネット通販サイト(甲15〜甲17,甲20)やその包装袋(甲36〜甲38)に用いられている。

なお,請求人のホームページにおける見出し語や吹き出し部分等の色彩,上記インターネット通販サイトにおけるクリックメニューボタンの色彩として,本願商標を構成する緑色と同じ色又はその緑色に近似する色彩が用いられている(甲12〜甲17)。

ウ 請求人は,自己の業務に係る商品を日本全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等において販売しているとし,また,自己又は他人が運営するインターネット通販を通じた販売も行っている(甲15〜甲17,甲20)。

なお,スーパーマーケットにおける請求人の業務に係る商品「パン」の販売の際に,商品陳列台やPOP広告等について,「Pasco」の文字の地色などとして,本願商標を構成する緑色と同じ又はその緑色に近似する色彩が用いられていることはうかがえるが,その具体的な時期は不明である(甲30〜甲35)。

エ 請求人は,自ら番組スポンサーを務める番組や協賛企業として参加しているイベント(甲21)において,その番組のCM等で紹介される本件使用標章の使用をもって本願商標を使用している旨主張するが,当該CM等において本件使用標章がどのように表されているかの詳細は不明であり,かつ,それが放送された具体的な時期や回数は不明である。

オ 請求人は,国内製パン業界において,2014年(平成26年)に第2位のシェアを占めるとされ,その売上高は,1,700億円に達する(甲21,甲26)。

カ 上記アないしオを総合勘案すれば,請求人は,「シキシマ」と「Pasco」の各ブランドを統合した2003年(平成15年)以降,自己の業務に係る商品「パン」について,その商品の包装袋やインターネット通販サイトにおいて本件使用標章を継続して使用していることは推認できるが,本件使用標章は,その構成態様に照らせば,その構成中の色彩部分のみが分離して観察され,需要者に強く印象付けられるとはいい難いものである。

また,請求人は,自己のホームページ及び上記インターネット通販サイト並びに自己の業務に係る商品「パン」の広告等において,本願商標を構成する緑色と同じ又はその緑色に近似する色彩を使用する場合があるとはいえるが,前者については,その内容としての見出し語,吹き出し部分及びクリックメニューボタン等の色彩としての使用であって,それらが表示される画面上の装飾ないしデザインなどとして看取,認識されるものとみるのが相当であり,また,後者については,商品陳列台やPOP広告等における「Pasco」の文字の地色などとしての使用であって,これに接する需要者をして,常に「Pasco」の文字と一体のものと認識されるとみるのが相当であるから,その使用に係る緑色の色彩のみが分離して観察され,強く印象付けられるとはいい難い。

そうすると,請求人が,2003年(平成15年)に本願商標を構成する緑色と同じ色彩と認識され得る緑色をコーポレートカラーとして採用し,また,2014年(平成26年)には,製パン業界において第2位のシェアを占める者であったとしても,請求人の業務に係る「パン」について継続的に使用されているといえるのは本件使用標章であり,その構成中に本願商標を構成する緑色と同じ色彩と認識され得る緑色があるとしても,当該緑色の色彩部分のみをもって,需要者が,専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

してみれば,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

(3)請求人の主張について

請求人は,原査定において示された他人の製造,販売に係る商品のように,本願商標の色相等と明らかに異なる色相等が使用されていることをもって,本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備していないとすることは恣意的であり,同条項の要件を具備しているか否かの判断は,そのような恣意性を排除し,あくまでも,色彩が独立して自他商品識別力を獲得しているか否かによってなされるべきである旨主張する。

しかしながら,原査定は,意見書の内容を踏まえて,本願商標と同一と推測される色彩が請求人のホームページ等において使用されていることを認めつつ,その使用の状況及び態様からは,本願商標のみが独立して識別力を有するに至っているとはいえないとした上で,他人による近似する色彩の使用例を挙げており,そのような例示のみをもって商標法第3条第2項に規定する要件についての判断をしていないことは明らかである。

また,原査定において示した他人による近似する色彩の使用例を含む別掲2に示す使用例において,仮に,その使用例に係る色彩の色相等が,請求人提出の甲第11号証に記載されているように,本願商標を構成する色彩のそれと異なるものであるとしても,その使用例に係る色彩は,視覚上,緑色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩と認識され得るものといえ,本願の指定商品「パン」の需要者により,本願商標を構成する色彩と区別し得るほどに別異のものとして認識されることはないとみるのが相当である。

そして,当審において,本願商標は商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるとして請求人が提出した証拠の内容によれば,請求人が,請求人の業務に係る商品「パン」について継続的に使用しているといえるのは,その構成中に本願商標を構成する緑色と同じ色彩と認識され得る緑色を有する本件使用標章であり,その使用によっては,いまだ当該緑色のみをもって需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないこと,上記(2)において認定,判断したとおりである。

よって,上記請求人による主張は,採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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