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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−9488(T2017−9488/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,紺色(RGBの組合せ:R0,G26,B104)のみからなるものであり,第30類「パン」を指定商品として,平成27年5月27日に登録出願され,その後,本願の指定商品については,当審における同29年6月28日付け手続補正書により,第30類「食パン」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「商品の包装又は商品の広告の装飾等に使用される色彩は,様々な色彩を組み合わせたものも含め,多くの場合,それらの魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであるから,紺色からなる本願商標をその指定商品(の包装)に使用しても,これに接する需要者は,商品(の包装)について通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるというのが自然である。したがって,本願商標は,商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,提出された証拠において示された本願商標と同一と推測される色彩の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,紺色(RGBの組合せ:R0,G26,B104)のみからなるものであり,その指定商品を第30類「食パン」とするものである。

ところで,本願の指定商品である「食パン」を取り扱う業界においては,商品の特徴として,商品の包装の装飾や模様などに様々な色彩が用いられているところ,紺色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩についても,原査定において示した「山崎製パン株式会社」「伊藤製パン株式会社」「第一屋製パン株式会社」の製造,販売に係る商品を含め,別掲2のとおり,その商品の包装の装飾や模様などとして,一般に広く用いられているというのが実情である。

そうすると,紺色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品の包装について通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は,「本願商標は,いわゆる使用による特別顕著性を獲得しているものであるから,商標法第3条第1項第3号の規定にかかわらず,同条第2項の適用によって,当然商標登録を受けることができるものである。」旨主張し,その主張に係る証拠として第1号証ないし第62号証を提出している(なお,本審判事件において,請求人の提出に係る証拠(第1号証ないし第62号証)については,以下,「甲」を付して,例えば,「甲第1号証」と読み替えるものとする。)。

そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

ア 請求人は,1998年(平成10年)に「超熟」と称する食パン(以下「本件食パン」という。)を発売し(甲12,甲14,甲43,甲45),その包装袋に付された「超熟」の文字の一部に用いられる色彩や「Pasco」の文字の地色等,商品の包装の装飾や模様などとして認識される態様において,本願商標を構成する紺色と同じ色彩と認識され得る紺色を用いており,その後,細部の表記について変遷はあるものの,基本的に同様の包装袋を継続して用いている(甲11〜甲40,甲43,甲49〜甲51,甲54〜甲57,甲59,甲61)。

なお,請求人は,本件食パンの包装袋に係る色彩の特徴などとして,「『紺』×『白』のツートンカラー。」(甲12),「これらのコンセプトから『紺』×『白』のカラーが導き出されました。」(甲40)を挙げており,また,2006年(平成18年)には,紺色の明度(明るさ)を少し変更したことがうかがえる(甲12)。

イ 請求人は,本件食パンを日本全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等において販売しているとし,また,自己又は他人が運営するインターネット通販サイトを通じた販売も行っている(甲15,甲27〜甲39)。

なお,スーパーマーケットにおける本件食パンの販売の際に,商品陳列台やPOP広告等について,「超熟」の文字の地色や「Pasco」の文字の色彩として,本願商標を構成する紺色と同じ又はその紺色に近似する色彩が用いられていることはうかがえるが,その具体的な時期は不明である(甲19〜甲26)。

ウ 請求人は,自己のホームページにおける本件食パンの紹介などに当たり,「超熟」の文字の色彩や背景色の一部等に本願商標を構成する紺色と同じ色彩と認識され得る紺色を用いている(甲16〜甲18)。

また,請求人は,本件食パンについて,1999年(平成11年)春から2016年(平成28年)秋までの間,半年に1度の改変をしながら,継続的にテレビCMによる宣伝広告を行っており,そのテレビCMは,関東,中部,関西及び四国の64の放送局によって放送されているとするが,当該テレビCMにおいて,本件食パンがどのように表されているかの詳細は不明であり,かつ,当該テレビCMが放送された具体的な時期や回数も不明である(甲59,甲60)。

さらに,請求人は,本件食パンがテレビ番組において紹介されたとするが,その内容は,パン業界の紹介の際に他社の製品とともに紹介されたり,請求人の製造,販売に係るパンの一つとして紹介されたりするにとどまるものである(甲61,甲62)。

加えて,請求人は,本件食パンについて,雑誌に広告を掲載しているとするが,その内容は,「ひよこクラブ」(2012年10月号,2013年5月号,2015年6月号及び2016年6月号)とされる雑誌中の離乳食のレシピに関する記事において,その食材に本件食パンを含む「超熟シリーズ」に係るパンを用いていることを紹介するにとどまるものである(甲54〜甲57)。

エ 本件食パンは,2010年(平成22年)4月から2016年(平成28年)8月までの間,「食パン」全国市場におけるブランドシェア(金額ベース)で第1位となっており(甲41),その売上高は,2014年(平成26年)末頃には,約560億円に達していたものと推認される(甲44)。

オ 上記アないしエを総合勘案すれば,請求人は,本件食パンについて,その販売を開始した1998年(平成10年)以降,継続して,その商品の包装袋に本願商標を構成する紺色と同じ色彩と認識され得る紺色を使用しているとはいえるが,その使用態様は,その包装袋に付された「超熟」の文字の一部に用いられる色彩や「Pasco」の文字の地色等,商品の包装の装飾や模様などとして認識されるにとどまるものである。

また,請求人は,本件食パンに係る広告等において,本願商標を構成する紺色と同じ色彩と認識され得る紺色を使用する場合があるとはいえるが,その使用態様は,「超熟」又は「Pasco」の文字の色彩や当該文字の地色などとしての使用であり,これに接する需要者をして,常に「超熟」又は「Pasco」の文字と一体のものと認識されるとみるのが相当であるから,その使用に係る紺色の色彩のみが分離して観察され,強く印象付けられるとはいい難い。

そうすると,本件食パンが,その発売から約20年にわたり継続して製造,販売され,相当な期間,「食パン」市場において第1位のシェアを獲得しているものであるとしても,本件食パンについて使用されている「超熟」や「Pasco」の文字を伴わない紺色の色彩のみをもって,需要者が,専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

してみれば,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

(3)請求人の主張について

請求人は,原査定において示された他人の製造,販売に係る商品のように,本願商標の色相等と明らかに異なる色相等が使用されていることをもって,本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備していないとすることは恣意的であり,同条項の要件を具備しているか否かの判断は,そのような恣意性を排除し,あくまでも,色彩が独立して自他商品識別力を獲得しているか否かによってなされるべきである旨主張する。

しかしながら,原査定は,意見書の内容を踏まえて,本願商標と同一と推測される色彩が商品の包装や商品紹介の際の背景色などとして使用されていることを認めつつ,その使用の状況及び態様からは,本願商標のみが独立して識別力を有するに至っているとはいえないとした上で,他人による近似する色彩の使用例を挙げており,そのような例示のみをもって商標法第3条第2項に規定する要件についての判断をしていないことは明らかである。

また,原査定において示した他人による近似する色彩の使用例を含む別掲2に示す使用例において,仮に,その使用例に係る色彩の色相等が,請求人提出の甲第10号証に記載されているように,本願商標を構成する色彩のそれと異なるものであるとしても,その使用例に係る色彩は,視覚上,紺色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩と認識され得るものといえ,本願の指定商品「食パン」の需要者により,本願商標を構成する色彩と区別し得るほどに別異のものとして認識されることはないとみるのが相当である。

そして,当審において,本願商標は商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるとして請求人が提出した証拠の内容によれば,請求人が,本件食パンについて,本願商標を構成する紺色と同じ色彩と認識され得る紺色を使用しているとはいえるものの,その使用によっては,いまだ当該紺色のみをもって需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないこと,上記(2)において認定,判断したとおりである。

よって,上記請求人による主張は,採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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